HidekiIshimotoさんの映画レビュー・感想・評価

HidekiIshimoto

HidekiIshimoto

悪の愉しさ(1954年製作の映画)

4.0

一人の男の見るに耐えない内心と、ひたすらいい人に見せかける外づらを、ここまで克明に見せていく映画観たことないかも。ぱっと見ほんとにいい人っぽい絶妙役者による絶妙演技。相手の顔色盗み見しながら話すあたり>>続きを読む

ハンニバル・ライジング(2007年製作の映画)

-

面白いはずの素材をちゃんとした人達がちゃんと金かけて撮ってるのに何故かさっぱり面白くならず、面白くない理由が恥ずかしいくらい丸わかりの邦画とも違うこういう評価不可の映画がたまにある。面白くないと切捨て>>続きを読む

ハンニバル(2001年製作の映画)

4.0

これも何度か観てる。からこそ『羊たちの沈黙』とは期待の種類がぜんぜん違うのがわかる。頭カパッも含めてアクション映画として期待していることに気付く。娑婆に帰還のレクターなので色々アクティブ。もちろん知的>>続きを読む

羊たちの沈黙(1990年製作の映画)

5.0

『RAW』観てかわいいけど食べ方がきたないなぁと思いレクター博士また観たくなった。何度観てもサイコサスペンスの比類なき金字塔。演技演出撮影編集音楽ぜんぶがオスカー総なめに相応しくサイコを超えてサイコー>>続きを読む

ペパーミント・キャンディー 4Kレストア(1999年製作の映画)

4.0

四半世紀も前からちょくちょく噂のこれやっと観た。なるほどハリウッド仕込みになる前の韓名画。遡る時間。徐々にほんとに若返って見えるソル・ギョング。ほんとにこの順番で撮ったそうですごいなギョング。で心優し>>続きを読む

フリーダ 愛と痛みを生きた肖像(2024年製作の映画)

4.0

サルマ・ハエック渾身の『フリーダ』も大好きだけど、実録映像で観るとサルマを軽く超えるもの凄い魅力の人。浮名の相手達ももの凄い。けどフリーダの絵を初めて観たハタチの頃は、ラテンの生命力に惹かれつつ痛まし>>続きを読む

RAW〜少女のめざめ〜(2016年製作の映画)

3.5

『チタン』ではちゃんとストゥージズかかってたから、タイトルはやっぱりRaw Power由来かな?そういやちょっとイギーぽい主役の子。かわいい顔してなんとまあ。お姉ちゃんもクール美女なのにありゃまあ。け>>続きを読む

TITANE/チタン(2021年製作の映画)

4.0

変態映画かと思ったら基地外映画か、これがカンヌパルムドールか、と思ってたら性どころか種を超えて変態になってきて一体何の映画なのかどうなるのかぜんぜん分からなくなってきた。監督は女!でこれも女の時代到来>>続きを読む

立ち去った女(2016年製作の映画)

4.0

ずっと気になりつつ長さにたじろいでた作品。けど観始めればググッと観てしまうヴェネチア金獅子賞も納得の映画だった。舞台のミンダナオ島、聞き覚えあったのでwikiったら「第二次世界大戦前までは2万人近い人>>続きを読む

ローマに消えた男(2013年製作の映画)

4.5

今トニ・セルヴィッロ映画全部観たい。ですぐ観れるまだ観てないこれ観てみたらすんごい良かった。やっぱりセルヴィッロすんごかった。『チャンス』+『ローマ法王の休日』×『戦慄の絆』みたいな大人のコメディだっ>>続きを読む

LORO 欲望のイタリア(2018年製作の映画)

4.5

他のソレンティーノ映画より低評価で観過ごしてきたけど、他に劣らずくらった。自民若手議員も羨む酒池肉林。の中心にそそり立つのは激笑みの二階俊博みたいなベルルスコーニ。笑顔がホラー。二階がこれ観たら「よし>>続きを読む

一人息子(1936年製作の映画)

3.5

1936年作のタイムマシン映画。小津初トーキーってことでちょっと試作感。編集もあちこちチグハグ。けど役者はみんな小津印。哀愁も小津印。小津映画の上っ面だけ2次創作してたような高度成長期ホームドラマには>>続きを読む

クライム・オブ・パッション(1984年製作の映画)

4.0

大好きな変性意識映画『アルタード・ステイツ』とフーの『トミー』とコレの3つしか観てないのに、全部観たような気にさせるケン・ラッセル。観てないやつまで観た気がしてしまう濃い印象のケン・ラッセル。けど濃い>>続きを読む

長屋紳士録(1947年製作の映画)

4.5

1947年にきれいにそびえる築地本願寺の異形に興奮。あの辺りは空襲被害免れたのか?長屋にもバラック感まったくない。男達はずっとテキトーなので紳士じゃなくて淑女録。けど笠智衆は絶品のど自慢。「のぞき」と>>続きを読む

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

4.5

Part2で完全覚醒のヴィルヌーブ版。あらゆる面で現在観れる大SF映画の頂点感。シャラメ君が大SFに相応しい男になってた。大したもんだ。けどゼンデイアまでつられて男っぽくなってたような。ますます女に磨>>続きを読む

お茶漬の味(1952年製作の映画)

5.0

二回目だけどまあ絶品。一回目観た時はいけすかないマダム感爆裂だった木暮実千代は、この前観た溝口の『赤線地帯』では別人の慈愛感で演じ分けの上手さに唖然。小津演出ありきとはいえ、ほんとに役者全員が杉咲花っ>>続きを読む

わたしは金正男を殺してない(2020年製作の映画)

3.5

北朝鮮のエグさを浮き彫りにしたこのドキュメンタリーは、俺的には人間の感情問題を浮き彫りにした感。まだ記憶に新しいこの事件に絡めとられた下層庶民の女の子も、絡めとった北朝鮮の権力者も、絡んでない権力者ト>>続きを読む

ザ・ビートルズ&インディア/ビートルズとインド(2021年製作の映画)

3.5

何となくしか知らなかったインドとビートルズの関係を色々知れた。何となくな俺なのに俺昔リシュケーシュ行ったことある。けどビートルズ滞在の地としてより、ガンジス川のほとりでハゲワシに突かれてるナマの遺体、>>続きを読む

テオレマ 4Kスキャン版(1968年製作の映画)

4.5

4k版めちゃくちゃ美映像。4k以前にめちゃくちゃ美センスだったと再確認。これをホイと配信で観れるとはね、いい時代だよというかこの映画のブルジョワかよ。若いテレンス・スタンプはまるで男ファムファタールで>>続きを読む

太陽 デジタル・リマスター版(2005年製作の映画)

4.5

uplinkで一回だけのひっそり上映。ちょうど天皇主義者三島由紀夫の『豊饒の海・奔馬』の再読中だったのでタイムリー上映。主人公が天皇ってやっぱり尋常じゃない。ってとこにこそ日本の特殊性があるかと思う。>>続きを読む

地獄の黙示録 ファイナル・カット(2019年製作の映画)

5.0

やっぱりこのファイナルカット版がベストか。名高いワーグナーヘリ突撃シーンはCGなしの全て本物ってだけで俺的には『プライベート・ライアン』を凌ぐ最強戦闘シーン。何というねじれた大エンタメシーンか。そして>>続きを読む

ハート・オブ・ダークネス/コッポラの黙示録(1991年製作の映画)

3.5

『地獄の黙示録』が封切られた時のポスターに「この映画のために全ての映画はつくられてきた」みたいなことが書かれていたのを覚えてる。やっと1人映画館詣を始めた無知猿の俺はへーそうなんだあとかたしか思った。>>続きを読む

赤線地帯(1956年製作の映画)

5.0

世界の溝口の遺作。どれぐらい世界かというと、影響を受けた明言する監督としてゴダール、アンゲロプロス、タルコフスキー、エリセ、ベルトルッチ、スコセッシにアリアスターとまあとてつもなくとんでもない名前がw>>続きを読む

ガメラ3 邪神<イリス>覚醒(1999年製作の映画)

3.5

奈良にぶらり散歩にきたので、夜は宿で河瀬直美の崇高映画でも観よかと思ってたらガメラ観てた。だって今いる明日香村が出てくるっていうからぁ…と言い訳したくなるのがゴジラじゃなくて二番煎じのガメラ。ネーミン>>続きを読む

RED/レッド(2010年製作の映画)

3.5

若い毒気にやられたのでこの爺大暴れの少子高齢化映画で中和。けどいま世界の国々の少子高齢化の現状を知って驚いてる。韓国が最低の少子化で北欧も中国もどこもここもらしい。このままではアクション映画も恋愛映画>>続きを読む

市子(2023年製作の映画)

3.5

全員が熱演。というか花ちゃん以外は全員熱演感。花ちゃんは演とかじゃないそれそのもの感で、花ちゃんが泣き、虚脱し、悪魔化すると、生身の女がそうなってるのを目の前で見てる感。この存在の近さは共感ってことだ>>続きを読む

いのちぼうにふろう(1971年製作の映画)

4.0

勝新エピソードあたりからの終盤にはモヤるけど、全体の雰囲気と立ちまくった全員のキャラがギャング映画みたいにクールでかっこいい小林正樹時代劇。ギャングといっても善の側に立った悪と闘う悪の側に立った善。つ>>続きを読む

風の谷のナウシカ(1984年製作の映画)

5.0

ジブリ回顧の〆はやっぱりこれで。軽薄なバブル経済の只中に出現の人類黄昏映画。ジブリが世界の終わりから始まる映画で始まっていたことは改めて感慨深い。人類滅亡のヴィジョンって物悲しくもなんだかホッとするよ>>続きを読む

哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.0

変竹林映画ばかり撮ってるこの監督の変竹林バージョンアップだった。◯◯の脳を移植した女とかこっちの脳がメビウスの輪になる感じで、なんか形而上的にオエッて感じ。そのオエッを美魔術的映像で快楽に強制転換させ>>続きを読む

耳をすませば(1995年製作の映画)

4.0

これも宮崎駿脚本。最初はただイチャイチャ映画として観、やがてイチャイチャの下に青春の大切な原理を忍ばせた青春原理主義映画だと知った。本物の恋と本物の勉強が始まるために必要なのはどんな原理か?をよくある>>続きを読む

かぐや姫の物語(2013年製作の映画)

4.0

『風立ちぬ』と並ぶジブリアニマの到達点はさりげなく狂気。まさにメイドイン夢と狂気の王国。姫のお付きはパタリロ。
と前にレビュー書いてた。観直しで追記。確か『風立ちぬ』と同時公開作。絶頂期の駿&勲映画は
>>続きを読む

ホーホケキョ となりの山田くん(1999年製作の映画)

4.0

これは初めて観た。絵柄も内容もたわいもないっちゃたわいもない昭和感。なのにだからこそ絵が動くということの不思議さにジワった。やっぱりその辺狙ってジワらせたのか高畑勲。たわいもない絵が驚異の動き、の源流>>続きを読む

おもひでぽろぽろ(1991年製作の映画)

4.0

同じアニメなのにリアルまる子感。昭和末期に作られた昭和後期懐古映画。ほうれい線強調しすぎなのは完全大人向け作品だからか。なんだかんだでバブル絶頂期の作品だったかとちょっとモヤモヤ気分。で観てたら、分数>>続きを読む

コクリコ坂から(2011年製作の映画)

4.0

たぶん宮崎吾郎の名誉挽回作。色々ジブリらしからぬ『ゲド戦記』の感想は(駿の息子なのも大変ね…)しかなかったけど、そんな力みも取れたのか諦めたのか『この世界の片隅に』と同じくらいきめ細かい当時の世相習俗>>続きを読む

借りぐらしのアリエッティ(2010年製作の映画)

4.0

『ミクロキッズ』共々、子どもの頃のちっちゃくなって冒険したい願望をなみなみ充してくれるやつ。実は今でもその願望消えてないのはたぶんハンパなチビだから。いっそあと160cmほど小さけりゃよかった。けど地>>続きを読む

千と千尋の神隠し(2001年製作の映画)

4.0

この作品に今さら言うこともなしと思って観直したら、最後の大団円あたりの表現はけっこうな無理やり感。続けて観直すとラピュタや紅豚の方がすんなり感動できたなぁと思う。電通か日テレでブイブイいわせてたら豚に>>続きを読む

>|