どらどらさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

オールド・ボーイ(2003年製作の映画)

4.8

「私は獣にも劣る人間ですが生きる権利はあるんじゃありませんか?」

罪と復讐
重要なのは「なぜ監禁されたか?」ではなく
「なぜ解放されたか?」である

我々は世界という檻に閉じ込められており
そこで自
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恋は光(2022年製作の映画)

5.0

「つまり何が言いたいかというと、”恋は光”なのだ」

恋とは何なのか?
訳知り顔で語るものもいれば
数多くの偉人も言葉を残し
大量なフィクションのテーマにもなっている

時間とともに気がつくものも
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国境の夜想曲(2020年製作の映画)

4.5

説明が一切入らない
しかしそれは当然である
彼らは語られるために生きているわけではないから
彼らは彼ら自身の生を生きているのであり
物語化されるために生きているわけではない

母親たちの嘆きの声
IS
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いつまで(2023年製作の映画)

4.4

やりたいことが明確な作品でよかった

友人の結婚式のあと
逃した終電
知らない田舎の駅
よくわからない地元の神社

人生はよくわからないうちに進んでいて
無限にあったはずの選択肢は気がついたら限られて
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COUNT 100(2023年製作の映画)

4.0

今回のショートフィルム企画で一番脚本が微妙かも
微妙に星新一っぽいし、やり尽くされたテーマとボクシングの掛け合わせで、この映画を作る必要性みたいなものがあんまり僕には伝わらなかった

飄々とした玉木宏
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猫は逃げた(2021年製作の映画)

4.3

- 泥棒猫なのに猫泥棒じゃん、

ふたつの恋のようなもの
ひとつの夫婦
ひと組の猫カップル

あらゆる関係は歪だ
その歪さをなかったことにしようとしたとき
その関係はその歪さゆえに壊れる
しかしその歪
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虎の洞窟(2023年製作の映画)

4.8

メイキングの映像ちょろっと見たら、もしかして狂言舞ってるの窪田正孝?
俳優•窪田正孝の身体性の高さをまざまざと見せつけられる。

To be, or not to be. That is the qu
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リコリス・ピザ(2021年製作の映画)

4.3

- This is fate!

自分が何者かであると信じているゲイリー
何者かになりたいアラナ

ウォーターベッド
ピンボール
映画
選挙

楽しかったときはいつだってふたりで
ピンチなときには必ず
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CRANK-クランク-(2023年製作の映画)

4.5

あるメッセンジャーの1日を切り取っただけのシンプルな話
小さな感謝、気だるさ、友人の生活の変化、撮り直されるアクションシーン
そして、ペダルを漕いでいく

高良健吾すごいなと思った
若いときからスター
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Prelude ~プレリュード~(2023年製作の映画)

4.5

土屋太鳳さん脚本•監督•主演のショートムービー
戦争、認知症、家族、忘れるということ、表現することの意味、踊ること、そして生きること

短い時間の作品にテーマを詰め込みすぎた感もあるけれども、こういう
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イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

4.7

“Niceness doesn’t last”

たわいもないおしゃべりは
“ aimelessly chatting”か
“ good normal chatting”か

重要なのは
数百年も残る
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ハケンアニメ!(2022年製作の映画)

4.6

- この世の中は、繊細さのないところだよ。でも、ごくたまに、君をわかってくれる人はいる。わかってくれるような気がするものを、見ることもある。

アニメという架空の世界
そこで起こることは現実の出来事で
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少女は卒業しない(2023年製作の映画)

4.7

このレビューはネタバレを含みます

- 作田さんはもう、大丈夫ですね

「卒業」という意志とは無関係に訪れる季節
少女たちがその無慈悲さから卒業を自分のものとして取り返す物語

別れたくないし
自分しか知らないままにしておきたいし
死は
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ベルファスト(2021年製作の映画)

4.7

- That wee girl can be a practicing Hindu, or a Southern Baptist or a Vegetarian Anti-Christ. But if>>続きを読む

ウェディング・ハイ(2022年製作の映画)

4.0

「色々な人生を背負ってきた色々な人が一同に会する場」として結婚式を捉える試みがとても面白かった。
そこで交わった一点をきっかけに、またそれぞれがそれぞれの人生を歩む。
その一点はその未来のことをなにも
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ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

5.0

ケイコの咆哮
それが、この映画の全てだ

ケイコは語らない
なぜボクシングを始めたのか?という問いには
会長が、しかも母からの伝聞で、答えるのみ
「壮絶ないじめ」は本人に語られも描かれもしないし
社会
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殺さない彼と死なない彼女(2019年製作の映画)

4.7

「ねぇ、未来の話をしましょう」

誰かが死んでも世界は変わらない
この世界では3秒に1人、貧困で人が死んでいる

「死にたい」
「愛されたい」
「愛したい」
三組の群像劇
映画はそれぞれの欠落と自己嫌
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そばかす(2022年製作の映画)

4.8

- “シンデレラ”ってどうなんだろうね

この映画は第一義的にセクシャリティについての映画である
それを普遍的な物語には回収しない
その上で、真に普遍的であるものの存在を
社会の常識/強者の論理に中指
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ELLEGARDEN : Lost & Found(2022年製作の映画)

4.5

僕は活動休止期間にthe HIATUSのライブをフェスで偶然見て、ものすごい衝撃を受け、そこからずっと細美武士信者です。
なので活動休止前のエルレを生では知らない。
先日のlost songs tou
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愛なのに(2021年製作の映画)

5.0

- 関係あります?わたしたちに、

「気持ち悪い!」と連呼する母親
「信じている」という警察
薄ら笑いを浮かべる友人
それに対して何もしていないのに、否定しないどころか「プライバシー」と答える多田!
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ちょっと思い出しただけ(2022年製作の映画)

4.1

「夜にしがみついて 朝で溶かして」

わたしたちは映画の登場人物ではない
日常は何も起こらない
別れた2人はもう一度出会わないし
死んだ妻とは二度と会えない

それでもあのなんでもない日々のひとつひと
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苦役列車(2012年製作の映画)

4.8

「おまえこの先、なんだってできると思ってるだろ。できねえよ。なんにもできねえんだよ。」

なぜこれほどまでに生とは不条理なのか
何もない
本当に何もない
何もないからこそ、手に入れたものをどうしていい
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スティルウォーター(2021年製作の映画)

4.8

- Life is brutal.

オクラホマの白人現場労働者と
フランスのインテリ舞台俳優
絶対に重なることのなかった二人が
マヤという存在を媒介しながらも
その人間の本質として交流していく
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MEN 同じ顔の男たち(2022年製作の映画)

5.0

(試写会の監督の言葉: 「有害な男性性」について男性監督が扱う意味について問われ)
“ Toxic masculinity. It is not news. It is obvious”

「君の責任
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おくりびと(2008年製作の映画)

4.2

- 美味いんだよなぁ、困ったことに

死の厳粛さと生と死の距離について
生者と死者のなしえなかった対話について
それらを祈るような映画だ

人生の数だけ死があり
死の数だけ残された生者がいる

こうし
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クーリエ:最高機密の運び屋(2020年製作の映画)

4.3

- Maybe we are only two people, but this is how things change.


「国家」という暴力装置
そこに働く力学は
そこに暮らす人々のことなど
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ある男(2022年製作の映画)

4.7

- じゃあ、、あの人は誰なんですか?

「人は変われるのか?」という問いに対して
「変われる」、と
そして「不可避の過去を乗り越えることは可能か?」という問いに対して
「可能だ」、と

言い切りたい。
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コンフィデンスマンJP 英雄編(2022年製作の映画)

4.0

いなくなってしまった人たちへの祈りのための映画だと思った
いつも通りの大どんでん返し
今までのキャスト大集結
相変わらずのボクちゃん
ラストの大騒ぎとその上を行く仕込みの示唆
次作へのワクワク感

ほんとうのピノッキオ(2019年製作の映画)

4.2

- よく考えて行動するのよ。きっと幸せになれる。

人間の浅ましさと世界の豊かさ、そして複雑さについての映画

良い人間もいれば悪い人間もいる
良いマグロもいれば
不可思議で少し意地悪な妖精もいれば
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すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

4.6

- 人の心の重さが、その土地を鎮めてるんだ

過去の死者を、そして世界を救った「君の名は」
世界のために個人が犠牲になることを拒んだ「天気の子」
そして新海誠が今作で行ったことは
「世界のために個人が
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余命10年(2022年製作の映画)

4.4

「あと10年しか生きられないとしたら、あなたは何をしますか?」

どこまでもパーソナルで、祈りみたいな映画だと思った

限られた生ゆえに人生を諦めた茉莉と
長すぎる生に絶望し生きることを捨てようとした
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モーリタニアン 黒塗りの記録(2021年製作の映画)

4.8

- In Arabic, the word for free and the word for forgiveness is the same word. This is how, even here>>続きを読む

実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)(2007年製作の映画)

4.7

- 俺たちみんな、勇気がなかったんだ!勇気が!

彼らの志向したものと
その過程•結果のあまりの距離に目眩がする
その目眩を、権力は見逃さない
志向したものは「総括」という手段ゆえにどこまでも矮小化さ
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永い言い訳(2016年製作の映画)

5.0

“人生は、他者だ”

生きているということはあまりに軽薄で
「死」という言葉が持つ厳粛さとの距離に
生きているものはただひたすらに慄く

「死」の運ぶ答えのない葛藤と後悔
たとえそれを届ける相手はもう
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Endless Waltz エンドレス・ワルツ(1995年製作の映画)

4.0

「ぼくは誰よりも速くなりたい
 寒さよりも、一人よりも、
 地球、アンドロメダよりも
 どこにいる、どこにいる、罪は、」

彼らはなぜこの世界で生きられなかったのだろうか
己の才能の狂気ゆえか
互い
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われに撃つ用意あり READY TO SHOOT(1990年製作の映画)

4.3

- 10.21のときに…あれみんな嘘だ
- まぁ、いいじゃない

10.21、新宿騒乱
革命のために青春と命を燃やした日々
ベトナムは救えなかった
見栄と虚勢で、思い出として残っていた

しかし、ベト
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