HALさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

REBEL MOON ー パート1: 炎の子(2023年製作の映画)

2.8

こういう謎SF超大作は鮮度が落ちるのも早いのでなるべく公開当日に観るべきだと、僕は『ザ・クリエイター』で学んだのだ。だから断言できる、『レベル・ムーン』は『ザ・クリエイター』の詩情のかけらもない駄作だ>>続きを読む

ファースト・カウ(2019年製作の映画)

4.6

一昨年の年末の『パワー・オブ・ザ・ドッグ』や『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』へと繋がっていくアメリカの歴史、に取りこぼされた男たちの物語。前評判を裏切らず、とても素晴らしい映画だったと思う。最近>>続きを読む

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

2.3

淡々と日々を生きる役所広司が年老いたジョン・ウィックみたいだった。映画としては予想通りというか、正直かなり嫌いだったけど写真を千切りまくるシーンだけはカッコよかった。渋谷の大学に日々通っていた自分とし>>続きを読む

ザ・キラー(2023年製作の映画)

5.0

感無量……映画監督で一番好きなフィンチャーのこんなキレッキレの殺し屋映画が観れるなんて。ジョン・ウィックやイコライザーと重なるところもありながら「仕事への諦観」と「人生への執着」にやられた。ドライと情>>続きを読む

イコライザー THE FINAL(2023年製作の映画)

4.3

シリーズ第2作目に痺れまくってしまったため、ちょっと物足りなかった。三本目にして一番の異色作じゃないだろうか。最新作が一番異常な暴力の塊みたいな映画になってしまうという意味では『ランボー ラスト・ブラ>>続きを読む

イコライザー2(2018年製作の映画)

4.7

『イコライザー2』、一作目にめっちゃ若いデヴィッド・ハーバーが出てきて驚いたが、今回はペドロ・パスカルが……フークア監督の俳優選び最高すぎるな?

前作にも増して面白くなっている。アーティスト志望のス
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キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(2023年製作の映画)

5.0

ラスト、80歳のマーティン・スコセッシ監督の瞳にデヴィッド・バーンと同じ怒りを観た。歴史について考えている人にはぜひ観てほしい作品。こんな映画を観ることができたことに、今はただ感謝の気持ちで一杯です。>>続きを読む

ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)

4.3

久々に超ストレートなSF大作が観れると思い、朝イチのグラシネIMAXで観た。話はわりとアホっぽかったりAKIRA過ぎたりはするけど、期待してたシモン・ストーレンハーグ的なSF世界の構築は余す所なく観れ>>続きを読む

モンスターズ/地球外生命体(2010年製作の映画)

4.1

モンスター襲来から6年後という設定が同じく低予算SF映画『第9地区』を思わせる。地球外生命体が武力によって隔離されているというのも通じるところがあるし、合わせ鏡のように観ても面白いかも。そう考えると両>>続きを読む

GONIN(1995年製作の映画)

4.8

YouTubeで無料公開していたのでいいタイミングだ!と思ってU-NEXTで観ました。GONIN、やっぱり伝説の映画という前評判通り今年観た90年代映画の総決算って感じだった。新文芸坐で北野武監督作を>>続きを読む

イコライザー(2014年製作の映画)

4.5

最終作が公開したというのでシリーズ初鑑賞。話には聞いていたがここまで完成した第一作だったとは。いい意味でジョン・ウィック一作目の荒削りさというものがない。マッコールさんは天上天下唯我独尊であまりに完成>>続きを読む

ジョン・ウィック:コンセクエンス(2023年製作の映画)

4.6

何よりもまず忘れられないのは後半に登場する建物内での『ホットライン・マイアミ』完全再現ワンカット。ジョン・ウィックが二階に上がる(ステージに入る)階段の隅に隠れるところからゆっくりと浮き上がるカメラが>>続きを読む

ハント(2022年製作の映画)

5.0

この映画に全てがある。
この映画のために自分は韓国映画を観てきたのだと思った。昨日の夜に『1987、ある闘いの真実』を観ていたのもとてもよかった。今年これを超える映画はないだろうと思う。

イ・ジョン
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1987、ある闘いの真実(2017年製作の映画)

4.8

女の子のパートが異常にいい。
「それで世界が変わるの?」
デモに行く友人を心配する大学生の心情が、恋愛や青春よりも不安に押しつぶされている日常が伝わってくる。独裁政権は実際にソウル大の学生を拷問して殺
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ペパーミント・キャンディー 4Kレストア(1999年製作の映画)

5.0

大学生の頃観たきりだったが、今にしてこの映画を撮った監督の心中に想いを馳せる。観客は過去に遡るほどヨンホの未来を積み上げ、もしこの時違っていたら……という可能性に出会わずにはいられない。歴史とは後悔で>>続きを読む

アシュラ(2016年製作の映画)

5.0

『HUNT』を観にいく前に未見の韓国ノワールを観ようと思って『アジョシ』『名もなき野良犬の輪舞』に続けて観たが、この映画にもはやアクションはなく、ひたすら暴力、脅迫、抑圧がある。男同士の関係性すら置き>>続きを読む

名もなき野良犬の輪舞(2016年製作の映画)

4.6

思っていたよりも刑務所映画であり、思っていたとおり男と男の熱い関係があり、思っていたよりもスパイ合戦で、かなり情報の出し方がズルいタイプの(でも面白いから仕方ない)脚本でグイグイ引っ張っていく映画だっ>>続きを読む

アジョシ(2010年製作の映画)

4.3

超有名作がゆえに今まで観ていなかった『アジョシ』を観た。ド傑作じゃねえか……主人公を取り巻く人物が全員濃く、韓国中国マフィア警察の刑事からハッカー、駄菓子屋の爺さんまで捨てキャラがいない。やっぱり推し>>続きを読む

バーナデット ママは行方不明(2019年製作の映画)

5.0

もしかしたらリンクレイター監督作品で一番好きかもしれない。メンタルヘルスと家族(そして建築!)の話だと思っていたが、あの土砂降りを機に映画がどんどん未開の大地へと転がっていく。間違いなく人生で一番好き>>続きを読む

ミュータント・タートルズ ミュータント・パニック!(2023年製作の映画)

4.8

めちゃくちゃクィアでストリートでサイバーパンク!アクションシーンがチル過ぎて最高。音楽ネタ多くて、みんなでBTS口ずさむところとかジンときちゃったな。そしてもちろん最高にNINJA!巨大な敵にスケボー>>続きを読む

熊は、いない/ノー・ベアーズ(2022年製作の映画)

4.5

タイトルとポスターに惹かれて観たけど、傑作でした。イランの映画ってキアロスタミ監督くらいしか知らなかったけど、まさかその弟子だったとは。映画の完成後にイラン当局に拘束されたいうジャファル・パナヒ監督の>>続きを読む

アル中女の肖像(1979年製作の映画)

5.0

ユーロスペースの「ウルリケ・オッティンガー ベルリン三部作」特集上映で観た。今年一番すごい映画かもしれない。ていうか酒に酔ったことがある人は全員観てくれ(たぶんもう上映は終わってるけど……)。個人的に>>続きを読む

一年の九日(1961年製作の映画)

4.7

シネマヴェーラの「日常と戦争と旅 ウクライナ・ジョージア・ソ連映画」特集で観た。1961年のソ連映画。若き物理学者三人の三角関係かと思いきや、そのうちの一人は無茶な実験で放射線を浴びてしまう。物語は「>>続きを読む

福田村事件(2023年製作の映画)

4.1

観ていてとても恐かった。ここで描かれているのは「朝鮮人が殺されたこと」ではなくて結局「日本人によって日本人が殺されたこと」ではないかとも考えてしまうが、今年最も重要な日本映画だとは思う。でもそれさえも>>続きを読む

エリザベート 1878(2022年製作の映画)

5.0

自分があまりに無知なので、「オーストリア皇妃エリザベート」について全く知らずに観て、これは本当に素晴らしい映画だと思った。女性を中心に置いて歴史を再構成し、その権力構造やミソジニーを浮かび上がらせる映>>続きを読む

バービー(2023年製作の映画)

4.3

とても楽しみにしていたし面白く観たが、グレタ・ガーウィグ監督作品としてはかなり物足りなく感じた。

アランとマテル社のおっさんたちはあれでよかったのか?ケン以外の男たちとして物語に機能させるために配置
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マイ・エレメント(2023年製作の映画)

4.5

やっと『マイ・エレメント』観た!炎と水の恋というかなりアニメーションの根源的な戯れに移民二世の物語を重ねてくる脚本すごすぎる。画の美しさはもう言うことないけど、それ以上に世界の豊かさを実感させてくれる>>続きを読む

キングダム エクソダス〈脱出〉(2022年製作の映画)

4.7

ヒューマントラスト渋谷で15時間超えの『キングダム』I&IIと『キングダム エクソダス』一気見上映で鑑賞。夢と現実が混濁している可能性があります。善も悪もあることを心得よ。

冒頭に『キングダム』シリ
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キングダム II 第3章/第4章(1997年製作の映画)

5.0

ヒューマントラスト渋谷で15時間超えの『キングダム』I&IIと『キングダム エクソダス』一気見上映で鑑賞。夢と現実が混濁している可能性があります。善も悪もあることを心得よ。

内容について書きます。と
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キングダム(1994年製作の映画)

5.0

ヒューマントラスト渋谷で15時間超えの『キングダム』I&IIと『キングダム エクソダス』一気見上映で鑑賞。夢と現実が混濁している可能性があります。善も悪もあることを心得よ。

今年これを超える映像体験
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アルキメデスの大戦(2019年製作の映画)

4.7

山崎貴監督の新作ゴジラが発表されてめちゃくちゃカッコよかったので、賛否分かれがちな山崎貴監督作品の中でも異様に評判がいい『アルキメデスの大戦』をやっと観た。ちょっと信じられないほどすごい映画だった……>>続きを読む

インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国(2008年製作の映画)

4.3

はじめて『インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国』みてる。やべー話だこれ……

これが噂の冷蔵庫シーン……

『クリスタル・スカルの王国』、もうオープニングクレジットで「ケイト・ブランシェット
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復讐 THE REVENGE 消えない傷痕(1997年製作の映画)

4.6

この1年後くらいに撮られる『蛇の道』『蜘蛛の瞳』でも一作目から二作目へと続くことで物語や作品のもつ自由度が拡大されて「もはやなんでもあり」のシュールな場面も連発されるのだが、この『復讐』二部作でも同じ>>続きを読む

復讐 THE REVENGE 運命の訪問者(1997年製作の映画)

4.3

黒沢清の『復讐』二部作は観れていなかったので新文芸坐での上映は嬉しかった。黒沢清映画の中でも『蛇の道』『蜘蛛の瞳』がベスト級に好きなので、同じく哀川翔主演のこちらのシリーズはそこに繋がる要素があるのか>>続きを読む

カリスマ(1999年製作の映画)

3.9

数年ぶりに新文芸坐で鑑賞。黒沢清映画で役所広司といえばいつも地獄めぐりをしているイメージがあるが(そして途中から半覚醒していくような)、今回は地獄に降りるようなきっかけが映画の序盤に、なんならもう映画>>続きを読む

3-4x10月(1990年製作の映画)

4.2

『その男、凶暴につき』に続いて新文芸坐で鑑賞。『その男、』とのギャップというか温度差というか、北野武のフィルモグラフィーが暴力とユーモアに彩られているように、その作品群の豊かな混沌を一作に詰め込んだよ>>続きを読む