hoshさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

エレファント(2003年製作の映画)

4.3

高校で無差別銃乱射事件が起きるまでの日常を様々な生徒の視点から描き出す。

内面ではなく状況に寄り添った長回しのカメラがこれ以上ないほどの没入感をもたらす。本当に学校にいるかのような生々しさ。これによ
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コラテラル(2004年製作の映画)

4.0

平凡なタクシー運転手マックスは殺し屋ヴィンセントを乗客に迎えてしまい、彼の仕事に同行することに。スリリングな一夜の顛末を描く。

もう語り口が惚れ惚れするほど上手い。「男は言葉より行動」という劇中のセ
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ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語(2019年製作の映画)

4.5

「悩みが多いから、私は楽しい物語を書く」
「でもとってもさみしいの」

グレタ・ガーウィグが携わる映画はとびきり楽しい瞬間にも必ずうら寂しさがあるし、逆にすごく寂しい瞬間にも渇いた優しさや楽しさがある
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セントラル・ステーション(1998年製作の映画)

4.2

BSで鑑賞。リオデジャネイロの駅で手紙の代筆を営むドーラと母親を失った少年ジョズエ。彼の父親に会いに向かう2人の旅路を描く。

筋書きは王道の旅物語だが、識字率の低さ、当たり前のように銃殺される万引き
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地獄の黙示録 ファイナル・カット(2019年製作の映画)

3.9

BSで鑑賞。ベトナム戦争末期、軍部に背き帝国を築いたカーツ大佐の暗殺を命じられたウィラード大尉らの地獄巡りを描く超大作。

映像の迫力とカッコ良さが圧倒的。画面に映るヘリや森、人、カーツの帝国が全部本
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ファンタスティック・プラネット(1973年製作の映画)

3.7

人類をペットや家畜にするドラーグ族と呼ばれる謎の種族と人間たちの攻防を描いたお話。

70分とは思えない密度だった。とにかく悪夢的な色彩のビジュアルに圧倒される。予告編や静止画で切り抜かれた部分だけを
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この子は邪悪(2022年製作の映画)

2.0

友達との付き合いで鑑賞。特別気になっていた作品ではないので偶然の出会いを期待したけど…

悪い意味で脚本の映画という印象。登場人物もショットも全部が作り手が見せたいであろう中盤のサプライズに向けて配置
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ブギーナイツ(1997年製作の映画)

4.2

70年代から80年代にかけてのポルノ業界を舞台にした群像劇。ノリの良い選曲、セックス、暴力、ドラッグ、栄枯盛衰のストーリー、と自分が思う「これぞアメリカ映画」な型を持っており、これまで鑑賞したPTA監>>続きを読む

恋する惑星 4Kレストア版(1994年製作の映画)

3.8

上白石萌歌さんが大好きな作品として挙げていたり、今年のフジロックでJapanese Breakfast が「夢中人」をカバーしていたりと、自分が好きな界隈の人たちの間でよく聞くタイトルだったので、今回>>続きを読む

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

3.4

IMAXで鑑賞。とにもかくにも変な映画。こんなに歪でこだわりの詰まった超大作を堂々と公開できるジョーダン・ピールは凄いと思うし、その点でノーランの『TENET』に近い気がした。考察がどうとか言われてる>>続きを読む

ぼくの名前はズッキーニ(2016年製作の映画)

3.9

短尺ながらグッと引き込まれた。

登場するのは大人の勝手な都合で人生を狂わされてしまった子どもたち。
けれど本作はそんな彼らを可哀想で純真無垢な存在とは描いていない。性に興味があったり、無邪気に遊んだ
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友だちのうちはどこ?(1987年製作の映画)

4.2

BSで鑑賞。間違えて持ってきてしまった友だちのノートを届けるだけの話。なのに、胸がざわついたし恐ろしかった。

冒頭の教室のシーンから一貫して大人が怖く支配的。幼少期に1度は感じた他人や自分より大きな
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となりのトトロ(1988年製作の映画)

4.3

金曜ロードショーにて鑑賞。おそらく生涯で1番回数を見てる映画かな。見る度にこんなに良かったっけ!?と驚く。

ものすごく感覚的なお話だし、冷静に見ればまっくろくろすけも、トトロも、ネコバスもよく分から
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天空の城ラピュタ(1986年製作の映画)

4.8

金曜ロードショーにて鑑賞。面白すぎていつも最後まで見てしまう。
何遍みても惚れ惚れするようなテンポの語り口よね。早く、楽しく、面白く、美しい。

ラピュタ上陸からロボットが墓に花を手向けるまでの数十分
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虎の尾を踏む男達(1945年製作の映画)

3.4

平家滅亡後、源頼朝と仲違いしてお尋ね者になった義経御一行が奥州秀衡に逃げのびる途中、山伏に変装して関所を越えようとするお話。

黒澤明の映画は5本目。時間が無くて短尺だったため鑑賞。初期作ということで
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駅馬車(1939年製作の映画)

3.7

西部劇の古典的名作。いまやテンプレになっているような要素が盛りだくさんのため流石に退屈する部分もあったが、面白かった。

『マッドマックスFR』を思い起こさせる終盤のチェイスシーンは手に汗握りまくり。
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きみの鳥はうたえる(2018年製作の映画)

4.0

ここまでかっこいい日本映画はなかなかお目にかかれないんじゃないかと思った。役者のノリ、撮影、照明、編集、音楽、ロケーション全てが新鮮で刺激的。朝焼けの「青」がすごく印象に残る。

描かれるのはコンビニ
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無法松の一生(1943年製作の映画)

4.6

BSで鑑賞。なんて贅沢な映画なんだろうか、見ている間ずっと豊かな心持ちだった。

松五郎の大きな愛と茶目っ気に惚れ、坊との心温まる交流には癒された。年中行事や童謡のオルゴールによって醸される古き日本の
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ドランク・モンキー/酔拳(1978年製作の映画)

3.9

TOKYO MX1 にて鑑賞。もちろん吹替。
配信がなかったので見られて嬉しかった。

ジャッキー映画は久々に見たけどやっぱり最高の一言。シンプルis bestな師弟モノで熱いし、コテコテのアホギャグ
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激突!(1971年製作の映画)

4.0

言わずと知れたスピルバーグのデビュー作。見終わったあとどっと疲れた。彼の映画は本能に訴えかけてくる暴力性と怖さがあると思うけど、そこは原点の本作でも変わらず。マジでチェイスしてるからこその緊張感も半端>>続きを読む

悪い種子(たね)(1956年製作の映画)

3.4

BSで鑑賞。サイコホラーの始祖的作品のよう。確かに子供の不気味さや追い詰められる母に『エクソシスト』の匂いは感じた。

映画というよりは舞台劇に近い趣で、とにかく役者の演技がすごい。犯行シーンが一切映
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そうして私たちはプールに金魚を、(2016年製作の映画)

3.8

日向坂46の渡邉美穂さん経由で。やばいな。
地方のどんづまりの鬱屈感も、「今青春にいるな」っていう自覚がある冷めたメタ視点の喋りも、ダルそうな会話も全部知ってる。

「私たちは今青春の渦中にいて、き
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恋人たちの予感(1989年製作の映画)

4.1

耳にも目にも心にも幸福な映画で本当に見てよかった…2人を大好きになってしまう。
すれ違いのさまが絶妙すぎるからこそ、ハリーが走り出す瞬間には大興奮だったよ。年末が山場に来るのも最高だしそのシーズンにま
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わたしは最悪。(2021年製作の映画)

3.5

調子が悪い時に見たので再トライしたいが、優しいや切ないと言うにはクセが強い作品だった。

アイデンティティに悩む女性の映画って所で大好きな『フランシス・ハ』みたいな話かなと思いきや、こちらはより性描写
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サマーフィルムにのって(2020年製作の映画)

3.8

ずーっと気になってたのでやっと見られた。今の映画すぎて痺れたな!あと登場人物が全力疾走する映画はもれなく最高。

陰キャ/陽キャ(今作における恋愛映画と時代劇)、スクールカースト的対立ではなく、異なる
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恋は光(2022年製作の映画)

4.2

ファンタジック大学生映画。キャストが素晴らしくて、「またアイツらに会いたい!」って気持ちでいっぱい。見てる最中より見終えた後の実生活でふと思いだすように余韻が染みてくる作品なので、今後も愛着が増してい>>続きを読む

パンチドランク・ラブ(2002年製作の映画)

3.5

変な映画すぎてビックリした。乗れてきたかなと思ったら終始ハシゴを外されてしまった。
無機質な場面と暖かみのあるロマンチックな構図の温度差たるや。新感覚すぎた。

登場人物への共感を重視して映画を見てる
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マグノリア(1999年製作の映画)

3.9

初PTA監督作品。非常にクセが強い強烈な映画体験だった。好きか嫌いかなら間違いなく好きな作品だが、どう受け止めたらいいのか困惑しているのも事実。半日たっても余韻が残っているし、難解な部分も込の噛みごた>>続きを読む

フランシス・ハ(2012年製作の映画)

5.0

大好きの一言で済ませます。
あのぼんやりして寂くて空回る感情を掬いとってくれてありがとう、グレタ・ガーウィグ。
この作品の存在そのものに感謝したいです。

トップガン マーヴェリック(2022年製作の映画)

4.2

めちゃくちゃ面白かった。本当に堂々たるアメリカ超大作娯楽映画。王道を極限まで突き詰め、観客を誰も置いていかないつくりに心打たれる。
人生初IMAXだったので一生記憶に残る映画体験になったのは間違いない
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マイスモールランド(2022年製作の映画)

4.7

「今」見られて心底良かった。

若く、瑞々しく、美しい感性の場面の連続だし、主人公周りの人物がみな愛おしい。でも、それらが輝けば輝くほど重たい現実の問題が首をもたげてきて胸が引き裂かれそうな思いになっ
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トップガン(1986年製作の映画)

3.5

マーヴェリックのために鑑賞。「トム・クルーズと航空機をかっこよく撮る」という所に狙いが定められているので展開も演出も異常にタイト。この潔いまでのシンプルさは逆に新鮮だった。

正直ドッグファイトのシー
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桜桃の味(1997年製作の映画)

3.8

まるでアンビエントミュージックを聴くかのように流れる風景、会話、音に身を任せる作品。

あまりに余白が多すぎて理解しきれていないであろう部分がほとんどだったが、胸になにか引っかかる、異様な心地良さがあ
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サムライ(1967年製作の映画)

3.6

これぞ映像芸術といった趣の作品。
青々とした美しい色彩と濃密な死の匂いを湛えた画面、闇夜に映えるアラン・ドロンの佇まいをじっと見つめていく至高の105分。
極端な静寂と寂れた街並みがもたらす滅びの匂い
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殺人の追憶(2003年製作の映画)

4.6

凄まじかった…映画の神様に愛された人、ポン・ジュノが作るべくして作った完全なる傑作。

張り詰めた緊張感の中に放り込まれるユーモアと現実を遊離した幻想的なショットの連続にめまいがした。監督2作目にして
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海よりもまだ深く(2016年製作の映画)

3.9

どうしても日本映画が見たくなって。是枝監督の優しさと棘のある人間の見方、やっぱり好きだ。滑らかすぎる脚本と編集には唸ってしまった。

親と似たくないけど似てきてる、不器用な長男、なりたい自分になれるの
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