キャラクターの感情や伝えたいことが全て台詞で説明される、悪い意味での「こども向け」映画。そのため、とても長ったらしく感じる。ルドルフ(井上真央)とデビル(古田新太)との対決が終わった時点で、「そろそろ>>続きを読む
「アピチャッポンmeetsダンカン・ジョーンズ」というような、日常と非日常の境界が溶け合った、少し不思議で切ない家族の映画。
「団地」という閉鎖的な環境によって露になる人間の醜悪さではなく、素性もよ>>続きを読む
『フライト・ゲーム』『ラン・オールナイト』と、「穴だらけのプロットでも、役者の力があれば、どこまでも遠くへ飛べる」と信じて疑わないような映画作りをしているジャウマ・コレット=セラが、ブレイク・ライヴリ>>続きを読む
岩井俊二の映画を観たのは『花とアリス』以来。その『花とアリス』も観たのは遠い昔なので、すっかり忘却の彼方に行ってしまっている。
それでも不思議なことに、「岩井俊二的なもの」は、わりと楽に思い浮かべる>>続きを読む
『未知との遭遇』『バック・トゥ・ザ・フューチャー』『ジュラシック・パーク』『ターミネーター』に、戦争映画の要素も混ぜこんであって、闇鍋のような状態なのだけども、今一つ興奮に欠けるところがあって、それは>>続きを読む
野球部を辞めようとする東と、引き止める西条。二人の仲違いの理由がわからないため、話が生きてこない。そこが弱いので、ノルダという異世界の存在が二人をつなぐ感動も生まれない。30分でも、もう少し描けたはず>>続きを読む
「今の生活は暇をもて余した神々の遊び」なんて言いたげな作曲家のフレッド(マイケル・ケイン)と映画監督のミック(ハーヴェイ・カイテル)のゆるーい毎日。話題になるのは小便のキレの悪さぐらい。しかし、二人と>>続きを読む
わたしとブラーとの関係は、「ちゃんと聴いたのは『パークライフ』と『マジック・ウィップ』だけ」という浅い付き合いなのだけども、それでもそこそこ楽しめた。
「せっかく作った曲を自分がダメにしてしまうかも>>続きを読む
この映画よりも『クリード』を押す声のほうが多いような気がしたけども、わたしは逆。
『クリード』の感想にも似たようなことを書いたけど、あの映画はボクシングへの欲求も強さの秘密も全て「アポロの息子」とい>>続きを読む
現代社会の教科書のような映画。
自由・平等の実現はきわめて繊細かつ困難な道のりである。しかし、それでも、やらねばならない。Try Everythingなのである。
この映画の凄いところは、社会的弱>>続きを読む
戦前の映画なのだけども、精神的DVによる洗脳を描いた映画で、作り手がどれほど意識していたかはわからないが、時代を先取りした恐怖の人間ドラマである。
ミステリーとしては犯人もその目的もすぐわかるのだけ>>続きを読む
男たちの友情が浅はかで愚かな過ちによって粉々に砕け散る物語で起きそうなことが一通り描かれるので、概ね満足なのだけど、最初の事件が既に致命的な一撃であるにもかかわらず、友情にひびを入れるハンマーの振りが>>続きを読む
カーク・ダグラスの狂人演技を見せることに特化した映画。カーク・ダグラスはこの役を演じることを熱望しただけあって、非常に力のこもった演技を見せるが、アカデミー賞を獲ったのはゴーギャンを演じたアンソニー・>>続きを読む
間違いと嘘を「正しいこと」と信じた若者が袋小路に入って抜け出せなくなる、痛ましい青春のノワール。舞台はパレスチナであるが、「ここがパレスチナであること」を強調した物語ではなく、きわめて普遍的な物語であ>>続きを読む
『上の句』が素晴らしかったのは、やはり青春の光と影の「影」の部分をきっちりと掬い取っていたからなのだなぁと痛感する。
『下の句』で「影」を引き受けていたのは新(真剣佑)と若宮詩暢(松岡茉優)であるけ>>続きを読む
「秘密を知ってしまった者は、知らなかった時に二度と戻ることはできない」という苦渋に満ちたハードボイルド熟年夫婦ドラマ。
犬の散歩の場面が繰り返し出てくる。初めは犬も飼い主のケイト(シャーロット・ラン>>続きを読む
ストーリーは「流れ者の男が親友の死に疑問を抱き、その親友の恋人とともに真相を探る」というサスペンスの定番の話。事件の真相もごく単純で、驚きはない。
でも、適材適所に配置されたいい顔揃いの役者たちと、>>続きを読む
わたしはときどき、「自分は、『民主主義』とか『自由』とか『人権』とか、そういった西洋からやってきた概念の本当の意味と重さを理解していないんじゃないか」と思うことがあるんだけど、ジャ・ジャンクーもそんな>>続きを読む
何でもない日常がいきなり極限状態へと変貌を遂げていく前半の不穏なトーンが絶妙。てっこ(片瀬那奈)のエクソシスト的アクションの気持ち悪さ、空を飛び交うヘリコプターと輸送機、カッターナイフで首を掻き切る三>>続きを読む
散りばめられたアイテムの奇抜さからは想像もつかない、魔性の女をめぐる純然たるフィルム・ノワール。
わたしは、「冒頭のシーンで描かれていることが映画の物語そのものを象徴している」ってのが好きなのだけど>>続きを読む
非常に贅沢なオールスター映画で、前編だけでもカロリーたっぷりお腹いっぱい。
今の日本を代表するスター俳優である佐藤浩市を中心とした豪華キャストのアンサンブルがとにかく見事。喰えない顔の連中を見事に揃>>続きを読む
和製ヴィジランテ映画の傑作、ここに誕生。
そもそも建国の時から「自分のものは自分で守る」という独立の精神を育んできたアメリカ人などとは違い、海に囲まれた平和な島国に住む日本人にとって、自警団はまった>>続きを読む
「わたしはわたしがわからない」と言いながらも、そのわからなさを受け止める覚悟を持ったキャロルと違い、ふとした瞬間にわたしが〈違うわたし〉を生きてきたことに気づいたアイナーは、〈新しいわたし〉を受け止め>>続きを読む
単に美醜の問題ではなく、「外見以外で、〈あなた〉を〈あなた〉であることを保証するものは何なのか」という問いを投げかける映画で、その問いの答えが描かれているわけではないけども、この問いそのものにすごく意>>続きを読む
古沢良太の手堅い脚本と金子修介の無駄のない話の運びがマッチした気軽に楽しめるミステリーでありながら、ところどころでフェティッシュな演出が炸裂しまくっていて、すごくニヤニヤした顔で観ていたと思う。
と>>続きを読む
結末から逆算して作られたような物語のせいなのか、結局落ちぶれた元指揮者の身勝手なわがままに付き合わされた感は拭えないものの、そんなに悪い気持ちがしなかったのは、父の幻影に囚われている香坂真一(松坂桃李>>続きを読む
簡潔に言うと、「バイク版『トランスポーター』」なのだけど、この映画はリュック・ベッソンだったら90分で終わらせるような話を2時間かけて語っていて、暴力の行使をためらわない強面俳優ジェイソン・ステイサム>>続きを読む
「河瀬直美meetsシャマラン」なんて評判を聞いたもので、どんな珍品が出てくるのかと思っていたら、意外と普通のスピリチュアル・ヒューマンドラマで、そんなに悪くはなかった。
「大切な人を失った男の再生>>続きを読む
信じたって信じなくたって救われない。
いやはや、どうすれば、こんな話が思いつくのだろうか。信じること・信じないことをめぐる地獄のようなすれ違いの悲劇である。
霊媒師の母親ゆずりの霊能力により、人の>>続きを読む
「お上に大金を貸して利息をもらう」という酒の席での夢物語を真に受けた、町の荒廃を憂うロマンチスト穀田屋十三郎(阿部サダヲ)の妄執が町の人々にいとも簡単に伝染していく様に、菅原屋篤平治(瑛太)と同様に「>>続きを読む
『エンド・オブ・キングダム』の予習として鑑賞。
「ホワイトハウス陥落」という馬鹿げた嘘を描いたアクションであるものの、冒頭のキャンプ・デーヴィッドのくだりがわりと気が利いてそうだったので、序盤はわり>>続きを読む
母の喪失に縛られていた父と子が、そのトラウマを克服する。つまり、『青天の霹靂』と同じ構造の話であって、これが劇団ひとりの作家性なんだろう。言い換えると、「劇団ひとりはマザコンである」ということになる。>>続きを読む
『ウィンター・ソルジャー』で自らが背負ってきたアメリカから大義が失われたことに気づき、『エイジ・オブ・ウルトロン』で「どうせ大義なき世の中だけども、人類のために命を捨てるのも悪くない」とある種の諦念を>>続きを読む
真実は人に幸福をもたらすとは限らず、むしろ人を不幸にしてしまう場合がしょっちゅうある。真実を追いかける者は、その真実の断片を見つける度に自らを傷つけてしまう。
そうした真実がもたらす傷の痛みが見たか>>続きを読む
驚異の天才エマニュエル・ルベツキが贈る超弩級のネイチャー・アドベンチャー。ただし、クマとバッファローはCG。
お得意の長回しはもちろん、画面を息でくもらせ、血しぶきで汚す超接近撮影でもその実力を十二>>続きを読む
両親と弟がパンク好きでありながら、自分だけクラシック好きであることを「私だけが異星人」と表現するミアの、自らの居場所へのぼんやりとした不安が、家族が次々と死んでいく様を目の当たりにし、自らも生死の境を>>続きを読む