hasseさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

拳銃魔(1949年製作の映画)

3.9

○「僕は君と離れられない。拳銃と銃弾のように」(バート)

拳銃マニアの主人公が、ファム・ファタル的女性と出会い、拳銃の腕を買われてずるずると強盗犯へと身を持ち崩していく話。

後半の強盗&逃亡劇はほ
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逃げた女(2019年製作の映画)

3.8

ホン・サンス監督初鑑賞。最近ロメールの「喜劇と格言劇」連作を観たこともあってめちゃくちゃロメールっぽいな、と思って見ていたら、やはり、韓国のエリック・ロメールの異名を持つ人物だった。
女性同士の他愛の
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監獄アマゾネス/美女の絶叫(1986年製作の映画)

3.7

U-NEXTの強烈なサムネと、B級感モロだしのタイトルにつられて軽い気持ちで見始めたら、意外と手堅い演出、飽きさせないストーリー展開とエロとバイオレンス描写でなかなか面白かった。
少女たちはお色気のた
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遠い声、静かな暮し(1988年製作の映画)

3.7

テレンス・デイヴィス監督のカルト的人気を誇る長編一作目。
「遠い声」と「静かな暮らし」の2部構成。
前半は、長女アイリーンの結婚式を起点に、主観と時空を自由自在に変えつつ、主に父親との不和の想い出がポ
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レネットとミラベル/四つの冒険(1986年製作の映画)

3.8

冒頭のレネットとミラベルの出会いのシーンが、ものすごくプリミティブなつくりで大好き。
『緑の光線』で夕陽が水平線に沈む一瞬の緑の光線をカメラに収めたロメールは、今度は、夜の動物たちが眠ったあと昼行性の
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ベルリン・天使の詩(1987年製作の映画)

3.8

○「私は寂しさを感じたかった。寂しさは、自分をまるごと感じることができるから」(マリオン)

天使が人間の女性に惚れて自分も人間になるお話。
主人公ダミエルにおいて、永遠の命を失うことへの悲壮感、覚悟
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アダプション/ある母と娘の記録(1975年製作の映画)

4.2

女性初の金熊賞に輝いた作品。明度のさほど高くないモノクロ映像はとても好み。
序盤で分かるのは、メーサーロッシュ監督がとにかく女性の顔と身体を丁寧に撮ろうとしていること。43歳の主人公女性の気苦労が感じ
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

ランティモス最新作、ヴェネチア金獅子賞というだけあって観る前から期待値を上げすぎたかもしれない。
エマ・ストーンのパワフルかつ繊細な演技、スチームパンク的な世界観(リスボン大好き)、ベラが性的快楽や哲
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ジョージア、ワインが生まれたところ(2018年製作の映画)

3.7

○「このワインは私のだけど、皆のものでもあるの」(ワイン農家さん)

ジョージアにおけるクヴェヴリ(甕)製法を実践しつづけるワイン農家たちを追ったドキュメンタリー。

彼らにとってワインの生産は過去か
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女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)

3.9

○「梅毒持ちの兵士に身体を売ることになったら、私は道徳に従ったことを後悔する羽目になる」(アビゲイル・ヒル)

『哀れなるものたち』の前に未鑑賞の本作を。
女王の寵愛を奪い合う宮廷ドラマとして普通に面
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ニジェール物語(2017年製作の映画)

3.5

ニジェールの風土や自然を心地よいナレーションと優しいタッチのアニメーションで描くショートフィルム。ニジェールに興味がなくとも、神野恵子さんというナレーターの神がかった優しい語り口調を20分聞けるだけで>>続きを読む

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.3

ミニマルな生活の反復の中で発生する差違にフォーカスした映画で真っ先に思い出してしまうシャンタル・アケルマン『ジャンヌ・ディエルマン…』では、反復による差違が主人公を狂わせていく刺激的で文学的な展開であ>>続きを読む

あの胸にもういちど(1968年製作の映画)

3.6

結婚生活に飽いた新妻(マリアンヌ・フェイスフル)が、一度不倫した大学教授(アラン・ドロン)を忘れられず、スイスからドイツへバイクで会いにいくお話。監督は当時すでにハリウッドでMパウエル等の撮影監督とし>>続きを読む

007/ゴールドフィンガー(1964年製作の映画)

3.3

007シリーズの3作目で、シリーズの方向性を確立したと言われる作品。

ボンドの(今の基準では過剰に見えてしまう)女好きキャラと、チャチな銃撃シーン、垣間見えるご都合展開に正直萎えつつも、以下の面白シ
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FUNAN フナン(2018年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

○「まだ私には哀れみを受けない自由が残されている」(チョウ)

カンボジアのクメール・ルージュによる国民大虐殺の歴史を題材とした、アニメ作品。90分弱の尺とは思えぬボリュームのあるストーリーが展開され
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バイオレント・ナイト(2022年製作の映画)

3.6

○「テレビゲーム…テレビゲーム…バットや火炎瓶を欲しがる子供はいないのか?!」(サンタクロース)

『Mrノーバディ』『ブレットトレイン』でお馴染み87ノースプロダクション製作のバイオレンスアクション
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友だちの恋人(1987年製作の映画)

3.4

○「友達の友達は友達」

「喜劇と格言劇」最後の6作目。ストーリーや主人公女性の抱えるものは6作中最も陳腐でさほど面白味はない。ラストの四人の服装の青と緑の色分けはやり過ぎかも笑 運動会でも始まるんか
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緑の光線(1986年製作の映画)

4.5

○「心という心が燃える時よ、来い」(ランボー)

「喜劇と格言劇」五作目。女性の恋愛観を越えて現代人の孤独を克明に描いた傑作。
友人に旅行をキャンセルされ、一人でバカンスを過ごす羽目になった孤独な女性
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満月の夜(1984年製作の映画)

3.5

○「二人の妻を持つ者は心を失くし、二つの家を持つ者は分別をなくす」

「喜劇と格言劇」四作目。
自由きままな恋愛を求めすぎた結果、同棲相手の心が離れ、フラれてしまう女性の悲喜劇。ストーリーが単線的で主
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海辺のポーリーヌ(1983年製作の映画)

4.0

○「言葉多きものは災いのもと」(クレチアン・ド・トロワ)

「喜劇と格言劇」三作目。マリオン・アンリ・ピエールの大人組三角関係と、ポーリーヌ・シルヴァンのティーンカップルは、アンリが売り子と関係を持っ
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美しき結婚(1981年製作の映画)

3.9

○「夢想にふけらない人間がいようか 空想しない人間がいようか」(ラ・フォンテーヌ)

ロメール監督「喜劇と格言劇」二作目。
主人公サビーヌの根本には誰からも支配されたくない、相手より下の立ち位置に置か
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飛行士の妻(1980年製作の映画)

4.3

○「人は常になにかを考えてしまう」(オープニング)
○「いつだって女に決定権があるの」(リュシー)

ロメール「喜劇と格言劇」連作の第一弾。

苦学生フランソワが恋敵のパイロットと彼に同行する女性を尾
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オールド・ジョイ(2006年製作の映画)

4.4

社会ニュースを伝える車内ラジオが消え、山々の車窓を背景にヨ・ラ・テンゴの軽やかなギターメロディーが流れだした瞬間に、この映画に惚れた。都会から自然への滑らかなイントロダクション。

最近見た『ファース
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ある閉ざされた雪の山荘で(2024年製作の映画)

3.2

狂気が足りない。隣室の人間が殺人犯かもしれないという状況ではもっと神経削られてとんでもない行動に出てもいい。皆どこか合理的で、まぁ脚本が透けて見えてしまう。

終盤になって、残ったメンツから役者ランク
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すばらしき映画音楽たち(2016年製作の映画)

3.7

映画音楽に関するドキュメンタリー映画。映画とは視覚メインの芸術、エンタメと思い込んでしまうけれど、聴覚と半々なんだと再認識した。どこかでハリウッド寄りすぎる内容との評を読んだが、確かにそれはそう。>>続きを読む

ファースト・カウ(2019年製作の映画)

4.8

静岡のミニシアターで鑑賞。
とにかく静的でミニマムな作劇が徹底している。
ロベール・ブレッソンが『湖のランスロ』で静的な史劇を完成させたように、本作は静的なサスペンスを完成させてしまった。それは称えら
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アレックス(2002年製作の映画)

2.5

シーン単位で逆再生される映画。そのワンアイディアがほぼ唯一の取り柄で、普通の時間軸で考えてみるとストーリーなど大したことない。

アレックスが自信たっぷりに言う「セックスとは常に女性が決めるもの」、マ
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リトル・ショップ・オブ・ホラーズ(1960年製作の映画)

3.4

ロジャー・コーマン監督作品。食人植物を育てた功績で一躍有名になる一方、殺人を犯してしまう哀れな花屋の店員の物語。

登場人物全員が奇人の、狂った映画。花を食べる男、毎日身内が死ぬ老婦人、歯をドリルで削
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白蛇伝(1958年製作の映画)

3.3

日本の初カラー劇場映画作品(1958年公開)。
Wiki調べだが、企画の発端は、東宝と香港ショウブラザーズの共同実写映画『白夫人の妖恋』アニメ化企画が東映に持ち込まれたこと。東映の社長は、ヒットしてい
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三十九夜(1935年製作の映画)

3.4

1930年代のヒッチコック作品に、なかなかハマれない。今回も同じ結果に…。円熟期に比べてヒッチコック的映像が乏しいのもあるが、セットのチャチさも起因しているかもしれない。

冒頭でホールで芸を披露する
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ティファニーで朝食を(1961年製作の映画)

3.8

清純派で売ってきたオードリー・ヘプバーンが、奔放なコールガールを熱演した名作。

ホリーは貧乏暮らし、年配旦那との雁字搦め生活に嫌気が差してニューヨークで自由に生きることを選択した20代女子。金持ちと
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ジャンゴ 繋がれざる者(2012年製作の映画)

4.4

○「あの黒人は何者だ?」(ある黒人)

南北戦争前の南部での黒人差別という重いテーマを扱いつつ、マカロニウエスタンと白人に売られた妻を取り戻す冒険譚のフォーマットでもって、エンタメ作品に昇華した傑作。
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裸の拍車(1953年製作の映画)

3.7

賞金稼ぎと賞金首、その他道連れ計5名が繰り広げる西部劇×ロードムービー。
5人はアビリンという町まで旅をするが、少しでも弱味を見せようものなら裏切られかねない、絶妙なバランスの関係性が常に緊迫感を醸成
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カリフォルニア・ドールズ(1981年製作の映画)

4.9

これぞ最高のエンタメ作品!
説教臭さ一切なしの笑って泣ける王道のサクセスストーリー!
余計なお涙頂戴シーンはなし。クライマックスの映像だけで観る者に感動を与える素晴らしさ!
キャラ設定も最小限に済ませ
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絶好調(1965年製作の映画)

4.0

エテックスの短編。前半はエテックスがソロキャンプを楽しむも、『破局』同様すべてのアイテムが故障してコーヒー一杯飲むことすらままならない(なんとか数滴できたコーヒーに角砂糖浸して、あ、意外といけるかもじ>>続きを読む