いくたろさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

いくたろ

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東京上空いらっしゃいませ(1990年製作の映画)

3.1

死んでしまったキャンペーンガールの少女が、お人好しの死神をだまして現世に舞い戻るお話。死んでるのに暗くはなくて逆に明るい空気感が、ぎこちないけれど初々しい牧瀬里穂の魅力を引き出している。終盤の歌って踊>>続きを読む

プライベート・ライアン(1998年製作の映画)

3.8

戦場のどこかにいるはずの二等兵を救出せよ。オマハビーチの激戦を生き抜いた兵士たちにそんな指令が下る。常に隣り合わせの生と死と。1人の命か、8人の命か。そんな答えの出ない選択を迫られている。そんな気分に>>続きを読む

Re:LIFE リライフ(2014年製作の映画)

3.0

アカデミー脚本賞を受賞したっきり泣かず飛ばずの脚本家が地方の大学に講師として招かれる。学生と向き合った瞬間に気付かされた自分自身の薄っぺらさ。それを踏まえたところから始まる人生のリライト。派手さはない>>続きを読む

白鍵と黒鍵の間に(2023年製作の映画)

2.8

ジャズピアニストを志す青年と、彼と瓜二つのジャズピアニストと。夢の吹き溜まりのような夜の銀座で二人の人生が奇妙に交錯していくお話。思っていたのとは違った現実。それにぶち当たる事前と事後を描いているよう>>続きを読む

ONCE ダブリンの街角で(2007年製作の映画)

3.3

路上ミュージシャンと、彼の歌にふと足を止めた移民女性と。たまたま街角で出会った男女が音楽を通じて心を通わせていくお話。恋の行方を遠巻きに見守っているような手持ちカメラの映像がどこか優しい。ほんのり切な>>続きを読む

フィールド・オブ・ドリームス(1989年製作の映画)

3.6

原風景のようなトウモロコシ畑の球場。時代が移ろい社会の価値観が変わってもベースボールだけは不変だった。すれ違ったきりだった父との絆。その心の引っ掛かりが彼に「それ」を作らせたのかも。薄暮に浮かび上がる>>続きを読む

ゴールド・ボーイ(2023年製作の映画)

3.8

殺人現場をたまたま動画撮影してしまった中学生3人組が、犯人から金を脅し取ろうとするお話。それはこのガチガチの格差社会を駆け上るための無邪気な計画だったのかも。あれよあれよと展開していく後半の畳み掛けが>>続きを読む

レ・ミゼラブル(2012年製作の映画)

3.8

一片のパンを盗んだことで19年間も投獄されていた男の波乱の人生を描いたミュージカル。セリフのほとんどが歌に置き換えられていて、冒頭から音楽の力に心が揺さぶられっぱなし。とりわけ“One Day Mor>>続きを読む

ビッグ・マグナム黒岩先生(1985年製作の映画)

2.6

荒廃が極限にまで達したアナーキーな学園に横山やすしが赴任してくる。ツッコミどころ満載。コンプライアンスなんて概念が存在しなかった昭和のテイストがぎっしりと詰まったコテコテで破茶滅茶な作品。二丁拳銃を携>>続きを読む

女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)

3.6

三者三様それぞれの思惑が絡み合って紡ぎ出されたグロテスクな人間模様。イングランド王室を舞台に、女王からの寵愛をめぐる三角関係を描いたドロドロで生々しいお話。光の描写が、とりわけロウソクの炎の描写が美し>>続きを読む

ロスト・キング 500年越しの運命(2022年製作の映画)

3.5

悪名高き王に心惹かれてしまった女性が歴史を覆す大発見をするまでのお話。飽くなき探究心が平凡だった彼女の人生に彩りを添えていく。実話ベースながらファンタジー風に味付けしているところが良くて、彼女の恋愛感>>続きを読む

キリマンジャロの雪(2011年製作の映画)

3.5

くじ引きで解雇された男の自宅に強盗が入り、妻と行く予定だった旅行資金が奪われてしまう。労働者の悲哀を軸に、熟年夫婦の絆と人間愛を描いた作品。良かれと思った行動が誰かにとって不条理として作用してしまう。>>続きを読む

星の旅人たち(2010年製作の映画)

3.5

バックパッカーだった息子を失った爺さんが、息子が歩くはずだった全長800kmに及ぶ聖地巡礼の道を息子の遺灰を携えて歩くお話。ゆっくりとした時間の流れが、個性的な面々とのゆるい繋がりが、彼の心をほぐして>>続きを読む

ソウルメイト/七月と安生(2016年製作の映画)

4.0

性格も境遇も対照的ながら無二の親友となった二人が歩んだそれぞれの人生と。様々な感情を絡め取りながら紡がれていく絆と。三角関係の物語だと思っていたら悠々とその上を超えてきた印象。この社会の女性の不自由さ>>続きを読む

学校(1993年製作の映画)

2.9

様々な理由で義務教育を受けられなかった人たちが通う夜間中学を舞台に、熱血教師と個性的な生徒たちとの交流を描いた人間ドラマ。なにより田中邦衛が出色で、ややステレオタイプな人物を個人技でとても魅力的に演じ>>続きを読む

(1954年製作の映画)

4.0

無垢で健気なジェルソミーナと。粗野で身勝手なザンパノと。なんだかんだで育まれていく二人の絆と。怪力で引きちぎられる頑丈な鎖と。失ってみてようやく気付く大切なこと。人生はそんな後悔の繰り返し。ラストの彼>>続きを読む

セレンディピティ(2001年製作の映画)

3.8

偶然が重なったことで「この出会いは運命かも」と思った男女が、運命のいたずらに弄ばれ続けるお話。NYの街を舞台に展開されるすれ違いにつぐすれ違いはやきもきさせられるも、伏線が絶妙で可笑しい。2人とも「運>>続きを読む

ネクスト・ゴール・ウィンズ(2023年製作の映画)

3.9

FIFAランキング最下位。米領サモア代表チームに激情型の新監督がやってくる。太平洋のど真ん中。のんびりした島の空気に溶け込んだ小ボケの数々が笑いのツボに突き刺さる。勝ちにこだわりすぎると、負けを恐れす>>続きを読む

帰れない山(2022年製作の映画)

3.6

北イタリア山間部を舞台に、青年2人の長きにわたる友情をゆったりとした時間の流れの中で描いていく。山の頂から彼らの人生を俯瞰で見つめているような、そんな印象の作品。さまようのも我が道をゆくのも人生。とこ>>続きを読む

ウェルカム!ヘヴン(2001年製作の映画)

3.2

死期が迫っているボクサーの魂を獲得すべく、天国と地獄のエージェントがそれぞれ妻と従妹になりすまして火花を散らすお話。争奪戦を繰り広げるほどの逸材とは思えない点が気になったが、二転三転する後半はそれなり>>続きを読む

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)

3.8

中年危機を迎えつつある偏屈な文学者が当てつけで書いた小説がベストセラーになってしまうお話。母親の世話をする彼の実像と、世間が思い描く虚像とのねじれを皮肉たっぷりに描いていく。結果的に「らしさ」によって>>続きを読む

ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります(2014年製作の映画)

3.2

ブルックリンのエレベーターのないアパートの最上階で長年暮らしてきた老夫婦が新しい住処を探すことに。演技派2人の円熟味のある掛け合いが物語を引っ張っていく。何かが起こりそうでたいしたことは起こらないが、>>続きを読む

暗い日曜日(1999年製作の映画)

4.0

聴く者を死へと誘う物憂げなピアノの旋律とともに描かれていく奇妙な三角関係。レストラン経営者とその恋人と若いピアニストと。不思議と調和の取れていたその関係性が、ナチスの台頭によって狂わされていく。溜まり>>続きを読む

ハロルドが笑う その日まで(2014年製作の映画)

3.5

隣にIKEAが出来たせいで長年営んできた店を畳まざるをえなくなった家具職人の爺さんが、腹いせにIKEA創業者の誘拐を企てるお話。復讐に燃える爺さんの空回りっぷりと、そんな爺さんをやんわりと受け流してい>>続きを読む

その街のこども 劇場版(2010年製作の映画)

4.0

彼女は覚悟を決めて、彼は引き寄せられるようにその街に降り立った。子どもの頃に震災を経験した見知らぬ男女が、心象風景のような真冬の神戸を夜通し歩く。ずっと見ないふりしてきたあの時の記憶と、心の傷とを踏み>>続きを読む

ノスタルジア(1983年製作の映画)

3.1

イタリア・トスカーナ地方。18世紀の音楽家の足跡を辿っていた詩人の旅も終わろうしていた。そんな彼の胸に去来したのは懐かしい光景。現実と虚構を織り交ぜながら描かれていく詩人の内なる世界。難解で理解できな>>続きを読む

ヒットマンズ・レクイエム(2008年製作の映画)

3.7

中世の面影を残すベルギーの風光明媚な街に滞在することになった殺し屋2人組が次の指示が出るまでヒマを持て余すお話。どこか幻想的な街並みに立ち込める深い霧と血生臭さと。ちょっとズレている登場人物。ジワジワ>>続きを読む

マルコヴィッチの穴(1999年製作の映画)

4.3

変な会社の怪しげな扉をくぐるとそこは演技派俳優の脳内だった。ハゲていてもオッサンでも誰でもいいから自分以外の何者かになりたい。そんな現実逃避を描いているような気が。奇抜な方向に振り切った作品でありなが>>続きを読む

せかいのおきく(2023年製作の映画)

3.0

日々ひたむきに下肥買いに勤しむ青年と長屋暮らしの下級武士の娘との交流を描いた青春時代劇。辛い現実を笑い飛ばせ。糞が肥料となって作物を実らせるように、糞にまみれた彼らもきっと花を咲かせるはず。時は幕末。>>続きを読む

雨の日は会えない、晴れた日は君を想う(2015年製作の映画)

3.2

壊れてしまったものは元には戻らないけれど、壊れてしまったことで気付くこともある。満たされた人生を送っているようでいて実は空っぽだった主人公が、妻を失って気付いたこと。喪失と再生の物語というよりは喪失と>>続きを読む

42〜世界を変えた男〜(2013年製作の映画)

3.7

黒人初のメジャーリーガーとなった一人の青年の苦悩を描いた人間ドラマ。人種隔離が存在した時代。日々浴びせられる聞くに堪えない罵詈雑言をひたすら耐え、努めて紳士的に野球と向き合う彼の姿に心が揺さぶられる。>>続きを読む

マイ・ニューヨーク・ダイアリー(2020年製作の映画)

3.0

遠回りのようで遠回りではなかった日々。思ってたのと違った出版エージェンシーでのお仕事を通じて「作家になりたい」から「作家でありたい」に至る主人公の心の変化を追いかける。サリンジャーの扱いがちょっと軽い>>続きを読む

アンタッチャブル(1987年製作の映画)

4.2

禁酒法時代のシカゴを舞台に、役人や警官を買収して我が世の春を謳歌するアル・カポネに正義の鉄槌を下そうと奮起する男たちを描く。印象的なシーンと印象的な音楽と印象的な着こなしと。渋くてほのかに色気が漂う男>>続きを読む

サンドラの週末(2014年製作の映画)

3.7

休職中の従業員の解雇に賛成か否か。解雇なら賞与を支給。職場でのそんな投票により解雇された女性が、復職を訴えて同僚一人一人を訪ね歩く2日間。彼女の心の揺らぎと同僚それぞれの実情と。透かし見える企業の論理>>続きを読む

ビフォア・サンライズ 恋人までの距離(1995年製作の映画)

4.0

列車で知り合った男女が意気投合。ウィーンで下車して夜明けまで歩くことに。魅力的な2人が魅力的なセリフを積み重ていく。それだけなのに気づいたら作品の世界に引き込まれていた。どこか時間が止まっているような>>続きを読む

フィッシャーマンズ・ソング コーンウォールから愛を込めて(2019年製作の映画)

3.6

たまたま漁師のオッサン10人組のコーラスバンドを目撃した音楽関係者がからかい半分で契約を持ちかけるお話。美しい海と美しい景色と。意外と美しい海の男たちのハーモニーと。力強くもどこかぬくもりのある歌声が>>続きを読む