hasseさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

幸福な結婚記念日(1962年製作の映画)

4.0

アカデミー短編賞を受賞したエテックス作品。これも面白いな。

とにかくさまざまな外的要因が邪魔をして、結婚記念日なのに家に帰れない男。『破局』よりレベルアップしているのが、男だけでなく通りすがりの町の
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破局(1961年製作の映画)

3.8

初のピエール・エテックス。キートンら喜劇王に私淑し、ジャック・タチに師事しただけあってゆるーい不条理コメディの世界観が最高。
別れを告げられた彼女に手紙を書こうとするも、文具や机が壊れ、とにかく一筆も
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カリガリ博士(1920年製作の映画)

3.5

ドイツ表現主義の古典作品。背景のセットは一見の価値あり。それ以上に、これまでの物語は主人公の妄想でしたオチ、つまり信頼できない語り手を映画に持ち込んだ功績がおおきいのではないだろうか。

散り行く花(1919年製作の映画)

4.3

新年一発目に、サイレント期の傑作を鑑賞。
中国から布教にきたものの阿片と博打に溺れうだつのあがらない青年と、ボクサーの父親からDVを受けている少女が出会う。青年は少女に純愛を捧げ、少女は初めて人から優
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殺人者(1946年製作の映画)

3.5

GSの店員が殺害された事件を、ひたすら足を使って関係者への事情聴取を通じて解明していくサスペンス。

次から次へとシーンが展開されるテンポはいいが、うっすら結末が読めた時点でだれてしまった。

暗闇と
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真昼の決闘(1952年製作の映画)

4.1

ゲイリー・クーパー、グレース・ケリー主演の1952年の西部劇。
ヒーローとして描かれてきた保安官を、町の人々から見捨てられた孤独と敵への恐怖を抱える一個の人間として描き直した作品。従来の西部劇の王道の
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ラーゲリより愛を込めて(2022年製作の映画)

3.6

戦後もシベリアの収容所(ラーゲリ)に抑留された日本兵らの絶望と希望を描いた戦争ドラマ。

カメラワークやライティングがチープなドラマに毛が生えた程度のクオリティでやや萎えたのと、山本の美談を中心に据え
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タンジェリン(2015年製作の映画)

4.1

クリスマスイブのロサンゼルス、刑務所から出所したてのトランスジェンダー女子が繰り広げるドタバタ劇。

下ネタ満載のマシンガントーク、売春、薬物と治安悪い要素てんこ盛りだが、主人公の明るい破天荒キャラと
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灼熱/灼熱の太陽(2015年製作の映画)

2.8

『ビフォア・ザ・レイン』に触発され、引き続きユーゴ圏映画。セルビア人とクロアチア人の対立を巡る90,00,10年代の3つのエピソードが繰り広げられる。対立真っ盛りの世代、対立がまだくすぶっている世代、>>続きを読む

ビフォア・ザ・レイン(1994年製作の映画)

4.2

Time never dies
The circle is not round
(時は死なず 巡ることなし)

1991年、マケドニアがユーゴから無血で独立を達成した数年後に製作された本作は、三部構成
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アミューズメント・パーク(1973年製作の映画)

4.0

ホラー映画の巨匠ロメロ監督の幻の作品。Wikipediaによると「年齢差別や高齢者虐待を題材にした教育映画として製作されたが、製作依頼者のルーテル教会が内容の悲惨さを理由に映画を封印した」という代物。>>続きを読む

マリといた夏(2002年製作の映画)

2.5

韓国アニメを初鑑賞。画の貧相さが受け入れがたく、最後までハマりきれなかった。また、小さなビー玉を媒介とする別世界のマリとの交流を通して少年が成長する物語のはずなのだが、肝心のマリの登場シーンが少なすぎ>>続きを読む

世界でいちばん貧しい大統領 愛と闘争の男、ホセ・ムヒカ(2018年製作の映画)

3.3

○「分かち合うという言葉はどこからきたのか? 人間は本来、社会的動物で、社会主義なのだ」(ホセ・ムヒカ)

ウルグアイの大統領ホセ・ムヒカの半生を追ったドキュメンタリー。給料の7割を財団法人に寄付した
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おっぱいとお月さま(1994年製作の映画)

3.5

「タマに力を入れろ! 下を見るな、登れ!」(テテの父親)

ビガス・ルナ監督作品。『ハモンハモン』同様、おっぱいフェチ丸出しの愉快な作品。

何とも無駄にエネルギッシュでアホっぽい奇祭・人間タワーのシ
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秘密の森の、その向こう(2021年製作の映画)

3.6

とにかくジブリっぽさを感じた約70分。予想通り、シアマ監督は宮崎駿や細田守監督の影響を認めている。

祖母、母、自分の三代のコミュニケーションを、ファンタジー空間で年齢差を埋めることによって成立させよ
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バトルフロント(2013年製作の映画)

3.0

ロン毛ステイサムという強烈な先制パンチを食らったものの、あとの展開はさして語ることもない。閉鎖的な町で麻薬を製造する男がラスボスだが、ステイサム映画にしては小物すぎるし、アクションシーンも少ない。娘を>>続きを読む

父を探して(2013年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

ブラジルのインディペンデントアニメ映画。出稼ぎに旅立った父を、幼い子供が探す旅に出る冒険ファンタジー。

まるで絵本に命を吹き込んだかのような手描きタッチや鮮やかな色彩に最初から目を奪われた。アニメな
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ハモンハモン(1992年製作の映画)

3.0

当時18歳くらいのペネロペ・クルズのデビュー作。男たちからみかんの皮みたいに簡単に服を剥かれ、胸を執拗に舐められるシーンが多々あり、本人の心境やいかに…。ハビエル・バルデムもめちゃくちゃ若い。

本来
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正しいバスの見分けかた(2015年製作の映画)

3.5

中条あやみを観たくて④。24分のショートフィルム。

高校生の男女四人のなんてことない会話劇。関西弁なんだけど、関西弁のテンポの良さやリズムを活かさない抑制された会話のラリーがかえって新鮮。似たような
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ハウス・イン・ザ・フィールズ(2017年製作の映画)

3.1

親の都合で人生を決められてしまう若い娘たちの悲喜こもごもがモロッコの自然、民族衣裳や儀式といった新鮮な映像とともに描き出されるドキュメンタリー

が、この手の作品はさすがに食傷気味で、もう一つファクタ
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太陽の王子 ホルスの大冒険(1968年製作の映画)

3.3

少年の冒険のあらゆる要素がぎゅっと詰まった作品。太陽の剣(錆びて使えない)の入手、父との死別、旅立ち、怪物退治による共同体への参入、闇を抱えた少女との出会い、悪魔(ラスボス)とのバトル、剣の覚醒、悪魔>>続きを読む

マダムと泥棒(1955年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

イギリスのコメディ映画。楽団を装い老婦人宅に居候する強盗団が、現金輸送車から現金の強奪に成功したのも束の間、老婦人にバレて…というストーリー。

強盗団が終始、お人好しでお喋り好きの老婦人のペースに巻
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テオレマ(1968年製作の映画)

4.4

○「天使と悪魔のあいだにいる、あいまいな人物」(ピエル・パオロ・パゾリーニ)

ブルジョア一家に滞在することになった謎の男に、主人、妻、娘、息子、家政婦は希望や安らぎを見出だし、男が去ると皆、身を持ち
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(2023年製作の映画)

4.2

北野武が描く本能寺の変。本能寺の変自体はオーソドックスな解釈で描きつつも、その裏側に秘められた、信長、光秀、荒木村重の三角関係的な男色の契りを前面に押し出している。

信長による光秀への偏執的なキュー
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ナイン・マンス(1976年製作の映画)

-

メーサーロッシュ特集にて。

ラストの分娩ショット(女優が本当に赤ちゃんを出産した)が全てをもっていく、全てを粉々に打ち砕く、そんな映画。

美しき冒険旅行(1971年製作の映画)

4.0

オーストラリアのむせ返るような熱気を帯びた荒地ロケの名作といえば、コッチェフ監督『荒野の千鳥足』があるが、こちらもなかなかのもの。荒野、砂漠、荒削りの断崖、奇々怪々な爬虫類や昆虫のドアップ、それらの中>>続きを読む

忠臣蔵外伝 四谷怪談(1994年製作の映画)

-

他の深作監督作品ほど画的な魅力を感じなかった。コンディションが悪く眠かったせいもある。しかし、若い頃の高岡早紀が着物をはだけて胸を露出するシーンで、眠気が吹き飛んだ。以上!

ジェイコブス・ラダー(1990年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

チェンソーマン作者の藤本タツキさん好評の作品につき、観てみた。

実は夢オチと言えば夢オチなのだが、物語のテイストがコロコロと変わっていくのがユニークで面白い。
ベトナム戦争の後遺症に悩む男の物語→兵
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パンダコパンダ(1972年製作の映画)

3.5

パンダ親子と純真な少女の交流を描いたほのぼのストーリー。ではあるのだが、保護者が不在になったとたんに、吸い込まれそうな黒目の巨大なパンダが家にずかずかと上がり込んできて椅子を破壊するという、恐怖と困惑>>続きを読む

ジョン・ウィック:コンセクエンス(2023年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

待望の第四作目!!名古屋観光中だったがいてもたってもいられず、名古屋駅近辺の映画館へ。

結論、大満足だった。色々言いたいことはあるが清濁併せ呑んで大満足だった。

一部メディアによれば五作目は製作キ
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フロム・ダスク・ティル・ドーン(1996年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

冒頭を観てロドリゲス×タランティーノのイカしたクライムアクション始まったぜ…と思ったら、後半まさかの吸血鬼ホラーに様変わり。地獄のサンタニコの顔がにゅん!と吸血鬼に変わった瞬間、笑うしかなかった。こん>>続きを読む

ガンパウダー・ミルクシェイク(2021年製作の映画)

3.8

女性版ジョン・ウィックという表現はあまりに紋切り型かもしれないが、その雰囲気を十分に楽しむ映画なのだからしょうがない。聖域である(銃の持ち込み禁止)病院、図書館、ダイナーでの各戦闘がクールで見ごたえあ>>続きを読む

スピーシーズ/種の起源(1995年製作の映画)

3.6

演出4
演技4
脚本3
撮影4
音楽3
技術4
好み4
インスピレーション3

内容はB級SFホラーだが、俳優陣が異常に豪華。当時20歳くらいの新人ナターシャ・ヘンストリッジのヌードがとてつもなくエロ
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魚と寝る女(2000年製作の映画)

4.1

演出5
演技5
脚本4
撮影5
音楽4
技術3
好み3
インスピレーション4

男と女の間には、孤独の渇望と寂しさへの不安と恐怖、自殺願望と生きる希望、極めてアンビヴァレントな情念が渦巻いていて、それ
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エリート・スクワッド(2007年製作の映画)

4.3

演出4
演技4
脚本4
撮影4
音楽4
技術5
好み5
インスピレーション4

最初の20分くらいは麻薬組織VS警察の既視感あるバトルという印象しかなかったが、尻上がり的に非常に面白くなっていった作品
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クライムズ・オブ・ザ・フューチャー(2022年製作の映画)

4.1

演出4
演技5
脚本3
撮影4
音楽4
技術5
好み4
インスピレーション4

○「古風なセックスは苦手でね」(ソール)

『ヴィデオドローム』や『クラッシュ』に連なるクローネンバーグの正統なる系譜と
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