いくたろさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

いくたろ

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クジラの島の少女(2002年製作の映画)

3.3

マオリ族の人々が暮らす海辺の村を舞台に、伝説の勇者の末裔にあたる族長一家に生をうけた少女の健気な奮闘を描く。女の子だから跡継ぎにはなれない。伝統的な価値観と時代の流れと。頑固者の爺さんと頑固者の孫娘と>>続きを読む

ダイ・ハード(1988年製作の映画)

4.1

魔城と化した高層ビルを舞台に、たまたま居合わせた高所恐怖症の刑事がたった一人でテロリスト集団に立ち向かう。人間臭くて泥臭い。アクション映画の金字塔。思いのほか伏線が緻密に張られていたのが印象的だった。>>続きを読む

キリング・オブ・ケネス・チェンバレン(2020年製作の映画)

3.8

医療用通報装置の誤作動がもたらした不条理。安否確認で駆けつけた警官と、事情を飲み込めていない老人とのドア越しのやりとりが次第に不穏な熱を帯びていく。実在の事件をほぼリアルタイムで描いた作品。重苦しい空>>続きを読む

コット、はじまりの夏(2022年製作の映画)

3.3

親戚夫婦の農場で過ごすことになった9歳の夏休み。それは少女にとってかけがえのない時間となっていく。陽の光を浴びて成長する木々のように、優しさに包まれて成長していく少女の姿を丁寧に描いていく。物静かな少>>続きを読む

ハリーの災難(1955年製作の映画)

3.2

秋が深まりつつある牧歌的な村を舞台に、森で見つかったハリーという男の死体をめぐる騒動を描いたサスペンスコメディ。「自分のせい?」という思いから右往左往する人たちの様子をのほほーんとしたタッチで描いてい>>続きを読む

愛してる、愛してない...(2002年製作の映画)

3.7

ピュアで夢見がちな美術学生と心臓外科医との1本のバラの花から始まるお洒落な恋物語のはずだった。A.トトゥの『アメリ』で出来上がったイメージをまんまと逆手にとったお話。予想の上を行く展開で、視点が切り変>>続きを読む

ビッグ・リボウスキ(1998年製作の映画)

4.7

同姓同名の大金持ちと間違えられた無職の変なオッサンが変な騒動に巻き込まれいく変なお話。変な角度から描いた中年危機。あるいは、変な連中が織りなす人生讃歌。おかしさを通り越して愛おしさすら感じるアホさ加減>>続きを読む

奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ(2014年製作の映画)

3.4

落ちこぼれクラスの生徒たちが「ホロコースト」という課題と向き合う。そのありのままの様子を写し取ったドキュメンタリー風の作品。ドラマ性や人物描写は控えめに、彼らの表情の変化でその成長を描いていく。強制収>>続きを読む

ノー・マンズ・ランド(2001年製作の映画)

3.5

ボスニア紛争を題材に、塹壕に取り残されたボスニア兵とセルビア兵の姿をシニカルなユーモアをまじえて描いた戦争映画。共通の言語を使いながらも互いが「そっちが悪い」といがみ合って泥沼化していくところに戦争の>>続きを読む

コン・エアー(1997年製作の映画)

3.6

模範囚として仮出所した男が乗り込んだ凶悪犯だらけの囚人輸送機が案の定ハイジャックされてしまうお話。ツッコミどころは多いけれど、序盤から手に汗握る展開で見応えは十分。仰々しく登場してきたわりに箸休めみた>>続きを読む

フットルース(1984年製作の映画)

3.4

都会育ちの青年が引っ越してきたのはダンスもロックも禁止されている保守的すぎる町だった。80年代の楽曲が詰まった青春音楽劇。無理解な大人たちに理詰めで説得を試みるあたりが真面目だと思った。途中で流れるB>>続きを読む

私の少女(2014年製作の映画)

3.3

左遷されてきた女性警官が、学校でいじめに遭い家族からも虐待を受けている少女と出会った。彼女は少女を自宅に匿うのだが。差別する者と傍観者たちと。小さな漁村が舞台だが、これが彼女たちが置かれている社会その>>続きを読む

バグダッド・カフェ 完全版(1987年製作の映画)

4.1

時間に追われて心の余裕を失った女性と、夫と別れて時間を持て余した女性と。砂漠のモーテルを舞台に描かれる女性の友情。“Calling You”が醸し出すどこか透き通った空気感になぜだか引き込まれてしまう>>続きを読む

ザ・ハリケーン(1999年製作の映画)

3.9

カナダで暮らす少年が古本フェアで見つけたもの。それは冤罪を訴える元プロボクサーが獄中で記した自伝だった。怒りや憎しみをエネルギーに世界チャンピオンにまで駆け上がった男。一冊の本により結びついた絆が孤独>>続きを読む

時をかける少女(1983年製作の映画)

3.1

放課後の誰もいない理科実験室で意識を失った日から、少女の身の回りに異変が生じる。鍵を握るラベンダーの香り。情緒あふれる古い街並みに忍び込ませた時空の歪みが、少女を恋へと誘う。思っていたよりは時をかけな>>続きを読む

フォーエヴァー・ヤング/時を越えた告白(1992年製作の映画)

3.5

50年以上も冷凍保存されていた男が現代に目覚める。目の当たりにする何もかもが変わり果てた世界。それでも消え去ることのない想い。そして、後悔。時を超えた愛の物語。少年が”You Are My Sunsh>>続きを読む

ベッカムに恋して(2002年製作の映画)

3.3

サッカーに熱中するインド系の少女が地元の女子クラブに誘われたことでプロを意識するようになるのだが。立ちはだかる伝統的な女性観という壁。才能はあるのに家族から反対される的な王道の物語。恋愛を絡めたことが>>続きを読む

いまを生きる(1989年製作の映画)

4.0

詩の素晴らしさを説く風変わりな教師の授業が、規律でがんじがらめだった生徒たちを変えていく。寄宿制名門進学校を舞台に描かれる青春群像。物事を違った角度から見つめることの大切さ。机の高さだけ成長した教え子>>続きを読む

ダニー・ザ・ドッグ(2005年製作の映画)

3.4

殺人マシーンとして育てられ、犬のように扱われていた男が、盲目のピアノ調律師に匿われて人間らしさを取り戻していくお話。ピアノの旋律が呼び覚ます男の過去とは。J.リーが見せるキレッキレのアクションと、まる>>続きを読む

658km、陽子の旅(2023年製作の映画)

3.0

父の葬儀に従兄の車で向かったはずだった。内気で孤独な40代女性の故郷までの片道旅。疎遠だった父への様々な想いが勇気となって彼女を衝き動かす。なんとなく彼女が東京で経験したことを現在から過去へと遡ってい>>続きを読む

カリートの道(1993年製作の映画)

4.0

裏社会から陽のあたる場所へ。かつて麻薬王として名を馳せた昔気質の男が描いたささやかな夢。抗うことのできない宿命から懸命に逃れようとする姿。それは不器用な彼なりの精一杯の愛情表現なのだろう。心揺さぶられ>>続きを読む

午前4時にパリの夜は明ける(2022年製作の映画)

3.5

夫が家を出た。残された女性とその娘と息子と訳あり少女と。支え合いながら無我夢中で歩んだ家族の道程。私小説のように綴られていく何気ない日常。人と人との繋がりが、どこか物憂げで儚げな彼女の心の糧になってい>>続きを読む

天国から来たチャンピオン(1978年製作の映画)

3.5

天国の不手際で死んでしまったアメフト選手が、殺された大富豪の身体を借りて蘇ったことで巻き起こる騒動を描いたちょっと大人なファンタジー。大富豪の肉体でスーパーボウルを目指そうとする点が引っ掛かったが、着>>続きを読む

ゆれる(2006年製作の映画)

3.9

東京で成功した自由奔放な弟と、田舎で家業を継いだ生真面目な兄と。旧来の家制度と田舎の閉鎖性に縛り付けられていた兄の自我が、情念が、ある出来事をきっかけに表面化していく。兄弟姉妹の間に存在しがちなわだか>>続きを読む

ミスティック・リバー(2003年製作の映画)

3.7

ある事件を機に疎遠になっていた幼馴染3人の人生が再び交錯する。サスペンスの要素を取り入れながら理不尽に直面したそれぞれを描いた群像劇という印象。強すぎた愛ゆえの激情が狂気へと転じる。その狂気をそっと包>>続きを読む

ラヴソング(1996年製作の映画)

3.6

恋人を残して香港に出てきた青年と、成り上がろうとたくましく生きる女性と。返還前の激動の時代を背景に、惹かれ合いながらもすれ違い続けた男女の軌跡。なによりマギー・チャンが素晴らしく、要所要所で挿入される>>続きを読む

ザ・エージェント(1996年製作の映画)

3.0

仕事のあり方に疑問を持って会社に提案書を提出したところクビになってしまったエージェントのお話。会社を辞めた途端に人が引き潮のように去っていく一方で、留まり続ける人もいる。契約金の多寡では測ることのでき>>続きを読む

アントニオ猪木をさがして(2023年製作の映画)

2.5

稀代のスーパースターの実像に迫るドキュメンタリー。長州や武藤や蝶野に頼らず、棚橋やオカダで「猪木」にアプローチをした点は独特だが、さほど目新しさは感じなかった。部分部分は悪くはないが、ミニドラマで流れ>>続きを読む

わたしは、ダニエル・ブレイク(2016年製作の映画)

3.7

心臓病を患って医師から働くことを止められた頑固者の元大工。収入のあてもなく役所に支援を申し出たのだったが。徹底した行政のスリム化がもたらしたものとは。非人間的な社会制度に蔑ろにされる市井の人々の姿をユ>>続きを読む

ハロルドとモード/少年は虹を渡る(1971年製作の映画)

3.6

死に魅せられた青年がアナーキーな婆さんに心惹かれていく。人生についての師弟の物語ではあるが恋愛にまで踏み込んでいるところが独特。ほんの一瞬だけ映し出される婆さん過去が、クセの強い物語を引き締めている。>>続きを読む

テノール! 人生はハーモニー(2022年製作の映画)

3.6

ラップバトルに興じる寿司屋の出前持ちの青年がひょんなことでオペラ教師からスカウトされる。家族愛を軸に師弟の絆を絡めた王道的な物語だが、小難しそうで敷居が高そうで馴染みの薄いオペラの魅力をストレートに描>>続きを読む

1秒先の彼(2023年製作の映画)

3.6

消えた一日をめぐるちょっと不思議なラブストーリーの日本版リメイク。前半ややもたついているように思えたが、後半いい感じに巻き返して帳尻はあった。これはこれで悪くはない。オリジナル版にはない昼間の打ち上げ>>続きを読む

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

3.4

20年前のビデオテープに残された父との他愛もないやり取り。鮮やかに甦ってくるあの夏の思い出。思春期の入り口に差し掛かった娘と、多くを語らない父と。どこかぎこちなくもある二人きりの夏休み。「娘の父親離れ>>続きを読む

シャイン(1996年製作の映画)

3.0

ある天才ピアニストが辿った数奇な半生。生まれながらに背負わされていたピアノの呪縛に押しつぶされた主人公が、ピアノによって救われていくまで。強権的な父親の歪んだ愛の強烈さとは対照的に、主人公を受け入れた>>続きを読む

カラー・オブ・ハート(1998年製作の映画)

3.7

往年のテレビドラマの世界に閉じ込められた兄妹が、現代っ子の感覚で当たり障りがなくて予定調和な世界を変えていく。住民の心の変化によってモノクロの世界が少しづつ色彩を帯びていく演出が秀逸。オッサンたちがい>>続きを読む

アナライズ・ミー(1999年製作の映画)

4.0

複雑な現代社会。マフィアのボスだって思い悩む。結婚間近の分析医と、招かれざるクライアントとの奇妙な絆を描く。絶妙の掛け合いで物語を牽引していく主役の2人もさることながら、手下役のJ.ヴィテレリがいい味>>続きを読む