義民伝兵衛と蝉時雨さんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

ボブ・マーリー ラスト・ライブ・イン・ジャマイカ レゲエ・サンスプラッシュ デジタルリマスター(1980年製作の映画)

3.6

月夜に舞う気高きドレッド。
ルーツ、ロック、レゲエ、魂の解放、ラスタファリズム、アンチバビロン、ガンジャ、アフリカ回帰、先祖から脈々と受け継がれてきた掛け替えのないDNA、黒人の本来的な魂の波動、奴隷
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エル・スール(1982年製作の映画)

4.3

スペインの内戦、国民や家族間の断絶、父と息子。
女優と南部、彼岸への郷愁や夢想、父と娘。
過酷な現実、逃避、死、原点回帰。
首尾一貫した重厚なリズム、途轍もない完成度の高さ。味わい深い人間らしさが静か
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ノスタルジア 4K修復版(1983年製作の映画)

4.7

4K修復版にて3度目の鑑賞。
業火の如き俗人に囲まれた詩人の倦怠、
群衆の開眼を願う崇高なる魂の叫び、
科学的合理主義が及ぼした虚無感の蔓延する現代社会、だからこそ、改めて顧みる人類にとっての彼岸に対
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羅生門(1950年製作の映画)

4.4

タイトルは「羅生門」だが、主は『藪の中』の映画化。
しかし、”道徳”や”善悪”という概念の欺瞞性や、人間の生への理屈抜きの意志、その力強さといった、芥川の『羅生門』の持つテーマもしっかりと核に存在して
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影の車(1970年製作の映画)

3.5

色欲、不倫、男と女、
彼方に取り残された子供の心。
岩下志麻の妖艶さ、
加藤剛の色気、
美しき山々の紅葉、
そこに「震える舌」にも通づるような不穏さ。
回想、アングル、劇伴、
徐々に音量を増していく不
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瞳をとじて(2023年製作の映画)

4.6

人生も絶え間なく春から秋へと向かい、現在眼前にある光景もいずれ遠い過去の記憶へと色褪せていく。
それと同様に、映画芸術という文化も、フィルムからデジタルへ、映画館からストーミングサービスへ、量産的で軽
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Here(2023年製作の映画)

3.4

苔、スープ、雨、緑、夢、音、
ブリブリです、とも言わんばかりの、
”研ぎ澄された潜在的感覚”、その映像表現、
「ゴースト・トロピック」から変わらずに根底を貫く自然美や超自然、
自然回帰へと思いが馳せて
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ゴースト・トロピック(2019年製作の映画)

3.3

ファーストショット、その後の夕焼け、
息を呑むような美しい流れ、それだけに竜頭蛇尾な印象を受けたことも否めない、
アケルマン監督「一晩中」ならぬ、
現代社会、ブリュッセル、中年女性の一晩の思いもよらな
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枯れ葉(2023年製作の映画)

4.5

世界ノ中心ハ私トあなたノ間、
雨ニモ負ケズ、風ニモ負ケズ、
人類ノ愚カシイ争イ事ニモ負ケズ、
ペシミスティックなこの世界の中にも、きっと美しい花は咲く。

枯葉舞い散る木枯らしの中で合わせる肌の温もり
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境界線(1966年製作の映画)

4.0

ナチス・ドイツ占領下のフランス
ナチス支配地区とフランス自由地区との境界線の人間模様
豪華俳優陣による群像劇的な掛け合い
ジーン・セバーグの美しさが取り分け鮮やかに脳裏に蘇る
戦争映画らしい、そしてシ
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明日はない(1939年製作の映画)

4.4

ひとりの女性の人生の泥沼模様、

森、山、雪、
希望への追憶や憧憬、

嘘、愛、霧、
人間の複雑な感情、

錯綜する光と闇、希望と絶望、

未来へと進み行く列車、
それをプラットホームから見守る母とし
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ジャガーの眼(1965年製作の映画)

3.9

マリー=シャンタル!
ガール!
スパイ!
アクション!
コメディ!
B級!
滑稽!
快活!
遊び心!
カメラワーク!
オマージュ!
マブゼ!
ヒッチコック!
あの日あの時のスパイ映画!

シャブロル監
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悪魔のシスター デジタルリマスター版(1973年製作の映画)

3.2

耽美的な不穏さや、なんとも言えぬ滑稽味

シャム双生児の心の地獄

スプリットスクリーンや、モノクロ回想

活き活きとした躍動感が全体に漲っているデ・パルマ初期スリラー。

みなに幸あれ(2023年製作の映画)

3.5

人間社会の

無知や搾取

幻想や真実

幸福や不幸

理想や現実

俗物や芸術

資本主義の豚、或いは資本主義の奴隷たちの、狂乱の舞

垣間見える普遍的な人間社会の仕組みや営み

役者陣の面白味、超
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悪意の眼(1962年製作の映画)

4.0

憧憬、羨望、嫉妬、、、
飲めば飲むほど渇きを催す、
海水のような、他者への視線、
内側に目を向けずに、外側にばかり目を向けた男が、転落した奈落、
欲望に振り回される者は、いつしか己も業火に巻かれている
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

3.7

ベルリンの街を見下ろすブルーノ・ガンツ、

ならぬ、

東京の空を見上げる役所広司、


愛も変わらぬ、天使の詩


精神を研ぎ澄まし、

世界に意識を向けてみれば、

万物に遍く漲っている詩情、
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素晴らしき日々も狼狽える(2022年製作の映画)

2.7

WALK INN FES !
その擬人化や、全編を包む透明感
『僕らの街は、僕らで創る』

多数のバンドマン達の走馬灯の如き残像

横山健
TOSHI-LOW

東北ライブハウス大作戦
幡ヶ谷再生
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神の道化師、フランチェスコ(1950年製作の映画)

4.8

4K版Blu-rayにて再鑑賞。

自然、
持続、
風雅、
人間、
鍛錬、
静謐、

フランチェスコの涙、

ジネプロの微笑、

修道士達の十の純朴な舞い、

燃え盛る魂の暖かさ、

優美なるコミカル
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神の道化師、フランチェスコ デジタル・リマスター版(1950年製作の映画)

4.8

鮮烈なる映像彫刻!これぞモノクロ美の極地!= 映像美の極地!
13世紀当時のアッシジに実際にタイムスリップしたかのような生々しさ、
神の道化師、フランチェスコと仲間達、
その純朴さ、その健気さ、その愚
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レースを編む女(1977年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

無垢な少女
海と休暇
青い春の恋愛

初体験
同棲
大人への階段

幸せを感じる平凡な日々

しかし徐々に生じるズレ

労働者と大学生
浮き彫りになっていく精神的な距離
凡庸さとインテリジェンス
埋ま
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ヴィオレット・ノジエール(1978年製作の映画)

4.1

抑圧と反発
焦燥と解放
鬱屈とした閉塞感の中
闇堕ちした若きユペール嬢から放たれる
彼岸花の如き毒々しい美

少女の悲劇?復讐?妄想?反骨?サイコ?嘘?でっち上げ?

本心は闇に包まれる、、、

時系
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盗むひと(1966年製作の映画)

4.3

ロケーション、
エキストラ、
撮影、カメラワーク、、、
ダイナミズム溢れる映像の数々、
圧巻のモノクロ映像美、

その中に見える、
ロミー・シュナイダーの超名演技、
ピコリとの阿吽の呼吸の原点?

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嘘の心(1999年製作の映画)

3.8

小さな田舎町の中で、

人間関係とは切っても切り離せない”嘘”というものに翻弄される人々の模様、

噂話、邪推、神経過敏、人間不信、ノイローゼ、パラノイア、、、

同時に垣間見える
十字架の如き?
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十日間の不思議(1971年製作の映画)

4.1

自然、美術、構図、
カメラワーク、長回し、
編集、斬新さ、
流麗な映像の繋がりに釘付けになった。

金、権力、君臨、
神、崇拝、狂信、
不安、退廃、耽美、

権力の権化とも言えるようなゴッドファーザー
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ヨーロッパ2005年、10月27日(2006年製作の映画)

3.3

自然物、人工物、
犬、鳥、科学、
明暗、カメラワーク、
反復、ズレ、、、
“パリ郊外暴動事件”の発端となった事件の起こった変電所を捉えるカメラ、
社会の不条理への静かなる激り、、、

あの彼らの出会い(2006年製作の映画)

4.5

ギリシアの神々と人間

原初の生成、カオス、ガイア、、、
ティタンの神々とオリュンポスの神々、
女の誕生、そして人類の災い、、、

人間の語る神話、神々に取ってそれは、単に概念化され単純化された、取る
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一寸先は闇(1971年製作の映画)

3.4

誘惑と出来心
悪業と秘密
祟りと業火
自責と告解
友情と信頼
苦悩と贖罪
愛情と解放

”焦熱地獄”とでもいうかのような、
「肉屋」から繋がるテーマ、
業火からの解放の物語に引き込まれた。

VORTEX ヴォルテックス(2021年製作の映画)

3.7

刹那なる生命
無常なる人生
風にゆらめく蝋燭の如く

時空の流れ
肉体も精神も右肩下がり
次第に襲い掛かる病
医療の発達による老化防止も結局は薬漬け

延命も麻薬と同じように
脳を萎縮させ
健常時のよ
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夢二 4Kデジタル完全修復版(1991年製作の映画)

4.1

大正浪漫
竹久夢ニと女達
モダン
レトロ
紙風船
神輿

ボート
大鎌
ピストル
ダンス
美人画

宵待草
耽美
官能
夢幻
デカダン
愛すべき祖国のノスタルジアから響き渡るエレジーはここにも

ヘル・レイザー 4Kデジタルリマスター版(1987年製作の映画)

3.3

兎にも角にも、
魔道士達のビジュアルと、効果音など音響、
そしてイルネスな雰囲気の退廃的な耽美さ、

エロスとゴア、
切っても切り離せない、
快楽と苦痛の関係性、
ある者には天使、ある者には悪魔、
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陽炎座 4Kデジタル完全修復版(1981年製作の映画)

4.7

人間
男女
色恋
情欲
官能
妖艶
絢爛
幽玄
夢幻
耽美
退廃
愛憎
怨恨
冥府
魔道
地獄

極まる男と女
極まる生と死

作家
愛人
恋慕
心中
ホウズキ
菊花
貴族
パトロン
狩猟
祭囃子
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肉屋(1969年製作の映画)

4.2

長閑な田舎町、
闇夜に不穏にゆらめく、
PTSDの業火、
純愛なる腹切、
涙と接吻、
無情なる夜明け、
失意の能面、、、

「美しきセルジュ」を想起させるようなフランスの美しい田舎町、
ステファーヌ・
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Neurasia(原題)(1969年製作の映画)

3.5

愛情、欲望、妖艶、悪魔、崇拝、狂気、生と死、
観念的、モノクロ、演劇、音楽、ダンス、実験性、
若き日のシュレーター組の足跡。

主な楽曲
ヨハン・シュトラウス1世「ラデツキー行進曲」
ヨハン・シュトラ
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新学期・操行ゼロ(1933年製作の映画)

4.4

大人 vs 子供!
権力 vs 自由!
統制 vs 放埒!
全体主義的管理システム vs アナーキズム!
FUCK 老ぼれ教師!
FUCK 老ぼれ聖職者!
FUCK 老ぼれ政治家!
未来ある若者達の自
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競泳選手ジャン・タリス(1931年製作の映画)

3.9

水泳・プール、肉体・水、
世界チャンピオン
ジャン・タリスの映像彫像。
スローモーション、逆再生、アヴァンギャルド、ユーモア、、、
心唸るような天才的映像表現が、徹頭徹尾心を離さない。

ニースについて(1930年製作の映画)

4.2

90数年前のニースで生きる人々の光景、
習俗、人間の普遍的な側面も垣間見える。

躍動感、臨場感、生々しさ、瑞々しさ、鮮烈さ、無音、ユーモア、カメラワーク、モンタージュ、、、

天才的な映像表現に目を
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