いくたろさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

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潜水服は蝶の夢を見る(2007年製作の映画)

3.5

ある日突然、病により身体の自由を失い、言葉を発することも出来なくなった男が、現実を受け止めて希望を見出していくお話。カメラが彼の目になって彼の見たままを映していく。どこかボヤキのような彼の心の声が小気>>続きを読む

天国の口、終りの楽園。(2001年製作の映画)

3.2

高校卒業直後の夏休み。セックスのことで頭がいっぱいな青年2人が人妻と一緒に「天国の口」というビーチを目指す。自由奔放なひと夏の物語。振り切っているだけに祭りのあとの侘しさが際立っている。話の流れをぶっ>>続きを読む

パリタクシー(2022年製作の映画)

3.7

人生の岐路に立つタクシー運転手が介護施設に入所する婆さんの思い出めぐりに付き合うお話。そこで明かされる彼女の驚きの過去とは。必死に生きていると見えているものも見えなくなる。日々うんざりするほど行き来す>>続きを読む

かぞくのくに(2012年製作の映画)

3.2

帰国事業により25年前に北朝鮮へと渡った兄が期限付きで日本に戻ってくる。監督の実体験に基づく家族のドラマ。決して自由になれたわけではない兄と、帰宅を喜ぶ家族たちのコントラスト。どこか悟りの境地に達した>>続きを読む

ホテル・ルワンダ(2004年製作の映画)

4.0

憎しみの感情が意図的に扇動された果てにおとずれるおぞましすぎる顛末。100万人以上が犠牲になったとされるルワンダ虐殺を背景に、行き場を失った人々を匿ったホテルマンの姿を描く。確かに「怖いね」と思うこと>>続きを読む

愛しのローズマリー(2001年製作の映画)

3.9

催眠術で他人の内面の美しさが見えるようになってしまった男が飛び切りの美女と恋に落ちるお話。催眠術が解けてからの展開が良くて、とりわけ小児病棟でのエピソードが印象的で作品全体を引き締めているように思えた>>続きを読む

不機嫌な赤いバラ(1994年製作の映画)

3.9

気まぐれすぎる元大統領夫人の未亡人に辟易しつつもその身辺警護をおこなうクソ真面目なシークレットサービスの奮闘を描く。いがみ合いながらも固い絆で結ばれた2人の関係が微笑ましい。夫人に刃向かうといちいち現>>続きを読む

あの頃ペニー・レインと(2000年製作の映画)

3.0

15歳の音楽ライターの少年がブレイク寸前のバンドのツアーを同行取材することになる。無菌室のような家から飛び出した彼を待ち受ける刺激的すぎる世界。そして、初恋。ペニー・レインを幻想のように描いているとこ>>続きを読む

踊れトスカーナ!(1996年製作の映画)

3.0

のどかなイタリアの田舎町。平凡で変わり映えのしない日々を送っていた会計士の実家の農場に、スペインのフラメンコダンサーを乗せたバスが迷い込んでくる。突然におとずれた恋が生真面目な彼を変えていく。陽気で情>>続きを読む

世界最速のインディアン(2005年製作の映画)

4.0

スピードに魅せられた爺さんが改造に改造を重ねた古いバイクを引き連れて、世界最速を競う大会に出場するために旅に出る。技術は一流だが適度にポンコツな爺さんがいろんな人たちに支えられながら夢に向かってまっし>>続きを読む

バーナデット ママは行方不明(2019年製作の映画)

3.8

いろいろこじらせた主婦が家出先に選んだのは南極だった。幸せな家庭を得たことで見失ってしまった「自分」を探しにいく旅。何もない真っ白な大地に彼女が思い描いたこととは。母と娘の関係が素敵で、一緒に“Tim>>続きを読む

地下鉄のザジ(1960年製作の映画)

2.9

田舎から出てきた少女が変な大人たちを巻き込みながらパリの街を駆け巡るお話。独特の色調の奇抜な映像表現と馬鹿馬鹿しい演出で綴られていく騒々しくて破茶滅茶な物語は斬新すぎて早々と置いてきぼりをくらったが、>>続きを読む

デッドマン・ウォーキング(1995年製作の映画)

3.6

執行までの死刑囚の心の動きを追うだけではなく、被害者遺族の心情や刑務官らの心的負担についても描かれており、重厚な人間ドラマでありながら「死刑」を俯瞰で見つめているようにも感じられる。そういう意味では死>>続きを読む

トンネル(2001年製作の映画)

3.9

ベルリンの壁が作られた時代。東側に残された家族や恋人らを救出すべく地下トンネルを掘り進める計画が実行される。人と人とを壁で分断しようとする人間の愚かさと、それに抗おうとする愛の強さと。監視国家の東側か>>続きを読む

顔のない天使(1993年製作の映画)

3.7

士官学校の入学試験を控えた孤独な少年は、「化け物」と噂されている元教師から教えを乞うことに。先入観だとか偏見だとか。そういったものに流されずに自分の頭で考えて真実を見極めることの大切さ。それこそが学問>>続きを読む

スウィングガールズ(2004年製作の映画)

3.7

田舎の女子高生がジャズバンドを結成するお話。補習を受けてる彼女たちがジャズに興味を持つまでの流れが若干もたついているように思えたが、ルイ・アームストロングから一気に盛り返した印象。スーパーの駐車場でみ>>続きを読む

ウェイクアップ!ネッド(1998年製作の映画)

4.0

アイルランドの小さな村で住民の誰かが高額の宝くじに当たったことが判明。爺さん2人組はおこぼれにありつこうと当選者探しをするのだが。金に目がくらんだ人間の愚かさをユーモアたっぷりに描いてる印象。全裸の爺>>続きを読む

チョコレート(2001年製作の映画)

3.4

父の威厳とか、母の強さとか。そんな鎧を失って漂う男女が惹かれあい、求め合う。心の大きな空白を埋めるかのように。ある死刑執行を起点に描かれていく喪失と再生の物語。一足飛びに事に及んだところが若干引っかか>>続きを読む

ジュリア(s)(2022年製作の映画)

3.9

ある女性が歩んできた人生と彼女が歩んでいたかもしれない3つの人生が綴られていく。多少の集中力はいるかもだが同時進行する4つの人生を描き分けているところは見事。実際の人生は最後に明かされるのだが、そこは>>続きを読む

フェアウェル(2019年製作の映画)

3.2

癌を患っているとは知らされていない婆さんのために家族がついた優しい大嘘。余命宣告に対する中国とアメリカの考え方の違いを軸にしたホームドラマ。なんとなく婆さんが勘付いているようにも思えたのだが、そこをぼ>>続きを読む

レディ・バード(2017年製作の映画)

3.7

なりたい自分になろうとして必死にもがいている女子高生のありのままの成長記録。不器用な母とのぶつかり合いも思い通りにならない日々も、その一瞬一瞬が彼女を構成するピースになっていくのだろう。巣立ってみてよ>>続きを読む

丘の上の本屋さん(2021年製作の映画)

3.8

店主の爺さんと移民の少年との交流を軸に、田舎の小さな古書店の日常が綴られていく。本を介して人と人とが繋がって、活字を夢中で追い掛けているうちに、世界は広がり、未来は切り拓かれていく。そんな素敵な読書体>>続きを読む

許されざる者(1992年製作の映画)

3.6

隠遁生活を送る男の元に、彼の噂を聞きつけた若者がやってくる。かつて「冷酷な無法者」として名を轟かせた男の実像に迫っていくお話。噂話にどんどん尾ヒレがついて「伝説」となる。それらを全て取っ払って残ったの>>続きを読む

ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書(2017年製作の映画)

3.5

ベトナム戦争についての国の最高機密文書の存在を軸に、真実を追い求める新聞記者たちの奮闘を描く。国家権力の思惑と記者たちの気概と経営者の苦悩と。概ね社内だけで物語が展開するので思いのほか分かりやすかった>>続きを読む

心の指紋(1996年製作の映画)

3.3

余命宣告を受けた殺人犯の少年がエリート医師を人質に逃走する。自らのルーツであるナバホの聖地を目指して。物質まみれの世の中から精神世界へ。身につけた余計な物を削ぎ落とし、剥き出しの魂となって共鳴する。エ>>続きを読む

逆噴射家族(1984年製作の映画)

3.6

新居を手に入れたところから始まる家族崩壊。生真面目で冴えないサラリーマンの親父の空回りにつぐ空回りが次第に狂気を帯びていき、夢のマイホームを殺伐とした修羅場へと変えていく。いろいろと狂っている世界観だ>>続きを読む

グッド・ライ いちばん優しい嘘(2014年製作の映画)

3.4

村を焼かれ、親を殺され、命懸けで隣国へと脱出した「ロストボーイ」と呼ばれた若者たちが難民移住計画でスーダンからアメリカに渡ることに。彼らの固い絆を描いた物語だが、前半の壮絶な脱出劇に比べると文化や価値>>続きを読む

ミス・シェパードをお手本に(2015年製作の映画)

3.2

閑静な住宅街で暮らす劇作家とそこに居ついた車上生活者の婆さんとの奇妙な交流を描く。クセが強くてひねくれ者だがどこか気高さが感じられる婆さんのキャラが良い。なんだかんだ言いながらも彼女を排除することなく>>続きを読む

福田村事件(2023年製作の映画)

4.0

日常化した差別や偏見が関東大震災というきっかけによって増幅し、狂気へと転化していく様子を描く。自分たちとは違うから嫌悪し、常日頃から虐げているから報復されるものと思い込み恐怖に慄く。蛮行の根底にある人>>続きを読む

ソフィーの選択(1982年製作の映画)

3.8

ホロコーストを生き延びた女性を軸にした奇妙な三角関係。幸せそうな日々に染みついた戦争の残り香。次第に明かされる彼女の凄絶すぎる人生。まるで心に押された焼き印のような彼女の罪悪感の正体とは。真っ直ぐ見つ>>続きを読む

メッセージ(2016年製作の映画)

3.3

謎の宇宙生命体と意思の疎通をはかるために言語学者が駆り出されるお話。謎の飛行物体の登場。未知の生命体との遭遇。そして、独特な文字表現。序盤から見応えたっぷりでぐいぐいと引き込まれていったが、気がついた>>続きを読む

ジョー、満月の島へ行く(1990年製作の映画)

3.5

余命宣告を受けて仕事を辞めた主人公が、大富豪から南の島で生け贄になって欲しいと依頼されて引き受けるお話。全体的に雑で粗くて最後もアホらしすぎて「は?」となるけれど、ここまで潔いと逆に面白い。太平洋のど>>続きを読む

LION ライオン 25年目のただいま(2015年製作の映画)

3.9

迷子になった5歳の少年が過酷すぎる現実を健気にたくましく生き抜いていくお話。幸せは見つけられたけれど、それでもなお思いは募り続ける。とにかく子役が素晴らしく、ずっと見てられる。ただ、終盤の感動シーンは>>続きを読む

25年目のキス(1999年製作の映画)

3.1

25歳の冴えない記者が潜入取材という名目で高校生になりすまして学園生活を送ることに。惨めだった高校時代のトラウマを払拭しようと意気込むのだが。イケてるグループに加わるために仲良くなったガリ勉をスパッと>>続きを読む

ラストナイト・イン・ソーホー(2021年製作の映画)

4.0

デザイナーを夢見る主人公が夜な夜な体験する60年代ロンドン。その妖しくも魅惑的な世界で、彼女は歌手を夢見る女性と同化する。きらびやかな世界の闇の部分が現実世界へと流れ込んでくるような印象。それはまるで>>続きを読む

ファーザー(2020年製作の映画)

3.6

年老いた父の視点で綴られていく日常。序盤から迷路の中にいるような感覚になり、その不安と緊張がどんどんと高まっていく。かといって明確な出口があるわけではない。きっと「老いる」ってそういうことなのだろう。>>続きを読む