林林檎さんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

林林檎

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aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

4.6

ーーあの夏、そこに私たちがいた。

娘が父と夏休みを過ごす話。

父と娘がただ二人でいる夏。
ただそれをいいシーンだけで語る中で、私たちの中に眠る感情を揺さぶって起こしていく。
奥底に流れるものを垣間
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怪物(2023年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

ーー怪物に目を凝らせ。

自分を守るために嘘をつく人たちの話。

是枝監督が久々に脚本を書かなかった作品ということで、やっぱり演出が上手いなあ、とは思った。
特に俳優陣の演技はぐいぐい引き込まれる。
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タッカーとデイル 史上最悪にツイてないヤツら(2010年製作の映画)

3.2

ーーオレ、殺人鬼になっちゃった⁉︎

殺人鬼に間違われて襲われまくるチキン野郎の話。

すっごい惜しい。
差別とか偏見の話にもなりきれなかったし、
ホラー展開は予想通りのことしか起きないし、
勘違いは
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太陽を盗んだ男(1979年製作の映画)

4.0

ーーつまらない街をぶっ飛ばす。

あてもなく原爆を作る男の話。

原爆を作るだけでもワクワクするし、破滅に向かって初めて生きようとする姿のアイロニカルな悲しさ。

学生運動が下火になった頃の空気みたい
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英国王のスピーチ(2010年製作の映画)

4.4

ーー本当の声が世界を動かす。

ただの人間になりたかった王と移民の友人の話。

シンプルかつ、見応えのある作品。

お手本みたいにきれいなストーリー、
コリン・ファースの繊細な演技、
見応えのある画面
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二人が喋ってる。(1997年製作の映画)

3.6

ーー話すことが尽きるまで。

青春の終わりの別れ話。

いつになれば大人になるのか、とか考えていると余計にわからなくなるようなもどかしさを噛みしめる映画。

二人の会話のテンポの良さに引っ張られて、回
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波紋(2023年製作の映画)

4.5

ーー絶望を踏み締めて。

言葉にできない悲しみを抱えた人々の話。

荻上ワールドをネガポジ変換したら、こんなとんでもないものになるとは!
いつもよりも確信がくっきりと浮かび上がってくるようでビリビリ来
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ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地、ジャンヌ・ディエルマン/ブリュッセル1080、コルメス3番街のジャンヌ・ディエルマン(1975年製作の映画)

4.8

ーー私は何?

完璧主義な未亡人の破調。

3時間半、腹を括って集中して観てほしい。
この映画で、この時間でしか味わえないものがあるから。

きっと、この映画で描きたいものは、明文化されていなかっただ
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ソフト/クワイエット(2022年製作の映画)

4.4

ーーもうそこにいる人々。

誰かのせいにしたい人々の話。

ヘイトクライムに至る人々を鮮やかに活写した映画。
思慮の浅さから、着実に悪い方の選択肢を選び続け、
馬鹿だなぁ、と思わせつつも、共感できる抜
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いずれあなたが知る話(2023年製作の映画)

4.1

ーー愛したかったのに。

家族にアイデンティティを規定された人々の話。

環境音から絶えず醸される不穏さに、先の見えない展開。
善意にさえ追い詰められていく物語にゾクゾクした。
彼らは被害者でも加害者
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スノー・ロワイヤル(2019年製作の映画)

4.2

暴走!除雪車!
息子は悪くない。

真面目な男の復讐劇。

真面目だから容赦ないし、
真面目だから許される。
タガが外れるし、元に戻れる。
ぶっ壊れっぷりに笑ってしまった。

合わせて、勘違いから始ま
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二十四の瞳(1954年製作の映画)

4.8

私が一緒に泣いてあげる。
その一言に救われた。

太平洋戦争の前後に、子供達があるがまま生きられるよう願った女教師の話。
戦争だけでなく、性差の問題もはっきりと描かれていて驚いた。

大石先生は手の届
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免許がない!(1994年製作の映画)

2.4

このレビューはネタバレを含みます

普通免許がこんなに大変なんて……

四十路の映画スターが、現実でもギャップが出ないように免許を取りに行く話。

出だしの主人公に免許を取りに行かせる流れは鮮やかだし、
教習所あるある的なものは面白かっ
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フリークスアウト(2021年製作の映画)

4.3

フリークスパーティーはいつも賑やかで寂しい。

異形の超能力者たちが、同じ異形の超能力者のナチス士官と戦う話。

ざっくり書くとぶっ飛んだ話だし、主人公たちの凸凹チームぶりは楽しいのに、
あまり役に立
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ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3(2023年製作の映画)

4.9

過去から未来へつなぐ完結編。

凸凹チームが仲間を助けるために、動物実験してる科学者と戦う話。
って書いちゃうと、やっぱり見どころは敵より仲間。
ガーディアンズってそういうもんだもの。

個性豊かで賑
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EO イーオー(2022年製作の映画)

4.3

「尊厳」とは、何か?

人間の手によって愛する人と引き裂かれてしまったロバの話。

動物愛護を起点に、人間の欺瞞を描いているのだけど、
とにかく客観的にロバを撮っているのに、のっけからロバに感情移入さ
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アダマン号に乗って(2022年製作の映画)

4.5

私たちはきっと、この映画の中でなら寛容でいられる。

セーヌ川の上のメンタルヘルスのデイケアセンターをそのまま撮ったドキュメンタリー映画。

誰かが中心になるわけでも、何かの出来事の推移を追うわけでも
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ハリソン・フォード 逃亡者(1993年製作の映画)

3.8

追われつつ追う男。

逃亡劇のスリルと、犯人探しの謎解きと、刑事と逃亡者の歪な友情。
それらが上手く混ざった感じは面白かった。

後半、ミステリーに重心が移っていくと段々尻すぼみ感は否めないかな、と。

新幹線大爆破(1975年製作の映画)

4.2

スリルに継ぐスリル。

新幹線ものの、後世に与えた影響のわかる偉大な一作。

些細なように見えることが死につながるハラハラ感に目が離せない。
勢いが凄すぎて、何度か起こる超展開も許せてしまう。

そし
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ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー(2023年製作の映画)

3.9

良くも悪くも期待通り。

物心ついた頃からマリオやってた世代で、最近のものもプレイしてる立場からすると、
細かい小ネタまで完璧ではある。

話のテンポもよく気持ちいい1時間半弱。

なんだけど、ひいき
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午前4時にパリの夜は明ける(2022年製作の映画)

3.9

不思議な映画。
確実に日々は進むが、何かが劇的に変わるわけではない。
同じ夜に乗り合わせた家族と、取り巻く人々の心地よさと、その裏に隠れた喪失。

物足りなさは好みの範囲かなと。

邦題は直訳の方が良
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郊外の鳥たち(2018年製作の映画)

3.8

不穏なのに心地よい映画。

良くないことは確実に起こっているのに、生きることに共存している希望と絶望が絶妙に交錯して、不思議が後味を醸している。

ただ見ることが大事な系統の映画。

シャザム!~神々の怒り〜(2023年製作の映画)

2.9

……どうした?

ドラマが薄くて消化試合みたいな映画。
やっぱり、年相応の問題と世界の危機の解決が、前作みたく重なってこないと物足りないですよね。

前作が良かっただけに、ねえ……。

ザ・ホエール(2022年製作の映画)

4.5

最もヤバい終活映画。

全員が孤独で、罪悪感を抱え、己を傷つけていく。
そして、ダーレン・アロノフスキーらしいこの展開。
まさに劇薬。

個人的にはかなり効きました。

プレミアム・ラッシュ(2012年製作の映画)

3.8

デヴィッド・コープ、安心の面白さ。

メッセンジャーと運ばれる封筒を狙う男。
作中時間は大体3時間。
シンプルな枠組みなのに、飽きない90分。

何かが残るわけじゃないけど、それはそれで。

逆転のトライアングル(2022年製作の映画)

3.9

意地悪で面白い。
すごい笑ってしまったところもあったし、
オチは見事だと思った。

けど、理屈が先立ってる感じがちょっと口に合わなかっただけ。
ストーリーを通してもっと考えたかったんです、個人的には。
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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

5.0

わけのわからないはちゃめちゃな映画なのに、
人生で一番泣いた映画。

考えたら混乱する。
考えないでただ物語に身を委ねるのみ。

小難しい話をすると、
ルッソ兄弟がアベンジャーズで描けなかったものを委
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金髪の草原(1999年製作の映画)

4.2

ロマンチックとおかしみの中に愛のえぐみ。
個人的にはストライクゾーンど真ん中な感じでした。

この頃の日本映画のエネルギッシュな感じもまた好きでした。

シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)

4.2

観たいものが見れて、幸せになれました。

特に、日本の特撮をきちんと更新した感じが一番求めていたものだと思うし、
その辺で原典の表現の良いところも活かされていたと思う。

庵野さんのクセある演出も、テ
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アラビアンナイト 三千年の願い(2022年製作の映画)

3.9

愛と物語の物語。
その辺りの感覚が合うかどうかで変わりそうな映画。
物語のダイナミズムに反した繊細な映画でもある。

とはいえ主演2人が向き合ってるだけで、そりゃあ見応えは十分ありますよね。

厳密に
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湯道(2023年製作の映画)

4.3

流石は『おくりびと』の小山薫堂。
バカバカしさに頼らずに、きちっと泣かせて笑わせてくる。

多彩なキャストとサイドストーリーで飽きないけど複雑な前半も、主人公の物語がしっかりとしてて飽きないのです。
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Mr.ノーバディ(2021年製作の映画)

4.0

『ジョン・ウィック』を21倍エスカレートさせた映画。
ダメな感じも、暴力的な感じもよりピーキーで良い。

暴力との付き合い方みたいなのがテーマの一つだけど、その辺りの煮詰め方の甘さは気になるところ。
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新感染 ファイナル・エクスプレス(2016年製作の映画)

4.4

ハイテンションなのに人情味溢れる、不思議な作品。
ゾンビものの定番を押さえつつ、伏線回収や、一つ一つの描写の巧さがグッときます。
そんで、うっかりマ・ドンソクで泣くという、ね。

BLUE GIANT(2023年製作の映画)

4.4

ジャズを聴きに行った感がすごい。
なのに、鮮烈なアニメを観たという印象もあって、凄いものを観た気がする。

原作をバンドの物語にギュッとまとめた分、漫画十冊よりもずっと面白かった。

演奏シーンもモー
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#マンホール(2023年製作の映画)

4.0

あんま期待してなかったんですけど、結構よかったです。

当然そういう感じにはなるよね、って思った展開を確実に超えてたと思います。

こんな回りくどいことをする『動機』のところはギリギリな気はしますが、
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アントマン&ワスプ:クアントマニア(2023年製作の映画)

4.3

観たいもの全部見せてくれた。
なんだかんだ言ってもきちんとアントマンしてた。

型枠としてもスターウォーズみはあるけど、アントマンらしさがしっかりしてるので、
逆にそこに作り手の上手さを感じた気がしま
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