義民伝兵衛と蝉時雨さんの映画レビュー・感想・評価

義民伝兵衛と蝉時雨

義民伝兵衛と蝉時雨

パリでかくれんぼ(1995年製作の映画)

4.4

リヴェット監督らしい奇妙なダンス・ミュージカル。陰謀めいた摩訶不思議なるリヴェット節も案の定加わって、えも言えぬ独特な空気感に。ウキウキワクワクドキドキ。
鮮烈なパリ、鮮烈な女性達(取り分けナタリー・
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悪は存在しない(2023年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

抗えない人間世界の痛ましい有り様を浮き彫りにしたようなラストには、やはり、鋳型にいれたような悪人などそこにも存在せず、寧ろ最善と最善を尽くし合った結果のように思えた
殺人、紛争、戦争といった、人類の痛
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牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件 デジタル・リマスター版(1991年製作の映画)

4.6

恋愛 友情 家族
愛憎 闘争 葛藤
青い春の繊細な心の痛み
若き心の生々しきリアリズム

大人と子供
権力と不信
子供の世界の閉塞感や息苦しさ
ここにも心が引き裂かれるようなリアリズムがある

人間世
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ヤンヤン 夏の想い出(2000年製作の映画)

3.7

誕生、幼年、青年、壮年、老年、死別
人生の
夢や現実
表や裏
淡く儚い春の爽やかな郷愁
胸を引き裂く人生の不条理

資本主義社会の土俵の上では
絶え間なき
物質と精神の鬩ぎ合い
金と心の鬩ぎ合い

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大切なのは愛すること(1975年製作の映画)

3.6

資本主義社会、ライスワークに汚染されたライフワーク、
人生、無常、老い、男女、齟齬、愛情、渇望、孤独、憎悪、自己嫌悪、死、退廃、耽美、、、
マネー、セックス、ドラッグ、バイオレンス、写真、ポルノ、マッ
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死刑台のメロディ 4K リマスター・英語版(1971年製作の映画)

4.4

二十世紀初頭のイデオロギー闘争時代の冤罪事件を背景に、炙り出されるアメリカの暗部、引いては人間の本能の暗部。
国家、権力、闘争、弾圧、排他、保守、、、
暴利、暴力、独占、欺瞞、謀略、偽善、、、

それ
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ラ・カリファ(1970年製作の映画)

3.2

モリコーネのベスト版でテーマ曲を初めて聴いた時から、ずっと恋焦がれていた「ラ・カリファ」。
念願叶い待望の初鑑賞も、
自分の頭の中で長年かけて熟成されてきた、この曲の音色の持つ甘美な郷愁感と、本作への
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戦場のメリークリスマス 4K 修復版(1983年製作の映画)

4.0

国家という共同幻想に踊らされた者達
言い換えれば、
権力者達の掌で踊らされた大衆
従属者達にとって戦争とは愚にもつかぬ魂の浪費
権力者達が暴利を貪り合う戦争というマネーゲームに搾取された個人の時間
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愛していると伝えて(1977年製作の映画)

4.4

愛のエゴイズム、そしてその齟齬

狂愛、病的、妄想、発作、激情
狂熱、盲目、妄信、独善、詩情
所有欲、ストーキング、記憶の改竄
一途、操守、高潔、玲瓏、純愛、、、

愛に狂った男の見た、
理想や現実、
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

3.7

アメリカン・プロメテウス

底無しの欲望、権力への意志、闘争本能、共同幻想、etc...

人類の性質

有史以来真っ赤に染まり続けて止まない我らの足跡
時は巡り、78年前のピカドン、人類史上最悪の
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ゴッドランド/GODLAND(2022年製作の映画)

3.8

国家、植民、布教、
言語、コミュニケーション、隔絶、
不信、怯懦、憎悪、、、
偏狭なる我らの営み

空、海、川、雪、火山、
馬、犬、少女、、、
壮大なる自然の営み

断絶された
人 と 人
人 と 神
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絞死刑(1968年製作の映画)

4.7

権力者の犬、民衆の無知
無意識の暴力
神気取る善悪、思考停止した群衆
法律というものの欺瞞性
概念というものの抽象性
国家という共同幻想の悍ましさ
それとは裏腹に、覚醒した死刑囚Rが覚知した真の愛情や
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オディールの夏(1994年製作の映画)

3.4

青空、落葉、テニスコート、、、
瑞々しい春の性欲と、
死を目前に悟った老境の吹っ切れ、
言うなればミレール監督版「生きる」?

ポランスキー夫人エマニュエル・セニエの美しき裸体と、ジャン=ピエール・マ
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去年マリエンバートで(1961年製作の映画)

4.6

迷宮の如き記憶の旅
亡霊の如き過去の冷気

夢幻的なフラッシュバックや滅裂な観念
妄想や現実が錯乱する奇怪な不協和音

記憶の改変や忘却による心痛の回避
自己正当化や自己欺瞞に陥る人間の普遍的な心の弱
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輪舞(1950年製作の映画)

4.4

輪舞
円環
男女関係
恋の季節
運命の悪戯
愛の芸術

長回し、カメラワーク
ストーリー展開
巡る、巡る、音色
セット、衣装、美術
どこもかしこも、耽美、耽美、耽美
夢現な情景に、うっとり、陶酔

美しき仕事 4Kレストア版(1999年製作の映画)

4.3

荒野

太陽
異国と外国人部隊
筋肉、肉体美、オペラ
夜、女、ダンスホール
閉鎖的で単調な訓練の日々
やり場のない心、その暴走
憧憬、羨望、嫉妬、怨恨
そして、因果応報
他への所業は、必ず自己の心に
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季節のはざまで デジタルリマスター版(1992年製作の映画)

3.9

幼少時代、思い出、郷愁、時空、甘美、音楽、ユーモア、レナート・ベルタ、 、、、
サミー・フレイ、イングリッド・カーフェン、ウリ・ロンメル、らを筆頭に、びっくり箱のような豪華なキャスト、それをシュミット
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デ ジャ ヴュ デジタルリマスター版(1987年製作の映画)

4.5

デジタルリマスター版にて再鑑賞
歴史
亡霊
時空
前世
夢幻
耽美
退廃
ロケ
音色
、、、
そしてラストカット
シュミット&ベルタの魔術的な黄金の映像美
鮮明に蘇ったリマスター、大スクリーンも相まっ
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トア(1949年製作の映画)

4.2

男女と喜劇
人生と演劇
伝家の宝刀メタ要素の極地とも言えるべき、ギトリの巧妙な仕掛けの中で見る、登場人物達の目を見張るような掛け合い!
愛や苦や芸や笑
そして鮮やかなる大円団!!

ある正直者の人生(1953年製作の映画)

4.4

双子 分身 表裏
現在と羨望
過去と後悔
理想と現実の鬩ぎ合い
二兎を追うものは一兎も得ず
老境の悲哀
ギトリ人生哲学の対岸を見せる悲喜劇
ある正直者の人生への挽歌
アイロニカルなユーモアに笑い
名優
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夢を見ましょう(1936年製作の映画)

4.5

究極の話芸映画
ほぼひとりでべしゃり倒すギトリ
圧巻のモノローグ
ギトリ話芸の真骨頂
簡潔で洗練されたストーリーの輪郭の中を見事なまでに埋め尽くすギトリの楽しい言葉達は、これまた見事なまでに善悪を軽々
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二羽の鳩(1949年製作の映画)

4.1

豪華なスタッフ・キャスト紹介から始まる
二羽の鳩と、ギリトの屈強な人生観
分身性や、生楽
女性達との軽快な掛け合いに、奔放で快活な欲望
生きることへの力強さと、生の楽しさを、これまた笑いたっぷりな話芸
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ジャン=リュック・ゴダール/遺言 奇妙な戦争(2023年製作の映画)

4.1

写真
絵画
文字
音楽
ナレーション
映像
過去
現在
未来
観念
隠喩
記録
コラージュ
モンタージュ
不変なる反骨なるイメージ集に鳥肌
映画と戦争
画と音の匠なシンクロに目を見張り続けた

ZOO(1985年製作の映画)

3.0

カオスとシンメトリー
腐敗とフェルメール
動物、シャム双生児、26、、、
白鳥、レダ、ディオスクロイ、、、

暴力的なまでに抒情的な映像表現

画の凄まじさは言わずもがな、
しかしそこに意義までは見出
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私の父は正しかった(1936年製作の映画)

4.1

父から息子
息子から孫

欲望に抗わぬ
率直な生き方
その遺伝や伝導

人類の普遍的エゴイズムの寛恕!
脱教条主義的な生き方!
快活なる軽薄!

相も変わらずにべしゃり倒すギトリの超軽快室内会話喜劇!
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ヴェルクマイスター・ハーモニー 4Kレストア版(2000年製作の映画)

4.6

4K版にて再鑑賞

繰り返される
人間社会

政府と民衆

秩序と統制
搾取と権力

未知と恐怖
無知と暴力

慣習と概念

破壊と再生

そこにまた
破壊と再生

繰り返される
破壊と再生

そこに
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これで三度目(1952年製作の映画)

3.7

そっくりさん、
アラブ王、
枢機卿に扮する劇役者、
これで三度目の、、、寝取られ。

二度あることは三度ある、、、
ダメ夫の三度の悲劇、、、

豪華絢爛なスタッフ・キャスト紹介
ナイトクラブのトリック
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群盗、第七章(1996年製作の映画)

3.6

人類の争事、
それとは裏腹な、
人の奏でる楽の音色。

俗界の禍事、
それとは裏腹な、
超然とした心境。

イオセリアーニ監督らしい力強さ溢れるユーモアが反映するこの世界。

そして、幾重にも重なった
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ボブ・マーリー ラスト・ライブ・イン・ジャマイカ レゲエ・サンスプラッシュ デジタルリマスター(1980年製作の映画)

3.6

月夜に舞う気高きドレッド。
ルーツ、ロック、レゲエ、魂の解放、ラスタファリズム、アンチバビロン、ガンジャ、アフリカ回帰、先祖から脈々と受け継がれてきた掛け替えのないDNA、黒人の本来的な魂の波動、奴隷
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エル・スール(1982年製作の映画)

4.3

スペインの内戦、国民や家族間の断絶、父と息子。
女優と南部、彼岸への郷愁や夢想、父と娘。
過酷な現実、逃避、死、原点回帰。
首尾一貫した重厚なリズム、途轍もない完成度の高さ。味わい深い人間らしさが静か
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ノスタルジア 4K修復版(1983年製作の映画)

4.7

4K修復版にて3度目の鑑賞。
業火の如き俗人に囲まれた詩人の倦怠、
群衆の開眼を願う崇高なる魂の叫び、
科学的合理主義が及ぼした虚無感の蔓延する現代社会、だからこそ、改めて顧みる人類にとっての彼岸に対
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羅生門(1950年製作の映画)

4.4

タイトルは「羅生門」だが、主は『藪の中』の映画化。
しかし、”道徳”や”善悪”という概念の欺瞞性や、人間の生への理屈抜きの意志、その力強さといった、芥川の『羅生門』の持つテーマもしっかりと核に存在して
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影の車(1970年製作の映画)

3.5

色欲、不倫、男と女、
彼方に取り残された子供の心。
岩下志麻の妖艶さ、
加藤剛の色気、
美しき山々の紅葉、
そこに「震える舌」にも通づるような不穏さ。
回想、アングル、劇伴、
徐々に音量を増していく不
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瞳をとじて(2023年製作の映画)

4.6

人生も絶え間なく春から秋へと向かい、現在眼前にある光景もいずれ遠い過去の記憶へと色褪せていく。
それと同様に、映画芸術という文化も、フィルムからデジタルへ、映画館からストーミングサービスへ、量産的で軽
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Here(2023年製作の映画)

3.4

苔、スープ、雨、緑、夢、音、
ブリブリです、とも言わんばかりの、
”研ぎ澄された潜在的感覚”、その映像表現、
「ゴースト・トロピック」から変わらずに根底を貫く自然美や超自然、
自然回帰へと思いが馳せて
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ゴースト・トロピック(2019年製作の映画)

3.3

ファーストショット、その後の夕焼け、
息を呑むような美しい流れ、それだけに竜頭蛇尾な印象を受けたことも否めない、
アケルマン監督「一晩中」ならぬ、
現代社会、ブリュッセル、中年女性の一晩の思いもよらな
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