ヤマさんの映画レビュー・感想・評価

ヤマ

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バック・トゥ・ザ・フューチャー(1985年製作の映画)

4.5

40年くらい前、地元の映画館主のおじさんが高校生だった私に自信たっぷりに言いました。

「こんな『バック・トゥ・ザ・フューチャー』とかいう横文字のわかりにくいタイトルの映画なんて、絶対当たるわけない。
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.5

しまった!配信で観てしまいました。
映画館で観るべき強力な画ヂカラ。

様々な解釈が可能な寓話形式。
観客側の知性と教養も試されます。

「好きな作品か?」と問われると、単純に好きとは答えづらいなあ。
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デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章(2024年製作の映画)

4.0

「サブカル超大作w」

 原作の捌き方が上手いですね。
見せる順番や刈り込みも、映画として適切な構成に変更。
スッキリまとめられていて、テーマもわかりやすくなっています。

好き嫌いが分かれやすい「い
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(2023年製作の映画)

4.2

 太い一本の物語は無くて、登場人物たちの関係性の描写で、場面ごとを充実させていく構成。
ゆえに、見ようによってはショートコント集のような印象にもなります。

 また中心となるストーリーが存在しないと、
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桐島、部活やめるってよ(2012年製作の映画)

4.8

 スクールカーストを扱ったことで有名な本作ではありますが、最大のテーマは「人々の中心となっている存在を失ったしまったとき、皆んなはどうするのか?」。

 学校生活でのヒエラルキーの良し悪しについて、特
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BAD LANDS バッド・ランズ(2023年製作の映画)

4.5

 最初、安藤サクラと江口のりこの見分けが出来ていなくて、途中まで「二重スパイ大変だなあ」なんて思って観ていましたw


 さておき、原田眞人監督は「組織」を描くのが抜群に上手い。当代イチの群像劇作家だ
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ザ・キラー(2023年製作の映画)

4.0

 「フィンチャーの新作だねー」以外の情報無しでネトフリで鑑賞したんですよ。

 冒頭からのファスベンダーのプロフェッショナルな独白やら、例によってコリコリに凝ったフィンチャー画面やらがカッチョええなあ
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ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

4.0

「ゴジラは良いけど、ドラマは良くない」
という方が多いようですね。

 私を含めて殆どの人は、ゴジラさんの大暴れを観に来ている娯楽作品なのですから、これはこれで充分成功作といえます。

「このカレーは
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オオカミの家(2018年製作の映画)

4.5

「こんなイカれた映像、作ったヤツはマジもんの狂人やろ!」

ということではないでしょう。

「作者が自分自身の狂った内面を描いている」のではなく、「狂った被洗脳者の内面を客観視して描いている」のが秀逸
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バービー(2023年製作の映画)

4.0

「性差の迷路」
 
 いまどきジェンダーをテーマに扱うならば、全方位に向けて爽快なエンタメ作品に仕上げることの難易度がかなり高いことが、見る前から充分に予想できました。

一方的な「男社会作品」が許さ
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エイリアン(1979年製作の映画)

5.0

殆どのホラー作品は、人間の持つ根源的な恐怖や不安を下敷きにして描かれています。

本作は「エロって気持ち悪いよね」が全編に渡って散りばめられています。

エイリアンのデザインが男性性器を、卵が女性性器
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君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

4.5

 ---クリエイターの幸せとは?---

冒頭から最後まで、色濃く繰り返される「死」のイメージ。

「生きろ」「生きねば」と、今まで一貫して、無条件に生きることを肯定してきた作家が、遂に最期に「死」と
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怪物(2023年製作の映画)

4.3

 是枝監督の撮影現場に立ち会ったことがあります。まだ本格的に商業映画に取り組む以前の広告の仕事でした。

その頃からすでに、人間のリアルな生活や環境を鋭く切り取るやり方は確立されており、業界の中にも信
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リバー、流れないでよ(2023年製作の映画)

4.0

私はヨーロッパ企画の、上田脚本のファンです。
だからこそ申し上げるのですが、本作はシナリオの面白さに頼りすぎていることが、とても残念なのです。

こういったアイデア勝負の作品は、細部に渡って作り込むほ
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ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

4.0

映像や広告の表現で「スライス・オブ・ライフ」という手法があります。
登場人物の生活や環境をひたすら丁寧に描きこんでいくことで、テーマを浮き彫りにしていくやり方です。

このような作劇の場合、人物らのリ
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ミッドナイト・ラン(1988年製作の映画)

5.0

「昔の軽いコメディだけど、なんか面白いねー」というレベルのものでは、絶対にない。

すべてが高いレベルで奇跡的なバランスが取れている傑作中の傑作。

やはり特筆すべきはやはり脚本。こんなよく出来た本は
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シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)

4.0

「孤独のヒーロー、魂の継承」

 出てくるのは、キモい怪人とイカれた科学者と生気の無い公安とアンドロイド。

 普通の人が一切登場せずに、始終内輪揉めしているという殺伐とした内容。

 こんな作品が広
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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

4.1

 ーー贅肉の『贅』は、贅沢の『贅』ーー

 鑑賞中に湧き起こる既視感。
監督のインタビューを読んで腑に落ちました。
これはアニメ作品「マインド・ゲーム」をやろうとしているのですね。
 
 アニメが生ま
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ヘルドッグス(2022年製作の映画)

4.0

「アフリカ象が好き」

元警官が呟くこのセリフは最高でした。

つまり岡田准一は『がきデカ』で、次に来るのが「死刑!」という暗喩なのです。
ホントか?

東映が新しいヤクザ映画を模索している中、
本作
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THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)

4.0

 「いい映画を観た」というより、「いい試合を見た」という感覚になるこの臨場感。
3D作品「アバター」を上回っていたかもw

物語を一試合に集約し、回想で人物らを語る構成にしたのは大成功だと思いました。
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アバター:ウェイ・オブ・ウォーター(2022年製作の映画)

4.0

「しかしまだ宮崎駿には及ばない…」

 作品全体から立ち昇る、監督の並々ならぬ情熱が尋常ではありません。
 作ろうとしているのは単なる一本の映画作品ではありません。
星の成り立ちから生態系、歴史文化な
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さかなのこ(2022年製作の映画)

4.7

 一見すると「好きな事を貫く尊さを描くハートフル感動コメディ」なのですが、そう一筋縄ではいかない、捻りが効いた作品。

 のんを主役に据える事で、オタクやマニアらが持つ負の側面。「でもなんか気持ち悪い
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ブレット・トレイン(2022年製作の映画)

4.0

 良かった。特に音楽。
「ヒーロー」とか「奥田民生」ではなく、
劇伴がいい。

 最近の流行では全くないが、クライマックスの伴奏曲がひたすらダサくて熱苦しくて良い。真田広之を5割増に引き立てていた。
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シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)

4.5

いろいろ想像していたことが沢山詰め込まれていてビックリです。

そして、なんとこちらもマルチバース展開。

岩松了氏で「あとしまつ」とリンクしていただけると、個人的にはとっても愉快なんですけれどもw
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ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス(2022年製作の映画)

4.0

久しぶりに帰ってきた「死霊のはらわた」「XYZマーダーズ」のサム・ライミで楽しかったですね。
 しかしマルチバースってどうなのかしら。
ルールがよくわからないので、何でも有り展開で、ドラマが紡ぎづらく
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ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

4.0

 テキストと身体性との関係を中心に据えた作品。
文学に対して映画とは?演技とは?と問い詰めるのが表現の主になっていて、生き生きとした人間は不在で頭でっかち。

 村上原作のセリフは、実際の人間が発する
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オールド(2021年製作の映画)

-

思わずググってしまいました。
『ミズーリ・ブレイク』(1976)
https://filmarks.com/movies/12684

映画大好きポンポさん(2021年製作の映画)

4.0

配信で見ました。
キラキラしていて眩しい作品ですね。

 映画好きな童貞の夢物語としてよく出来ています。(褒めております)

 一見、ご都合主義に溢れているように見えますが、創作活動の本質のようなもの
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さがす(2022年製作の映画)

4.3

 いわゆる社会派サスペンス…だけでなく、独自の笑いと静かな感動の要素がいい塩梅でブレンドされていて、「どういう気持ちになってよいかわからない」というシーンがたくさんあります。
こういうのは傑作なんだと
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大怪獣のあとしまつ(2022年製作の映画)

4.0

 何故、このような酷評祭りになってしまっているかをボンヤリ考えてみました。

 たとえば本作が河崎実監督や井口昇監督あたりのいつもの感じで制作、公開されていたら、とくに叩かれたりすることなく、いや話題
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ドント・ルック・アップ(2021年製作の映画)

4.1

「アルマゲドン」を観て思いませんでしたか?
「これコメディやん?」

 ド派手なバカバカしさを伴う笑いどころがあまりに多く、監督が爆発大将マイケル・ベイですから意図はしていないとは思いますが、なかなか
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ソーシャル・ネットワーク(2010年製作の映画)

4.0

 成分の95%が「オフィス」と「パーティ」で出来ている作品。

とくに会議やパーティの必要がないシーンでも、無理矢理に会議シーンにしたり、強引に宴会シーンにしています。

明らかに意図的です。

冒頭
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スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム(2021年製作の映画)

4.0

すごく高い評価を得ている。

「これからの映画館に求められるのは『体験』だ」といわれて、3Dや4DXなんかの作品が多数作られていた時期がありました。
 
しかし本当に求められていた「体験」とは、「皆ん
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DUNE/デューン 砂の惑星(2020年製作の映画)

4.5

 久々に歯応えのあるSF映画を観た!という感触でした。

こういう作品は、
「エンタメ大作なんですから、子供からお年寄りまでわかりやすくあらねば」と
「大昔の古典が原作なんですから、皆さんよくご存知で
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007/ノー・タイム・トゥ・ダイ(2019年製作の映画)

4.2

 開始当初から、シリーズ通じて一貫して描き続けてきたのは「カッコいい男」。
 強靭な肉体と高い知性。超高級車とタキシードが似合い、美女をはべらせ、悪から世界をスマートに救う。

 こうありたいという男
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