ilさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

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枯れ葉(2023年製作の映画)

3.5


最終日滑り込み。

アキカウリスマキがアキカウリスマキして、
擦り倒したベースラインに移り変わるヘルシンキを当てたような映画。

の中に復帰した訳はある種明快で、
戦後邦画のような純朴で淡々と映画す
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ノスタルジア(1983年製作の映画)

3.4


美麗で几帳面な構図、映像と、詩的なニュアンスによるストーリー。

抽象による複合的情報群はシーン毎にミクロ、マクロの解釈の余地を与える。

狂信者の叫びはある種タルコフスキー自身の吐露であるかもしれ
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ミークス・カットオフ(2010年製作の映画)

3.6


カットオフしたのはミークスだけではなく、
オチも。

解決編抜きのミステリ小説風で、
その後登場人物達は助かったのか。
それとも全滅したのか。

意見は分かれるだろう。
議論を交わす為の交渉材料はふ
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過去のない男(2002年製作の映画)

3.4


記憶喪失になり、ゼロから人間の営みを再生して行く物語。

過去に救いがなかった分、過去をなくしてからの過去こそが本願だったってオチは優しい。

ラストシーンはともすればキザだけど、絵面や牧歌的展開、
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殺し屋(1956年製作の映画)

3.1


日本のタルコフスキー特集番組内にて。

語り手が、
厨房とカウンターの仕切りが現実と超現実の仕切りとして機能してるみたいな話してて興味深かった。

浮き雲(1996年製作の映画)

3.3


カティ・オウティネンの虚無顔。

誠実が負けるなんて嘘だろ。
を尽く鬱々展開から逆転するドラマで魅せる。

敗者シリーズ一作目。らしい。

職にあぶれる=絶望という中でも、
少し呑気目なシリアスで描
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ハズバンズ(1970年製作の映画)

3.1


悲哀の二文字で片付けてしまってもいいが、
カメラの切り取るドライな眼がよりその逃避行を浮つかせているようで。。。

スケールが小さいなかでのリアリスティックで野蛮な、現代では死んでしまった男性性の短
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

3.8


瓢箪からエマみたいな思考実験的発端。

つまりは逆コナン化であり、逆転生モノ的。

章毎に世界を早喰いし、
段階的テーマはそれぞれで一映画撮れるほど。

駆け抜けた果ては実写ミッドナイトゴスペル的。
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新解釈・三國志(2020年製作の映画)

2.8


疲れた時に観るには馬鹿馬鹿しくて脳死で観れるから良い。

キャスティングは強いのでここら辺の出演者ファンには良いのかもしれません。

まぁ新規度外視の内輪ノリ感は否めず、
佐藤二郎のTwitterネ
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美しい星(2017年製作の映画)

3.3


三島由紀夫原作のトンデモSFを実写化。

天気予報士を父に持つごく普通の一家が、
クソみたいな日常から不思議体験で覚醒、
地球温暖化をテーマに異星人となった父、息子、娘の人生がそれぞれ奇妙に狂い出し
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誰がハマーショルドを殺したか(2019年製作の映画)

3.0


流し見してしまい完全には把握できてないが、ざっくりした所感は、誠実者が、悪利の餌食になり、単独犯の一思想ではなく、集合した組織、また社会の犠牲者になった感はある。

つまり、誰が?ではなく、何がとい
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ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー(2023年製作の映画)

3.4


今回のほうがよりベイビーわるきゅーれらしさみたいなものを咀嚼できた気がする。

ゆるふわ生きるのクソ下手パート多めで見やすいし、1の力入った感じもいいが、抜け感のある通常回的雰囲気を醸し出せるのは連
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ロスト・イン・ザ・スターズ/妻消えて(2022年製作の映画)

3.4


邦題で損してる。

実際にあった事件を基にした中国映画。

新婚旅行で妻が失踪した夫サイドから始まる話で、精神病持ち主人公vs失踪したはずの妻を名乗る偽の女

という信頼できない語り手系病気由来のど
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水は海に向かって流れる(2023年製作の映画)

3.3


広瀬すずが強すぎる。
海街ダイアリーを連想してしまう。

実写で観ると、原作の照れ表現が無くて、
榊の鉄面皮度が増してる気がする。

脇役とかギャグとか端折って大筋を綺麗に再構成してるから見やすいの
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この世界に残されて(2019年製作の映画)

3.3


髭を剃る、そして女孤児を拾う。

にしてハンガリー版伊豆の踊子的川端文学。
つまりはむっつりロリコン話。

倫理や家族愛の一線を越えなかった
「じゃない方」の分岐を選び続け、
主人公が理性の化物であ
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終戦のエンペラー(2012年製作の映画)

2.9


一応史実とされている物。

話については特にどうということはない。

戦争の一端を窺い知る一助に。

ナイン・デイズ(2020年製作の映画)

3.6


あの世とこの世の境目で、
人生選定人であり人生見届け人でもある男の九日間。

候補者の何を見るのか。

落とされた人は何がダメで、
受かった人は何が決め手となったのか。

そしてその選択は正しいのか
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ドイ・ボーイ:路地裏の僕ら(2023年製作の映画)

3.2


結局は国の情勢に流される男達の話。

偽政を是に捻じ曲げる為に奔走する下々、国家権力、難民、セックスワーカー、によって生じる歪。

宝くじが当たる事を前提としないと最低限文化的な生活を求める事が困難
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小説の神様 君としか描けない物語(2020年製作の映画)

3.0


原作相沢沙呼じゃなければ絶対に観ない案件。

前半の橋本環奈イメージビデオシーン。
前面に押し出される挿入歌のMVシーンなんかの
間延びさえ除けば話としては綺麗。
筋立て、伏線回収、動機付け、理屈、
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ナイト・オン・ザ・プラネット(1991年製作の映画)

3.1


各都市それぞれの夜、タクシー運転手と客のやりとり。

フランスの運ちゃんの話がフランスみあって好き。

煙草、荒い運転、人情、人間模様、人生。

流れ続ける。

ぐるぐる回るロータリー。

コングレス未来学会議(2013年製作の映画)

3.2


レム原作の母"が"訪ねて三千里。
外見をスキャンして映画制作会社に売るみたいなネタは
画像生成AI、モーションキャプチャで既にあるし、

未来学会議編のクスリによるアニメ化=
メタバース、MMORP
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ロスト・チルドレン(1995年製作の映画)

3.3


怪奇!"フリークス"の弟探しピタゴラ冒険譚!

ブレードランナーの2049までや、古典も無い混ぜにして巨額ぶっこんで世界観作った複雑な一本道(ワン)映画。

電気羊の夢は見ないけど、夢見る為のクロー
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ザ・キラー(2023年製作の映画)

3.3


過不足無い殺し。
内省、トルク深めの思考、
意識高い系絶対殺すマンの本気PDCA。
とも取れるし、
普段大人しい奴がキレる時のソレとも。

台所ガチャでおろし金(N)
引いた時の残念顔が唯一の笑いど
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さよなら ほやマン(2023年製作の映画)

3.4


何故かゴジラと類似しまくり。
話の大筋だったり、
海上に海洋生物浮きまくってるシーンあったり、長尺無音シーンあったり、、、


何というか演技の質感舞台っぽい?
呉城久美が舞台出身なのもあるか。
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ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

3.4


神風マンセー反対!

逃げちゃダメだを逃げまくった死にそびれ強迫観念野郎が、覚悟野郎Aチームとなってゴジラ退治へ。

焼野原に次ぐ焼野原、
つまり-1.0の日本で、
未曾有の天災に人間はどう立ち向か
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THX-1138(1971年製作の映画)

3.1


SF初期の発想、抽象のカットバックの羅列で芸術寄り。

人間であることとは愚かであること、野蛮であること、反知性であること。

徹底的合理化社会であるディストピアに抗うのは間違いなのか?

人間とは
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プラネット・デューン 砂漠の惑星(2021年製作の映画)

3.0


本家DUNEパロ映画。

時代性、先進性で考えると何十番煎じのZ級映画の部類なんだけど、Z級映画としてはSFオタがショーンヤングキャスティング出来て歓喜してる絵面が目に浮かぶような、SF愛の溢れる仕
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ポエトリーエンジェル(2017年製作の映画)

3.5


少林サッカーですね。

詩×ボクシングっていう題材の掛け方とかも相まって。

突飛な題材だなと思ったら実在してる競技だった。

モラトリアムからの脱却でもあり、
父性=現実=ムチ
母性=包容=飴
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ディヴァイン・ディーバ(2016年製作の映画)

3.6


最高です。

ドキュメンタリーからショーへのクライマックス。

I will survive.ルーリード、ニーナシモン、シナトラ、語り、声、
ショーの一つ一つの説得力が段違いで、
70歳の老いさらば
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不思議惑星キン・ザ・ザ(1986年製作の映画)

3.2


異世界の世界観ってこれでいいよな。

世界をひっくり返して不揃いに再構築して、良いところも悪いところも、文明度の高低差もよく分からない、無作為にある異世界。

地球に帰るという目的のために、
不慣れ
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ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像(2018年製作の映画)

3.4


ハラハラさせやがるぜ。

パッとしない画商の老人、
作者不明の絵画に人生最後のロマン一点掛け。

その真贋、購入、その後、
落ちに落ちていく人生の終焉。

自分で吐いた言葉が返り、
全てが崩壊してい
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伯爵(2023年製作の映画)

3.0


チリの吸血鬼モノ。

モノクロと語りで綴られる吸血鬼話は、
グロ、歴史、エロ、枯れ専、母子の愛、遺産相続争い、修道女の悪魔退治、執事と妻の不倫、と要素が散りばめられながら、曲がり散らしたオチに着地す
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神が描くは曲線で(2022年製作の映画)

3.3


信頼できない語り手モノ。

パラノイアによって真相がことごとくケムに巻かれていき、結局みんなが騙される。

VIVANTオチにならない所がヨーロッパって感じ。

ただオチはそうだったとして、
色んな
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水のないプール(1982年製作の映画)

3.0


所帯染みて平凡な、正義感だけは強い切符切りが、レイプ魔から助けた女の家に住む不思議少女や、夏の山で目撃した情事なんかの色香に次第に狂っていき、変態紳士クロロホルム伯爵となって、若い女の家を狙って夜を
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べイビーわるきゅーれ(2021年製作の映画)

3.2


激烈アクション!

と現代人ゆるふわ日常の緩急。

日常に地続きの非日常という図式。

殺しよりも生きるのクソ下手で人生ハードモードプレイというギャップ萌え萌え。

バディの百合々々しさとビジュが今
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ドレミファ娘の血は騒ぐ(1985年製作の映画)

3.1


おバカ映画として観るのが正しいのか。
時代感がそうさせるのか。

伊丹十三におんぶに抱っこ。

おっぴろげの性欲、アンチシリアス、モラトリアム野放図のキャンパスライフに生娘登場、好きだった先輩おっか
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