みーちゃんさんの映画レビュー・感想・評価 - 10ページ目

家族の肖像(1974年製作の映画)

4.9

ルキノ・ヴィスコンティ監督は、私にとって大人の世界。鑑賞中は、心拍数が上がっていたかも。始終胸の高鳴りを抑えることができなかった。

オープニング、絵画や美術品に囲まれた骨董品のような邸宅の様子だけで
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サッドヒルを掘り返せ(2017年製作の映画)

3.9

50年以上前の映画を巡って、こんな企画が成り立つだけでおもしろい。撮影の裏話やオフショットも楽しい。

それにしても驚いた。サッドヒル墓地は、あの作品のために作ったセットだったのですか⁈ さすがに名称
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アリスの恋(1974年製作の映画)

4.5

原題は"Alice Doesn't Live Here Anymore"
監督は当時32歳のマーティン・スコセッシ。大切にしたい作品の一つになりました。

平凡な主婦だったアリスが、夫の死をきっかけに
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ロスト・バケーション(2016年製作の映画)

4.0

娘と鑑賞。おもしろかった。主役のナンシーVS鮫だけを描いておもしろいって、実は難しいと思う。

ナンシーが、美人で、スタイル抜群で、性格もいい❤︎ なんて、そんな表面的なことじゃあ無い。それだけじゃ
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続・夕陽のガンマン/地獄の決斗(1966年製作の映画)

4.8

西部劇は邦題が似ているものが多く、記憶が曖昧なので、ゆっくり再鑑賞していきたいと思っています。

原題は"The Good, the Bad and the Ugly" これならいつまでも忘れない
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最後まで行く(2014年製作の映画)

2.5

きっかけはどうあれ、大人が一つ嘘をついたら取り返しのつかないことになる、という見本だった。身につまされる。

珍しく、物語の過程より結末に興味を持った。なぜなら、良い意味で、あの主人公が、あの黒幕に勝
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ノスタルジア(1983年製作の映画)

5.0

アンドレイ・タルコフスキー監督。抽象的な映像美の巨匠。映像の詩人。まさしく、なので感じたままレビューしたいと思います。

オープニングは原風景のロングショット。人と犬が写り込んでいるけれど何も起こらな
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砂漠の流れ者(1970年製作の映画)

4.8

大きな包容力と温かい眼差しを感じた。
私はワイルドバンチでも、バイオレンス以上に、サム・ペキンパー監督の人物描写が好き。だから銃撃戦がない本作も違和感なく良い。しかもコミカル。

ただ、これがワイルド
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アシュラ(2016年製作の映画)

4.3

凄いものを観た。
フツーの映画の3本、いや、5本分に匹敵するくらいの見応えと体力消耗。序盤15分でテンションMax?と思いきや、一度も下がることなく上がり続ける。

何しろ、チョン・ウソン演じるドギョ
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スリー・ビルボード(2017年製作の映画)

5.0

こんなに素晴らしい作品を見逃すところだった。今まで観てなかった理由は、例えば「敢えて孤独な戦いを挑んだ母親の娘への強い想いとは?」「何故これほどまで犯人逮捕に執着するのか?」などのコピー。は?そんなの>>続きを読む

アメリカン・スナイパー(2014年製作の映画)

4.3

このテーマにおいて、照準越しに本作以上に描き切った作品を私は知らない。
序盤から、クリスの封建的な家庭環境や、弟との関係性、結婚生活など、彼のパーソナルな部分に丁寧な焦点があてられているから、これが大
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遊星からの物体X(1982年製作の映画)

5.0

オープニングから印象的。事情は分からないが、大変な事が起きていることだけは伝わってくる。エンニオ・モリコーネの重厚な音楽との相乗効果で不穏な空気を感じつつ、雪原の映像が美しくて集中力が一気に高まる(ハ>>続きを読む

ダウン・バイ・ロー(1986年製作の映画)

5.0

自分のお小遣いで初めて買ったビデオがこれ。1本しか買えないから、お洒落なストレンジャー・ザン・パラダイスにするか思春期なりに真剣に考えた末、敢えて本作を選び、セリフもしぐさも覚えるほど観た。でも大人に>>続きを読む

ワイルドバンチ/オリジナル・ディレクターズ・カット(1969年製作の映画)

5.0

子供の頃、家の中にはいつも西部劇が流れてた。本作もその一つ。バイオレンスシーンがあまりにも有名で、確かに橋の爆破や銃撃戦など、今観ても驚きがある。

でも私は前半部分の彼らの人間性や関係性の描写も好き
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大脱走(1963年製作の映画)

5.0

子供の頃から本作のこともスティーブ・マックイーンがカッコいいことも知っていたけど、ちゃんと観ていなかったのだと分かった。だって勝手に、主役=脱走の首謀者と思い込んでいたから。全く違うことに驚いた。と同>>続きを読む

殺人の追憶(2003年製作の映画)

4.2

ポン・ジュノ監督の作品を初めて観た。
事件やあらすじには触れないが、中盤までは想定内の面白さ&不快感だった。どこかしら観客を突き放すような描き方の気がして、私も距離感を保ちながら観ていた。

でも明確
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プレデター(1987年製作の映画)

5.0

昔観た映画を再鑑賞しよう。ということで、娘のリクエストが本作。好き嫌いは別として、一つの作品として完璧と言っていいのではないでしょうか。だって、良くないところが見当たらないもの。

ダッチ少佐(セリフ
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未知への飛行(1964年製作の映画)

4.5

シドニー・ルメット監督が描く洗練された緊迫感に、一瞬も目を離すことができなかった。なんと、1964年の作品なの⁈と驚く。だって劇中の会話も演出も古臭さとは全く無縁。むしろ斬新に感じる。限られた空間と登>>続きを読む

預言者(2009年製作の映画)

3.0

あらすじ欄を要約すると、若者が刑務所内で地位を確立して登り詰める、ありそうなお話。でも、魅力的なのが主役のマリクの人物描写。彼はカリスマでも、悪人でも、野心家ですらない。むしろ本来は気が優しく賢い青年>>続きを読む

パリ、テキサス(1984年製作の映画)

5.0

余韻に浸る心の余裕がある時に、記憶から引っ張り出して観たくなる。

映像とライ・クーダーのスライドギターが完璧にマッチして、その相乗効果に溜息が出る。たとえ誰も言葉を発しなくても、何も起きなくても、た
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TENET テネット(2020年製作の映画)

4.0

時間の逆行って、よくある行ったり来たり?と思っていたら、全く新しい次元の体験だった。本作と並べたら、これまでのタイムトラベルものは、全てファンタジーに見える。

特に、時間の挟み撃ち、という概念に興奮
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インターステラー(2014年製作の映画)

4.5

惹かれるのは、宇宙という外向きで高い視点と、人間のルーツやアイデンティティなど内向きで深い視点が、見事なバランスで両立していること。そして突き詰めると両者が神秘的かつ科学的にシンクロしていること。今の>>続きを読む

ミシシッピー・バーニング(1988年製作の映画)

5.0

今日は新しい映画を観ようと色々検索した挙句、また再鑑賞に走ってしまった。
過去に何度も観ているので内容は覚えているつもりだったが、オープニングの瞬間、やはり今だからこそ、また観てよかったと確信した。い
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ストリート・オブ・ファイヤー(1984年製作の映画)

4.3

映像がSF映画みたいだった。瞬間風速を切り取ったようなカッコ良さ。余計な説明がないのもクール。ウィレム・デフォーの扱いが若干気の毒ではあるものの、当時は仕方ないのかもしれない。

途中「ところでトム・
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パヴァロッティ 太陽のテノール(2019年製作の映画)

3.9

パヴァロッティの圧巻の歌声は勿論、プロフェッショナルとして、自分自身への内側のベクトルは孤高の人でありながら、外側に対しては垣根を作らず、ジャンルを超えた柔軟さ。伝統の枠にとどまらず、常にチャレンジし>>続きを読む

バスターのバラード(2018年製作の映画)

4.0

Wow!素直に面白い。6章から成るオムニバスの贅。人生の価値観や死生観を、時に楽しく、時に哀しく、時に残酷に、様々なシチュエーションで魅せてくれた。
オムニバスって繰り返し観る場合、好きな章が固定され
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もう終わりにしよう。(2020年製作の映画)

4.5

難しいことは考えず感じるまま観よう。そして、観た後は敢えて皆さんのレビューや考察は読まず感じたまま書こうと決めていたのでそうします。※ネタバレかも。

めちゃくちゃ面白かった。そして感動した。これは救
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ノーカントリー(2007年製作の映画)

5.0

久々に鑑賞。無意識のうちに今日だけで2回半観てしまった。4回目に行く前に、ハッと正気に返ったからレビューを書くことにした。

何度観ても、観終わった後、自分がまだ長い旅の途中にいるような気がする。そし
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マリッジ・ストーリー(2019年製作の映画)

4.3

鑑賞後に、何とも言えない感動が時間差で押し寄せた。主役二人の捉え方が、俯瞰したり寄り添ったり、感情が波のように伝わる。一見、普通のドラマに見えるけれど、高い技術とぶれない視点がないと描けない作品。子供>>続きを読む

エスター(2009年製作の映画)

2.0

このジャケット、何だかいけ好かないからいつも飛ばしてたけど、ヴェラ・ファーミガ主演と知り、それならと鑑賞。サクッと面白かった。ホラーというより普通に事件。

エスターの背景や人格形成はさておき、問題提
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インシディアス 最後の鍵(2018年製作の映画)

4.0

ホラーは苦手だけど、以前観た死霊館シリーズが良かったので、また出会いたいと思い、いつも検索してしまう。でも何でもトライするのは怖いから、皆さんのレビューを拝見し、自分なりに慎重に検討を重ねた結果、順番>>続きを読む

ザ・ライダー(2017年製作の映画)

4.3

ロデオやカウボーイについて、いくらネットで調べてもリアルに理解できるはずも語れるわけもない。大自然には憧れるけど、もし自分があの大地に一人立たされたら、遠近感や平衡感覚を失い、目眩がして倒れると思う。>>続きを読む

ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれから(2020年製作の映画)

4.5

鑑賞後の余韻がとても爽やかで温かい。普遍的な青春の1ページを通して、次の時代へのアリス・ウー監督からの確かなメッセージを受け取った。

センスが良いのは、それが押しつけがましくないこと。全くと言ってい
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インセプション(2010年製作の映画)

4.5

観た直後より、後からジワジワ効いてくる感覚。この設定、この世界観、この構成、思いついたとしても、とても具現化できるものじゃあない。構想に20年!と言うのも納得。

コブがチームを結成するプロセスでこの
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ぼくと魔法の言葉たち(2016年製作の映画)

4.3

感動のドキュメンタリー映画。お父さんの著書のタイトル通り、まさしくディズニー・セラピー。この家族の人間的素晴らしさは勿論、映像としても登場人物との距離感やカメラワーク、心象風景の描写が見事。そして、惜>>続きを読む

サーミの血(2016年製作の映画)

4.0

良い意味でとても重い作品だった。あらすじに書いてある事の重複は避けるが、アナ雪のクリストフがサーミ人、と言えばイメージしやすいかもしれない。

差別や世界史、民俗について勉強になるのは勿論、決してサー
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