糸くずさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

糸くず

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その女を殺せ(1952年製作の映画)

3.9

〈蓮實重彦セレクション ハリウッド映画史講義〉

女が階段を上る時(1960年製作の映画)

4.1

酔いつぶれた純子(団令子)をベッドに寝かせた圭子(高峰秀子)が一息つくこともなく取り出すのがそろばんと領収書であって、まるで夏目漱石の『道草』のような感じで、お金の話がえんえんと語られるのがものすごく>>続きを読む

浮雲(1955年製作の映画)

3.9

いろいろな感情を通り越して「富岡、とっととくたばれ」という思いが真っ先に浮かんでムカムカしてしまうので、『乱れる』や『乱れ雲』のほうが好きなのだけど、以前よりも富岡に恋い焦がれてしまうゆき子の気持ちが>>続きを読む

シベル(2018年製作の映画)

4.2

『裸足の季節』meets『マッドマックス 怒りのデス・ロード』。

最初は「狼」を捕まえることで村の人々に認められようとしていたシベルが、次第に村を支配する価値観そのものに疑問を抱き、孤独な闘いを挑ん
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心と体と(2017年製作の映画)

4.5

不器用で傷つきやすい大人たちのための丁寧で優しいラブストーリー。

人には、心と体がある。しかし、実際の人間関係において、人は相手の心と体をきちんと見ているわけではない。行動だけで、言葉だけで、目の前
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あなたの顔(2018年製作の映画)

2.5

観客の集中力と忍耐強さに試すかのような長回しとノイズ。出てくる12人の男女のうち、ちゃんとしゃべるのは4人のみ。

長回しが目的となっているような映画はただの自己満足だと思う。どこの誰かもわからない人
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ヘレディタリー/継承(2018年製作の映画)

3.5

面白かったけども、ホラーである必然性を感じないっていうか、「家族」という呪いとオカルト的要素がうまく噛み合ってないように思う。

たぶん、この監督が作りたいのはあくまで地獄のホームドラマであって、恐怖
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十字砲火(1947年製作の映画)

3.7

ユダヤ人へのヘイトクライムを主題とし、アメリカの闇を真っ正面から描いたサスペンスドラマの佳作。

犯人ではなく動機に焦点があること、そしてそれがアメリカの奥底に常に潜んでいる差別と憎悪の連鎖を露にして
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恐怖のまわり道(1945年製作の映画)

3.0

「省エネ演出」のお手本にはなるかもしれないけども、それ以外は特にどうってことのない普通のフィルムノワール。

上映時間は一時間ちょっとであるが、トム・ニール演じるアルが事のいきさつを語りで説明するナレ
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マジック・ランタン(2018年製作の映画)

3.3

映画よ! 美しい夢よ! 永遠に!

説明を排した描写と〈映画の中の映画〉という二重構造によって、複雑な印象を抱きがちになるけども、失われていきつつあるフィルム撮影による映画の美を「ミステリアスな美女」
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枯葉(1956年製作の映画)

4.2

第40回ぴあフィルムフェスティバル
〈女も男もカッコいい! 今こそアルドリッチ〉

緋色の街/スカーレット・ストリート(1945年製作の映画)

5.0

「重い罪を犯した者は、たとえどんなことがあっても、罪から逃れることはできない」という苛烈な人間観に打ちのめされる、フィルムノワールの傑作。

エプロンを着て食器を片付けるエドワード・G・ロビンソンと、
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仁義なき戦い 頂上作戦(1974年製作の映画)

4.0

やくざの抗争それ自体だけでなく、やくざと社会との力関係の変化まで描き出そうとした意欲的な問題作。

今までのシリーズにおいて、抗争はあくまで「やくざ」という集団の内側の出来事でしかなかった。もちろん暴
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肉体の門(1964年製作の映画)

3.7

坂口安吾の「堕落論」的人間観(「生きよ、墜ちよ」)で作られた女性たちの物語なんじゃないかと思うが、マッチョで反抗的な復員兵(宍戸錠)が娼婦たちの中心に君臨してしまうあたりに、昭和の男性作家が作った物語>>続きを読む

グレイテスト・ショーマン(2017年製作の映画)

3.9

金儲けのことばかり考えて人のことは全く考えてないクズ野郎でも、ヒュー・ジャックマンが演じるとあら不思議、金儲けのことばかり考えて人のことは全く考えてない「爽やか」クズ野郎になりました。

現代の眼から
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レディ・プレイヤー1(2018年製作の映画)

3.7

オタクのための夢の国がここにある。

といっても、そこはスピルバーグ、「現実でも愛や喜びを見つけないとね」というメッセージを忘れることはなく、仮想空間で得られる幸せと現実で得られる幸せのバランスに気を
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19歳(2018年製作の映画)

3.3

二十歳を目前にして揺れ動く思いを吐露する19歳の女子のありのままの姿をとらえようとするドキュメンタリー的な物語。

9割9分「私」についての話でできている映画だが、そこに押しつけがましさやうざったさは
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山河の子(2018年製作の映画)

2.9

中国の貧しい農村部の小学校に通う三人の少年たちの日常を追ったドキュメンタリー。

ところどころハッとする瞬間はある。学校の敷地の脇の崖に集められたゴミ、カラオケで行われる音楽の授業、市役所の職員と地元
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ローマに消えた男(2013年製作の映画)

4.0

この映画に『イル・ディーヴォ 魔王と呼ばれた男』、さらにそれこそ『イル・ディーヴォ』の監督であるパオロ・ソレンティーノの新作では、イタリアの元首相ベルルスコーニを演じており、わたしにとって、「トニ・セ>>続きを読む

この首一万石(1963年製作の映画)

4.3

宿場をめぐる藩同士のいざこざを通して、日本の組織にはびこる無責任と弱者が犠牲となって強者が守られるシステムを痛烈に批判した傑作。

「一万と十七石の小藩といえども、馬鹿にされてたまるか」というつまらぬ
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(2017年製作の映画)

3.9

伝統が強いる「男らしさ」、その暴力と抑圧を力強い筆致で描き出した力作。

南アフリカのコサ人にとって、割礼の儀式は少年が大人の男になる儀式である。医者によって施術を受けた少年たちは、「俺は男だ!」と叫
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トレジャーハンター・クミコ(2014年製作の映画)

3.8

大都会の片隅で孤独に生きる女性の憂鬱と切実で儚い希望を描いた秀作。

「『ファーゴ』でスティーブ・ブシェミが雪原に埋めた札束の詰まったトランクの存在を信じる日本人の女性」というかなり突拍子もない設定で
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白い足(1949年製作の映画)

3.7

都会からやってきた洒落ててきれいな女の人に田舎の男たちがみんな夢中になっていく感じのありふれたメロドラマかと思いきや、伯爵の異母弟が自分をいじめた伯爵への復讐を決意したあたりから、話がおかしな方向へと>>続きを読む