いくたろさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

いくたろ

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300 <スリーハンドレッド>(2007年製作の映画)

2.7

スパルタの300人の精鋭たちが100万の兵力を誇るペルシャ軍を迎え撃ったテルモピュライの戦いの激闘を描く。ダークファンタジー寄りの歴史映画という印象。半裸のマッチョのゴリゴリの肉弾戦はそれなりに見ごた>>続きを読む

すばらしき世界(2021年製作の映画)

3.5

激情的な性格ゆえに人生を遠回りしてきた男が今度こそは真っ当に生きようと奮闘する。真っ直ぐで不器用な彼が見つけた世の中を当たり障りなく生きていく術。ラストの主人公の判断で浮かび上がってくる世知辛いこの世>>続きを読む

8 1/2(1963年製作の映画)

3.0

クランクインは迫っている。なのに頭の中はからっぽ。逃げたくても逃げられない映画監督の焦りと苦悩と現実逃避と。正直よく分からない物語だったが、周囲から凝視される冒頭のシーンと開き直ったかのような賑やかな>>続きを読む

市子(2023年製作の映画)

2.9

プロポーズされた翌日に忽然と姿を消した女性の物語。明かされていく彼女が歩んできた道と、彼女が一歩を踏み出した道と。その対比で浮かび上がってくる彼女の実像。なんとなく肝心なところが説明不足のような気して>>続きを読む

異人たちとの夏(1988年製作の映画)

3.3

売れっ子脚本家がふと立ち寄った故郷の浅草で12歳の時に死別した両親と再会する。その日以来、彼はあの頃のままの両親の優しさに溺れていく。怪談で味付けした親子の絆の物語。郷愁をかき立てながらどこか薄気味悪>>続きを読む

桐島、部活やめるってよ(2012年製作の映画)

4.2

学園のスター的存在が姿をくらましたことで巻き起こる混乱と騒動と。何気ない会話でヒエラルキーを顕在化させながら、それぞれの心の充足度を可視化していく。容姿にも資質にも恵まれた負けるはずのない青年が味わっ>>続きを読む

コーラス(2004年製作の映画)

3.2

問題児や戦争孤児を受け入れる「池の底」と呼ばれる寄宿舎を舞台に、日常的な体罰で心の荒んだ子供たちと人生どん底の冴えない音楽教師とが「歌うこと」を通して絆を育んでいくお話。なによりボーイソプラノの透明感>>続きを読む

フォー・ザ・ボーイズ(1991年製作の映画)

3.5

軍の慰問活動で人気を博し、戦争に翻弄されつつも一線で活躍し続けたエンターテイナーコンビの人生。愛情とも友情とも異なるコンビ愛の物語。ベトナムの最前線でしっとりと“In My Life”を歌い上げるシー>>続きを読む

グリーン・カード(1990年製作の映画)

3.4

既婚が条件の温室付きアパートに住みたい園芸家と、アメリカ永住権を取得したいフランス人。利害の一致した見ず知らずの二人は書類だけの結婚をするのだが。嘘からから始まる恋物語。移民問題をほんのりと絡めながら>>続きを読む

チェイサー(2008年製作の映画)

3.6

元刑事のデリヘル店主が失踪したデリヘル嬢の行方を追う。早々に鍵を握る男の身柄を確保したのだったが。焦りが苛立ちが情念が彼を激しく突き動かす。息苦しいほどの夜の闇を突っ切ったその先に待ち構えていたものと>>続きを読む

スライディング・ドア(1997年製作の映画)

3.4

地下鉄に乗れなかった彼女と乗れた彼女。ドアが閉まるちょっとしたタイミングのずれで枝分かれしたもうひとつの世界。現実ともしも。2つの恋の行方を交錯させながら綴っていく恋愛コメディ。G.パルトローの魅力が>>続きを読む

恋する惑星(1994年製作の映画)

3.2

雑踏行き交う都会の片隅でどこか風変わりな男女のすれ違いから始まる恋愛模様。当時の香港の雑多な雰囲気と空気感をスタイリッシュに切り取っていく。後半はちょっと不気味だったが、失恋直後の燻んだ日常が恋の作用>>続きを読む

ハリー・ポッターと賢者の石(2001年製作の映画)

3.6

シリーズ第一作。生後まもなく親戚の家に預けられた孤独な少年の元に魔法魔術学校から招待状が届く。主人公の視点で追体験していく不思議な魔法の世界。冒頭からその完成された世界観に引き込まれていく。このワクワ>>続きを読む

不思議の国の数学者(2022年製作の映画)

3.6

選りすぐりの秀才だけが集まる超進学校を舞台に、警備員としてひっそりと暮らす脱北してきた数学者と落第寸前の青年との師弟の絆を描く。大切なのは正解よりも過程。王道的な展開ながら女子高生を加えたことが良いア>>続きを読む

ジョゼと虎と魚たち(2003年製作の映画)

3.8

平凡な大学生と自らをジョゼと名乗る足の不自由な女性との恋の軌跡。恋をしたことで広がった世界。それはジョゼにとっては現実だった。彼にとっては美しい非日常だった。人間臭さと生活の匂い。男と女の生々しさをし>>続きを読む

正欲(2023年製作の映画)

4.0

異性が好きだということをわざわざ「性的嗜好」とか言ったりしない。つまりそういうことなのだろうと思う。大多数とは異なることで孤立し、悩み苦しむ人たちの群像。「まとも」だとか「まともではない」だとか。それ>>続きを読む

ピンポン(2002年製作の映画)

3.9

それぞれのスタンスで卓球と向き合う高校生たちの群像。覚醒しない天才から努力しても報われない凡人まで。5人のグラデーションで紡がれていく青春の残酷さ。ただ、一番の幸せ者はドラゴンなのかなとも思ったり。大>>続きを読む

恋はデジャ・ブ(1993年製作の映画)

3.5

傲慢で自分勝手な男に明日がやって来なくなるお話。何千回何万回と繰り返される一日。命を絶っても容赦なく一日が始まる。そんな出口のない迷路の中で彼が見つけた大切なこととは。苛立ちや虚しさや諦めや絶望の先に>>続きを読む

大誘拐 RAINBOW KIDS(1991年製作の映画)

3.9

マヌケな三人組に誘拐された和歌山の大富豪の婆さんが逆に三人組を手のうちで転がし始める。果たして婆さんの目的とは。ただ者ではなかった婆さんとどこか憎めない三人組との交流を軸に描かれていく犯罪コメディ。気>>続きを読む

ミセス・ダウト(1993年製作の映画)

3.6

妻に愛想を尽かされ、帰る家も親権も失った主人公が愛する子供たちに会うために思いついた秘策とは。最高の父親だけど最低の夫。そんな彼が家庭での居場所を見つけていくお話。破茶滅茶なんだけど優しくてほんのり哀>>続きを読む

マンチェスター・バイ・ザ・シー(2016年製作の映画)

3.0

苦しみを背負った男が故郷へ帰る。弟を想う兄が遺した優しさが皮肉にも彼の心をえぐることに。季節は移ろうけれども、過去に留まり続ける彼の心に春は訪れるのだろうか。何も変わらないようで何かが微かに変化してい>>続きを読む

茶飲友達(2022年製作の映画)

4.0

限りなく「黒」に近いグレーゾーンの土台に築かれていく孤独な者同士の絆。高齢者買春クラブを舞台に描かれていく擬似家族の物語。売る者。買う者。あっせんする者。その場しのぎの偽りのぬくもりに一生懸命すがろう>>続きを読む

天使にラブ・ソングを…(1992年製作の映画)

3.6

ギャングから追われる売れないクラブ歌手が修道院に身を隠す。俗世にどっぷり浸かった主人公と、厳しい戒律を守って暮らすシスターたちとの化学反応が奏でる美しくパワフルなハーモニー。W.ゴールドバーグが圧巻。>>続きを読む

南極料理人(2009年製作の映画)

3.4

男だけのむさくるしい空間を彩る美味しい料理。南極越冬隊の基地での暮らしを調理担当隊員の視点で切り取っていく。なんだかんだで楽しそうだった雰囲気が極夜のおとずれとともにおかしくなっていくところに彼らの任>>続きを読む

ダージリン急行(2007年製作の映画)

3.0

クセの強い三兄弟が絆を取り戻すために列車でインドを旅するお話。予定通りにいかないからこそ旅は面白い。きっと人生も同じなのかも。心に溜め込んだ澱のような大きなトランクを放りだして列車に飛び乗る三人の姿は>>続きを読む

イルマーレ(2001年製作の映画)

3.3

海辺の家に住み始めた青年に届いた未来からの手紙。不思議な郵便受けを介して2年の月日を隔てた男女が心惹かれあっていく。孤独だから人恋しくなり、孤独だから想いが募っていく。会えないもどかしさが孤独をさらに>>続きを読む

父親たちの星条旗(2006年製作の映画)

3.4

硫黄島の戦いの最中に撮られた一枚の写真。それにより英雄に仕立て上げられ、英雄として利用され、忘れ去られていった兵士たちの物語。戦場で仲間を失った彼らの心を踏みにじるかのような大人連中の小狡さに吐き気が>>続きを読む

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

3.9

終戦後、復興の槌音が聞こえ始めた東京にゴジラが襲来する。戦争を生き延びた一人の元特攻隊員に焦点を当てた人間ドラマ。それを「ゴジラ」の文脈に落とし込んだ印象。戦争という不条理にぶちのめされた人々が負った>>続きを読む

クール・ランニング(1993年製作の映画)

3.5

アクシデントでオリンピック出場の夢が絶たれたジャマイカのアスリートたちがボブスレーで冬季オリンピックを目指すお話。コーチが美味しいとこ持っていきすぎなのと、キャプテンが影が薄すぎるのが気になったが、笑>>続きを読む

A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー(2017年製作の映画)

2.8

交通事故死した夫が幽霊となって残された妻の元へ。そこで彼女を見守り続けるのだが。シーツを被った幽霊の愛らしさとは対照的な静かで難解な物語。幽霊の視点で綴られていく物語ではあるのだけれど、人間という存在>>続きを読む

コンパートメントNo.6(2021年製作の映画)

3.3

最悪の出会いから始まった忘れられない旅。モスクワから最果ての駅へと向かう寝台列車で、たまたま同じ客室になった男女が打ち解けていく様子を描く。時代設定的にスマホも携帯も登場しないが、だからこそ人と人との>>続きを読む

博士の愛した数式(2005年製作の映画)

2.7

80分しか記憶がもたない数学博士と家政婦とその息子の交流を描く。男女のドロドロのエピソードも含んでいる物語を、数学教師になった息子が生徒たちに語るという設定に違和感を覚えた。物語上「80分」が全く生き>>続きを読む

フライド・グリーン・トマト(1991年製作の映画)

3.8

夫婦生活に悩みを抱える中年主婦が老人ホームで話しかけてきた見知らぬ婆さんの昔話に引き込まれていく。それは女性が抑圧されていた時代をたくましく生き抜いた女性同士の友情の物語だった。昔話に刺激されてどんど>>続きを読む

パリ、テキサス(1984年製作の映画)

3.6

荒野をただ一人さまよう男。不器用すぎたために全てをなくしてしまった彼の心象風景のようなシーンで綴られていく心の旅。バラバラになってしまった家族。それぞれに流れた4年の月日。それでも風化することのなかっ>>続きを読む

バンディッツ(1997年製作の映画)

3.6

刑務所で結成された囚人4人組のガールズバンドが脱走する。追われながらもスターダムへ駆け上がっていく彼女たちの友情を描いた音楽劇。物語としては少々粗い感じもするがビデオクリップを繋げたような映像と音楽の>>続きを読む

八日目の蝉(2011年製作の映画)

3.7

血の繋がりのない母子の4年間の軌跡。生まれてすぐに誘拐され、犯人に育てられた主人公が自ら閉ざしてしまった過去と向き合うお話。不誠実な男への一途だった愛が消滅して母性に置き換わる。その母性がくれたたくさ>>続きを読む