三隅炎雄さんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

三隅炎雄

三隅炎雄

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東海遊侠伝(1964年製作の映画)

3.3

小林旭・宍戸錠主演の着流し任侠映画。どうやらヤクザなんてのは貧乏人をいじめるだけのどうしようもない奴らなんだと徹底したヤクザ否定をやりたかったようなのだが、会社からダメが出たのか終盤にきて脚本崩壊、丁>>続きを読む

仁侠八方破れ(1966年製作の映画)

3.8

井田探監督、服部佳脚本、高橋英樹・野川由美子主演の異色着流し任侠映画。やくざの親分の家に生まれた野川が知らず知らず愛してしまった高橋こそが、彼女の父を殺した元侠客の高橋だったという悲恋物だが、面白いの>>続きを読む

人喰いエイリアン(1984年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

森の中にレズビアンのカップルが暮らしている。
そこに奇妙な青年が彷徨い込んで来て、共同生活が始まる。
男前の彼氏、実は異星人であった。
元々ほつれかけていた女性二人の関係が、この青年の登場で大きく軋み
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地球の危機(1961年製作の映画)

3.9

とにかくウィントン・C・ホックの撮影が素晴らしい。美術・衣装と共にブルーを基調としたまことに繊細極まるカラー設計をしていて、その階調の美しさに潜水艦内が主たる舞台であることを忘れさせる。というより潜水>>続きを読む

ニューヨークの怪人(1958年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

フランケンシュタイン物の一種で、これはちょっと凄い映画。
父と息子二人の科学者一家を主人公とした悲劇的なファミリー・ドラマで、早逝した次男坊の天才を愛する父親が、弟に劣等感を抱き父に認められたい気持ち
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生きていた人形/人間人形の逆襲(1958年製作の映画)

3.8

科学者でもなく、元世界的マリオネット使いで現在は小さな人形工房をやってる爺さんに何で人間を小型化するあんなマシンを作る能力があるのか分からないが、科学の建前がないぶん、変質者の性的な欲望と孤独が生々し>>続きを読む

恋すがた狐御殿(1956年製作の映画)

3.9

美空ひばり・中村扇雀主演によるキツネと人間との悲恋もの。内田吐夢の名作『恋や恋なすな恋』が『葛の葉』の映画化だったのに対し、こちらは『狐と笛吹き』を原作とする。
タイトルから分かるように「狸御殿」調の
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男の紋章 喧嘩状(1964年製作の映画)

4.0

『男の紋章』シリーズ第6作、井田探が初登板した。
このシリーズあまり好きでなかったんだが、これは快(怪)作! 現代物でもちょっと見かけないくらい快速の場面転換で、任侠映画的な情緒の入るスキを与えない演
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旗本退屈男捕物控 七人の花嫁(1950年製作の映画)

4.0

松田定次・萩原遼『旗本退屈男捕物控』前編&後編。戦後初の退屈男、比佐芳武脚本で『捕物控』とあるように後のものよりミステリ色が強い。

戦前の作品とは12年開きがあることから、前編「七人の花嫁」は世界設
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旗本退屈男 謎の七色御殿(1961年製作の映画)

3.5

こまどり姉妹や村田英雄が随所で歌う歌謡映画的な色が前に出て、これまでのシリーズとはやや趣が違う。加えて婀娜な女掏摸久保菜穂子の現代劇に近い演技感覚や将軍家の次男菅貫太郎のニューロティックな怪キャラクタ>>続きを読む

賭場の牝猫(1965年製作の映画)

2.6

『賭場の牝猫』『賭場の牝猫 素肌の壺振り』。野川由美子の賭博師もので大映の江波杏子の女賭博師シリーズが始まる前年の映画、先輩である。特徴はお色気描写と、菅井一郎・藤竜也の刑事コンビを使って、完全なアウ>>続きを読む

夜の牝 花のいのち(1969年製作の映画)

3.8

監督が西河克己から森永健次郎に変わったシリーズ3作目。ヤクザの組長の娘が都会に出てホステスになる『緋牡丹博徒』ふう設定は前2作と同じ。ただしこちらはパロディ色を大きく打ち出し、歌謡映画の器に盛ったそれ>>続きを読む

夜の牝 年上の女(1969年製作の映画)

2.8

野川由美子『夜の牝』シリーズ2作目。やくざの組長だった父の死を機に組を解散し、九州から大都会に出てホステスを始めるヒロインの活躍を描く。1作目『花と蝶』と設定は同じで、西河克己が続いて監督した。舞台は>>続きを読む

怪猫逢魔が辻(1954年製作の映画)

4.2

鶴屋南北を下敷きにした入江たか子化け猫映画。ただし『独道中五十三駅』をやってるわけではなくて、設定を化け猫定番の藩のお家騒動から女歌舞伎一座の座頭争いに変え、そこに四谷怪談と『法懸松成田利剣』の累を加>>続きを読む

今日に生きる(1959年製作の映画)

3.7

鉱山町にやって来た裕次郎が二つの運送会社の揉め事に巻き込まれる。裕次郎が運ちゃんとして雇われた二谷英明の会社は、敵対する金子信雄の会社の謀略で働き手を奪われ仕事が出来なくなっていく。ここまではよくある>>続きを読む

日本最大の顔役(1970年製作の映画)

3.4

田岡一雄モデルのヤクザを小林旭が演じる日活任侠映画。同じ佐治乾が東映で脚本を描いた安藤昇✕工藤栄一の『日本暗黒史』シリーズと後の所謂東映実録やくざ映画の間を繋ぐような内容で興味深い。原爆から始まってナ>>続きを読む

最後の標的(1982年製作の映画)

3.8

ドロン&ドヌーヴ2大美男美女共演のアクションで、ジャン=パトリック・マンシェットの原作をドロン自らが脚本参加して映画化している。

組織に命を狙われる殺し屋ドロンと人妻ドヌーヴのメロアクションで、これ
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デーモン・ワールド(1986年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

アラン・ドロン製作・脚本・主演のファンタジー。フランスの伝統的な怪奇幻想とスピルバーグ以降のアメリカのB級ホラー・ファンタジーが合体した、極めてユニークな作品でとても面白く見た。ドロンが映画人としての>>続きを読む

仁義と抗争(1977年製作の映画)

3.7

脚本の高田宏治としては『まむしの兄弟』系列の作品で、ヒットマンもののパロディ仕様、どうもこの実録路線調のタイトルで損をしているようだ。注目点は松方の女房役の松本留美をはじめとするパワフルな女達の存在で>>続きを読む

ごろつき(1968年製作の映画)

3.3

高倉健の任侠キックボクシング映画。降旗康男が撮った2作目『ごろつき無宿』はテキ屋の話に変わる。同じ九州の炭鉱町から上京する話でも、2作目が坑道事故で死ぬ間際の父加藤嘉が「ここは地獄だ!こんな所にいては>>続きを読む

ごろつき無宿(1971年製作の映画)

4.5

脚本は澤井信一郎、伊藤俊也。高倉健と降旗コンビの映画ではこれがベストかも。深作や佐藤がやっていた高度成長日本への異議申し立て社会派とマキノ雅弘人情の世界の合体。
テキ屋の仕事が丁寧に描かれているのが良
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底抜けいいカモ(1964年製作の映画)

4.4

ディーン・マーチンとのコンビ作はテレビでよくやってたからそれなりに見てるんじゃないかと思うけど、ルイス単独作は『大学教授』くらいしかまともに見たことなかった。で、これ。可笑しくはないのだが、なにやら病>>続きを読む

底抜け便利屋小僧(1961年製作の映画)

4.5

ジェリー・ルイス監督3作目。経費増大に悩むメジャー映画会社社長が、夢を抱いてハリウッドにやってきた青年ルイスをスタジオ労働者のズル発見用スパイとして雇うという、まことに夢のある!お話。
当然ポンコツな
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底抜けもててもてて(1961年製作の映画)

5.0

初恋の人にフラれて極度の女性不信に陥ったルイスが就職した先は、超美人ばかりの女子寮だった。ニューロティック・コメディと言うのだろうか、画面の隅々までルイス独自の異常感覚が張り巡らされて、これは相当凄い>>続きを読む

底抜けシンデレラ野郎(1960年製作の映画)

4.0

継母ジュディス・アンダーソンと連れ子の兄二人ヘンリー・シルヴァ&ロバート・ハットンに日々虐められているジェリー・ルイスがジジイ妖精の助けで王女様と結ばれるまで。
一応ミュージカル仕立てだったりするのだ
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盛り場ブルース(1968年製作の映画)

3.6

銀座の高級クラブを舞台にした梅宮辰夫・野川由美子主演による水商売歌謡ノワール。カルネやデュヴィヴィエが撮っていた犯罪メロドラマを昭和東映流に焼き直した感じである。ヤクザが経営する高級クラブの幹部社員の>>続きを読む

夜の歌謡シリーズ 伊勢佐木町ブルース(1968年製作の映画)

3.8

水商売開店にホステスやら何やら調達するオープン屋梅宮辰夫、雇われママ宮園純子、金主の土地成金伴淳三郎ら夜の人間模様を描く。仕事と割り切って女ともドライに徹するピカレスクな魅力、というふうには全くいかな>>続きを読む

怒霊界エニグマ(1988年製作の映画)

3.6

『キャリー』と『パトリック』のイタダキ。障がい者を両親に持つ女子大生が寮の仲間にいじめられた挙げ句昏睡状態に陥るが、生霊となって復讐を始める。あからさまな低予算で完成度はかなり低いが、それでもフルチ独>>続きを読む

盲目ガンマン(1971年製作の映画)

4.0

思っていたような単純な座頭市イタダキ西部劇ではなく、そうとうビザールな映画であった。盲目の主人公をトニー・アンソニーが勝新を大いに手本にしてユーモラスに演じていているが、炭鉱夫の花嫁50人をヨーロッパ>>続きを読む

明日は明日の風が吹く(1958年製作の映画)

4.0

やくざの親分の家に生まれた三兄弟、それぞれの苦悩と再出発を描く。一家を継いだものの生来気弱で風下に立つことしか出来ない金子信雄、就職はしたが家系故に仕事と恋に躓きドロップアウトする血の気の多い石原裕次>>続きを読む

西部のリトル・リタ〜踊る大銃撃戦〜(1967年製作の映画)

4.5

アイドル主演のマカロニ西部劇パロディミュージカルであると同時に赤色革命ファンタジー映画なのが凄い。びっくりした。くたばれ資本主義、革命の星リタ!

さすらいのデスペラード(1967年製作の映画)

4.1

『続・荒野の用心棒』の脚本家の監督デビュー作。はじめに「西部怪談集に出てくるような町」と登場人物が思わず例えるゴーストタウンがあって、その台詞が作品の異様なムードを決定づける。そこに盲人の爺さんが溜め>>続きを読む

荒野の処刑(1975年製作の映画)

4.1

市民挙げての悪人粛清大虐殺を免れた四人―インチキ賭博師・身重の娼婦・アル中ダメ男・狂った墓掘り人が、疑似家族となって荒野をさすらいの旅に出る。
フルチ流聖家族の前に立ち現れる砂漠の悪霊とも言うべき男が
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新デモンズ(1990年製作の映画)

3.7

古典的なオカルトもので話は至ってシンプル。諸事情でフルチは編集に関わってないそうだが、面白くまとめてあるんじゃないか。BDだとシチリアの風景がとにかく美しくて、それだけでも映画になっている。素直にああ>>続きを読む

夜の女狩り(1972年製作の映画)

3.5

前の『夜のならず者』同様、東南アジアで日本に売春婦を送る仕事をやっていた梅宮が帰国、日本の同業ヤクザ組織と揉める話で、スケコマシものと言うよりヤクザ映画のつくり。清川虹子と中山昭二に古風な任侠パートを>>続きを読む

夜の歌謡シリーズ 女のみち(1973年製作の映画)

4.5

元のぴんからトリオの曲自体がくさいくさい殆どパロディみたいなものだから、夜の男と女の世界でもこれまでのシリーズのような単純な表現になっていない。
男に寄生され搾取されて生きる女たちに心を寄せるでもなく
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