昼寝さんの映画レビュー・感想・評価

昼寝

昼寝

六つのバガテル(2001年製作の映画)

3.5

『あなたの微笑は』6つのアウトテイク集。『シチリア!』の編集作業としてはよりわかりやすいカットがあり、洗濯物で喧嘩する2人の様子からは夫婦としての距離感がより伝わってくるが、なるほどペドロ・コスタって>>続きを読む

あなたの微笑みはどこに隠れたの?(2001年製作の映画)

4.2

ずっと見たかったやつ。凄くかっこいいフレーミング。全員言っているが本当にただの夫婦漫才でほっこりする。黙々と編集するユイレに向かって1人で延々喋り続けるストローブやばすぎる。ストローブの『アルテミスの>>続きを読む

季節のはざまで デジタルリマスター版(1992年製作の映画)

3.7

語られる一つ一つのエピソードのなんでもなさ、ノスタルジックな雰囲気と裏腹な下品さ、すごく良いのだけど、全体の散漫さに集中できなかった……。でもフォロワーの人みんな褒めてるからもう一回見たい。ラストの海>>続きを読む

デ ジャ ヴュ デジタルリマスター版(1987年製作の映画)

4.5

再見。昔VHSで見た時は静かで遅い幻想的な映画だと思ったけど、今見直してみるとむしろB級スレスレの軽い映画だった。全然うるさいしかなりスピードがある。鈴を盗んだジャーナリストとそれを追う学者がロープウ>>続きを読む

時の擁護(ストローブ=ユイレの記録)(2007年製作の映画)

3.6

ストローブ=ユイレのドキュメンタリー。テレビ用なので全然NHKみたいな感じ。主に講演の記録映像、フィルモグラフィーの引用、ペドロ・コスタ『六つのバガテル』の抜粋で、これ自体そんなに面白くはない。講演の>>続きを読む

トア(1949年製作の映画)

3.3

舞台上のギトリと客席にいる元妻との切り返しで進んでいく舞台劇のシーンは面白いが、室内シークエンスがとっても退屈。演劇っぽい室内劇は台詞を楽しむとかの前にどうしても眠くなっちゃうな……。結局俺にはギトリ>>続きを読む

殺人幻想曲(1948年製作の映画)

3.4

期待しすぎたのもあり、決してつまらなくはなかったけど、俺はあまり好きじゃないかも。最も盛り上がる瞬間が指揮者の妄想の中なのが緊張感に欠けるし、その妄想で上手くいくパターンを見せてから失敗する現実で笑わ>>続きを読む

モーガンズ・クリークの奇跡(1944年製作の映画)

3.7

スタージェスの映画にしては勢い控えめだけどこれも面白かった。赤ちゃんがドカドカ産まれてくる出鱈目なラストの多幸感! 1944年制作で世界大戦の存在感も大きく、どこかどんよりとした空気感があり、それを打>>続きを読む

パームビーチ・ストーリー(1942年製作の映画)

5.0

スタージェスのベスト、そして人生ベスト。世界で一番面白くて一番ぶっ飛んでいて一番幸せなコメディ。車内で猟銃を撃ちまくる中盤のくだりとか、金持ちのアイツが歌う恋の歌が響くなかで気まずい2人とか、ほんと面>>続きを読む

幸運を!(1935年製作の映画)

3.4

話が気持ち悪くてウディ・アレンの嫌いな映画見てる時と同じ気持ちになった。車にカメラを置いてドライブを撮るとこで、ドキュメンタリー、てかメイキング映像みたいな映画へのメタ言及がよかった。

サリヴァンの旅(1941年製作の映画)

4.6

これはめちゃくちゃ面白い!!冒頭の異常な速度とヤバすぎる車の使い方。浮浪者が機関車事故で死ぬシーンの気合いの入った禍々しさ。ミッキーマウスでそんなに笑うか?と思うけど、これはギャグなのかガチなのか判別>>続きを読む

レディ・イヴ(1941年製作の映画)

4.0

バーバラ・スタンウィックの出ている映画見たことなかったみたいで初めて見たけど、めちゃ美人だしめちゃ面白い。ヘンリー・フォンダにイカサマを仕掛ける執事を巧妙に妨害するとこ好き。話がややこしくなった後半は>>続きを読む

七月のクリスマス(1940年製作の映画)

3.8

爆速。多幸感溢れてるけど家で見るにはちと味気ないかな。翻訳通ると不安になるけどあの標語はめちゃくちゃつまらない、ということでいいんだよね?

役者(1948年製作の映画)

3.0

めちゃくちゃ退屈だった……。室内から出ないまま時間だけどんどん進んでいくので置いていかれてしまったし会話も全然面白くない、一人二役の表現も切り返しばかりでつまらない。ギトリと彼の父の関係ありきの映画で>>続きを読む

すべての夜を思いだす(2022年製作の映画)

3.8

VHSに残されたホームビデオも土器を眺めながらの会話も誰かのダンスを見て唐突に踊り出すその瞬間も、まっすぐ感動できるか、それともただあざとく見えてしまうか、絶妙なラインの上にある。あざとさを感じる瞬間>>続きを読む

ラスト・シューティスト(1976年製作の映画)

3.4

J・B・ブックスの役にはポール・ニューマンやらイーストウッドやらが予定されていたとwikiに書かれていてびっくり。ジョン・ウェインありきの企画じゃなかったんだ。ウェインは脚本や芝居にも口を出しジェーム>>続きを読む

アルカトラズからの脱出(1979年製作の映画)

4.3

そもそも脱獄映画というジャンルがフェチズム的に好きなのだけれど、これも後期ドン・シーゲルの中じゃかなり好きなほう。強烈な個性を持つ囚人たちの過去は当たり前のように語られないし互いに罪状を尋ねようとすら>>続きを読む

テレフォン(1977年製作の映画)

4.3

高層ホテルから山奥のパブへ、どんなロケーションも使いこなしてみせる移動の連続が楽しい。基本的に他人の脚本を監督することが多いシーゲルだが、そうなるとやはり先に殺人や爆発を見せておいて理由は後から説明す>>続きを読む

白い肌の異常な夜(1971年製作の映画)

3.8

男も女も狂ってる。味方みたいな顔をしている下心丸出しの南軍兵士が一番イヤな感じだけど。イーストウッドが未成年の少女から初老の先生まであらゆる女に好かれ、好かれすぎたあまりに憎まれ、脚を切り落とされ(=>>続きを読む

刑事マディガン(1967年製作の映画)

3.3

シーゲルの中ではあんまり。確かに主人公が死んじゃうの珍しい。全体的にシーゲルらしい暴力性や鋭い編集よりも、ポロンスキーの書く弛緩した会話やラッセル・メティが写すブルックリン(素晴らしい空撮のオープニン>>続きを読む

突撃隊(1961年製作の映画)

3.9

銃弾飛び交う戦場で死ぬ間際の人間が踊る死のダンスみたいな奇妙な動きがなんとも美しい。もちろん、最後の爆発も。途中まで退屈だったけど、戦場の狂気が始まってからはかなり面白い。

突破口!(1973年製作の映画)

4.2

妻が爆発して始まり、かつての相棒と殺し屋ゴリラが爆発して終わる💥💥かなり寄り道しているのにシュッとしていてかっこいい映画。歯医者の話や悪徳頭取が少女のブランコを押すあのシーンなど、脱線すらかっこよくて>>続きを読む

抜き射ち二挺拳銃(1952年製作の映画)

3.1

ドン・シーゲルいろいろ見ようと思ってまずはこれを。テンポよくて話も明快だけど、男どもの女性関係もヘンだしなかなかいびつな話だと思う。散漫で退屈な箇所も多いけど、瀕死のけが人を絞殺する女、窓ガラスを突き>>続きを読む

ジャン=リュック・ゴダール/遺言 奇妙な戦争(2023年製作の映画)

3.4

何かの間違いで『奇妙な戦争』本編が作られない限りは人生最初で最後の、ゴダールの新作をリアルタイムで体験する機会だったのでとても感慨深く、20分間すごく集中して見た。特別な体験ではあったが……これを見て>>続きを読む

ボーはおそれている(2023年製作の映画)

3.6

冒頭の40分間が爆発的に面白い。神経質で出鱈目、切実でばかばかしい!薬の正しい飲み方を異常に気にする成人男性、俺じゃん……って思ったし、ホアキンが住んでいるマンションの前の通りのあちこちで異常な何かが>>続きを読む

落下の解剖学(2023年製作の映画)

2.7

会話劇と思えばまあ見てられるのだけど、後から新しい証拠物件が出てきました!みたいな展開に冷めちゃった……。最後に謎が解けるミステリーだと勝手に思った俺が悪いのかもしれないけど、そういうふうに誤認させる>>続きを読む

落葉(1966年製作の映画)

4.5

イオセリアーニの中でもベスト級によかった……。キラキラしていて、なまなましくて、夢中になって見た。働くことを決して楽しくはないが辛すぎもせず、たまに嬉しいこともあるものとしてまっすぐ見せてくれることに>>続きを読む

ジャン・ブリカールの道程(2008年製作の映画)

4.7

ジャン・ブリカールという男が彼の生い立ちを語る音声に、ストローブ=ユイレが撮影した彼の地元の映像が重ねられる感傷的でノスタルジックな映画でつい泣きそうになる。ストローブ=ユイレは風景論っぽいこっち系の>>続きを読む

アルテミスの膝(2007年製作の映画)

3.7

ストローブの個人名義だが、木漏れ日にパヴェーゼのようわからんテキスト、どこを切り取ってもいつものストローブ=ユイレのあの感じに見える。でも太陽の向きが変わってジジイの顔に影が落ちる長回しだったり最後の>>続きを読む

イメージの本(2018年製作の映画)

3.8

怒涛のコラージュ、コラージュ、コラージュと、彩度バキバキの海と、ぐちゃぐちゃになった劣化した映像と、画面のサイズすら一定ではなくて、音もヤバくて、思ったより素直に面白かった。これも映画館で見てみたかっ>>続きを読む

さらば、愛の言葉よ(2014年製作の映画)

3.1

全然わからない。2Dで見たがせめて3Dで見たかった。全然わからないが、フィルマークスで見る感想の多くが台詞を引用しているとおり、確かに言葉はキレている。

ボディ・スナッチャー/恐怖の街(1956年製作の映画)

4.4

逆の順番で見ればよかったけど、こっちも。バチクソ面白い。思いを寄せる女性が化け物と入れ替わっていることにキスで気が付いて、高速道路に飛び出して右往左往する、そして取り返しのつかないところまで侵略が進ん>>続きを読む

SF/ボディ・スナッチャー(1978年製作の映画)

4.2

クレヨンしんちゃんの踊れアミーゴが映画の原体験のひとつなので、これじゃん!となった。ラストが何より衝撃的だけど、そもそもドナルド・サザーランドはずっと何考えているのかわからないような顔してる。面白かっ>>続きを読む

デモンズ’95(1994年製作の映画)

5.0

ひえ〜〜おもしろいです。歪で狂っていて堪らなくおもしろい。B級のゾンビ映画のていで始まって知らぬうちにデラモルテ青年の精神へ、内面へと潜っていく構成なのだけど、彼の内面がほとんど語られないのがすごくい>>続きを読む

小さな兵隊(1960年製作の映画)

3.9

モノローグで淡々と進む。あっさりしていてかっこいい。低予算で、普通のジュネーブの市街でスパイアクションをやり切る。カットを割ることすら面倒くさそうな高速パンでの疑似切り返しには笑った。60年代ゴダール>>続きを読む

夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.1

病気とか信頼とか、映画になりにくい(画面に映らない)ものをわざとらしくもなく、言葉で説明しすぎることもなくあっさり表現してしまっていて、三宅唱映画うめ〜〜って感じ。Zoomの通話画面だったりnoteの>>続きを読む

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