どらどらさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

死刑にいたる病(2022年製作の映画)

4.8

このレビューはネタバレを含みます

- こっち側に来たらもう戻れないからね

選択肢が奪われたなかで
選択させられるという暴力
背負わなくていい罪悪感を負わされ
人生は、破壊される

選択肢を奪うのも
そのなかで選択させるのも
実際に人
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大河への道(2022年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

- 忠敬さんのように一歩ずつ、一歩ずつ

伊能忠敬の偉業
その裏にある名もなきものたちの物語
そしていまを生きる名もなきものたちの物語
名もなきものたちが、歴史を、そしていまを作るのだ

______
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モロッコ、彼女たちの朝(2019年製作の映画)

4.5

- 死を悲しむ権利もない
- 女の権利は限られている

喪失を悲しむ権利をも奪われ、峻厳に、それも峻厳すぎるほどにしか生きられなかった
「未婚」であるという、たったその一点だけで、この世界では心を閉ざ
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アンダードッグ 後編(2020年製作の映画)

5.0

- やらせてくれよぉ、じゃないと俺… 会長、あんただってわかるでしょ?

戦わない理由はいくらでもある
現実は残酷だ
己は弱い
過去はどこまでも追い縋ってくる
逃げて、逃げて、逃げるしかない

でも逃
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アンダードッグ 前編(2020年製作の映画)

5.0

- 止めたらぶっ殺すぞ!!

このままでは終われない
噛ませ犬だと言われても
おふざけだと言われても
未来がどれだけ怖くても
コケにされたままで、終われるわけがない

全部の存在を懸けてリングにあがる
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アンモナイトの目覚め(2020年製作の映画)

4.8

- What about my life? My work?
( •••)You don’t understand me.

その「強さ」ゆえに社会から阻害されている女
全てを与えられ、それゆえに全て
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女子高生に殺されたい(2022年製作の映画)

5.0

- わたしの、贖罪

これはとある異常性癖の話でも
狂気の物語でもなければ
人間の心の不可思議さの物語でもない

ここにあるのは
そのすべてであり
連帯であり
なにより、わたしたちの「罪」の物語である
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サムサッカー(2005年製作の映画)

4.5

- Trick is living without answer.

「指を舐める」
彼の些細な癖は
その些細さゆえに周囲を苛立たせ、彼を追い詰める
彼の行為の奇妙さを、誰が笑えるだろうか

逃避、薬
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カモン カモン(2021年製作の映画)

4.5

- My feelings are inside me!

他者と自分は違う
わかりあえるというのは幻想で、違いこそ絶対的

子供は大人が思っているよりずっとわかっているし
大人は自分が思っているより
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やがて海へと届く(2022年製作の映画)

4.8

- 私たちには世界の片面しか見えてないと思うんだよね

「不在」
生者は不在に意味を与えようとする
生者は不在に物語を与えようとする
生者は不在をときに拒否しようとする
不在を死者から、奪おうとする
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アナザーラウンド(2020年製作の映画)

4.5

「失敗したあと自分の不完全さを認めること
 他者と人生を愛するため」

アルコールの本質ってなんだろうか
酔いによる気分の向上だろうか
依存症に代表されるネガティブな要素だろうか

この映画はそれは全
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TITANE/チタン(2021年製作の映画)

4.8

- 俺がついているぞ

狂気の映画だと思って観にいった
事実、それを裏切らない作品だった
しかしこれは狂気の映画であるともに
愛の映画だった

彼女は何から逃げているのか?

虚構の中にのみ真実は胚胎
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ジャンゴ 繋がれざる者(2012年製作の映画)

4.7

- Alexandre Dumas is BLACK

吹き荒れた暴力
肉体的なものに限らない
あらゆるかたちの、暴力
尊厳が、踏み躙られる

タランティーノはその負の歴史に対峙する
フィクションとし
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グランド・ブダペスト・ホテル(2014年製作の映画)

4.4

- There are still faint glimmers of civilization left in this barbaric slaughterhouse that was known>>続きを読む

ニトラム/NITRAM(2021年製作の映画)

5.0

- I can’t understand what you mean.
- Neither can I.

耐えられなかった
たったの2時間、彼の人生を追体験するだけのことが
彼の人生の「長さ」は当
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プラダを着た悪魔(2006年製作の映画)

4.5

- You can choose for yourself.

理想と現実
現実に忙殺され
私生活は崩壊
理想はいつの間にか消え、現実が理想になる

でも、本当にやりたいことってなんだっけ?
ファッシ
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逃げた女(2019年製作の映画)

4.5

- さようなら

「愛する人とは何があっても一緒にいるべき」
ガミと3人の女友達
永遠に続くかと思われる親密な時間

かき乱す男の存在
彼らは常に、何もわかっていない
彼女たちの考えも、なにより生きて
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夏への扉 ―キミのいる未来へ―(2021年製作の映画)

4.5

- ピートはまだ、夏への扉を探し続けている

過去と今と未来は繋がっている
前へ、前へ、前へ、
諦めない先に、奇跡は起きる

_____________________________
期待値が1だっ
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ハリエット(2019年製作の映画)

4.2

“I go to prepare a place for you”

Can you hear freedom calling?
このハリエットの生き様は
人間の尊厳を勝ち取る戦いだ

あらゆる所有に
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ゲキ×シネ「偽義経冥界歌」(2020年製作の映画)

4.5

「歌っている間だけは、俺の歌だ」

さまざまな困難のあったこの舞台、こうしてみられることに感謝

偽義経のアイデンティティをめぐる物語でもあり
生きているものの責任の物語でもあり
人間の愚かさの物語で
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地獄の花園(2021年製作の映画)

4.0

- 寝言こいてんじゃねぇよブス!!

いろんな永野芽郁を楽しむ映画
コメディなのか?アクションなのか?
はたまた「力を持ってしまった」運命の物語か?

バカリズム的なシュールな世界観と
予想の斜め上を
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戦争の狂気 中東特派員が見たガザ紛争の現実(2022年製作の映画)

4.4

「戦争は終わってからが地獄」
トラウデン直美さんと監督(オデッサから中継)登壇の、TBSドキュメンタリー映画祭にて

大きな主語で戦争を語る、両陣営の上層部
そこにあるのは「大義」と「作戦」のみ

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君が世界のはじまり(2020年製作の映画)

4.3

「ガンバレ!」

この世界で起こっていることは全部地続きで
テレビのあのニュースも
隣の人の涙も
自分の気持ちも
全部繋がっている

想像はできないかもしれないけど想像したい
だれもがそれぞれの現実と
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ミッドサマー(2019年製作の映画)

3.8

- We think of life like the seasons

文明の違和
私たちの文化は彼らにとっては気持ち悪い儀式で
私たちにとっての気持ち悪い儀式は彼らの文化
あらゆることは相対的で
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銀の匙 Silver Spoon(2013年製作の映画)

4.7

- なんとなく流されて、わかったふりしたくないんだよ

これは青春映画でも食育映画でもない
ままならないこと、わからないことと向き合う強さをくれる映画だ

誰かが大切に育てたものを、食べるということ
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ウエスト・サイド・ストーリー(2021年製作の映画)

4.5

“There’s a place for us …… somehow, some day, some where”

憎しみは、分断は、乗り越えられるのか?

軽やかに塀を越えるように
本当は、簡単に
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リップヴァンウィンクルの花嫁(2016年製作の映画)

5.0

「この世界はさ、本当は幸せだらけなんだよ」

世界から、転がり落ちていく
側からみたらあまりに簡単に
そして本人にはそうとは思えないさまで
堕ちるときは、あっという間だ

しかし本当にそうなのか?
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るろうに剣心 最終章 The Beginning(2021年製作の映画)

4.2

“さようなら、わたしの愛したふたりめのあなた”

これは覚悟の物語だ

斬る覚悟
斬られる覚悟
そして、斬らない覚悟

時代を創る覚悟
大切な人を守る覚悟

誰もが心に刃を持つ
その覚悟の刃を振るえる
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コーダ あいのうた(2021年製作の映画)

4.8

“GO!!”

これは愛の物語で、そして革命の物語だと思う

どちらの世界にもいることで
どちらの世界からも阻害された少女
片方の世界は彼女を手放そうとせず
片方の世界は彼女の侵入を拒む

わからない
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フェアウェル(2019年製作の映画)

4.3

“ハッ!”

優しい嘘と残酷な真実
中国とアメリカ
ルーツと育った環境の価値観

おばあちゃんは決して聖人君子ではない
古い価値観で、もしかしたら意地悪かもしれない
それでもおばあちゃんはおばあちゃん
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牛久(2021年製作の映画)

5.0

- どうしてこんなことするの??

収容者から語られる言葉
共感を拒む、体験の重み
その真実の重みの前に、わたしはなにができるのだろうか
このシステムを執行しているのも、許容しているのも、すべてわたし
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ジオラマボーイ・パノラマガール(2020年製作の映画)

4.1

“飛び出せハイウェイ、迷うぞサブウェイ”

東京はスクラップアンドビルド
昔からあったところは再開発
高いビルが今日も建つ

自意識は高まり
でも世界の複雑さはわからなくて
たしかなことは何ひとつない
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SNS-少女たちの10日間-(2020年製作の映画)

4.5

- 親の育て方が悪いからだろ

気持ち悪い
“少女”たちに絡みつく大人たちが
その大人たちが平然とした顔で隣を歩いていることが
“こんなこと”で追い詰められていく少女たちがいることが
それを、許容して
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ミナリ(2020年製作の映画)

4.3

- セリは雑草みたいにどこでも育つから

成功を夢見る父
家族を守るために戦う母
病気との戦いを強いられる弟
その全ての狭間で苦しむ姉

そして、
文字も読めず、英語も喋れず、料理もできず、下品でなん
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夢売るふたり(2012年製作の映画)

4.8

- 自分の足で道を作らないと人生は卑怯なことになるわよ

騙すもの、騙されるもの
最後まで騙され続けるもの
騙されているとわかりながら、嘘に縋るもの
嘘を許さないもの
嘘の先に、守られるもの

嘘を煮
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