otomisanさんの映画レビュー・感想・評価 - 8ページ目

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散歩する侵略者(2017年製作の映画)

3.8

 「宇宙人」の概念はどこで仕込んだ?「宇宙人」は抽象的でないからOK?などと立ち止まって見ると、周りにある細々がみな各様である事、さまざまな部分の複合である事、意味の多様さに気が付いて、なら「宇宙」に>>続きを読む

ホット・ロック(1971年製作の映画)

3.9

 日本でルパン三世が毎週のように脱獄でがんばってた頃、アメリカのドートマンダーは円満出所の優等生、超大国の泥棒は官費で余裕の「別荘」暮らしだ。時代もピッタリ半世紀前、晴れた日には世界一のWTCで北館と>>続きを読む

ジャッキーと女たちの王国(2014年製作の映画)

4.0

 フランスに対する?逆さまの世界を描いたのはアラビア名を持つ男。この映画制作の翌年早々に「シャルリ・エブド事件」が起きるが、彼はこの制作の時分まで十年ほど同社に在籍していたという。立派に因縁めいている>>続きを読む

イグジステンズ(1999年製作の映画)

4.0

 どちらがマシかと聞かれれば、ピルグリマージの"CZ"のほうが、脊髄にジャックインしない分、"XZ"より好感が持てる。しかし、あのエイリアンの初期幼生もどきなのをあたまに乗っけるイメージも気色悪い。>>続きを読む

リバー・ランズ・スルー・イット(1992年製作の映画)

4.2

 兄は弟の骨を拾ってやりに戻って来たのかもしれない。それは、おおむかし、釣り師になるといった弟に、そんな職業はないと笑った事への落とし前のようでもある。それならボクサーになると弟は返したが、そんな笑い>>続きを読む

白いリボン(2009年製作の映画)

4.1

 推定有罪なのは子どもたちかと思いきや、その子どもたちもどよめかすように、領主館とその周辺では小作人の妻の事故死、そこには何らかの不作為ありと憤る息子によるうっぷん晴らしの畑荒らし、領主の倅への謎の暴>>続きを読む

家路(2014年製作の映画)

4.1

 原発事故の放射能汚染で立ち入り禁止となった実家に20年ぶりで戻った男が、耕作が途絶えて4年目の水田で稲作を始める。
 ひょっとすると本当にこんな人がいるかと思いネットで探すが見つからない。むしろ、自
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キカ(1993年製作の映画)

3.8

 キカのおっかさん?かと思えば本人で、そんなキカおばさんの若い時分の事件かと思いきや、おばさんのまま通すしで、こちらはずっこけっ放しだが、こんな映像の希少種はコケてでも見ておくのがいい。夢にまで出てく>>続きを読む

NINE(2009年製作の映画)

3.8

 墜ちた巨星の回生映画「NINE」は撮影開始1秒で終わってしまう。その2年前、筋も思い浮かばず悩みに悩んで1フィートも撮れずに終わった「ITALIA」は、歌って踊ってロブ・マーシャルまで動員して2時間>>続きを読む

第8監房(1956年製作の映画)

3.7

 戦争を引き摺る男女の出逢いで始まって、警視庁物語所轄篇で終わるといった趣だ。つまり、先の男女の物語は男が戦争の記憶を清算する中で女の死と共に潰えてしまうのだが、その男が物語のクライマックス、決闘篇で>>続きを読む

追跡(1947年製作の映画)

4.0

 こころがどこかに飛んでるような、サイコな雰囲気のジェブ(ロバート・ミッチャム)に目がいって忘れがちになるんだが、この物語を裏で仕切っていたのはカラム夫人だったようだ。で、何を仕切っていたかというと、>>続きを読む

セントラル・ステーション(1998年製作の映画)

4.1

 意外と言っちゃ語弊もあろうが、渡る世間に鬼がいない感じのブラジルだ。なんだか、ドーラおばさんが一番ヒトが悪そうじゃないかと笑ってしまった。

 もちろん、浮浪児の預かりのフリをした臓器売買屋もいるし
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死刑にいたる病(2022年製作の映画)

4.0

 父親であるとは進んで名乗れない立場であっても、息子がもういい年齢に達したのに何も面白い事のなさげに強張っているのを見れば、生きるヒントを与えたくもなるだろう。その点、この父親は自分にただならぬ自信、>>続きを読む

テロ、ライブ(2013年製作の映画)

4.0

 SCNの顔、ユン・ヨンファの言葉なら市民の誰もが信じると思われてしまって、ラジオ局に島流し中のユンは、こうしたテロリストの思い違いをうまく捌いて見せれば、テレビ界にカムバックする絶好の機会だ、としか>>続きを読む

秘境(1949年製作の映画)

3.8

 何のためかウェルカム・アリゾナ映画。というのも通称「迷信の山」の噂の大金鉱脈に立ちはだかった謎の殺人鬼がやっと仕留められて晴れてゴールドラッシュ解禁という次第だから。
 100年前に発見されていなが
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女と男のいる舗道(1962年製作の映画)

4.1

 ゴダール謹製、主演は細君と聞くだけでワクワクする自分の反応が面白い。ところが、ふたを開けてみたら畳の上で死ねない女の物語で、ま、ゴダールらしいといえばその通り。
 しかし、この女、「ナナ・クランフラ
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別離(2011年製作の映画)

4.0

 公けの審問所で妻シミンは娘テルメ―の成長にイランの地は好ましくないと平然という。アフガンならタリバンが、イラクなら公安が黙ってはいないだろう。ではシリアなら?訴える先を探すより難民として出国してしま>>続きを読む

彼女が消えた浜辺(2009年製作の映画)

4.1

 なにが最悪だと言っても、望んだことなどないのに便宜上であるにせよ誰かが死んでいてくれればいいなんて思うことほど悪い事態はないだろう。ところが、セピデーはエリの婚約者に向かって、このお見合い旅行に際し>>続きを読む

ダンケルク(1964年製作の映画)

4.1

 フランス兵の週末はダンケルクから英国へ。
 しかし、この「週末」がなぜ英語と同じ"Week-end"なのか?ケベック人は使わないこの言葉をフランス本国で常用しているという。長らく角逐を続けた隣国から
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アメリ(2001年製作の映画)

4.0

 いきなりモンマルトルの羽虫と老コレールの悲劇が紹介されて、アメリが受胎する前のフランスはこんな有様でした、と言いたげだ。
 もっとも、当のアメリも[たぶん誤診に満ちてるだろうが医者には違いない冷淡な
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あばずれ(1965年製作の映画)

3.8

 フン刻みでツッコミたいのはポルノの巨匠だから~?
 そうではない。だが、それを語る前にそもそもこの監督自身の手になる16ミリ切り詰め版が遺されたのが何のためかを問い直されねばならない。
 それは、監
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FLIRT/フラート(1995年製作の映画)

3.9

 米独日三様の"FLIRT"なやつの誠のあり方が問われる。この"FLIRT"が軽佻、浮気、尻軽と褒め要素ゼロの言葉で、三話それぞれを代表するフラート達はあちらとこちらの二股掛けをどうするんだと決心に迫>>続きを読む

カジュアリティーズ(1989年製作の映画)

4.0

 二十歳そこそこの三等軍曹に率いられた分隊計5人が、数日間敵地に潜入する長距離偵察に就き、その任務の隠密性、孤立性にかこつけて非戦闘員と推定されるベトナム人女性を拉致、監禁し暴行、レイプを働いたのち足>>続きを読む

淵に立つ(2016年製作の映画)

4.1

 小学娘がオルガンを弾き始める、どうということもないようでいてずっと後ろ姿が続いたあと、津田寛治(鈴岡)の何ひとつ面白くなさそうな朝の食卓風景。鈴岡家の屈折を表している?それともあなたのウチもこんな感>>続きを読む

マルチュク青春通り(2004年製作の映画)

4.0

 この4年ほど前、技術工作の授業で自作した中波ラジオをいじくっていて捉えたのがモスクワ放送の「インターナショナル」、ピョンヤン放送と韓国KBSであった。ノイズの漣の中でも割とよく聞こえるのはKBSで、>>続きを読む

美しい都市(2004年製作の映画)

4.2

 こんなことを云うのもなんだが、終わってくれてほっとした。この感想は映画のこの物語でみんなを悩ましている問題に決着がついてくれたからではなく、決着に至る出口は幾つもあるのに、関係者の主張や思いがぶつか>>続きを読む

椿の庭(2020年製作の映画)

4.2

 思わぬ不幸から、としより夫婦が外地で暮らしていた孫を引き取る事になる。ほどなく老主人は亡くなって老若女二人。孫はふた親を外地で亡くし戻るあてもなく、この逗子の地で言葉も英語は封じ、いまは日本語を修習>>続きを読む

ドッグ(1976年製作の映画)

3.1

 1976年、加州の某大学で映画サークルが恐怖映画の自主製作を目論み、元ネタはヒチコックの「鳥」として、一般学生はもとより大学町の面々もそそのかして、イヌ10匹はもちろん資材一切持ち寄りで制作したから>>続きを読む

点と線(1958年製作の映画)

4.0

 誰に急かされるのかいきなり心中臭い足の裏が出てくる。いかにも同意の上というように仲良く行儀よく並んで。
 それも全て偽装であったとおいおい覆されるんだが、その下手人もまた心中で果てる。納得の心中を偽
>>続きを読む

警視庁物語 行方不明(1964年製作の映画)

3.9

 大の男が二人いっしょに行方不明になる。革製品の工場でイタリーの提携企業との顔合わせを目前にして。
 捜査一課シリーズも9年目、24作目でこれで最終回。テレビ放映でも2年にして町の景色も当初から少しは
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女系家族(1963年製作の映画)

3.9

 矢島の家は三代続きで養子婿。その婿三代目が亡くなって遺された三姉妹の誰が四代目となるのやら。ところが三代目の隠し女が知れてしかも妊娠4か月。莫大な相続だけでも三姉妹は暴発寸前なのに第四の敵まで現れて>>続きを読む

母あちゃん海が知ってるよ(1961年製作の映画)

3.8

 文部省選定?千葉県外房天津で小学生の息子一男とふたり、やもめ暮らしの愛吉(重吉)のところに遠縁のこれまた小さな息子連れで寡婦康子(南田)が後添いに来る。新しい家族ができて息を吹き返した愛吉が当座の暮>>続きを読む

疑惑(1982年製作の映画)

3.9

 下手物好きな福太郎氏が御家からもクマ子からも責めあげられて挙句に保険3億円に加入したと知れば、無理心中の推測はそこで芽生え済みだったろうが、いざ実行の段となって氏も息子には必ず会って何か言葉を残した>>続きを読む

1987、ある闘いの真実(2017年製作の映画)

4.0

 待遇改善や賃金の要求でさえ政治的背景を問われ、北朝鮮の手先として公安警察に逮捕されてしまう。それがもとで父親が死んでしまったヨニはもう政治絡みな事は真っ平。なのに、ソウル大生の拷問死を隠す公安に目を>>続きを読む

気狂いピエロ(1965年製作の映画)

4.1

 きちがいピエロのフェルディナンはやっぱりバカだった?久しぶりのピエロはマリアンヌには「気がちがった」と眺められる。しかも名前まで変えて。そんなF.の自身についての最後の述懐は「俺は馬鹿ってことよ」と>>続きを読む

仇討崇禅寺馬場(1957年製作の映画)

4.1

 これはまた武士としては恥辱の極みだろう。生田伝三郎は大和郡山の殿の指南番。ところが御前試合で勝ちを奪われて罷免。はしたなくもその試合の相手を酒の上の諍いから切り殺し、養家も主家もあとにして大坂でどう>>続きを読む