陸の孤島となった箱根の宿での連続殺人ミステリーだけども、謎解きよりも、次々と現れる多彩な脇役たちが魅力的。特に島田竜三演じる子連れの貧乏浪人がいい。
もちろん市川雷蔵演じる切れ者の遊び人&中村玉緒演>>続きを読む
身勝手な愛に美しさがあるとすれば、求めても求めても決して成就することはないところに美しさが宿ると思っているから、「何となく浮気してみたけど、やっぱり恋人のほうが好きだから、元の鞘に戻ってめでたしめでた>>続きを読む
脇道を一切見ない映画。
ジェームズ・キャグニー演じるトムに「葛藤」なんてものは全く用意されていない。母親の前では弱さを垣間見せるが、だからといって、トムが母親や兄の忠告をちゃんと受け止めて思い悩むこ>>続きを読む
スパイに全く興味のないデ・パルマのやりたい放題おふざけ映画だった一作目に引き続き、今作もまたスパイに特に興味のないジョン・ウーが己の美学溢れるアクションをてんこ盛りにしてお届けするやりたい放題映画であ>>続きを読む
愛の喜びを知ることもなく、食べて仕事して眠ってセックスするだけの日々を過ごす3人の男女の荒涼とした有り様をじっくり描いておきながら、タイトルは『愛情萬歳』なのである。
つまり、非常に意地悪な感じの強>>続きを読む
ホン・サンスの映画において、愛は夢の中でしか成就しないことがしばしばであるが、夢の中でしか成就しない愛の哀しさ・切なさがこれほどまでに身をキリキリと締め付けてくるのは初めてのことだった。
もちろん不>>続きを読む
まるでスパイ小説のような出来事が現実に起きているのだが、「わたしたちの個人情報が徹底的に収集され、監視されている」という事実への恐怖よりも、そうしたことが一人のエンジニアの告発によって暴かれていくこと>>続きを読む
信用できない3人の語り手によるミステリーとしての華麗さというより、虐げられた者たちの激しい怒りが爆発するリベンジ・ムービーとしての鋭さが際立っている。
『ヘルプ~心がつなぐストーリー~』で差別に立ち>>続きを読む
センチメンタル・ジャーニー。
まさに「ダンディズムの象徴」というべきジェームズ・ディーンの最後の帰郷を、ダンディズムの映画監督であるアントン・コービンが撮っているのだから、映画は隅から隅までダンディ>>続きを読む
「やんちゃなドニーお兄ちゃんをやさしく見守る会」というような、想像以上にほんわかした話。
中国側の刑事ジン・ティエンは「堅物の妹」という感じで、にもかかわらず悪者を撃ち殺してしまったことにショックを>>続きを読む
王道のヒーロー誕生物語のところどころにまぶされたサイケ風味が一番の魅力。特にストレンジが多元宇宙を体験する場面の『ダンボ』を連想させるようなトリップ感は素晴らしく、CGの進化に感謝せずにはいられない。>>続きを読む
ほとばしるエネルギー、生命の躍動そのもの。「ザ・加藤泰」というタイトルでもおかしくない。
極端なクローズアップ! 異常なローアングル! 血のように鮮やかな着物の赤! 冴え渡る雪の白!
ドキュメンタ>>続きを読む
意味不明だけど、とりあえず映像と音の暴力として最高。
「スコリモフスキが描き出す終末のヴィジョン」というような映画なんだろうけど、超絶技巧を駆使し、テロを臭わせるような要素を散りばめておきながら、そ>>続きを読む
ものすごく「閉じている」映画。
この映画には、登場人物が「3人」しかない。「ぼく」「きみ」「その他大勢」である。特別なのは「ぼく」と「きみ」だけで、「その他大勢」は「ぼく」にとって何の意味もない。誰>>続きを読む
「音楽は希望だ」とためらいも照れ隠しもなく素直にのびのびと歌い上げる美しい映画。
不仲の両親と崩壊した家庭に教師も生徒もクソッタレな学校など「音楽がなければ生きていけなかった」という切実も透けて見え>>続きを読む
『クローバーフィールド』を名乗る必要は全くないのにもかかわらず、なぜか『クローバーフィールド』を名乗っている映画。
この映画では、二つの恐怖が描かれている。人間がもたらす恐怖と、人間でないものがもた>>続きを読む
輪転機の動く様はそれだけですごく絵になるのは一体なぜなのだろうか。
あと、何よりも「電話の映画」であって、公衆電話で急ぐあまりに小銭をばらばらこぼすのをちゃんと撮るのもよい。
要所要所での女性たち>>続きを読む
行きすぎた正義の暴走を描いた、近年のクレヨンしんちゃんの劇場版でも最も重量級の作品。
食べた人間を病みつきにさせ、さらには凶暴化させる「ブラックパンダラーメン」の横暴は、再開発による住民への圧力と街>>続きを読む
誰も傷付けることのない、全方位において気配りの固まりのような映画にも関わらず、ちゃんと面白いってのがさすが。尊敬する。毒のなさを物足りなく感じてしまうのは求めすぎか。
にしても、太めの中年男性ジャッ>>続きを読む
実は、この映画を観る前にサウンドトラックを購入していた。スコアを担当しているのがワンオートリックス・ポイント・ネヴァーだったからである。といっても、映画ファンにも映画音楽のファンにも馴染みの薄いミュー>>続きを読む
『犯罪の女王』というタイトルだけだと、『極道の妻たち』のような話か女詐欺師の華麗なる遍歴のような話を想像してしまうが、わたしが実際に観ている間に思い浮かべていたのは名取裕子、というか『京都地検の女』の>>続きを読む
カンヌの「ある視点」部門の作品賞受賞作なので、少し身構えて観たのだけども、実直すぎるくらい実直な作りの映画で、かなりの安定感。
アイスランドといえば、『馬々と人間たち』という怪作があって、明らかに好>>続きを読む
カウリスマキ版『ディーパンの闘い』。寄る辺なき移民たちの理想郷はいつも「遠い彼方」にしかなく、「ここ」にはない。
「アレッポの状況は、我々が規定する〈重大な害〉をそこの住民に及ぼしていない」として、>>続きを読む
「偽物が本物になる」という定番のパターン通りの展開ではあるけども、さすが武正晴×足立紳のゴールデンコンビだけあって、ちゃんと燃え上がれるいい映画。いい年したおじさん二人が主役なので、感情がバチバチぶつ>>続きを読む
何とも言いがたい映画である。
この映画は、登場人物によるナレーションとドキュメンタリー番組でのインタビュー映像のような一人語りで話が進んでいく。ほとんどの時間は彼・彼女らのおしゃべりをじっと聴くしか>>続きを読む
北朝鮮のクールなイケメンエリート刑事と韓国のへっぽこ熱血漢刑事(顔は「破壊的」)の凸凹コンビが暴れ回る痛快バディ・アクション・コメディで、とにかく無茶苦茶面白いのだけど、「南北初の合同捜査」という題材>>続きを読む
全てがラストの「スピーク・ロウ」のためにある映画というか、愛する夫との平穏な生活が再び戻ることだけを望んでいたネリーの強い思いが最後の一点にぎゅっと凝縮されていて、短いながらも見応えがある。
しかし>>続きを読む
少年に爆破を任せた兵士は「頭がおかしい」としか言いようがないが、こいつが少年にもう一つのトラウマを植え付けたおかげで、金塊が発見されることになるわけなので、人生なにがプラスになるのかわからない。
無>>続きを読む