どらどらさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

ゆれる(2006年製作の映画)

4.8

“腐った板が蘇り、朽ちた欄干が持ち堪えることはあるだろうか?あの橋は、まだかかっているだろうか?”

閉塞感
誠実に生きる人々の絶望と嫉妬
兄と弟

あらゆる人間が、ゆれている
嫉妬、焦燥、保身、罪悪
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ディア・ドクター(2009年製作の映画)

4.8

- 伊野を本物に仕立てようとしたのは、あんたらの方じゃないのか

「病を見て人を見ず」か
「人を見て病を見ず」か

偽物を本物にするのは本人なのか
はたまた周りなのか
では、「偽物」とは何なのだろうか
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あの頃。(2021年製作の映画)

4.5

“10代はかわいい。20代は超かわいい。30代は超超かわいい。”

あの頃は楽しかった
推しがいて、バカやって、仲間がいて

たくさんの卒業があるけど
大人になったら卒業はない
いつまでも続くようで
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犬部!(2021年製作の映画)

4.8

- 一人では世界は変えられませんよ

理想は常に現実に敗北する
一人の人間では、世界は変えることはできない
現実から逃げるか
現実に踏み潰されるか
現実に妥協するか

彼は諦めない
人に裏切られても
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はるヲうるひと(2020年製作の映画)

4.2

- 鈍感になるのかな?
- サラリーマン壮絶!
- 君らもそうでしょ?

世界を憎み、虚な暴力を振るう男
全ての罪を背負い、内面の破壊に怯える男
絶望を知り、世界に不感症となった女
そして、「なにもの
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ある人質 生還までの398日(2019年製作の映画)

4.0

“シリアからデンマークに逃れた人々の多くは僕よりずっと辛い経験をしている”

不条理な暴力、恐怖
国家の論理、そして国家の詭弁

それらを乗り越えるのは
家族の、二人称の、切実な論理だ

個人は国家を
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前科者(2022年製作の映画)

4.8

- あたしら前科者に必要なのは保護司じゃない。佳代ちゃんみたいな人だよ。

「更生」

走らされるレールははじめから障害物だらけで
まちがえて、まちがえて、
落ちるどころまで落ちて
やり直すきっかけな
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さがす(2022年製作の映画)

4.0

- それは有料コンテンツだね

父をさがす
生きる理由をさがす
死ぬ理由をさがす
真実を、さがす

どれだけはっきり見えていても
すべては脆く脆弱で
一瞬で崩れ去る

彼らは何をさがしていたのか?
_
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プラットフォーム(2019年製作の映画)

4.8

- 変化は決して自然には起こらない

分配すれば十分な量が
各々の強欲ゆえに奪い合い
圧倒的多数は餓えるのみ
階層社会=資本主義の極地

自然な連帯は生まれえない
システムへの反逆は、暴力によってのみ
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るろうに剣心 最終章 The Final(2021年製作の映画)

4.0

- 縁、お前を止めねばならぬ!

罪、恨み、赦し、贖罪
活かす剣、殺す剣
全ての鎖を断ち切り、未来へ

—————————————————————-
罪、赦し、償いという原作由来のテーマを圧倒的なアク
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タロウのバカ(2019年製作の映画)

4.5

- もう生死の判断つかねえ奴は全員殺したらいいんだよ

死の神話の解体
全ての死は無意味で
命は地球より重いなんて嘘で
国のための死も、虫けらの死もなくて
全ての死はただひたすらに、等質に無価値
つま
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ハウス・オブ・グッチ(2021年製作の映画)

4.6

-Gucci is what I say it is

“なにか”が蠢いている
人でも金でも権力でも名声でも嫉妬でも欲望でもなく
そしてそれらのすべてでもある
“なにか”が

全ての人間と感情が、そ
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最後の決闘裁判(2021年製作の映画)

5.0

- The truth does not matter.

女性の尊厳の問題が
生命と魂の危機が
男性の名誉の問題に
-それも”表層的な”名誉の問題に-
置き換えられ
それすらも、大衆のエンタメに変換
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二重生活(2016年製作の映画)

5.0

-…陳腐だな

生きていることの無意味さと横たわる虚無
それを見ないフリをするか
それを忘れるべく何かに打ち込むか
それを受け入れるか
いずれの選択肢をとっても、虚無から逃れる術はない

からっぽの人
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カリスマ(1999年製作の映画)

4.6

- それが生きる力と殺す力?でもそれって同じ力のことですよね?

「トロッコ問題」への黒沢清流の解
それはそもそも「人間がいなければいい」という極地

“カリスマ”を盲信し、全体を顧みないもの
全体を
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予兆 散歩する侵略者 劇場版(2017年製作の映画)

4.5

- こうして、侵略がはじまった

あらゆる概念を手にした”彼ら”と人間の違いは何か?
愛と、人間の弱さの肯定

たとえ世界が終わるとしても
それが人類への裏切りだとしても
それが人間の弱さの発露でしか
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ジョゼと虎と魚たち(2003年製作の映画)

4.8

- 深い深い海の底。うちはそっから泳いできたんや。あんたとこの世で一番えっちなことするために。

世界の恐怖
悪意、差別、暴力
他人と関わることが必然的に生む痛み
家を一歩でたそこには、“虎”がいる
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偶然と想像(2021年製作の映画)

4.8

「じゃあ、また」

人の数だけ人生はあって
正解不正解もなくて
傷つけあい、支えあい、生きている

その全ては偶然で
そしてときに想像で成り立っている

ただそれだけのことなのに
こんなにも美しい
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(500)日のサマー(2009年製作の映画)

4.2

- Coincidence. That's all anything ever is. Nothing more than coincidence.

“運命の恋”なんてない
映画やポップスが振り撒く
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音楽(2019年製作の映画)

4.5

- バンド、やらないか?

ベース2人とドラム
楽器なんてできやしない
歌だってない

それでも
この「音楽」は、世界に繋がっている

“せーーの”
_________________________
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NANA(2005年製作の映画)

4.0

「私は私のために今日まで歌ってきた」

強さと弱さと
強がりと甘えと
夢と現実と

ふたりが互いの鎖を解きほぐし
ふたりは”Glamorous Sky”へと
手と手を取り合って
強く、高らかに

__
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CURE キュア(1997年製作の映画)

5.0

- 最低だなぁ、あいつらなんにもわかってないんじゃない?

生きていくこと
それは苦しみを伴う
真の欲望/願望を包み隠し
なにもないかのように生きている

そんな世界で狂っていないことこそが狂っている
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ブレイブ 群青戦記(2021年製作の映画)

4.1

「自分を信じる」
「一所懸命」

守るべきもののため
命を懸けて
力の限り、戦う
その先に道は開ける

______________________________
山崎紘菜目当てで視聴
強い意志を感
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AWAKE(2019年製作の映画)

4.5

“強かった”

人工知能と人間どちらが強いのか?
簡単な問いに、流される。

夢敗れたものと夢を叶えたもの
追い上げるものと追い上げられるもの
背負うものの重さ
本当の強さとは、何か

“負けました”
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フリー・ガイ(2021年製作の映画)

4.8

- The point is we don’t have to be spectators of our lives, we can be whatever we want!

“FREE GUY”か
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空に住む(2020年製作の映画)

4.5

(あなたの夢は?)
-地に足をつけること

誰もが最低な人間
それぞれの理由で、それぞれの切実さを抱えて、
それぞれが一生懸命生きている
それだけだけれども、だからこそ、最低な人間
わたしたちは、絶対
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ボクたちはみんな大人になれなかった(2021年製作の映画)

4.2

- きみは大丈夫だよ、おもしろいもん

「大人になる」
多くの人間に与えられた選択肢は二つしかない
一つは現実に敗れ去ること
そして、現実に妥協すること

“何者かになれる”と信じていた日々はあっとい
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ノマドランド(2020年製作の映画)

4.2

- There’s no final “goodbye”

喪失も空虚も悲しみも
出会いも感動も喜びも
全てを乗りこなして

“ただいま”も”さよなら”もない旅へ
もう二度と会えない誰かともう一度会え
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ひらいて(2021年製作の映画)

4.7

- 愛ちゃん、怖い

エネルギーが溢れ出し、わけもわからぬまま走り出しそうになる
そんな映画に出会えた

「とじられた」欲望から「ひらかれた」欲望へ
「とじられた」行動から「ひらかれた」行動へ
「とじ
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恋する寄生虫(2021年製作の映画)

4.0

- 心がなくなるくらいなら、私は死んだほうがいい

世界に拒絶されたふたり
否、自らの人生にこそ阻害されているふたり

自分を変えることで世界に適合するのか?
自分を変えずに世界に適合するのか?

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私をくいとめて(2020年製作の映画)

4.6

- わたし、あの芸人さんになにもできなかった

1人でどこへだって行けるんだけど
1人でどこに行ったって楽しめるんだけど

寂しい、怖い、泣きたい、悔しい
そんなときに、もう1人いてくれたら
「私をく
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タイトル、拒絶(2019年製作の映画)

4.3

- それでも私は進む。進む。進む。足は止まらない。

タイトルがないのではない
タイトルを「拒絶」する

傷だらけで
痛くないふりばかり上手くなって
落ちて、落ちて、落ちて

それでも、生きる
歩みを
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ヒメアノ〜ル(2016年製作の映画)

4.7

- 何言ってんの?クソな人生はクソなままだよ?

ぶっ壊れてる
映画も、人も、車も、社会も、何もかも
全てを壊された人間のリベンジ
それは恨みなのか、嫉妬なのか、寂しさなのか、怒りなのか
はたまた、快
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彼女が好きなものは(2021年製作の映画)

4.8

- もしもこの世界に摩擦がなかったら、僕らは一歩も進めない

教室が肌触りのいい正論で溢れたとき
紗絵が体をすくめるように
僕も恥ずかしさでいっぱいになった
あそこで正論を無責任に撒き散らしているのは
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甘いお酒でうがい(2019年製作の映画)

4.2

- “私がオバサンになっても”、いい歌

1人でも生きていけるし
1人でも楽しいんだけど
1人では味わえない楽しさがあって
もうそんなものいらないと思ってたんだけど
そんなふうに思うときにどこか無理が
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燃ゆる女の肖像(2019年製作の映画)

4.5

- 愛ゆえの衝動よ

オルフェウスは振り返った
夫ではなく、詩人としての選択で
それが妻を永遠に失う行為だと分かっていても
その愛を、その思い出を、守るために

“振り返る”行為を糾弾するソフィ
振り
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