HALさんの映画レビュー・感想・評価

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アイアンクロー(2023年製作の映画)

5.0

観ていて痛みをずっと感じていた。"呪われた一家"の呪いを解こうとするような、作り手の愛を感じる映画だった。ジェレミー・アレン・ホワイト(『マインドハンター』)やホルト・マッキャラニー(『一流シェフのフ>>続きを読む

リンダはチキンがたべたい!(2023年製作の映画)

4.8

さいこう〜〜!!こども映画(悪ガキ映画)の大傑作!!リンダとお母さんのドタバタっぷりにニコニコしながら観てたけど終盤のミュージカルパートで号泣してしまった……ダークホースというか、余裕で今年ベスト候補>>続きを読む

成功したオタク(2021年製作の映画)

4.4

『成功したオタク』、絶対観に行かなきゃと思っていたけど観る前はどこか緊張してもいた。本当にいい作品だった……自分が信じていたものに傷つけられてしまった時、言葉を少しずつ見つけていくようにファン達はお互>>続きを読む

プレステージ(2006年製作の映画)

3.9

やっとノーランの『プレステージ』を観た。デヴィッド・ボウイ演じるテスラすごくかっこいい……でもこれも世界を変えてしまった科学者の話なんだな。ここでも時系列シャッフルして三つの時間軸で話進めようとしてる>>続きを読む

インソムニア(2002年製作の映画)

4.3

初めて観た『インソムニア』、犯人を追っていたら突然丸太の流れる川を丸太を伝って走ることになるアル・パチーノという構図が突然ノーラン的なビジュアル世界になってびっくりした。川は犯人との間を流れているが、>>続きを読む

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.8

やっと観に行くことができた。観る前はかなり緊張していて、原爆を扱った映画としてもノーランのファンとしても不安だったのだけれど、観てしまったのちはむしろ興奮は少なく、どこかオッペンハイマーの虚無と絶望が>>続きを読む

美と殺戮のすべて(2022年製作の映画)

4.6

これはずっと気になっていた映画なのだが、ナン・ゴールディンもオピオイド危機も全然知らなかったのでセメントTHINGさんの記事を頼りに観た。冒頭にゴールディンが言う「人生を物語にするのは簡単。でも、正し>>続きを読む

RHEINGOLD ラインゴールド(2022年製作の映画)

5.0

気づいたらファティ・アキン監督の新作が上映されていてびっくり、大慌てで観に行った。ということでほぼ事前情報を入れていなかったのだが、すさまじいエネルギーに満ち溢れた快作だった。中盤の犯罪青春モノとして>>続きを読む

野獣死すべし(1980年製作の映画)

3.7

『野獣死すべし』@角川シネマ有楽町
ところどころえっ?ってなる演出はあれど、この時代の映画のエクスタシーがスローモーションで引き伸ばされる死にあることは伝わってきた。松田優作の長い指がこの映画の一番の
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梟ーフクロウー(2022年製作の映画)

4.2

エンタメ作品としての完成度がめちゃくちゃ高いのに、ある瞬間に訪れる現状への批判精神や抵抗への意志は流石韓国映画という凄みがある。歴史を扱ったフィクションとしてのアレンジも上手いし、何より盲目の主人公と>>続きを読む

HIDEO KOJIMA:CONNECTING WORLDS(2023年製作の映画)

3.6

普段おちゃらけてレジェンド俳優や監督たちとイチャイチャしてる印象があるので、今作では予想以上にプライベートな半生の話をしていたのが印象的だった。一緒に流れるアニメのクオリティは微妙だったけど。

小島
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アインシュタインと原爆(2024年製作の映画)

3.4

Netflix『アインシュタインと原爆』観た。アインシュタインのイギリス亡命に関するパートが半分くらいで、戦争終盤の原爆開発については早足になるアンバランスな構成だったけど、イギリス・ドイツでどういう>>続きを読む

ジェヴォーダンの獣(2001年製作の映画)

4.5

友人からすごいすごいとは聞いていたが、それを遥かに超えてくる濃密過ぎる150分だった。ポスターからビンビン感じてたBloodborneに加えてウィッチャー3とプレデターと無限の住人が載せられるというマ>>続きを読む

神探大戦(2022年製作の映画)

4.3

やっと観れたぞ!『神探大戦』!狂人扱いされてる神の捜査官vs殺人鬼集団という設定もさることながら、あまりにも全部盛りすぎるワイ・カーファイ節に「これが香港映画だったな……」と嬉しい悲鳴。映画全体のクオ>>続きを読む

夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.7

誰かをケアすること、それを当然のようにやっている大人たちの姿を見ているだけで泣いてしまう。もともといい作品撮る人だな〜とは思っていたけど、最近の三宅唱監督はもう傑作しか撮らない人になっている。浅野忠信>>続きを読む

Saltburn(2023年製作の映画)

4.8

今年観た中で最もエキサイティングで最も面白い……お手本のようなパリー・コーガンの使い方。2時間を通して熱が迸っていくようだった。ロザムンド・パイク繋がりで『ゴーン・ガール』くらい面白いと言えば伝わるだ>>続きを読む

哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.6

ヨルゴス・ランティモス監督作品は好きかどうかは別としてどんどんやってくれ!という気持ちになる。

女性の身体についての細かい言及(男達からまなざされる身体でもあるが......しかし)が多く、観ていて
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メアリーの総て(2017年製作の映画)

3.6

観客がこれをきっかけに『フランケンシュタイン』書くのかな?と思うとそんなことはなく、映画の終盤に至るまで物語が形をとることはない。それはそうでなくてはならなくて、メアリーの人生は作品を書くためにあるわ>>続きを読む

ロブスター(2015年製作の映画)

3.8

陰惨だけどどこか間抜けでいい映画だった。話は教いがないのが良い。しかし近年のコリン・ファレル、本当に作品選びのセンスがいいね……そして最高の役者しか出てこないヨルゴス・ランティモス監督作品、やっぱり自>>続きを読む

ストップ・メイキング・センス 4Kレストア(1984年製作の映画)

4.6

この前『ストップ・メイキング・センス 4Kレストア』を観に行って、自分はアイドルとか全然ハマらないと思ってたけどデヴィッド・バーンを見る時の自分は完全にアイドルとして応援してるんだなって気づいた。アレ>>続きを読む

ボーはおそれている(2023年製作の映画)

3.4

久々にすごい疲れた。ボーが部屋を出るまでは面白かったかな。いよいよ自分がホアキン・フェニックス主演作品苦手説が浮上してきたかもしれない。『ナポレオン』も『ジョーカー』も強迫観念と逃げ場のない神経症的な>>続きを読む

瞳をとじて(2023年製作の映画)

5.0

映画を観ていて、奇跡というものはこのように起きるのかと感じたのは生まれて初めてだった。生涯でこんな映画体験をすることができるとは。前半こそ、このテンポで169分いくのか……と思って観ていたが鮮烈という>>続きを読む

ミツバチのささやき(1973年製作の映画)

5.0

ビクトル・エリセ監督が31年ぶりに新作を撮ったというので、その前に見返しておこうと思って観た……のだが、映画を観ることは記憶を失ない、忘れていたことを発見することだという体験にまたしても愕然とした(映>>続きを読む

仮面ライダー555(ファイズ) 20th パラダイス・リゲインド(2024年製作の映画)

4.2

『ゴールデンカムイ』につづけて観たので、こっちは物語展開もアクションも遥かに創意工夫と仕掛けに満ちていて80分があっという間だった。

相変わらず井上敏樹の脚本は容赦がないね……全く先の展開が予測でき
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ゴールデンカムイ(2024年製作の映画)

2.5

これアクション映画として普通につまらなくない……?(原作からしてアクションは中心ではないのだろうけど)

漫画やアニメではあまり気にならなかった杉本が味噌(オソマ)を入れたがるくだりがすごいノイズにな
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麦秋(1951年製作の映画)

4.5

久々に小津の『麦秋』を観たが、こんなに面白かったっけ……もともと好きだけどちょっとびっくりするほどずっと面白い。小津映画はマジでスルメというか、この前東京国際映画祭で久しぶりに観た『お早よう』とかも信>>続きを読む

(2023年製作の映画)

4.7

いやすげー面白かったんだけどすげー変な映画……戦国大名版アウトレイジみたいに言っていいのかもしれないけどもうかなり変な映画だった。役者一人一人の演技のトーンがぐちゃぐちゃで、それがどこか脱臼した面白さ>>続きを読む

マーベルズ(2023年製作の映画)

4.4

最近のマーベル作品ではぶっちぎりに好きです。三人の女性がお互いにとってケアなヒーローになる!フェース4の中でも4番目に好き。つまりは『エターナルズ』『シャン・チー』『ムーンナイト』の次に好き。誰かと一>>続きを読む

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

4.0

とても楽しんだし、銀座や海戦の場面では圧倒的なゴジラの存在に慄きすらしたが、人間ドラマ部分にノイズが多いことと、最終的に戦争行為者としての日本国に対する反省が薄い気がするので、総合的にはやや否定寄り。>>続きを読む

スリ(掏摸)(1959年製作の映画)

5.0

 『ラルジャン』に続いて『スリ』を観た。ロベール・ブレッソンが「手」を撮る映画作家だというのはよくわかった。「うかつだった」と言いながらも刑事に近づいていったりする主人公、ナレーションが自分の行為に常>>続きを読む

ラルジャン(1983年製作の映画)

5.0

ロベール・ブレッソンは去年劇場で『たぶん悪魔が』と『湖のランスロ』を観たきりだった。どちらも凄かったが、同時にこの映画をどう観ればいいのだろうと思ったのも事実だった。暗く、辛く、夜がそこにあり、足音や>>続きを読む

ミシマ:ア・ライフ・イン・フォー・チャプターズ(1985年製作の映画)

5.0

石岡瑛子展でこの映画の存在を知って、日本未公開未ソフト化だったので海外版のBlu-rayを買ったらなんだか安心してしまって、ずっと見ないままになっていた。いやー恐ろしい傑作ですね。ポール・シュレイダー>>続きを読む

バッド・チューニング(1993年製作の映画)

4.5

急遽予定が空いてしまったので下高井戸シネマで『バッド・チューニング』。パーティの夜が更けていくほど寂しくなるあの感じ。「中学校/高校最後の一日」ってすごいリンクレイターっぽいけど、どんどん映画が終わっ>>続きを読む

サタデー・フィクション(2019年製作の映画)

5.0

最高!!これはベスト入れる。真珠湾攻撃まであと7日の上海。ここで横光利一の『上海』が堂々と引用されていることはスパイであり俳優である彼らがフィクションによって生き延びようともがいているからだ。文芸によ>>続きを読む

ナポレオン(2023年製作の映画)

3.9

ここ数年のリドリー・スコット作品では一番つまらなかったかな……テーマ的には『最後の決闘裁判』と被るが、あそこまでの強烈なものは描かれていない。映画全体のトーンがちょっとアンバランスで、たしかにしょーも>>続きを読む

REBEL MOON ー パート1: 炎の子(2023年製作の映画)

2.8

こういう謎SF超大作は鮮度が落ちるのも早いのでなるべく公開当日に観るべきだと、僕は『ザ・クリエイター』で学んだのだ。だから断言できる、『レベル・ムーン』は『ザ・クリエイター』の詩情のかけらもない駄作だ>>続きを読む

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