mmntmrさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

世界が引き裂かれる時/クロンダイク(2022年製作の映画)

4.4

「お前は分離主義者じゃない、奴隷だ。」

立場は違えど、作品に登場する彼らは皆同様に戦争の奴隷と化していた。そうならざるを得ないのだろうと思った。

正しい判断など出来るわけがない。
「何故危機的状況
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燃ゆる女の肖像(2019年製作の映画)

4.7

生きる糧として“苦しみ”を愛したい。

この先にどんな困難に遭遇しても、たとえ自分が世界から突き放されるような感覚に陥ったとしても、この苦しみの結晶を胸に秘めていれば生きていけるんじゃないだろうか。
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ユージュアル・サスペクツ(1995年製作の映画)

3.7

ケヴィンスペイシー見たさに鑑賞。どんでん返しに不満はないが、それまでの積み上げ方がイマイチ。

最後5分の為に100分も費やさなければならないのかと思ってしまう。
もっと痺れるシーンを演出してほしかっ
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ファイト・クラブ(1999年製作の映画)

4.7

痺れた。

この狂気と啓蒙を表現するための場が“ファイトクラブ”である必然性はないが、“ファイトクラブ”のあるお陰で映画として素晴らしい完成度になっている。

忘れられないシーンが幾つも胸に刻まれた。
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マルケータ・ラザロヴァー(1967年製作の映画)

4.8

人間の理性に潜む野生性を炙り出し、迷い,苦しみ,世界を睨みつける彼らを美しいモノクロの映像でスクリーンに投影する。

信仰と部族間抗争の狭間で苦悶する少女を中心に、人の業を高純度で捉えた大傑作。

ポンヌフの恋人(1991年製作の映画)

4.8

奇跡的な映像の連続。
コンクリートに弾ける火花のような、刹那のあいだに限りなく美しく輝く映像の数々。

衝動と本能の躍動に満ちた素晴らしい脚本。

狂想的音楽。

天才的としか言いようのない映画だ。

ゴダールの決別(1993年製作の映画)

-

受容できない。

映像が美しいかどうかという以前の問題。

ひとつひとつのショットが何かしらの意図を持って成立していることはわかるのだが、その構成のデタラメさは酷く、観ていて苛立ちさえ覚える。

当時
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誰も知らない(2004年製作の映画)

4.8

邦画に於いてはトップクラスに好きな作品。

この主題をこの絶妙な距離感で捉えられていることが凄い。

子役達はどのように指導しているんだろう。演技をしているようには見えない程の自然体。あれはもはや演技
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わたしは光をにぎっている(2019年製作の映画)

4.4

美しい構図や色味の表現が非常に巧い。

何度も、その作り込まれたショットの迫力に息を呑む。

脚本も素晴らしい。消えゆく人、消えゆく街、その切なさの中にひとり生きる内気な澪。彼女は東京の冷たさと暖かさ
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ちゅうずもう(2010年製作の映画)

4.3

イイ、、流石の脚本。シンプルながらも、日本人の小さくて大きな幸福のかたちがひとつ、慎ましく繊細に描かれていた。

台詞が殆どない分、表情や動作での感情表現が豊かで見応えがある。

10分程度の作品でこ
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座頭市(2003年製作の映画)

4.8

『座頭市』
興奮が止まらない。
按摩 北野武の佇まいにひたすら痺れる。

日常の片隅にひそむユーモアを掬いとり、いやらしくなく描く表現が巧すぎる。さすが。
シリアスな展開と相克するようで絶妙に止揚させ
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ナイト・オン・ザ・プラネット(1991年製作の映画)

4.3

五つの短編からなるオムニバス映画。PM07:07のロサンゼルスと、その他4都市で同時刻に街を走るタクシー。それぞれの街で、それぞれのタクシーで、ふたつとないユニークな物語が生まれる。

運転手と乗客は
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街の上で(2019年製作の映画)

4.5

映画館で観れば良かったなぁ。いい街が撮れていました。
早計にも単なるおしゃれ映画だと思ってしまっていた。

「全部カットされてた?」「いえ、ちゃんと映ってましたよ」

文化として残ることも素晴らしいが
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アンドレイ・ルブリョフ 動乱そして沈黙(第一部) 試練そして復活(第二部)(1969年製作の映画)

4.8

アンドレイ・ルブリョフというイコン画家の半生を10章に分け、芸術がどのように人間の上に立ち現れるのかを描いた本作。

後半の第二部で描かれる大鐘造りの一連の流れは圧巻だった。背水の陣となった青年ボリス
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惑星ソラリス(1972年製作の映画)

4.8

SF小説を原作に持ちながら、限りなく内省的で、人間的な作品だったと思う。

SFの要素は確かに、美術的な観点からみれば芸術的とは言い難く、単純に機械的で,ハイテクではあった。
しかし、その冷徹で無機質
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