idtakoikaさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

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モキシー ~私たちのムーブメント~(2021年製作の映画)

4.0

フェミニズムを単に礼賛するのではなくて、フェミニズムの「正しさ」にまつわる要素が多面的に描かれていた。「正しさ」の棍棒と暴力性、「正しさ」に賛同しているものの沈黙を守る人が抱えている葛藤、運動の矢面に>>続きを読む

監視資本主義 デジタル社会がもたらす光と影(2020年製作の映画)

3.0

大体はほんのり知っていた話だったけど、Tech産業の最前線で働いている(た)/研究している人の実際の声を聞くことで、重大さをより強く認識できた。
個人的には「商品が無料の時、商品はあなた自身」という引
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戦場のメリークリスマス 4K 修復版(1983年製作の映画)

5.0

戦争という異常事態の中で、敵を「彼もまた大きなうねりに巻き込まれた被害者である」とみなし、救いの手を差し伸べるという尊ぶべき行動。単なる聖人だから救えたというよりは、過去の後悔の成仏という意味合いも込>>続きを読む

街の上で(2019年製作の映画)

4.5

これまで自分は映画に対し「社会に対する何らかのメッセージを含んでいるべき」という立場だったけれど、それだけじゃないと気づけた作品。社会に対するメッセージ、特に何かしらの「正しさ」的な考えが含まれている>>続きを読む

ノマドランド(2020年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

ノマドといえば「ノマドワーカー」というフレーズが思い浮かぶ。スタバでマックを開き、クールにホワイトカラーの仕事をこなす姿。どことなく「イケてる」イメージとされているフレーズの一部。しかしこれはノマドの>>続きを読む

あのこは貴族(2021年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

階層についてメッセージを発する作品は多いが、階層の違いを明確に設定として打ち出す作品は逆に新鮮。なので、「これが今の階層社会の現実です」といったように、階層社会の存在やその内容についてメッセージを発す>>続きを読む

ミナリ(2020年製作の映画)

4.0

共に暮らす人(今回の場合家族)が気持ちよく暮らせるかどうかと、共同生活が合理的に営まれているかどうかは、必ずしも常に一致するわけではない。むしろ、合理主義に基づいて特定のロールを演じさせることは毒とな>>続きを読む

野球少女(2019年製作の映画)

4.0

他人から何かを否定されることは基本的にキツいが、それが結果の否定であれば、納得できる場合もあると思う。一番くやしいのは、自分の気持ちや取り組みをぶつける場を持てなくなるような、機会の否定。
さらに歯が
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花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)

4.0

「○○いいよネ」「わかる。いいよネ」(終)といったように、作品名や作家名が単なる記号としてしか取り扱われておらず、「なぜ○○が好きなのか」「○○はどんなことを提示しているか」に関する言及が>>続きを読む

すばらしき世界(2021年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

ラストの青空に浮かぶタイトル「素晴らしき世界」は、本来的な人との向き合いよりも仕組みに乗っかった手続きや損得勘定を優先する者にとっての「素晴らしき世界」と捉えるときわめて痛烈な皮肉であるが、個人的には>>続きを読む

家族ゲーム(1983年製作の映画)

3.5

理想的な教育のあり方として、家庭・学校・地域の三者がそれぞれ重要であると語られるが、本作では見事に全て虚ろなものとして描かれる。親と教師はその象徴。気にかける様子も授業も全てポーズでしかない。そんな虚>>続きを読む

スペース・スウィーパーズ(2020年製作の映画)

3.5

ならず者(エリート教育を受けてはいるが)が世界を救う痛快さ。悪役がペラいところ、ナノボットが万能すぎるところはご愛嬌。
この社会階層を保ったまま宇宙開発が進むとこうなるんだろうな、というリアリティを感
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The Witch/魔女(2018年製作の映画)

3.0

ほどよいサプライズとほどよいバイオレンスをサクッと楽しむ映画。ハイライトは電車でゆで卵を頬張るシーンである。
大義のないマッドサイエンティストほど魅力のないキャラはいない。変な髪型といい、うぬぼれよう
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天気の子(2019年製作の映画)

3.0

作品から受け取れるメッセージのインパクトが前作よりもはるかに強くなっている。
ガキの居候を容認したり、何も怪しまず報酬を支払ったりと、主人公たちが社会から外れていくプロセスに多くの人が加担しており、ま
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カイジ 人生逆転ゲーム(2009年製作の映画)

3.0

漫画映画含め、このコンテンツ群を楽しむ人は、仮にこの世界が現実だとして「どちら側」なのだろう。
それはともかくとして、女性キャストを増やした理由が「画」だとすると、ビールをアサヒからキリンにするという
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ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー(2019年製作の映画)

4.5

現代の青春コメディとして、友情と笑い、そして下ネタの配分が完璧。それでいながらラストシーンはナチュラルな爽やかさに包まれていて小憎い。
誰も除け者になっておらず、自分らしさをそれなりに出していることが
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名探偵ピカチュウ(2019年製作の映画)

2.5

主人公と父親の関係性、ヒロインとの関係性がだいぶ浅い描かれ方のまま最後まで行ってしまったのでどうも気持ちが乗らなかった。どこか重要なシーンを見逃したのではないかとすら思うほど。

一方で世界観はとても
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82年生まれ、キム・ジヨン(2019年製作の映画)

4.0

※原作未読

夫の「優しいんだけどそもそもをはきちがえている感じ」は時代をかなりリアルに捉えた表現なのではないか。彼をはじめとして、この映画には明確な悪人がほとんど出てこず、内面も含め描写される主要キ
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異端の鳥(2019年製作の映画)

4.0

なんとなく『夜と霧』を思い出した。しかし本作は主人公が子どもという圧倒的な弱者であるために、人間讃歌的な読み取りをすることはどうしてもできなかったし、すべきでは無いはず。本作の主人公は、人間が人間らし>>続きを読む

劇場版「鬼滅の刃」無限列車編(2020年製作の映画)

3.5

アニメだけ追っかけてる勢なので今後どうなるのかまだ知らないけど、水の呼吸とヒノカミ神楽(火?陽?)に関わりのある炭治郎が、修行後の初実戦で炎柱の薫陶を受けることができたというのは、彼の技術面・精神面に>>続きを読む

BLACKPINK ライトアップ・ザ・スカイ(2020年製作の映画)

3.0

彼女たちをより奥深くとらえられるオーソドックスなドキュメンタリー。ここ最近自分の中で、韓国アイドルの極めて過酷な管理システムと、それを無邪気に消費することへの疑問がわいていて、それが素直な応援の気持ち>>続きを読む

マトリックス(1999年製作の映画)

3.0

TENETを一緒に観た方がカプセルつながりで言及していて、今更ながら鑑賞。
仕方ないけど、映像技術で話題になったこの手の旧作は、今見てもなかなかピンと来ない。後の作品にそれだけ影響を与えているというこ
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ダークナイト ライジング(2012年製作の映画)

4.0

まあよくここまでいろんな要素を広げたのに回収しきれるな、と感心しきり。前作ほどのやるせなさは良い意味で残らず、大団円と小憎いサービスで三部作完結にふさわしい優等生エンド。
後藤新平の名言の一部「人を残
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TENET テネット(2020年製作の映画)

4.0

たしかに難解だけど、頭に汗をかきながら鑑賞することも含めて楽しい体験。そして、どうにも分からない場合は、予告編にも出てきた”Don’t try to understand it, feel it.”の>>続きを読む

コールドプレイ:ア・ヘッド・フル・オブ・ドリームズ(2018年製作の映画)

3.0

音楽通から評価の高い初期作品よりも、表題になっているアルバムの祝祭的な雰囲気がとても好きだ。だからこそ、過去の映像からライブ映像につなげる手法を少し強引に感じてしまった。個人的には、音楽性が変化してい>>続きを読む

悪の教典(2012年製作の映画)

1.5

悪い意味での邦画あるあるが全部入り。薄っぺらい「サイコパス」像、意図が見えない引用、クサクサの演技、しょーもないタイアップ曲。

i-新聞記者ドキュメント-(2019年製作の映画)

3.5

望月氏の記者としてのスタンスには敬意を抱いていたものの、彼女のぶっきらぼうな口調をなんだか苦手に感じていた。しかしこれを見て、日本のジャーナリズムの構造的な問題がありながら、政権に対してあれだけ切り込>>続きを読む

Cowspiracy: サステイナビリティ(持続可能性)の秘密(2014年製作の映画)

4.0

次作「What the health?」で取り扱っていた個人の健康ではなく、環境問題にフォーカスしている。これまで畜産が抱える問題を、自分に関わりある事柄としてあまり考えてこなかったが、なかなかショッ>>続きを読む

健康って何?(2017年製作の映画)

3.5

この手の主張の中では納得しやすい内容で、幸せそうな人の姿を見られるのは受け手として気持ちが良い。
ただし、いろんな団体に「こういう研究があるのですがどうお考えですか」と粘着しておきながら、自分たちは「
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バクマン。(2015年製作の映画)

3.5

佐藤健も神木隆之介も、内なるエネルギーの発露の方向が定まってない、そんな若さの演技が上手い。「友情、努力、勝利」的な部分がメインメッセージなのにクサくなりすぎないナチュラルさ。
小松菜奈の「ミステリア
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インターステラー(2014年製作の映画)

4.0

前回見た時よりも心動かされた。SFというよりは人間ドラマとして観たからだろうか。とにかく、主人公の利他性に頭が下がる。

キングダム(2019年製作の映画)

1.5

演出や脚本に実写化ならではの再解釈が含まれているようには見えず、実写化の意義を特に感じない作品。

ワイプカットが多用されていることをスターウォーズのオマージュとして捉え、「邦画史に残る一大サーガが…
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search/サーチ(2018年製作の映画)

3.5

面白い。だいたいの映画はどの登場人物とも違う三人称視点で現場を直接観ることが多いが、その視点は現実には起きえない。しかし本作のように父をはじめとする登場人物が観るデバイスの画面は、現場に対し間接的では>>続きを読む

ドラえもん のび太の南海大冒険(1998年製作の映画)

3.5

藤子先生が描く未来への示唆は超えられないとして、あくまで登場人物の成長や友情に集中している。ひみつ道具の伏線やコメディ要素もバランスよく散りばめられていて、夏休みのエンタメとして良作。

ビューティー・インサイド(2015年製作の映画)

4.5

本作から「外見より内面」という二項対立のメッセージを読み取るのは、すこし単純化しすぎているように思う。「ビューティーインサイド」とは、ウジンの内面だけでなく、外見のノイズに惑わされずウジンの内面に美し>>続きを読む

ヘイト・ユー・ギブ(2018年製作の映画)

4.0

素敵な大団円は本作単体としては良いが、2年経っての現状と照らし合わせると、なんとも空虚なものに映ってしまう。
黒人と白人警官の二項対立ではなく、一枚岩になれない黒人が複眼的に描かれている。問題提起その
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