ilさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

il

il

映画(335)
ドラマ(13)
アニメ(0)

快楽の漸進的横滑り(1974年製作の映画)

3.4


シュールレアリスム的表現映画。

独特な野暮ったい間、カットアップ、抽象、
台詞少なに語られる物語の余白の深淵。
時折入る意味深なメタ発言。カメラ目線。

深そうに見えて浅く、
浅そうで深い意味深長
>>続きを読む

華麗なる晩餐(2008年製作の映画)

3.0


ショートフィルムだからシンプル設計だけど、そこに込められたメッセージ性はワンメッセージではない気が。

プラットフォームは食物が降りてくるのは一緒だけど、階層=ヒエラルキーで意味合いは違う。上昇して
>>続きを読む

灼熱の魂(2010年製作の映画)

3.4



あらすじの

"双子のジャンヌとシモンの母・ナワルは、遺言の手紙を残しこの世を去る。 手紙はその存在を知らされていなかった父と兄に宛てられた物だった。 ジャンヌとシモンは、父と兄を探して母親の祖国
>>続きを読む

また春が来やがって(2021年製作の映画)

2.9


モラトリアム人間あるある。

手近なところの自然主義に寄せた話ではある。

ステレオタイプな男性性の小っ恥ずかしくなるような生きるのクソ下手さ。

まさにフライパンの蓋が無くて、ラップで代用しようと
>>続きを読む

ブルーアワーにぶっ飛ばす(2019年製作の映画)

3.5


お盆に観ると余計込み上げてくるものがある。
たまに帰るとだいたいこの映画みたいな過ごし方になるし、似たような感情になる。
わかりみ深過ぎて痛い。

タイムトラベルして歴史に干渉してしまったかのような
>>続きを読む

ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦(2016年製作の映画)

3.4


史実に基づき、
エンスラポイド作戦を決行したチェコ、スロバキア出身の2人のパラシュート部隊員を主人公に据えた話。

同モチーフを描いたローランビネの小説HhHHを読んでたので、
話の筋よりかはどう映
>>続きを読む

シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)

3.1


チキチキ、仮面ライダー検定一級にして、
チキチキ、庵野秀明検定一級。

小ネタ拾えないにわかはメインストーリーのサービスサービスゥでも追っとけ。
と客を撥ね付けながら、
でも、そんな俺の事をわかって
>>続きを読む

博徒無情(1969年製作の映画)

3.0


69年公開。

ジェネレーションギャップがあり過ぎると演技の上手い下手が分からない。

現代と比べるのは物差しが違うと思うし、
それが普通なのかどうかの判断基準を持ち合わせ得ない。

同じ時代を経験
>>続きを読む

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

3.3


未来少年コナンのアプデ版みたい。
パラレルワールドの遊び方がらしくて良いね。

まぁオチは別としてエブエブ展開。
とすれば、おのずとラブデ作品のmoon、異世界転生モノの何個か、のオチとベクトルは同
>>続きを読む

TAR/ター(2022年製作の映画)

3.8


難解だ。

世代間のギャップ。
自己研鑽すればするほど他者とズレていく。

ズレと苦悩。不安。

革新性を追い求める為の代償は犠牲を伴うのに、ストイックにそれを遂行すればするほど追い求める理想は現実
>>続きを読む

リトル・ガール(2020年製作の映画)

3.1


時世的。

サシャの父親が言った、「理解度は個人の資質による」がクリティカル。

男、女、という二元論で構築されて長い世界に、男性性、女性性の配分差、身体と性別の差異などの複雑な多元論を理解して生活
>>続きを読む

ザリガニの鳴くところ(2022年製作の映画)

3.2


ヒット小説の実写化。

オチで問題提起がボコボコと湧き起こる。

ミステリとロマンスとヒューマンドラマが交錯し、世俗から隔離された自然美と"純粋"な少女の半生で物語る。

騙し騙されが主ではなく、
>>続きを読む

僕たちは変わらない朝を迎える(2021年製作の映画)

3.4


自分過ぎてビビる。

モラトリアム人間映画。

MV映画でもあるのだろう。
脚本は曲先の当てがきか、
あるいはその逆か、
クラファンの経緯とかググれば出てくるだろうけど、そこまでの熱意は無い。

i
>>続きを読む

ホテルニュームーン(2019年製作の映画)

2.9


イランと日本の合作。

友好記念的映画だろうから、上っ面感は否めない。脚本には相当コンプラかかってそう。

イラン文化に明るくないから演出や演技、社会背景などがわからないし、どっからどこまでを日本的
>>続きを読む

フェイクプラスティックプラネット(2019年製作の映画)

3.0


良くも悪くもC級映画。

ネカフェ住み貧困風俗嬢が、
占い師の一言を発端に、奇妙な偶然に絡められ過去追い。

という自分が誰であるのか探しでストーリーは進む。

序盤の生きづらさ描写はシリアスで、
>>続きを読む

少年の君(2019年製作の映画)

3.5


中華版ホットロードと罪と罰。

受験戦争とイジメ。

イジメ系話としてはパターン内だが、
優等生イジメ被害者と底辺チンピラの邂逅。正義の行使に伴う他人の人生を変化させた責任。より深刻化するイジメ、復
>>続きを読む

バルド、偽りの記録と一握りの真実(2022年製作の映画)

3.0


シームレス展開、
フローしていく映像と台詞と人生。

薄気味悪さとともに映像美をあしらって、
向かうべく道も定かでないように、
夢中夢のように進行していく。

シーンの為の映画、映画のような映画、
>>続きを読む

さかなのこ(2022年製作の映画)

3.1


さかなクンのこれまで。

の中の人との出会い、時代経過。
不変の個性と枠にとらわれない才能。

それを磨き上げる為の投資と自己犠牲を負う母。

平凡なヒューマニズムで堕落させないように去る夏帆。
>>続きを読む

最後にして最初の人類(2020年製作の映画)

3.2


ナレーションが全く頭に入って来ないけど、
戦争記念碑の圧倒的造形美を映す絵面の素晴らしさとヨハンヨハンソンの曲で視聴覚はぶっ飛ぶ。

日常の感情の起伏とかどうでも良くなるくらいの広大な宇宙話。

>>続きを読む

犬王(2021年製作の映画)

3.3


湯浅、松本、大友さんは豪華過ぎる。
誇張し過ぎた能と琵琶法師。
能=ダンス。琵琶法師=ロックスター。
という現代置換。
犬王の曲目にかけた元ネタは
ある種ロックの様式美が
600年後も伝達可能なくら
>>続きを読む

夏へのトンネル、さよならの出口(2022年製作の映画)

2.8


コミカライズ版で読んだ時の方が面白かった。

劇場版だとシンプルなラブロマンスに特化してて、父親とのやり取りとかオチの深みとか薄くなってる気がする。

とはいえ、ジュブナイルものとしては一つの嘘によ
>>続きを読む

ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

3.6


脚本がーとかキャラ設定がー
どうこうではない。

演技力と表現力。
文脈。流れ。
間だったり画作りだったり役づくりだったり。

微に入り細に入りのきめ細やかな人間ドラマ。

難聴だからこそ雑音をシャ
>>続きを読む

ハンガー:飽くなき食への道(2023年製作の映画)

3.3


タイ映画とネトフリコンテンツの相性は良い気がする。
映像美の凝り方が徹底されてるし、
ネトフリーマネーで今後もっと良作が生まれる気配を感じる。

冒頭の金持ちの醜悪な食い方だけでも、
観る価値ある。
>>続きを読む

オール・ユー・ニード・イズ・キル(2014年製作の映画)

3.2


いわゆる死に戻り系。

日本アニメのあるある設定をハリウッド規格で打ち出した迫力王道アクションで繰り広げる映画。

死に戻りの発生原因と問題解決が直結しているので、腑に落ちやすい。

ご都合主義的で
>>続きを読む

打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?(2017年製作の映画)

2.8


良くも悪くもシャフト、岩井俊二。
って感じ。
コンテンツとしての相性はべらぼうに良い。

10代で観たら丁度良い。

ジュブナイルモノとしての甘酸っぱさやエモ味、少女趣味はふんだんに散りばめられてい
>>続きを読む

悪太郎伝 悪い星の下でも(1965年製作の映画)

3.2


今東光原作の鈴木清順監督作品。65年作。

時代補正入るにしても、
脚本と演出がよく出来ている。

ラブロマンスとしては、
紳士淑女の純情恋愛話にビッチが介入、横取り。
主人公は色欲に負け堕落し、道
>>続きを読む

神は見返りを求める(2022年製作の映画)

3.1


メッセージ性と現代性がダイレクト過ぎて、
映画というよりかは、
映画を媒介にした意見表明動画。

ただその創り方の意図であろう問題提起や、不器用で本音で誠実な所はこの映画そのもので、好感は持てる。
>>続きを読む

墨東綺譚(1992年製作の映画)

3.3


知らない日本がそこにあった。

永井荷風原作の映像化作品。
荷風は昨日が命日だったようだ。

戦前から荷風の死までの、
風俗通いで出会った私娼とのロマンス話が本筋。

60年に初映画化、その時に出演
>>続きを読む

パイナルファンタジー(2013年製作の映画)

1.0


邦画プレゼン女子高生映子さんから飛んできた。
めちゃくちゃ笑った!
とんでもないバカ映画。
天然の大真面目シュールコントだと思えばめちゃくちゃ面白い。

服薬自殺(大粒のラムネ)し、魔物の巣食う三途
>>続きを読む

テトリス(2023年製作の映画)

3.1


テトリスのライセンス問題を事実に基づいて映画化。

らしいが、まぁある程度脚色はあると思う。
勧善懲悪として出来は良く、
ラストは胸がスッとする。

紙切れ一枚の為に人生左右される愚かしさ。

これ
>>続きを読む

パンチドランク・ラブ(2002年製作の映画)

3.0


見栄っ張りブチギレ男のラブコメディ。

アメリカでは訴訟されるのを避ける為にシラを切るのかな。そこんとこが普通の感覚なのか、個性なのかわからない。

正直あまり乗れなかった。

なにをどう見ればの視
>>続きを読む

フリークス(怪物團/神の子ら)(1932年製作の映画)

3.0


勧善懲悪モノのスタンダードとしてよく出来てる。

金目当てに小人に手を出すビッチが、
アラレもない姿に変えられる話。

冒頭のメッセージが全てだが、
そのメッセージを伝える手段としての物語。

障害
>>続きを読む

オリーブの林をぬけて(1994年製作の映画)

2.8


絵力は素晴らしい。

ただどうしても主人公のキャラ設定は好きになれない。

宿野かほるの「ルビンの壺が割れた」みたいな話だったのでオチはどうなるんだろうと思ったけどまぁ裏の裏は表。

習慣な思想や時
>>続きを読む

羅生門(1950年製作の映画)

3.2


リドリースコットの最後の決闘裁判が、
羅生門オマージュだったらしい。

羅生門自体は学生時代授業で習ったけど、
追い剥ぎしか印象に残ってなくて、
どんな話だったっけ?
と羅生門オマージュにいまいちピ
>>続きを読む

千年女優(2001年製作の映画)

2.9


アニメーションとしては凄い。
脚本もニューシネ展開で丁寧に伏線回収してる。

がオチが普通すぎて今観ると肩透かし。

途中の現実と虚構の境目がわからなくなるメタ表現が余計期待感を煽る。

ヒロインが
>>続きを読む

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

4.0


これは最高!

妄想力大爆発!
並列世界の記憶を渡り歩き、
小さな世界の変革を。

映像、発想、展開、
ぶちまけられた伏線、脱線、
全てを収束させて語るのは、
とってもとっても些細で大事なもの。
>>続きを読む