いくたろさんの映画レビュー・感想・評価 - 6ページ目

いくたろ

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逆噴射家族(1984年製作の映画)

3.6

新居を手に入れたところから始まる家族崩壊。生真面目で冴えないサラリーマンの親父の空回りにつぐ空回りが次第に狂気を帯びていき、夢のマイホームを殺伐とした修羅場へと変えていく。いろいろと狂っている世界観だ>>続きを読む

グッド・ライ いちばん優しい嘘(2014年製作の映画)

3.4

村を焼かれ、親を殺され、命懸けで隣国へと脱出した「ロストボーイ」と呼ばれた若者たちが難民移住計画でスーダンからアメリカに渡ることに。彼らの固い絆を描いた物語だが、前半の壮絶な脱出劇に比べると文化や価値>>続きを読む

ミス・シェパードをお手本に(2015年製作の映画)

3.2

閑静な住宅街で暮らす劇作家とそこに居ついた車上生活者の婆さんとの奇妙な交流を描く。クセが強くてひねくれ者だがどこか気高さが感じられる婆さんのキャラが良い。なんだかんだ言いながらも彼女を排除することなく>>続きを読む

福田村事件(2023年製作の映画)

4.0

日常化した差別や偏見が関東大震災というきっかけによって増幅し、狂気へと転化していく様子を描く。自分たちとは違うから嫌悪し、常日頃から虐げているから報復されるものと思い込み恐怖に慄く。蛮行の根底にある人>>続きを読む

ソフィーの選択(1982年製作の映画)

3.8

ホロコーストを生き延びた女性を軸にした奇妙な三角関係。幸せそうな日々に染みついた戦争の残り香。次第に明かされる彼女の凄絶すぎる人生。まるで心に押された焼き印のような彼女の罪悪感の正体とは。真っ直ぐ見つ>>続きを読む

メッセージ(2016年製作の映画)

3.3

謎の宇宙生命体と意思の疎通をはかるために言語学者が駆り出されるお話。謎の飛行物体の登場。未知の生命体との遭遇。そして、独特な文字表現。序盤から見応えたっぷりでぐいぐいと引き込まれていったが、気がついた>>続きを読む

ジョー、満月の島へ行く(1990年製作の映画)

3.5

余命宣告を受けて仕事を辞めた主人公が、大富豪から南の島で生け贄になって欲しいと依頼されて引き受けるお話。全体的に雑で粗くて最後もアホらしすぎて「は?」となるけれど、ここまで潔いと逆に面白い。太平洋のど>>続きを読む

LION ライオン 25年目のただいま(2015年製作の映画)

3.9

迷子になった5歳の少年が過酷すぎる現実を健気にたくましく生き抜いていくお話。幸せは見つけられたけれど、それでもなお思いは募り続ける。とにかく子役が素晴らしく、ずっと見てられる。ただ、終盤の感動シーンは>>続きを読む

25年目のキス(1999年製作の映画)

3.1

25歳の冴えない記者が潜入取材という名目で高校生になりすまして学園生活を送ることに。惨めだった高校時代のトラウマを払拭しようと意気込むのだが。イケてるグループに加わるために仲良くなったガリ勉をスパッと>>続きを読む

ラストナイト・イン・ソーホー(2021年製作の映画)

4.0

デザイナーを夢見る主人公が夜な夜な体験する60年代ロンドン。その妖しくも魅惑的な世界で、彼女は歌手を夢見る女性と同化する。きらびやかな世界の闇の部分が現実世界へと流れ込んでくるような印象。それはまるで>>続きを読む

ファーザー(2020年製作の映画)

3.6

年老いた父の視点で綴られていく日常。序盤から迷路の中にいるような感覚になり、その不安と緊張がどんどんと高まっていく。かといって明確な出口があるわけではない。きっと「老いる」ってそういうことなのだろう。>>続きを読む

菊とギロチン(2016年製作の映画)

3.4

関東大震災後の混乱から全体主義へと傾倒していく空気感を背景に、「強くなりたい」と願う女性たちと「世の中を変えたい」と願う若者たちの熱い気持ちが女性相撲を介して共鳴し合う物語。一同が浜辺で自由を謳歌する>>続きを読む

プラダを着た悪魔(2006年製作の映画)

3.9

一流ファッション誌の編集部を舞台に、鬼編集長にこき使われる新米アシスタントの奮闘を描く。きらびやかな業界は、それぞれの必死の仕事で成り立っているということ。どんどん垢抜けていくA.ハサウェイも良かった>>続きを読む

アルマゲドン・タイム ある日々の肖像(2022年製作の映画)

2.9

ユダヤ系少年が同級生の黒人少年との交流を通じて、人種とか階層とか出自とか、そんな努力ではどうにもならないもので判断される社会の不条理さに直面するお話。主人公の言動が年齢の割には子供っぽい気が。もう少し>>続きを読む

おじいさんと草原の小学校(2010年製作の映画)

3.5

政府が教育の無償化を導入したところ入学を希望する子供たちに混ざって爺さんがやってくる。そんな爺さんの実像に迫る人間ドラマ。学ぶこと以上に「学校」という場所、出会いが爺さんを変えていく。心の傷を乗り越え>>続きを読む

沈黙のレジスタンス~ユダヤ孤児を救った芸術家~(2020年製作の映画)

3.4

ナチスの勢力拡大を背景に、ユダヤ人孤児たちを命懸けで守った名もなき役者の姿を描く。身の毛がよだつほどのナチスの非道な所業。それに対抗して彼が考えた「復讐」とは。恋人のエピソードが凄惨すぎて主人公がぼや>>続きを読む

仁義なき戦い(1973年製作の映画)

3.6

シリーズ第一作。戦後の闇市から這い上がってきたギラギラの若いエネルギーが激しく愚直にぶつかり合っては呆気なく消えていく。その若さを啜りながら組織は私腹を肥やしていく。ヤクザの抗争を描いているようでいて>>続きを読む

生きる LIVING(2022年製作の映画)

4.0

余命宣告を受けた生真面目な役人が自らの人生と向き合うお話。希望に満ちあふれた新人君の存在が効果的で、主人公の若かりし頃を想起させるとともに、新人君も何かを感じ取る。きっと彼はことあるごとに主人公の背中>>続きを読む

ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

3.3

人生の岐路に立ったからこそ見えてくるものがある。孤独にストイックにボクシングとだけ向き合ってきた彼女が見落としていた大切なものに気付くまでの物語。こみ上げてくる悔しさに突き動かされて駆け出す姿の清々し>>続きを読む

大統領の執事の涙(2013年製作の映画)

3.4

あるホワイトハウスの執事の人生を軸に、人種隔離政策の時代から公民権運動を経てオバマ大統領誕生までの歴史を描く。生き抜くために戦わずに白人に仕えた父と、自由を得るために戦うことを選んだ息子と。父子の世代>>続きを読む

TAR/ター(2022年製作の映画)

3.2

音楽界の頂点にまで登り詰めた女性指揮者の人物像に迫る物語。巨大な権力を手に入れてしまったがために自身をコントロール出来なくなってしまった女性の顛末を描いている印象。ただ、いろんな解釈が出来るように作ら>>続きを読む

フォレスト・ガンプ/一期一会(1994年製作の映画)

4.0

アメリカ現代史と関わり合いながら人生を駆け抜けていくフォレスト・ガンプ。その様子は可笑しくて痛快ではあるが、彼が一番に望んでいたことに着目すると意のままにならない人生の不条理さが見えてくる。ワシントン>>続きを読む

オープン・ユア・アイズ(1997年製作の映画)

3.8

モテモテ独身貴族の人生が、交通事故による顔面損傷で狂っていくお話。シームレスに繋がった夢と現実が迷宮のように作用し、男を精神的に追い詰めていく。それはある意味で「因果応報」なのかも。賛否が分かれそうな>>続きを読む

ヴィンセントが教えてくれたこと(2014年製作の映画)

3.7

「飲む打つ買う」の三拍子揃ったやさぐれ爺さんが隣に越してきた少年の面倒を見ることに。ありがちな設定ではあるがビル・マーレイがいい味を出していて気がついたら涙腺が壊れていた。ロクでもない人生でもそれを肯>>続きを読む

逆転のトライアングル(2022年製作の映画)

3.7

なんとなく革命を扱った歴史物語を現代の枠組みに落とし込んで、気まずい笑いで味付けして描いているように感じられた。ヒエラルキーを壊しても新たなヒエラルキーが構築されるだけで、結局これが人の世の常なのかな>>続きを読む

200本のたばこ(1998年製作の映画)

3.4

大晦日のNYを舞台に、年越しパーティーが始まるまでの男女たちの悲喜交々を描いた群像劇。新年を最高のパートナーと迎えたい。交錯するそれぞれの思惑が織りなす恋愛模様。ダラダラと描いているようで緻密なようで>>続きを読む

サルサ!(1999年製作の映画)

3.5

ラテン音楽に魅了されたフランス人ピアニストがサルサバンドに加入したい一心でキューバ人になりすましていたところ、パリジェンヌと恋に堕ちてしまう。ツッコミどころは多いが、序盤の「苦しみは笑いで隠せ」という>>続きを読む

ソナチネ(1993年製作の映画)

3.7

沖縄の抗争に駆り出されたヤクザとその子分。南国の空気と混ざり合う血生臭さを感じながら、海辺の隠れ家で過ごす空っぽの時間。白い砂浜の上でその残忍さは無邪気さへと昇華して消えていく。そして、確実にやってく>>続きを読む

フェイブルマンズ(2022年製作の映画)

3.0

映画に魅了された少年が映画に没頭していくお話。フィルムはありのままを映し出すがそれを編集することで不都合を省くことも出来ればヒーローを作り出すことも出来る。そう思うと、もっとヒーロー的な主人公に出来た>>続きを読む

ポンヌフの恋人(1991年製作の映画)

3.7

天涯孤独な路上生活者の青年と、失恋と不治の眼病に絶望し放浪生活を送る画家が恋に堕ちる。2つの剥き出しの魂が共鳴しあって燃え上がる。それを象徴するかのような打ち上げ花火の美しさと儚さと。愛を知れば失うの>>続きを読む

タンポポ(1985年製作の映画)

3.5

寂れたラーメン屋を立て直していくお話。西部劇タッチで綴られる本線を食にまつわるサブストーリーが盛り上げていく。ゆえにやたらとお腹が減る。印象的だったのは登場人物の穏やかな表情。あんなに優しそうな安岡力>>続きを読む

羊たちの沈黙(1990年製作の映画)

4.0

緊張と緩和の極みのようなレクター博士の登場シーンで心を鷲づかみにされた。バッファロー・ビルは彼の魅力を最大限に活かすための引き立たせ役のようにも思えてくる。気品を漂わせながら底知れぬ狂気も漂わせるA.>>続きを読む

おくりびと(2008年製作の映画)

3.0

職を失ったチェロ奏者が故郷に帰る。そこで見つけたのは「納棺師」という職業だった。「死は穢らわしい」という古くからの価値観を振り払うかのような所作の美しさが際立っている。そのチェロの指づかいのような繊細>>続きを読む

海賊じいちゃんの贈りもの(2014年製作の映画)

3.6

破局寸前の夫婦とその子供たちが爺さんの誕生日会のためにスコットランドへと向かうお話。型破りな爺さんとちょっとクセの強い子供たちの掛け合いが微笑ましくて面白い。と思っていたらまさかの展開に。夕陽を浴びな>>続きを読む

オール・アバウト・マイ・マザー(1999年製作の映画)

3.3

最愛の一人息子を事故で失ったシングルマザーの主人公は、息子が生前に会いたがっていた父親を探すためバルセロナへ向かう。途中、物語がどこに向かっているのか分からなくなってきたが、主人公を軸に展開される「母>>続きを読む

エンドロールのつづき(2021年製作の映画)

3.6

駅でチャイを売る少年が映画に魅了されていくお話。フィルムを通った光がスクリーンで物語へと昇華する。その秘密を探る冒険。ガラクタを集めて見た夢と。夢の亡骸と。光の描写がどれも印象的で、フィルム映画への愛>>続きを読む