馴化された檻の中の百獣の王。時空に取り残された、正気を失った者達だけの楽園。本当の狂者はどちらか。
儚く純朴な少女から薄情なファムファタールに至るまで。カトリーヌ・ドヌーブの異なる美しさに眼を瞠るばかり。家父長制にまつわる話だと思っていたけれど、ブニュエルがそう真っ当なテーマに限定する訳もなく、どう>>続きを読む
ゴダールのセンスとナルシシズム、動くアンナ・カリーナ、それだけで映画が成り立ってしまう。
全く笑えなくて全力で変顔するジムキャリーに申し訳ない気持ちになるほど。スラップスティック並みに動きが多くて疲れた。極め付けは最後のスイートマイホーム感。ジ!アメリカン!でうんざり...妹と二人でゆっこ>>続きを読む
公開前は割と心待ちにしてたんだけど、これはさすがにサムすぎてしんどい。これが大の大人が編み出した脚本だと考えると戦慄を覚える。真剣に観てたらおそらく蕁麻疹起こして卒倒してたんじゃないかな。
今をときめ>>続きを読む
恋だけではなく、友達付き合いも似たようなとこあるんだと思うんだけど、相手の都合に合わせて自分を疎かにしてしまうことってあるんだよね。何周回って相手側の気持ちを汲み取り、理解した気になって、自分が無理し>>続きを読む
そもそもヴァンパイアとゾンビと狼男の関連性が謎すぎて、もうお手上げ。それに地下室の貧弱な防御システムよ...全力でロジックを無視してもはや気持ちがいいほどに穴だらけの娯楽映画。とんでもなくくだらないけ>>続きを読む
泣けるほどゴージャスで泣けるほどつまらない。2017年は#me too運動が白熱した年だし、そういうトレンドの一環としてのフェミニズムへの目配せが浅薄すぎて何一つ響くことはなかった。それと、とにかくク>>続きを読む
心と身体の融合するところに愛が生まれる。モノクロが色づく瞬間。ゴダールだけが群を抜いていた。
女性を題材にして、一見フェミニズムを謳っているが、とどのつまり「少女」ないし女を引っ括めてジェンダーを偶像化し、幻想を自ら産出している点は、男性の作品の中で客体として描かれる女と大して変わらないと思っ>>続きを読む
一つの時代の終焉や新たな時代の始まりの予感。その狭間に取り残された男たち。汚れた思い出がその肩に重くのしかかる。一つの生き方しか出来ない不器用な男の後ろ姿と気丈に生きようとするひとりの女の眼差し。本当>>続きを読む
このもやもやする感情について未だ逡巡しているが、私にとってこれは間違いなく「ジョーカー」ではない。そもそもジョーカーはバットマンに対して、善悪という曖昧な価値観を揺るがせる為の存在だと思っているが、こ>>続きを読む
唐突に挟まれる、田舎に還ろうキャンペーンがかなり怖い、「お百姓の笑顔」は作り手の意図が見え見えで非常に居心地悪い。農民は優しい、都会は人が住む場所じゃないって視野が狭すぎるのでは?プロパガンダ感がすご>>続きを読む
気の抜けたサイダーのような、オフビートな間合い。脈略のない夢のつぎはぎ、破片の寄せ集め。詩意と郷愁、夢うつつの曖昧な線引き。だら〜と、起伏なく、どことなくヌーヴェルヴァーグを彷彿させる。少しあざとさも>>続きを読む
非常に好みな作品だった。
「なおも時は過ぎ、私の痕跡は消え失せる。闇と冷気が疲れた魂を包むだろう」諸行無常の虚無感や人間の捉えどころのなさ。縹渺たる草原の中で進むパトカーのライトはまるで山火事のように>>続きを読む
ザ・インディーズフィルムの範疇に収まった、こぢんまりとした作品。おしゃまで小生意気な女の子と出所したばかりの不器用な叔父。もうあらすじを読んだだけで佳作が約束されたと確信するが、実際想像していた通りに>>続きを読む
想像していたほど衝撃的ではなかった、私の耐性が上がったんだろうか。どんな形であれいのちは美しい、ということでしょうか... エンディングの無理矢理感は否めないけど、兄弟愛にはほっこりした。
作画と音楽は素晴らしいんだけど、プロットも展開も人物設定も何もかもありきたりで新鮮味を感じなかった。自立した女性像やどんなことあろうとも信念を折り曲げないと言ったテーマ性は一体何番煎じだろうか...何>>続きを読む
他によって定められた自己の価値を内面化して生きるということ。それに対して疑問を抱くこともない幼気な瞳。
張芸謀の『紅夢』やトランアンユンの過去作に通じる部分が多く(そもそもトランアンユンが製作に関わ>>続きを読む
マリーヌ・ヴァクトはまるで油絵の中の少女のようで、繊細なラインに縁取られ、眩いばかりの美しさだった。しかし、主人公の気持ちを露骨に代弁する挿入曲のセレクトがあまりにも野暮に感じたし、物語も客観的に観察>>続きを読む
粒子がいい塩梅に粗く、ぬくもりを感じるざらつきが何とも味わい深い。暖かい人情、ほどよい距離感と情緒、そして文学。製作の方はわたしの脳内を覗いたのかって言うくらいに「好き」がぎゅうぎゅう詰めだった。憧れ>>続きを読む
安定した面白さはあるが、全体的にインパクトが薄く、鑑賞のすぐ後から既に印象がぼやけてきつつある。3作目のような充足感と満足に欠けていたし、ウッディの独り善がりの善意に少し辟易してしまうが、前作でみられ>>続きを読む
ティルダ様の迸るエレガントな気品よ。もはや存在そのものが芸術品だ。愛に生きるのではなく、愛が自己を取り戻す契機に思えた。
ただ本物であればいいのだろうか。いくら作りが良くても贋作は本物より価値がないものなのだろうか。新聞やニュースをみても表面上の事実や側面的な情報しか得られないのに、人は既成のものさしでいとも簡単に断罪し>>続きを読む
格式ある西欧建築やゴシックな雰囲気を愉しみ、デルフィーヌ・セイリグの魅力を堪能するための映画。所々の展開は失笑レベルにひどい。こうした女性映画の中って単線的と言っていいほど、男性を醜悪に描くんだよなあ>>続きを読む
頼もしく朗らかで、大きな愛で僕を包む母だとか、想いを寄せてる美人な添い寝フレンドだとか、ラディカルな思想で頭いっぱいで、寂しそうなあの子だとか。あの頃の僕は、ナイスピープルに囲まれていた。そうして、い>>続きを読む
何やらとても気障でカッコいいということだけはよーくわかった。骨の髄までロックのビートが沁みて、痺れたよ。狂熱や速度とか、青臭くて凄くいいし、ラストはズルいくらいにキマってた。これが卒制とは恐れ多すぎる>>続きを読む
フェリーニの作品には一貫として、混沌と喧騒の根底に諸行無常の響きを忍ばせている。果てない宴はなく、唐突に訪れる虚無感はいつだってピリリッとしたスパイスとなる。紋切り型とはいえ、映画の原初的な魅力という>>続きを読む