どうせ乃木坂アイドルのプロモーション映画だろと舐めていたが、いざ蓋を開けてみればゴジラアクターたる宝田明の遺作として申し分ないほど、映画における実存性の議論に踏み込んだ、映像論映画だった。
遺書を書く>>続きを読む
坂元裕二の『最高の離婚』みたい。文化系カップルを媒介する「猫」というシンボル。終盤の展開をナレーションに頼るところに今泉の甘さが出てる。でも思ったよりかはあっさりしてたし今泉映画の中だと好きな方ではあ>>続きを読む
世界観は悪くないが笑いをとるノリがガチリッチーやヴォーンなどの受け売りの範疇でしかなくてちょっと古かったかな。両手が拳銃に縛られる件は肉体的不快感の伝わり方という点において『ガンズアキンボ』の方に軍配>>続きを読む
マフィアあるあるの挿話が一族の物語としてリニアに膨れ上がるのがこの本のキモ。
チョコレット山脈の谷間とか夜の波止場とかここぞという時の奥行きの用い方が徹頭徹尾グッドタイミング。垣間見せるブラザーフッドも良き。70分くっきりで締まる潔さ。
現代に作られるアメリカ映画に自覚的であるからこその、膨大な数のトラッキングショットに車と銃と爆発だけが淡々と収められ、ガチャガチャと処理されてゆく、その俯瞰的なリズム感に心を打たれない方が難しい。
何が凄いかってSNS的な表現など皆無なのにもろSNSについての映画なのよね。シークエンスが被写体のクロースアップでほぼ構成される美学的表現も個々が激しく自我をぶつけ合うTwitter論争を想起するし。>>続きを読む
うん、好きだな。傘で突いたら敗れそうなエイリアンにトンカチで外れそうな時限爆弾。最後は惑星へ飛び散る船の破片に乗りながら派手に燃え尽きる。B級映画の王道。
ジェンダーは所詮は社会的に構築された規範でしかないんよな。その作られし概念が構造化され、周縁を形作る。
酒場だけのワンシチュエーションもの。あそこで語られた話の数々がその後どういう結末を迎えるのかは分からない。しかしこの舞台が戦後を生きる若者への希望溢れるメッセージなどでは断じてなく、復興真っ只中の日本>>続きを読む
映画のスターのような何者かになれなかった自分。それゆえのコンプレックスも相まって色んな不幸な要因が一点に重なって悲劇のトリガーをひいてしまった感。
焼け跡を示す原監督自身の身体とフィルムが生々しく連動する。事件から時間が経ったのち、またまた彼らはカメラを持って家族と京都を撮りにいくのだが、そこにはかつて『初国…』で見せた我の強さは皆無で、寧ろ命あ>>続きを読む
ヴィデオと映画のあいだとは何かを追求した実験的な作品が大映配給だとはまさしく日本映画全盛期の最後を象徴しているな。基本的に広末涼子の顔が近くてドキッとするのだが。
ロンとの別れ、そのまま後編まで引きずってもええ気はした、気はした
恋愛のいざこざははっきり言ってどうでもええ。それよりダンブルドアァァて感じやな
文科省(魔法省)の人間が現れて昔ながらの方法で規律ある集団への変革を試みるストーリーは学園ものあるあるで楽しめたが、いざ後半のダンブルドア集団の実践編となるとこれがもう全然面白くない。杖振りながら直線>>続きを読む
山奥に行くまでを順に撮っていて、自然に対する誠実さを感じる。飯を食ったり黒板作ったりする描写の丹念さも含め。出来事はあっても劇的に発生するのでなく自然の流れによって予定調和的に進むのが良い。だからこそ>>続きを読む
キャメラの位置が少年の視点に入りきれていないのが残念だった。が、ジュディデンチにやられる。庭で話す場面も彼女が奥の方にいるだけでそのシークエンスショットの豊かさが倍増する。そういう一つ一つの瞬間が、何>>続きを読む
船の映像がしょぼかったのぉ。サスペンス演出はまぁまぁ。愛は人を狂わせますねぇていう
キュアロン監督だけあって歪。長回しでの会話の処理が鮮やか。話の展開に関しても時間絡みの畳み掛けがジョジョっぽいし。ずっとキャメラ動いているのは気になるが、画的も含めてこれは好きだな。
昔のお気楽なカーレース映画なのは間違いないが、にしてはあの悪玉がドカーンと派手に焼け落ちる場面にある種の悲壮さを感じ取ったのは気のせいか。ああいうホワイトが集まってわちゃわちゃするカーレースが時代に置>>続きを読む
撮り方はガサツだが、しかしこのガサツさがカメラの画質の悪さも相まって、トランス女性の主人公が自身の生き方に悩む様が描かれている点に本作の豊かさがある。マイクロアグレッションを受けるたびに海を思い出し、>>続きを読む
アバターの、Qwaというハンドルネームが示すようにそれは性別をすらも超えた存在としての、身体性に注目する先見性よ。
手作り感満載のスーツとか、ヴィランにすらやべぇと言わせるほど狂気マックスとか、出無精で非社交的なキャラとか、リーヴスのバットマン解釈が私的にめっちゃ好きだった。確かに全体的に長いけど、探偵ノワールの連>>続きを読む
ゴリラが手を怪我する話かと思ってたけど全然ちゃうかった。昔っぽいスターシステムの闇が風刺として描かれるものの、正しさで打ち破るまでの過程でそこまで重くならない感じはイルミネーションならではやなと。
演出の凡庸さに飽き飽きとさせられるが、まぁ大人気小説を無難に映画化させるにはこんぐらいの凡庸さで淡々とストーリーを作る方がファンに求められるのかなと思ったり。
初鑑賞時よりアッサリ終わった印象。歴史修正主義っぷりが目に余るが、問題なのはアメリカンドリームの体現ムービーとしては壮大で面白いとこなのよ。
少女にとっては戦火も親の死も、愛犬の死も同じ。全ては等価であると信じる思いを十字架に託しただけだった。
合間合間に連なるブラックモスと不明瞭な録音こそが、今の日本で収容所を通じて行われる人権侵害とレイシズムの根深さを物語っている。
記憶力を維持させる林檎と記憶を残存させるポラロイド。しかし如何なる表象にも介入できぬ一回性たるセックスと死を写真に収めることはできない。これを経験した記憶なき男は、蘇ってくる過去と引き換えに辛うじて残>>続きを読む