hkさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

街の灯(1931年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

サイレント映画は、展開上予想できるものやあまり意味のないものは、字幕を出さない。

役者の表情や仕草からそのセリフを、場面によってはその音を想像する。

本作品でも、車のドアが閉まる音や手回しのレコー
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Fukushima 50(2019年製作の映画)

4.0

この作品に対して様々な評価があるけれど、監督が伝えたかったことは、"フクシマ50"という自らの命を賭けて多くの日本国民を救った人たちがいたということ。その周辺の人たち、地元の人たちがどんな思いで見てい>>続きを読む

幸運の星(1929年製作の映画)

5.0

何が"幸運の星(Lucky Star)"なのだろう。

"こんなに素晴らしい、人が人を元気づける、勇気づける触れ合いがある、人を幸せにさせる世界がある、私たちの住む地球という星"
"そんな愛が育まれる
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懐しのアリゾナ(1929年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

盗賊シスコ・キッドは愛しい人とのポルトガル行きを夢見ていたが、裏切られる。

静かな深い怒りを湛えた彼は、自らの手を汚すことなく、制裁を加えて去っていく。

メキシコとも国境を接するアリゾナを舞台にし
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じゃじゃ馬馴らし(1929年製作の映画)

3.6

シェイクスピアが喜劇として作った戯曲が原作。美人で金持ちだが手に負えない女性をどう手なずけるかというのは、男たちにとっては古くから関心の高いテーマだったのだろう。

本作ではひとつのパターンを提示して
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クィーン・ケリー(1929年製作の映画)

3.6

異才エリッヒ・フォン・シュトロハイムと元祖ハリウッドの女王グロリア・スワンソンのぶつかり合い。

人間の本性を余すところなく描き出すところはいつものシュトロハイム監督だが、今回はケリーとプリンスの初々
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キートンの蒸気船/キートンの船長(1928年製作の映画)

3.8

ミシシッピ川の蒸気船という古き良きアメリカの情景がたっぷり描かれるシーンから始まる。

アメリカ人の心の故郷を舞台に作られた
この作品のテーマは"親子愛"。

父の期待とは違っていても、がっかりした気
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キートンのカメラマン(1928年製作の映画)

4.5

幸運の女神はきっといる。

そう思いたくなるような、心優しいサリーを感じながら、終始穏やかな気持ちで観ることのできた作品でした。

純朴なしがないカメラマンの役どころは、『キートンの探偵学入門』にも近
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人生の乞食(1928年製作の映画)

3.8

"人生に何を乞うか"。

孤児の娘にとっては安らぎの場である"home"が欲しいが、手に入らないものだから欲しく思うのだと。

"聞いたことはあったが、見たことはなかった…これが愛というやつだ"。
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港々に女あり(1928年製作の映画)

4.2

"男同士の友情"というだけでは何か物足りない。

スパイクにとってビルは、行く先々で自分の恋路の障壁となるもの。つまり女の扱いについては、ビルの方が一枚上手なのだ。

そんなビルだが、喧嘩っ早く、数的
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最後の命令(1928年製作の映画)

4.0

1928年、ロシア革命から10年後にアメリカで制作、公開された作品。10年前に崩壊した帝政ロシアをどのように見ていたのか。

旧帝政ロシア時代の元総司令官が老いぼれて、今では亡命先の地アメリカハリウッ
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ロイドのスピーディー(1928年製作の映画)

3.9

ハロルド・ロイドは、お茶目で憎めない。ちゃんとユーモアもある。

また、彼女のためなら一直線。女性からしてみたら、こんな彼なら、飽きないし、楽しいだろうね。

ロイドを見ていつも思っていたのだが、古い
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パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)

4.1

"格差社会"がテーマである本作品は、観た人にいろいろと考えさせる。

格差社会は、頑張った人に報いるある意味"公平な"社会のようにも思える。
一方で、その格差が大きすぎる場合、不平等だという評価を受け
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アンダルシアの犬(1928年製作の映画)

3.5

"シュルレアリスム"は、寝ているときに見る夢の世界を描いたものとも言われているが、確かに寝ているときに見る夢はどこか理屈が通ってなかったり、感覚的な恐怖だったりする。
それを映像にすると、こんな絵にな
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サンライズ(1927年製作の映画)

4.4

ジョージ・オブライエンとジャネット・ゲイナー。とある純朴な田舎の若夫婦を演じた二人の、心の葛藤、詫びる夫を赦す妻、わだかまりが解けて愛し合う歓び。観ているこちらも、一点の曇りもなく、名もなき彼らの不幸>>続きを読む

メリー・ポピンズ(1964年製作の映画)

3.7

大の大人が見る映画じゃないかなと思っていた私のような中年男が見た方が良い素敵な作品でした。

"やらなくちゃいけないことには、必ず楽しめる要素がある"。
大人には見えなくなっているものがある。一見無駄
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第七天国(1927年製作の映画)

4.5

下水掃除人のチコが人生に絶望したディアーヌに上を向かせ、自分の部屋へ連れていくシーンが美しい。モノクロのサイレントだが、輝きに満ちている。

延々と螺旋階段を登って到達したアパートの七階の屋根裏部屋。
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暗黒街(1927年製作の映画)

4.0

豪放磊落な大盗賊ブル・ウィード。見た目とは裏腹に、情に厚く、守るべきものは身を挺してでも守る。

一方の、ブルに匿われる酔っ払いの元弁護士"ロールスロイス"もプライドを持ったひとかどの男。

パーフェ
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レヴェナント:蘇えりし者(2015年製作の映画)

3.6

実在の罠猟師ヒュー・グラスの復讐譚。凍てつく極寒、いつ何どき襲われるかわからない先住民の襲撃、武器・食糧なしという瀕死の状況からの生還劇は想像を絶するものがある。
この厳しい状況を生き抜いたことが、復
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イヴの総て(1950年製作の映画)

3.7

人間の"エゴ"や"嫉妬"を赤裸々に余すところなく描いている。

主役の女優役二人も役柄上根は優しく素直な性格の持ち主とも思われるが、スターの座を滑り落ちそうになる時、スターの座を登り詰めようという時、
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風の谷のナウシカ(1984年製作の映画)

4.4

今、この時代になり、さらにこの作品のメッセージが強く伝わってくる。

この地球において、人間は決して主人公ではない。それどころか地球上の生に対してマイナスの存在であることに気づかなければいけない。
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恋愛小説家(1997年製作の映画)

4.1

"人は変われる"。
変われないとしたら、それにはきっと何か理由がある。

自分中心だからかもしれない。思い込みゆえ自ら可能性を閉ざしていたからかもしれない。

そんな"殻"や"壁"を主人公の二人が打ち
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わたしを離さないで(2010年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

クローン人間を作ることは、法律上禁止されている。その理由は、倫理的な問題、悪用など様々なものが考えられるが、仮に臓器提供という目的のもと世の中に存在したらどんなことが起こるかを描いた作品。

今まで考
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メトロポリス(1927年製作の映画)

4.0

本作が描いた2026年は5年後に来る。

企業の経営者と労働者の対立は、今や当時では考えられないほど消えてなくなり、今の時代、そんな対立をしているような企業は生き残れない。
ワークライフバランスなどと
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下宿人(1926年製作の映画)

3.6

ヒッチコック監督の作品は、母が若い頃に見ていた映画として挙げたものとして、印象に残っている。
ちなみに母が挙げた作品は、"めまい"と"裏窓"。

その後それらを含めて何本かを観たが、独特の雰囲気があり
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ハリー・ポッターとアズカバンの囚人(2004年製作の映画)

3.6

今回はハーマイオニーが大活躍。13歳になり、女性の強さのようなものが芽生えてきた。
"忍びの地図"や"逆転時計"といった魔法グッズがストーリー展開の重要ポイント。

ルーピン先生が自らの友情の延長線上
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キートンの大列車追跡/キートン将軍/キートンの大列車強盗(1926年製作の映画)

3.9

蒸気機関車を何台も使った、これまでのキートン作品では見られなかった大作。

また、南北戦争を舞台にキートンが紛れ込むという、シリアスなだけに余計に笑える設定。戦争シーンは、なかなか本格的。

運動神経
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ハリー・ポッターと秘密の部屋(2002年製作の映画)

3.6

もはや12歳とは思わせないハリーの勇気。第一作のあどけなさは消え、どんな恐怖に対しても断固として立ち向かう姿が頼もしかった。

E.T.から20年、夜空を翔ける自転車は車になり、ファンタジーもスケール
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三悪人(1926年製作の映画)

4.0

日本語で言えば、"男気"だろうか。困っている人を捨て置けない。尽くす相手に忠実である。単なる向こう見ずではなく、しっかりと準備・計画を怠らない。

リーダー格とちょっとだらしない二人の悪三人組。見た目
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ハリー・ポッターと賢者の石(2001年製作の映画)

3.7

当時原作を読んで、いつか見ようと思っているうちに20年経ってしまった。

魔法が存在しないと考えられている現実の世界から、夢のような魔法の世界への入り口が開けた時のワクワク感がたまらない。

原作者の
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ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ(1998年製作の映画)

3.9

カッコいい音楽と映像に浸りながら、スリルと爽快感、ニヤっとする笑いを味わえる。

決して大物とは言えない四人組が悪役大物たちの狭間で縫い進んでいく展開は、"幸運"の意味を十二分に理解させる。

2回見
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雄呂血(1925年製作の映画)

4.0

1925年というと『戦艦ポチョムキン』『黄金狂時代』があるが、日本でもこんな素晴らしい作品があったことが誇らしい。

正しい道や善き行いとは何かを考えさせてくれる良作であると思う。

阪東妻三郎。歌舞
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カリガリ博士(1920年製作の映画)

3.6

第一次世界大戦で敗戦国となった直後にドイツで作られた作品。どことなく暗さを感じる。

一方で、話の展開は奇怪でスリリング、見ている方はハラハラしながらクエスチョンマークが頭の中を駆け巡る。

最終的に
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フル・モンティ(1997年製作の映画)

3.7

この物語は単なるコメディではない。

かつて鉄鋼で栄えたシェフィールドの町で、6人の男たちはそれぞれに問題や悩みを抱えている。

稼ぐアイデアの実現に向けて立ち上がるが、様々な現実が立ちはだかる。それ
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海底王キートン(1924年製作の映画)

3.9

"運命の悪戯"。予想どおりにいかない人生だけど、こんな展開もロマンチック❗

キートンは今度は海へ。潜水服を着て、海中から現れるシーンが最高。爆笑シーンが次から次へと。

『キートンの探偵学入門』と同
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プラダを着た悪魔(2006年製作の映画)

3.9

しっかりとした夢を持ち、まずは自分に求められたことに何が何でも応えようと努力する。

はじめて社会に出た誰もが経験する道。
大変なこともある。愚痴りたい時もある。

そんな時に、頑張っていることをしっ
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