義民伝兵衛と蝉時雨さんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

あゝ決戦航空隊(1974年製作の映画)

3.8

十代の頃に好きだった作品。
4K版にて十数年ぶりに再鑑賞。

鶴田浩二を筆頭とする東映オールスター・キャストによって、特攻の父・大西瀧治郎の生き様・死に様が中心に描かれた反戦巨編。

神風特別攻撃隊の
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アシク・ケリブ(1988年製作の映画)

4.6

世界、世情、人間、繰り返される歴史、
その中での真の詩人達の普遍的な立ち位置、
遍歴、脱俗、超俗、真の詩人達が旅する茨の道、
俗世、はたまた常識、はたまた資本主義社会 、そういったものの番外地で、
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トロイアの女(1971年製作の映画)

4.4

エウリピデスの傑作悲劇『トロイアの女』の映画化。ギリシャ人の映画監督だけあって、ロケーションや配役から既に見事だし、コロスの存在感など、ギリシア悲劇の世界観が素晴らしいセンスによって映画化されている。>>続きを読む

ぼくの小さな恋人たち 4Kデジタルリマスター版(1974年製作の映画)

5.0

草木 新緑 豊穣
心身 潤い 実り
接吻 夕暮 黄金 
無垢 刹那 郷愁 

映画史で一際美しく輝く、魂の震えるような接吻シーン。

繊細さ極まる少年ユスターシュが見た、甘美な憧憬と、ほろ苦い現実。
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サンタクロースの眼は青い 4Kデジタルリマスター版(1966年製作の映画)

4.1

4K版にて再鑑賞。
「ぼくの小さな恋人たち」へと繋がり、
「ぼくの小さな恋人たち」から繋がる、
ユスターシュ監督が思春期を過ごしたナルボンヌでのほろ苦い思い出。
そして、ジャン=ピエール・レオと共にパ
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わるい仲間 4Kデジタルリマスター版(1963年製作の映画)

4.0

4K版にて再鑑賞。
生々しいパリ、鮮やかなモノクロ、臨場感溢れるゲリラロケ撮影、その場に居合わせているかのような新鮮な会話、鮮烈な青年期の心境、ヌーベェル・ヴァーグの純血とも言えるような瑞々しさと活気
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アル中女の肖像(1979年製作の映画)

4.4

女 I 男
夜 I 昼
西 I 東
幻想 I 現実
観念 | 実体
彼岸 I社会
欲望 l 理性
本質 l 体裁
悪 I 善
etc...



分断、分裂、孤独、酒、飲んだくれ、酔狂、放埒、破壊、
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怪人マブゼ博士/マブゼ博士の遺言(1932年製作の映画)

4.4

ニヒリスト超人マブゼ博士を崇拝する精神科医バウム教授率いるテロリスト集団 vsベルリンを震撼させたあの「M」事件を担当した名警視ローマン!テロリズム vs ナショナリズム。
「ドクトル・マブゼ」×「M
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M(1931年製作の映画)

4.5

幼女誘拐魔(サイコパス) vs 裏社会の住人達(アウトロー) vs 警察(国家権力)
今尚他の傑作フィルム・ノワールを凌駕し続ける色褪せることなき内容の面白さ
ピーター・ローレを始めとする役者陣の一流
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ドクトル・マブゼ(1922年製作の映画)

4.5

272分版鑑賞。
超能力、催眠術、交霊、オカルト、変装、カジノ、ブラックジャック、ドラッグ、酒、幻視、ギャング、警察、盲、偽札、誘拐、銃撃戦、力への意志、退廃、1922、ドイツ表現主義、娯楽活劇、超大
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キエフ裁判(2022年製作の映画)

3.2

無知というものの暴力性。そしてその代償。この後、ソ連国民も知らず知らずの内に、国家に無知を搾取される。そして今も正にロシアは...。他人事だと思っていたら、『明日は我が身』が、この世の鉄則。第二次世界>>続きを読む

東京裁判(1983年製作の映画)

4.6

『勝てば官軍、負ければ賊軍』、それがこの世の習わしながらも、戦勝国・敗戦国共に決して正当化するべきではない他者への残虐行為。

法、秩序、道徳、善悪、など、など、人間や社会が規定する”正義”というもの
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アルゴ探検隊の大冒険(1963年製作の映画)

2.5

特撮の巨匠レイ・ハリーハウゼンが手掛けたギリシア神話“アルゴナウタイ伝説”を原作とした特撮アドベンチャー。兎にも角にも、見所は特撮に尽きる。ギリシア神話としての期待を膨らませて観ると肩透かしを喰うが、>>続きを読む

アデュー・フィリピーヌ 2Kレストア(1962年製作の映画)

4.2

夏 ヴァカンス 友情 恋愛 青春 出会いと別れ 人生 人間 喜怒哀楽 大自然 太陽と月 自然体 即興 ブリアリやピコリさえもカメレオンの如く自然に馴染んだカメオ出演 淡い夏の思い出 侘び寂び 諸行無常>>続きを読む

バルドー/ゴダール 2Kレストア(1963年製作の映画)

2.9

ゴダール、BB、ピコリ、バランス、ラング、ロジエ、60年代初頭、あの熱き日のカプリ島、ヌーヴェルヴァーグの絶頂期、遠い昔、諸行無常、鮮やかな回想に浸る。

パパラッツィ 2Kレストア(1963年製作の映画)

3.1

ゴダール、BB、パパラッチ in あの熱き日のカプリ島にて by ロジエ。BB人気絶頂期の光景、大スターを執拗に追い続けるパパラッチとは如何なる徒輩なのか? 人間を見つめる人間をこれまた見つめる。

フィフィ・マルタンガル デジタル・レストア(2001年製作の映画)

3.5

月 犬 人。
演劇 即興 ギャンブル 命運 音楽 自由 喜劇 偶然 人生 予測不能 自然体 無常。 = 生き物。
若き日から晩年まで、その監督人生の中で、首尾一貫して突き詰め、表現し続けた、その徹底的
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メーヌ・オセアン 4Kレストア(1985年製作の映画)

4.6

「譲れはしない、この夜だけは」と言わんばかりの愛おしい時間と空間。現実世界の中に真に存在するような、蜜の甘さのようなささやかな幸福感が、波のように寄せて、魔法を解くかのように朝日が登る。   

太陽
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さらば、わが愛/覇王別姫 4K(1993年製作の映画)

4.1

京劇と中国近代史

芸術と闘争
愛と涙
永遠と無常

激動の二十世紀

豪華絢爛、耽美、伝統芸能

レスリー・チャン、コン・リー、極名演

人間世界の美醜が鮮烈に浮かび上がってくる

トルテュ島の遭難者たち 4Kレストア(1976年製作の映画)

3.9

ヴァカンス、旅、冒険、文明の彼方、
行き当たりばったり。
山、川、海、太陽と月、生の源泉、太古のリズム、自然回帰。
ユーモア、フリーダム、リアリズム、
即興。
万事、終始、予測不能なスクリーン上。
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天使の影(1976年製作の映画)

4.0

名コンビ ダニエル・シュミット & レナート・ベルタに、ファスビンダー、イングリット・カーフェン、その他ファスビンダー組の豪華な顔ぶれによる「ゴミ、都市そして死」の映画化。資本主義社会、カモフラージュ>>続きを読む

軽蔑(1963年製作の映画)

4.4

資本主義社会・物質主義社会・消費社会。欲望渦巻く現代社会の中での、愛と芸術、そして憎しみと金。

ユリシーズ(オデュッセウス)、ミネルヴァ(アテナ)、ネプチューン(ポセイドン)。
ホメロス、ダンテ、ヘ
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アンティゴネ~ソポクレスの《アンティゴネ》のヘルダーリン訳のブレヒトによる改訂版1948年(1992年製作の映画)

4.1

ソポクレス〜ヘルダーリン〜ブレヒト〜ストローブ=ユイレ 〜 そして現代人へ。神さびた思考のバトンのリレーによって、普遍的警鐘が、文明や科学が過度に発展した現代社会の人類の性にも捧げられる。権力者、民衆>>続きを読む

ルートヴィヒ 完全復元版(1972年製作の映画)

4.2

「霊魂の不滅と、神の正義を。
人間は唯物主義に満足できない。
獣に堕すことは望まぬ。」

ヘルムート・バーガーの集大成。

豪奢、放埒、退廃、耽美
美術、装飾、ロケセット、ロケーション
再現性、忠実性
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ザ・テーブル(1991年製作の映画)

3.8

詩人達が集い炉を囲む至福の夜。饗宴の残り香の心地良い余韻が漂う真夜中の静けさ。その中に見える燃え盛った後の松明の燃えさしの如きメカス一家のこの上なく暖かい仄かな幸福の光。家族、友人、愛猫、愛の籠ったホ>>続きを読む

アメリカの影(1959年製作の映画)

4.3

1959年、NY、マンハッタン、ハーレム、ブラックコミュニティ、黒人、素人俳優、シナリオ無し、即興演出、ゲリラ的ロケ撮影、躍動感、臨場感、リアリズム、クローズアップ、ユーモア、愛、Jazzyな反骨の眼>>続きを読む

オープニング・ナイト(1978年製作の映画)

4.8

傷だらけの天使 ならぬ 傷だらけの女優 in NY ブロードウェイ オープニングナイト 1977。
人生、老い、死へと絶え間なく続く道のり、光り輝いてゆく過去、諸行無常、森羅万象の普遍性。
人間、真実
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リヴァース・アングル ニューヨークからの手紙(1982年製作の映画)

3.3

ヴェンダース in NY
映像作家、映画制作、アメリカ、TV、ミュージック。
スタイリッシュな連なり。

幸せな人生からの拾遺集(2012年製作の映画)

3.6

詩人の魂の断片が結われた映像詩集。
過去への追憶から現実の萌芽。
閃光の如き詩情の渦。

楽園のこちら側(1999年製作の映画)

3.8

メカスとジョン・F・ケネディ家母子の思い出。海、バカンス、家族、歴史、ウォーホル、ストーンズ、愛犬、豊穣の海辺を飛び跳ねる天使の如き瑞々しい魂達、そして黄昏。才気迸る編集。遍く詩情が漲っていて胸が震え>>続きを読む

こわれゆく女(1974年製作の映画)

4.1

ジーナ・ローランズの名演技、ピーター・フォークの存在感。家族、夫婦、親子、同僚、人の間にある愛や孤独や狂気や倦怠や埒や箍、喜怒哀楽。カサヴェテス監督らしいクローズアップやユーモアが終始期待を裏切らない>>続きを読む

フェイシズ(1968年製作の映画)

4.5

傷だらけの天使 ならぬ 傷だらけの人間たち in USA 1968。
夫婦、配偶者と愛人、友人、旧世代と新世代、老いと若さ、重さと軽さ、ロボットとダンス、絶望と希望、生へのエネルギー、愛、孤独、顔どア
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ラヴ・ストリームス(1983年製作の映画)

4.4

傷だらけの天使 ならぬ 傷だらけの人間たち in USA 1984。
家族、破綻、孤独、恋人、子供、酒、セックス、音楽、動物、夢、友情、愛情、人生、顔アップ、悲壮的ユーモア、悲喜劇的人間讃歌。

懺悔(1984年製作の映画)

4.7

スターリン時代の全体主義ソ連が奏でたディストピアのノイズの響きに合わせて高らかと歌い上げる普遍性漲る人間社会の不条理。「祈り 三部作」という大傑作映画のラストを飾るに相応しい文句無しの集大成。

人類
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