くまちゃんさんの映画レビュー・感想・評価

くまちゃん

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名探偵コナン 14番目の標的(ターゲット)(1998年製作の映画)

4.5

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見立て殺人は古今東西様々な作家により用いられてきたミステリーの王道的プロットである。今作はトランプになぞらえる筋立てとカードに因んだ遺留品を残す手口からアガサ・クリスティの「ABC殺人事件」を元にして>>続きを読む

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

3.2

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ハリウッド大作と戦えるか?
山崎貴はその質問にまだまだだと謙遜してみせた。しかしアカデミー賞において視覚効果賞をアジア圏で初の受賞という快挙を成し遂げ、さらに同賞を監督が授与されたのは史上二人目、前回
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デルタ・フォース2(1990年製作の映画)

3.7

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今作は前作の設定を一部引き継いだのみの全く異なる作品であり、単体として観てもなんら問題はない。
デルタフォースとは第1特殊部隊デルタ作戦分遣隊の通称であり本来対テロ作戦を遂行する特殊部隊の事を示す。だ
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名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)(2024年製作の映画)

3.5

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服部平次は、高校生ながらその卓越した観察眼と明晰な推理力で数々の難事件を解決に導いてきた。また剣道の腕も立ち、猛者揃いで知られる大阪府警の面々を一刀のもとに打ち負かせるほど高い戦闘力を誇る。工藤新一と>>続きを読む

ある閉ざされた雪の山荘で(2024年製作の映画)

3.0

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作中、一人一冊ずつアガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」が配布される。それはこれから起きる事件を暗示しているかのようだ。舞台はとある貸別荘。クローズドサークルの王道。観客は期待する。ここで起き>>続きを読む

名探偵コナン vs. 怪盗キッド(2024年製作の映画)

3.0

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なぜこのタイミングで「名探偵コナンvs怪盗キッド」と銘打たれた総集編が公開されるのか?
「緋色の弾丸」に先駆けて公開された「緋色の不在証明」は総集編でありながら12億円という興行成績を記録し話題となっ
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デルタ・フォース(1985年製作の映画)

3.8

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今作はほぼ全編通してイスラエルで撮影されており、登場する各国の空港もイスラエルのベン・グリオン国際空港で撮られている。監督を務めたのは80年代から90年代にかけて様々な中低予算映画をヒットさせてきたキ>>続きを読む

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.2

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天才科学者オッペンハイマー。「原爆の父」と呼ばれた彼は日本ではそれほどメジャーな人物ではないだろう。世界の歴史を変え、日本の運命を変え、その源流に佇むプロメテウスは如何に核兵器の開発に着手したのか。今>>続きを読む

あこがれ(1958年製作の映画)

3.5

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フランソワ・トリュフォーは雑誌のインタビューで人生で成し遂げようとすることを一つに絞れば人間はやりたいことを必ず成し遂げられると語っている。
映画作家を目指して以降、その一点に全ての熱意を集中させてき
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デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章(2024年製作の映画)

3.8

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今作を目にした時多くの者がこう思う。タイトルが長い、言いづらい、覚えづらい。なぜ「おやすみプンプン」みたいにしてくれなかったのかと。だが幾度か反復し、舌筋を鍛錬する事でこのタイトルをスムーズに発音でき>>続きを読む

十二人の怒れる男(1957年製作の映画)

4.0

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古典映画を目にする機会のない者は少しハードルが高いかもしれない。12人の知らない男性達が有罪だ無罪だと意見をぶつけることのみで構成されているのだから。誰が誰だが判別つかないし、役名も番号だし、モノクロ>>続きを読む

52ヘルツのクジラたち(2024年製作の映画)

3.8

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町田そのこによる原作小説は2021年本屋大賞を受賞しベストセラーとなった。キャッチーかつ文学的なタイトルのワードセンスも相まって読書とは無縁の者でも一度は目や耳にしたことがあるのではないだろうか。52>>続きを読む

映画ドラえもん のび太の地球交響楽(シンフォニー)(2024年製作の映画)

3.4

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文字のない文化はあっても音楽のない文化はないそうだ。今から4万年前、旧石器時代に宇宙からムシーカ人の赤ん坊が飛来する。古代音楽ではすでに音程と音階があったとされており、石器時代に遡る冒頭は朝ドラ「エー>>続きを読む

MEN 同じ顔の男たち(2022年製作の映画)

3.5

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小説家、脚本家として知られたアレックス・ガーランドは「エクス・マキナ」「アナイアレイション-全滅領域-」にて監督としても手腕を発揮し多方面から高評価を受けている。アレックス・ガーランドの独特な映像美は>>続きを読む

ヴァチカンのエクソシスト(2023年製作の映画)

3.1

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超自然的ホラー映画の金字塔「エクソシスト」。その偉大さを再認識しつつ、この手のジャンルに新鮮味を求める難しさを痛感させられた。「JAWS」から派生した数多のサメ映画の一つ。今作はそんなB級カルト的ポジ>>続きを読む

ゴールデンカムイ(2024年製作の映画)

3.8

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今作の実写化が決定しビジュアルが公開された時点で大多数がこう思ったはずだ。「また山崎賢人かよ」と。そんな下馬評を見事に覆すスマッシュヒットを飛ばせたのは原作へのリスペクトとキャラクターの再現度の高さか>>続きを読む

罪と悪(2024年製作の映画)

3.6

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今作は齊藤勇起の初監督作であり原作のないオリジナルとのことだ。「罪と悪」。この重々しいタイトルは観客を強く引き付ける。韓国ノワールのような陰鬱とした雰囲気がそうさせるのだろうか。新たな才能の萌芽を映画>>続きを読む

エクスペンダブルズ ニューブラッド(2023年製作の映画)

3.4

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「エクスペンダブルズ」は紛れもないアイドル映画だった。一時代を築き上げた神7が現役を退きなんの前触れもなく地下アイドルが参入してくる。魅力が損なわれて当然だ。マンパワーが違う。決してミーガン・フォック>>続きを読む

コンクリート・ユートピア(2021年製作の映画)

3.6

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韓国では土地不足等で日本より持ち家率が少ない。2020年の住宅統計では6割以上がマンションに居住している。マンションを韓国ではアパートと言う。
"家を買う"とは基本的にマンションのことであり一軒家はよ
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肉の蝋人形(1953年製作の映画)

3.5

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1950年代前半は3D立体映画が流行しており今作も3Dメガネで鑑賞するように作られている。特に蝋人形の館の客引きがカメラに向かってボールを飛ばす芸は明らかに立体を意識してのことだろう。

「フランケン
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哭悲/The Sadness(2021年製作の映画)

3.4

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新型コロナウイルスの世界的流行は2019年から始まった。その後約3年、我々は感染のリスクに怯えながら厳しく制約された生活を余儀なくされた。この異常事態は人々を激しく戸惑わせ苦しめた。そんな抑圧された環>>続きを読む

脱・東京芸人(2023年製作の映画)

4.2

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お笑いコンビソラシドは本坊元児と水口靖一郎によって2001年に結成された。
よしもとクリエイティブ・エージェンシーが運営する劇場「baseよしもと」で日々ネタを披露し、気心の知れたライバルと共に鎬を削
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.3

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世界初の実写商業映画はルイ・リュミエールによる「工場の出口」である。これは工場から出てくる人々を映すことのみで構成されている。
ドイツ映画の一時代を築き上げたヴィム・ヴェンダースと40年以上のキャリア
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ヴィーガンズ・ハム(2021年製作の映画)

4.0

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菜食主義は古代まで遡るほど長い歴史を持つが肉食を避ける者たちをベジタリアンと呼称し始めたのは19世紀に入ってから。さらにヴィーガンという言葉は1944年、ヴィーガン協会設立者の1人であるドナルド・ワト>>続きを読む

戦慄怪奇ファイル コワすぎ! FILE-02 震える幽霊(2012年製作の映画)

3.5

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今作はシリーズ屈指の問題作と言えるのではないか。真野夕子や先生の存在、工藤の過去など後のシリーズに関する重要な要素を含むため、絶対外すことはできない。幽霊の調査は行方不明となった夕子を探す所から始まり>>続きを読む

屋根裏のラジャー(2023年製作の映画)

3.8

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監督を務めた百瀬義行はかつて高畑勲の懐刀として活躍した半世紀のキャリアを誇る歴戦の猛者である。作画監督は小西賢一、背景美術はでほぎゃらりーと今作には「ジブリ」ブランドから分岐した高い技術力と創造力が結>>続きを読む

⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)

4.3

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雑誌記者の山田は廃刊の瀬戸際に立たされた自社の一発逆転を狙って鬼太郎出生の秘密を探る。幽霊族の足跡をなぞってたどり着いたのは廃村となった哭倉村であった。鬼太郎は山田に警告する。引き返せと。そこではかつ>>続きを読む

法廷遊戯(2023年製作の映画)

3.3

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今作は永瀬廉、杉咲花、北村匠海といった華のある三人をメインに据えているが、中身は渋めのリーガルドラマである。ミステリーとしては主要なキャラクターが少ないため意外性はなく、主人公清義は死亡した馨の遺した>>続きを読む

イコライザー(2014年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

今作公開当時デンゼル・ワシントンは60歳を目前に控えていた。リーアム・ニーソンといい、ショーン・ペンといいハリウッドの実力派は還暦近くなると演技という静かな攻防から、素人目にもわかりやすく激しく緻密な>>続きを読む

劇場版 シルバニアファミリー フレアからのおくりもの(2023年製作の映画)

3.3

このレビューはネタバレを含みます

今作は成人男性が1人で鑑賞するには多少勇気を要する。チケット購入時の「シルバニアファミリー1枚ください」と言った時の気恥ずかしさ、ゲートを通る際入場者特典を渡し忘れかけられる具合の悪さ、広い劇場の中に>>続きを読む

ドミノ(2023年製作の映画)

3.3

このレビューはネタバレを含みます

ロバート・ロドリゲスといえば、荒唐無稽なアイデアと暴力的なアクション、独創的なストーリーラインが特徴的だ。エロとグロが織り交ぜられ、その下品ささえもスタイリッシュに魅せる事ができる特異な映画作家。
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正欲(2023年製作の映画)

4.2

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佐々木はこの世を厭世的な目で見ている。世の中に溢れている情報は明日死ぬつもりのない人のためであり、そこに自分は当てはまらない。そんな折スマホの着信があった。親が事故にあったという警察からの連絡だった。>>続きを読む

ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

ギャレス・エドワーズはSF作家だ。
「モンスターズ/地球外生命体」から始まり「GODZILLA」「ローグ・ワン」とキャリアを重ねる事にプロジェクトの規模も成長してきた。今作は集大成というには早すぎるが
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名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊(2023年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

ケネス・ブラナー監督、主演によるポアロ映画も三作目。回を追う事にポアロが板につき、あの独特な口髭も様になってきている。アルバート・フィニー、ピーター・ユスティノフ、デヴィッド・スーシェと並んで胸を張っ>>続きを読む

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(2023年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

200分は純粋に長い。
マーティン・スコセッシは長尺の作品を定期的に制作する。「最後の誘惑」「カジノ」「ギャング・オブ・ニューヨーク」「アビエイター」「ウルフ・オブ・ウォールストリート」、そして前作「
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BAD LANDS バッド・ランズ(2023年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

特殊詐欺を題材にした黒川博行による大阪ノワール「勁草」。監督したのは近年毎年のように新作を発表し続けている原田眞人。

原田眞人と言えば「関ヶ原」以降毎作品にジャニーズを起用している。「検察側の罪人」
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