yadokariさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

枯れ葉(2023年製作の映画)

3.7

『真夜中の虹』でも書いたのだが、ヴィム・ヴェンダースの絶望版なのだがラストはハッピーエンドとなる不思議な映画。「真夜中の虹」はラストが「虹の彼方に」をフィンランド語でうたうような感じだったがこれもラス>>続きを読む

牡牛座 レーニンの肖像(2001年製作の映画)

4.0

ソクーロフの「権力者四部作」の二作目。晩年のレーニンの傲慢ぶりが描かれているが、政治劇というより家庭劇になっているのがポイントか?こういう頑固爺は日本にもいそうだ。足が悪く自分の思うどおりにならない。>>続きを読む

ドリアン・グレイの肖像(1945年製作の映画)

3.9

この時代の映画はやっぱ面白い。オスカー・ワイルドの原作を読もうと思ったのだが映画であるのならと映画でみた。肖像画とは逆に描かれた本人は美貌を保ったままだが、肖像の方が老いていくというエドガー・アラン・>>続きを読む

牛久(2021年製作の映画)

4.1

『チェチェンへようこそ』の後に見ると、日本の税関で行われていることこそチェチェンなのだ。そうした恥ずかしい国家になってしまった現実を受け止めなければならない。

なによりもこれを撮影したのがトーマス・
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チェチェンへようこそ ーゲイの粛清ー(2020年製作の映画)

3.9

少し前のロシアのチェチェンで起きている粛清のドキュメンタリー。チェチェンというとチェチェン紛争でロシアに敵対する国かと思ったが指導者がプーチンよりの独裁者になって極端なナショナリズムに変わってしまった>>続きを読む

魔界探偵ゴーゴリIII 蘇りし者たちと最後の戦い(2018年製作の映画)

3.7

ゴーゴリ『ディカーニカ近郷夜話』を原作としたダークミステリー。作家になる前のゴーゴリが探偵としてディカーニカ村に行くのだが、それはゴーゴリがその村の出身で実は魔界生まれだったというストーリー。ゴーゴリ>>続きを読む

ポエトリー アグネスの詩(うた)(2010年製作の映画)

4.0

』衝撃作ばかりの韓国映画なのはそういう映画を好むからなんだろうな。この映画も衝撃的なシーンや描写はあるが全体としてはポエジーな雰囲気に包まれている。それは中学生の孫を育てるお洒落お祖母さんの存在感によ>>続きを読む

ドリー・ベルを覚えているかい?(1981年製作の映画)

2.9

ちょっと点数厳し目かも。3を普通にした。いままでは3.5だったけど。半分ぐらい寝ていた。まだクストリッツァ監督が『アンダーグランド』のようにはち切れてないときのデビュー作か。ボスニアの悪ガキが娼婦に恋>>続きを読む

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

3.5

正月から地震があって録画した『すずめの戸締まり』を観た。地震で喪失たものへの鎮魂歌のようなアニメか。日本神話を折り込んで神道のプロモートアニメみたいな内容か。納得してしまうんだがラストは説教的に感じた>>続きを読む

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

3.5

ストーリーはまあまあだけどゴジラ本体がドーピングしすぎて動けないじゃないか。陸ではおっ立っているだけで、筋肉つけ過ぎ。下半身デブだし、歴代のゴジラと比べてもカッコよくない。オリジナルは尊重したストーリ>>続きを読む

由宇子の天秤(2020年製作の映画)

4.2

由宇子の家庭問題があり、世間体ということが、組織や仲間や家族に属しているからこそ、その中での個人主義に徹することの難しさ。父親の問題は娘には関係ないのだからと思うのだが、それが会社に迷惑をかけ取材者に>>続きを読む

レッド・ロケット(2021年製作の映画)

4.0

監督は『フロリダ・プロジェクト』のショーン・ベイカー。底辺生活者の生き様を喜劇的に描いて面白かった。登場人物のキャラが個性的でリアル。湾岸の吹き溜まりというような工業地帯は川崎を連想させた。工場地帯の>>続きを読む

魔界探偵ゴーゴリII 魔女の呪いと妖怪ヴィーの召喚(2018年製作の映画)

3.5

Ⅰよりは面白くなっていた。女の魔女性とか黒騎士とか。ゴーゴリは弱い男だけどなんとなくほっとけない男のようで、シャーロック・ホームズのような医者がいい。Ⅲはもっと期待できるかな?

ヤジと民主主義 劇場拡大版(2023年製作の映画)

4.1

ヤジというのはけっして歓迎されるものではないが、それを排除するのはもっといけないことだと理解する映画。

まず公道の演説でヤジを飛ばすというのは、当たり前のようにあることで、それを演説で黙らせるのが自
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マエストロ:その音楽と愛と(2023年製作の映画)

3.6

映画館で見ようと思ったがNetflixでやるというので自宅映画館。自宅だと集中出来なくて一度中断してしまった。モノクロからカラーに変わるところが面白いと思うがバーンスタインの映画というより妻の映画だっ>>続きを読む

魔界探偵ゴーゴリ 暗黒の騎士と生け贄の美女たち(2017年製作の映画)

3.0

ゴーゴリのウクライナの民話集『ディカーニカ近郷夜話』をホラーチックに現代風映画にしたような。ペテルブルクから故郷に戻ったゴーゴリ探偵が悪霊と対決する。ストーリーは見えにくいのだが、ゴーゴリというよりエ>>続きを読む

ニッポン国 vs 泉南石綿村(2017年製作の映画)

3.9

石綿産業の盛んだった泉南の2006年から始まった石綿訴訟。最初は一地方の裁判のドキュメンタリーがこれほどの規模(215分)の映画になるなんて驚きだ。最初は裁判の結果を待たずに次々と亡くなっていく被害者>>続きを読む

BPM ビート・パー・ミニット(2017年製作の映画)

4.0

今年(2020年)のベスト1かもしれない。去年のカンヌのパルムドールだった。エイズ活動団体ACT UP Prisのメンバーの闘いを描いたフィクション。ドキュメンタリーだけど原一男監督『ニッポン国VS泉>>続きを読む

キングダム エクソダス〈脱出〉(2022年製作の映画)

3.0

胸糞悪くなる映画監督の筆頭に上げられるラース・フォン・トリアー監督だがWOWOWでやっていると見入ってしまうな。それでなんてことはないのだが、ホラーなんで恐怖感をあおり立てるのは上手いなと思いながら観>>続きを読む

真夜中の虹(1988年製作の映画)

4.0

ヴィム・ヴェンダース『PERFECT DAYS』を観たあとにアキ・カウリスマキのこの作品を観ると似ている世界を描きながら全く違った作品になるのはなぜなんだろうと考えた。

底辺労働者の現実、音楽に対す
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ティル(2022年製作の映画)

3.0

黒人の人種差別問題を扱った映画だが、母性愛の映画だった。なんか中途半端に感じてしまうのは、最後までやらないからか?殺される子供も馬鹿っぽいし共感しにくい映画のように感じた。正義を強調しすぎるからかな。>>続きを読む

キャタピラー(2010年製作の映画)

4.0

若松孝二監督の作品だったら『キャタピラー』が良かった。昔は名監督だったけど近年は・・・というのが普通なのに、この人は最近の映画が凄い。なんでだろう。この映画では寺島しのぶの存在が大きい。そういう人たち>>続きを読む

ガッジョ・ディーロ(1997年製作の映画)

3.9

父の形見であるロマの歌い手のテープを聴いた青年がフランスからやってきて、そこでロマの人々と生活を共にしていく。その中にライブの音楽がある。録音するシーンで思わず踊り出してしまうダンサーを注意するが、そ>>続きを読む

ジャム DJAM(2017年製作の映画)

4.0

トニー・ガトリフ監督は以前観たて『ガッジョ・ディーロ』(これも再演される)が良かったので未見の『ジャム DJAM』の方を観た。ロマの娘の奔放さとそれに呆れながら行くところがないパリ娘。パリ娘は人助けの>>続きを読む

マッド・ハイジ(2022年製作の映画)

3.7

良い子は『君たちはどう生きるか』を見るのだろうけど、悪い子の夏休み映画といえば『マッド・ハイジ』だった。ネタとしてB級ぽさを楽しめない人には勧められない。下ネタオンパレードだし教育上良くない映画だった>>続きを読む

イエスタデイ(2019年製作の映画)

3.2

ながら見。ビートルズが存在してなかった世界でビートルズの曲を一人だけしっていたからスターになるというファンタジー。ちょっと関係ないが大江健三郎が存在してなかった世界で大江健三郎の文学が書けるかと思って>>続きを読む

EUREKA ユリイカ(2000年製作の映画)

4.6

2000年公開時はちょうど桜の季節に観たが、今回はお盆の時期。青山監督の追悼公開だったので時期的には良かった。映画でも蝉時雨がBGM的にノイズ音楽のように流れてくるのであった。

モノクロ(セピア色)
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

3.6

ストーリーはけっこう退屈なんだが音楽の趣味が一緒だった。タイトルの「パーフェクト・デイ」はルー・リードの名曲だし、朝日を浴びながらカーステレオで流すのは「朝日のあたる家」だった。他に仕事仲間の彼女が気>>続きを読む

ポトフ 美食家と料理人(2023年製作の映画)

3.5

評判いい映画なのだが、自分はフランス料理がだめだった。伊丹十三監督『たんぽぽ』のような映画好きだからか?要はこの男がナポレオンのような独裁者みたいだったからなのかもしれない。レストランのオーナーはジュ>>続きを読む