ひろさんさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

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ロストケア(2023年製作の映画)

4.5

ロストケアという題名の深い意味を映画の中で知ることになった。
父親の介護のために仕事を辞めて生活保護を申請するが受け付けられなかった過去を持つ主人公の斯波宗典(シバムネノリ·松山ケンイチ)。
殺人犯
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小さき麦の花(2022年製作の映画)

4.6

長いようで一年に満たない短い間だったが、貧しい中での夫婦二人の幸せな時間を感じることができた。
無理矢理結婚させられたようであるが、初めて会った時の互いの姿から好意を持っていたことが語られる。
結婚当
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母の聖戦/市民(2021年製作の映画)

4.2

娘がいなくなったことに最初は戸惑っていた母親が、犯人を突き止めるために尾行する過程で真剣な表情になっていく場面に引き込まれた。
誘拐犯も小さな子供の親で、金のために他人を不幸にして成り立っている社会に
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新生ロシア1991(2015年製作の映画)

3.5

ソ連(ソビエト社会主義共和国連邦)が崩壊する過程でゴルバチョフ書記長が軟禁された1991年8⽉19⽇から数日間のレニングラード(サンクトペテルブルク)の街を撮った白黒の映像は当時の緊迫した様子を伝えて>>続きを読む

劇場版 センキョナンデス(2023年製作の映画)

3.6

映画を見るまでダースレイダーもプチ鹿島も知らず、名前を聞いたことがあるのは、著書「選挙漫遊記」を読んだ畠山理仁と有田芳生だけだったが、こんなにも選挙を追い掛け、それを映像や本にしている人がいることが驚>>続きを読む

対峙(2021年製作の映画)

3.6

高校での銃乱射事件により息子を殺された両親と、乱射後自殺した少年の両親が4人で対話する中で互いの思いを理解していくという話しだが、会話だけで成り立っており、一度観ただけでは過程を振り返るのが難しい。こ>>続きを読む

裸のムラ(2022年製作の映画)

3.7

富山県のチューリップテレビで富山市議の政務活動費の不正使用を追った映画「はりぼて」を作った五百旗頭氏が、石川テレビに移って撮ったテレビ番組を編集した映画。
主人公は7期目の石川県知事、イスラム教徒とし
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崖上のスパイ(2021年製作の映画)

4.2

全編中国人が演じていて区別がつきにくいが、日本の満州国警察と、強制収容所からの脱走者を助けに来た中国人スパイ4人の物語。ハラハラドキドキして楽しめた2時間だった。
小蘭を演じたリウ·ハオツンと張憲臣役
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ゆめパのじかん(2022年製作の映画)

4.3

自主上映会で鑑賞し、上映後重江良樹監督のトークがあった。
監督の前作「さとにきたらええやん」を2016年に観て、次回作も観たいと思っていた。
「多様性が大切」と言いながら、実生活では周囲との同調を求め
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イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

4.3

アイルランド本島の内戦が海を隔てたすぐ先に見えるイニシェリン島。
怠惰な日常を過ごしてきたコルムとパードリックの思いの違いがこのアイルランド紛争によって顕在化する。
コルムは作曲に専念するためパードリ
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百年と希望(2022年製作の映画)

4.0

1922年に結党した日本共産党の99年目の姿を映したドキュメンタリー映画。
池内さおりや池川友一など議員として活躍する人、黒田朝陽や木村勞など事務員や支持者として支える人、しんぶん赤旗の編集部など、色
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ファミリア(2023年製作の映画)

3.7

神谷誠治(役所広司)の息子 学(吉沢亮)や妻のナディア(アリまらい果)が日本に住むブラジル人たちと出会い、アルジェリアに戻った学とナディアが反政府組織の人質になるまでは話しの展開が面白く、この先どうな>>続きを読む

ラーゲリより愛を込めて(2022年製作の映画)

4.0

瀬々敬久監督の作品なので鑑賞した。
病で寝ている二宮和也(山本幡男)の演技も良く、シベリア抑留時に日本軍の階級を残して日本人同士に管理させるといった史実に基づいた描写など、林民夫の脚本が良かった。
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シスター 夏のわかれ道(2021年製作の映画)

4.5

両親の事故死によって突然自分の前に現れた小さな弟ズーハン(ダレン·キム)に戸惑う20歳過ぎの姉アン·ラン(チャン·ツィフォン)を通して現代中国の問題を描いており、監督が1986年生まれの女性であるこ>>続きを読む

パラレル・マザーズ(2021年製作の映画)

4.8

71歳のペドロ·アルモドバル監督の集大成と思う程内容の濃い、見ごたえがある作品だった。
同じ日に産んだ女児を取り違えられたジャニス(ペネロペ·クルス)とアナ(ミレナ·スミット)。ジャニスの子供は死
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ある男(2022年製作の映画)

4.5

年間8万人もいる行方不明者の中には、戸籍を替えて別人として生きている人がいるかもしれないが、その存在が分かるのは昔の姿を知っている人だけである。目の前にいる人物のみが真実の姿で、過去はその人のみが知る>>続きを読む

やまぶき(2022年製作の映画)

3.5

真庭市在住で、農業をしながら3作の長編映画を撮り、カンヌ国際映画祭にも出品されたというので期待して観に行った。
映画監督の評は「色々な要素がごちゃごちゃ詰まっているが、ラストにうまく納まっていく」とい
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千夜、一夜(2022年製作の映画)

4.0

若松登美子(田中裕子)と田村奈美(尾野真千子)の生き方の対比が良かった。
突然消えた夫を30年待ち、外では元気な姿を見せる登美子。2年前に同じく失踪した夫の相談を登美子にする奈美。
登美子はイカの加工
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夜明けまでバス停で(2022年製作の映画)

4.4

居酒屋が借りる賃貸住宅に住む女性がコロナ禍で首になり、住まいと職を同時に失ってしまう。2020年以降、このような境遇になった人は沢山いるだろう。
また、その女性は別れた夫の借金を「自分のカードで借りら
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PIG ピッグ(2021年製作の映画)

4.0

豚が登場するシーンは最初のトリュフを探す場面と、ロブ(ニコラス·ケイジ)と一緒に夜の小屋でコヨーテの鳴き声を聞きながら過ごす場面のみで、後は無理矢理盗んでいかれた豚を探す話しに転換する。
最初は登場人
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夕方のおともだち(2022年製作の映画)

4.3

主人公のヨシダヨシオ(村上淳)とSMバーで働くミホ(菜葉菜)、ヨシオにMを目覚めさせた伝説の女王様ユキ子との三角関係がコミカルに描かれていた。
「ヨシオを好きになった」と家まで押しかけて来た同僚トミ子
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日本原 牛と人の大地(2022年製作の映画)

4.4

110分という長さを感じさせず、主人公の内藤秀之さんの姿をもっと見ていたかった。
日本原演習場内でただ一人耕作を続け、牛の乳は低温殺菌で「山の牛乳」として売り、基地撤去を求める集会では温かい牛乳を配っ
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七人の秘書 THE MOVIE(2022年製作の映画)

3.5

テレビドラマが毎回面白く、映画の脚本家も同じ中園ミホだったので、期待して劇場版を観た。
監督の田村直己はテレビドラマは撮っているが、長編映画は初挑戦のよう。
ドラマでは決まった時間で話しを進めるために
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川っぺりムコリッタ(2021年製作の映画)

3.8

山田たけし(松山ケンイチ)の死んだ父の携帯電話にあった発信履歴にかけてみると、それは「いのちの電話」だった。そこで山田が相談員から聞いた言葉―子供のころ宙を泳ぐ金魚が見えた―を溝口健一(吉岡秀隆)が子>>続きを読む

私のはなし 部落のはなし(2022年製作の映画)

4.1

まず、開館直後に入って、すでに38人目だったことに驚いた。
現在の部落差別がどのように生まれて残ってきたのかの大学の先生の解説、京都市の東九条を撮影した8㎜フィルムの復元、部落地名総監を復刻し、部落探
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戦争と女の顔(2019年製作の映画)

3.8

戦時下で、女性と子どもは逃げ惑うだけだと思っていたが、イーヤやマーシャのように前線で戦う女性もいることに気付かされた。
イーヤに預けた自分の子、パーシュカが死んでも取り乱さずに淡々と事実を受け入れるマ
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Blue Island 憂鬱之島(2022年製作の映画)

3.9

イギリスから中国に返還された後も一国二制度のもと自由が保証されるはずだったのが、完全に中国に組み込まれてしまった現在。
1966-76年の文化大革命時代に海を泳いで亡命した人、イギリスから独立して中国
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スープとイデオロギー(2021年製作の映画)

4.0

済州島出身の母親がなぜ北朝鮮に酔心し3人の息子を「帰国」させたのかが、1948年に起こった「済州4·3事件」を調べていく中で分かっていく。
母親がその記憶を証言した直後にボケてしまったのは、「自分の心
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FLEE フリー(2021年製作の映画)

3.9

父親がアルカイダに捉えられ、アフガニスタンから母親や兄弟姉妹と逃げた一家の歴史をアミン·ナワビが回想し、アニメーションと実映像で語る。
ソ連(ロシア)からスウェーデンに逃げられた二人の姉妹と兄、一方密
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教育と愛国(2022年製作の映画)

4.4

怖い映画だった。安倍一次政権(2006-2007年)、二次政権(2012-2020年)のうちに教育基本法や学習指導要領が変えられて、時の政権が認めた歴史しか載せられなくなっていた。その間に我が子が小中>>続きを読む

ナワリヌイ(2022年製作の映画)

4.2

2020年8月、シベリアからモスクワへ向かう飛行機に搭乗している時に毒殺されそうになり、ドイツに運ばれて一命を取り留めたナリワヌイ。
暗殺を実行したメンバーを仲間たちと突き止め、パンツに毒物を隠したこ
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ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)

4.0

登場人物それぞれの置かれた立場全てを理解するのが難しい程重厚なストーリー。
「捨てるなら生むなよ」という冒頭の女性警察官の発言は産めない自分に向けられているのか、主犯は何処に逃げたのか、ソヨンの赤ちゃ
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モガディシュ 脱出までの14日間(2021年製作の映画)

4.5

ソマリアの首都モガディシュで起こった内戦下、北朝鮮と韓国の大使館員が一緒に国外脱出を試みるというストーリーに興味を持ったので鑑賞したが、予想以上に面白かった。
国連加盟のためにアフリカ票を取り込もうと
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金の糸(2019年製作の映画)

3.8

割れた陶器を漆と金で補修する「金継ぎ」から着想を得て、題名に人と人の過去の関係を修復する意味を込めたとのこと。
作家である母親エレネとソ連時代に青年同盟第三書記だった認知症の義母ミランダが同居すること
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東京2020オリンピック SIDE:B(2022年製作の映画)

3.6

新型コロナウィルスcovid-19の世界的な感染拡大下で開催されたオリンピックという特殊な状況を記録した映画としては後世に残るものになるだろう。
女子マラソンのスタート時間を1時間早めることが前日に決
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死刑にいたる病(2022年製作の映画)

4.0

榛村大和(阿部サダヲ)と筧井雅也(岡田健史)のやり取りに気持ちが引き込まれている中で、怪我をした雅也の手の血を大学の同級生灯里(宮崎優)に舐めさせる演出に興冷めしたが、その意味が最後の最後に分かり、脚>>続きを読む