yadokariさんの映画レビュー・感想・評価 - 8ページ目

私の大嫌いな弟へ ブラザー&シスター(2022年製作の映画)

3.3

マリオン・コティヤール目当てで鑑賞。家庭内ドラマは複雑だと思うが姉弟が仲が悪くなった原因もわかりにくいし、解決も煙に巻かれたような感じがした。たいていこういう複雑な家庭は親に原因があると思うのだが、そ>>続きを読む

アデル、ブルーは熱い色(2013年製作の映画)

4.0

原作がフランスのコミックなんだ。レズビアンの映画だけど特別な恋愛でもなくごく普通に一目惚れして意気投合しすれ違いがあって別れるというドラマ。同性愛も異性愛も愛するのは個人なんだよな。だから共感する部分>>続きを読む

ペパーミント・キャンディー 4Kレストア(1999年製作の映画)

4.7

『バーニング』のイ・チャンドン監督の2000年の韓国映画。70年代のATG風な、最初はちょっと古いスタイルかなと思ったが電車が逆行して走る幕間で1999年の現代から1980年まで遡っていくストーリー。>>続きを読む

地下鉄のザジ(1960年製作の映画)

3.6

原作レーモン・クノーだったのか。それでシュールなフランスの60年代のコメディ映画。ザジという少女がパリで引き起こすドタバタ劇。早送りや漫画的表現が楽しいがちょっと飽きるかもしれない。リバイバルされる『>>続きを読む

私がやりました(2023年製作の映画)

4.2

フランソワ・オゾン監督は前作ファスビンダーのリメイク作『苦い涙』でもコメディでおもしろかったのだが、この映画はそれ以上に面白いのは主演の二人の女優とベテラン女優のイザベル・ユペールを上手く絡ませたとこ>>続きを読む

蟻の王(2022年製作の映画)

3.0

映画の視点がさだまらなくとっ散らかった印象を受ける。生物教師の教唆罪という視点に絞ったほうが良かったかも。まず教師との同性愛生徒は家族の問題があり、兄も教師と同性愛的な関係だったのか、そこが同性愛の三>>続きを読む

愛国の告白—沈黙を破るPart2—(2022年製作の映画)

4.2

Part2とあるように『沈黙を破る』の続編なのだが、ドキュメンタリーなので、前の作品を観ていなくとも理解できる。要はパレスチナ情勢のドキュメンタリーなので、その最新情報という感じか?

何よりもそれを
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ようこそ映画音響の世界へ(2019年製作の映画)

3.8

この映画を見ると音響世界がもたらす効果というのは大きいというのがわかる。爆音で思考が麻痺してしまうということはある。それがカタルシスになることも。映画でそういう世界を求める場合もあるのだが。(2020>>続きを読む

キートンの大列車追跡/キートン将軍/キートンの大列車強盗(1926年製作の映画)

4.0

エンタメ映画の原点。列車が走っているだけの中で見せるアクションの数々。後のアクション映画でもよく出てくるシーンだが、キートンは笑いを誘いながら軽業師のようにこなしてしまう。その中にどんだけ計算されたも>>続きを読む

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(2023年製作の映画)

3.5

けっこう長いという感想があるがそれほど長さは感じなかった。スコセッシ監督というのもあったのかもしれない(割りと好きかも)。ディカプリオの顔芸という批評もあったが、ロバート・デ・ニーロも出てたのか?デ・>>続きを読む

続・荒野の用心棒(1966年製作の映画)

4.5

リマスターだと最後のセリフが違っていた。「地に還れ」と言ったんだけど、前見たときは「地獄に落ちろ」だと思った。最後があっけないんで、こんなもんだったのかと。もっと凄絶なラストだと思っていたんだが。淀川>>続きを読む

ギリシャに消えた嘘(2014年製作の映画)

3.4

原作は今話題のパトリシア・ハイスミス。それっぽい映画ではないのかなと思ったがラスト近くになるとそれっぽい。『太陽がいっぱい』に少し似ているか。「ギリシャがいっぱい」で「嘘もいっぱい」。オスカー・アイザ>>続きを読む

ガザの美容室(2015年製作の映画)

3.5

パレスチナ映画ということでわかりにくいところがあるな。日本には「床屋談義」というのがあるが「美容室」談義にはならず、外では戦争状態(これも対イスラエルじゃなくてマフィア対ハマスというわかりにくい)、そ>>続きを読む

愛にイナズマ(2023年製作の映画)

4.0

前作『月』が現代社会の日本の闇を映しているのなら、『愛はイナズマ』はポジティブな世界、家族愛が存在する社会を撮っている。

悲劇と喜劇を同時に撮れるなんて器用な監督だ。いや『月』のネガティブさに『愛の
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ガザ 素顔の日常(2019年製作の映画)

3.6

子供たちが海水浴を楽しむように、壁の向こう側へ石を投げる遊戯のような闘争。相手は武装装備したイスラエル兵であり、あきらかに力の差は歴然なのだ。なのになぜ子供たちが生命の危険を晒してまでこの「死のゲーム>>続きを読む

ジュディ 虹の彼方に(2019年製作の映画)

4.0

ジュディ・ガーランドの栄光と挫折。ど真ん中、直球の映画だけど号泣映画だ。アカデミー主演女優賞は納得。レネー・ゼルヴィガーは演技も歌も上手い。見せ方もアイドル時代の残酷さと酒に溺れる日々を描いていて胸が>>続きを読む

牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件 デジタル・リマスター版(1991年製作の映画)

4.0

4時間は長いけど台湾の社会状況とその中で起こる学園ドラマで面白い。『ウェストサイド物語』(『パッチギ!』という方が近いか?)に『理由なき反抗』のジミーにも似た少年と薬師丸ひろこっぽい少女の初恋物語。プ>>続きを読む

ロスト・キング 500年越しの運命(2022年製作の映画)

3.2

シェイクスピアの中でもっとも好きな作品は『リチャード三世』だった。稀代の悪の王としてあらん限りの悪事をしつくし最後は滅びていく悪の代名詞みたいな王だった。

そんな王はイギリス王室から拒まれて、墓もな
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サタデー・フィクション(2019年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

ロウ・イエの映画はけっこう好きなのだが、これは国策映画かと思うような作品だった。第二次世界大戦前の香港租界でのスパイ合戦映画。スパイ映画だけどアクション(銃撃戦がメイン)のような。モノクロ映像は雰囲気>>続きを読む

トルーマン・カポーティ 真実のテープ(2019年製作の映画)

3.5

カポーティーのドキュメンタリー。ニューヨークのセレブの社交界の花形だったカポーティの真実。プルースト『失われた時を求めて』のニューヨーク版を描こうとした未完の『叶えられた祈り』は完成されたのか?

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Billie ビリー(2019年製作の映画)

4.0

監督のジェームズ・エルスキンというインタビュアーがビリー・ホリデイの真実の本を書こうと取材していたが、事故死(警察発表自殺)で未完に終わった取材テープを元に再構成された映画だ。女性監督ならではの視点(>>続きを読む

パトリシア・ハイスミスに恋して(2022年製作の映画)

3.0

全体的パトリシア・ハイスミス・ラブの映画だから興味がない人にはちょっと退屈すぎるかもしれない。一番はレズビアンだったということなのだが、これは今更の話だし、当時はそれは危険なことだったというのは慣習で>>続きを読む

ペルシャン・レッスン 戦場の教室(2020年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

監督はウクライナ出身の監督だった。主演のナウエル・ペレーズ・ビスカヤートは『BPM ビート・パー・ミニット』で同性愛のエイズ役を演じた人だった。この映画も良かった。ナチスものだけど設定が変わっている。>>続きを読む

陸軍登戸研究所(2012年製作の映画)

3.5

「陸軍登戸研究所」を知ったのは堀江敏幸の短編連作集『雪沼とその周辺』だったか、チラッとその名前が出てきたと思う。当時登戸は通り道で、無差別殺人事件などもあって、気になる場所となっていた。

ただそれ以
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ソウルに帰る(2022年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

韓国の懐メロっぽい歌が流れるのがカルメン・マキ『時には母のない子のように』みたいな感じだった。朝鮮戦争時で韓国が貧しかった頃に子供をフランス人へ養子縁組した娘が偶然韓国に来ることになって、韓国社会の中>>続きを読む