みーちゃんさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

デッドゾーン(1983年製作の映画)

4.7

涙が止まらない。
クリストファー・ウォーケンの透明感や繊細さ、純粋さや思慮深さに、冒頭からずっと胸が締めつけられる。特別ではない日常シーン、少しだけ感情にさざ波が起きるシーン、大波が押し寄せるシーンな
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戦慄の絆(1988年製作の映画)

4.0

クローネンバーグ監督の世界観が確立していると思うので、ジェレミー・アイアンズの凄さはさておき、赤や青の色使いとか、器具の形状や金属の質感とか、そんな一つ一つのディテールについて今更述べるのは恥ずかしい>>続きを読む

ヴィデオドローム(1982年製作の映画)

4.5

あらすじを読んだら怖くて、観始めても怖くて、序盤はいつでも止められる体勢で観ていた。

特に、私は"身体的な痛み"の耐性が低いし、映画の"セックスと暴力"の許諾度が高くはないから不安だった。私と同じ理
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スキャナーズ(1981年製作の映画)

4.0

デヴィッド・クローネンバーグ監督の作品を観たいと思って観たら、不思議に魅力的な映画だった。

あらすじ自体は要約すると簡潔だし、SFやホラーとしては決して奇抜ではないと思う(あ、公開当時は分からないけ
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ニトラム/NITRAM(2021年製作の映画)

3.6

負傷した被害者や遺族がいるし、銃による無差別事件は今でも更新され続けているから、どんなトーンの映画なのか不安があったが、前者には最大限配慮しつつ、しっかりとメッセージが伝わる描き方だったと思う。

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ひまわり(1970年製作の映画)

4.5

過去に何度か観ているけれどスクリーンは初めて。“50周年HDレストア版”を観ることができて、本当に良かった。

ストーリーは知っているからオープニングで早くも、一本一本のひまわりが、まるで一人ひとりの
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シンシナティ・キッド(1965年製作の映画)

4.0

オープニングがとても良い。
スティーブ・マックイーンを見たいと思って観たら、映画が始まると同時にいきなり登場するので思わず吹き出してしまった。まだ心の準備ができていないのに、出し抜けにMAXかっこいい
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ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス(2022年製作の映画)

3.3

このシリーズの蘊蓄は全く語れないけれど、サム・ライミ監督なので観た。

前提を知らずに単体で観ても楽しめた。私が特におもしろかったのは音符の光線。真剣勝負ではあるものの自分VS自分というシチュエーショ
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オープニング・ナイト(1978年製作の映画)

5.0

Wonderful!
考えて、考えて、考え抜いた結果、彼女が出した答えに、心から納得し腹落ちする。  

でも、ここに至るまでの緊張感やトラブルが半端ないから、もしかして破滅的な結末が待っているのかも
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こわれゆく女(1974年製作の映画)

4.5

私はメイベルのことも、他の誰のことも、こわれているとも、特異だとも思わない。ただ涙が止まらない。でもこの涙は他のどの作品とも違う。悲しいとか、切ないとか、感動というよりも、共感の涙なのかな? 特定の登>>続きを読む

キングダム(2019年製作の映画)

1.5

秦の始皇帝の史実が知りたいと思ったら、期待していた主旨の映画ではなかった。原作は未読だけど、何とか楽しもうと最後まで観た。

誰かのファンというわけではないので贔屓目抜きで違和感なく見れたのは吉沢亮と
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魂のゆくえ(2017年製作の映画)

5.0

ズシンときた。自分が気づかないふりをして目を逸らしていることや、気づいているのは認めたうえで、中途半端に折り合いをつけていること、後回しにしていることなど。トラー牧師を通し、それらに向き合わされる感覚>>続きを読む

狼たちの午後(1975年製作の映画)

4.5

ドラマ"マインドハンター"で本作が流れ、すぐにアル・パチーノの"狼たちの午後"だと分かったけれど、あまり覚えていなかったので観た。

とても若い頃に観たからなのか、向こう見ずな銀行強盗の顛末みたいに思
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誓い(1981年製作の映画)

4.5

これまで観た戦争映画とは違う良さを感じた。残虐なバイオレンスシーンを覚悟していたら、そうではなく、メル・ギブソンとマーク・リーが演じる二人の短距離ランナーの青春が切り取られていた。それが一転する戦場で>>続きを読む

僕の大事なコレクション(2005年製作の映画)

4.5

観てよかった。
ロシア、ウクライナ、ナチス、ユダヤ、チェルノブイリなど。これらのキーワードが並ぶのに、こんなテイスト&アプローチの映画は初めて。

それゆえ好き嫌いはあるかもしれないし、立場によって捉
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ドント・ブリーズ(2016年製作の映画)

1.5

スティーヴン・ラングが気持ち悪かった。
(正しくは彼が演じた役ですが)

ロッキーの境遇は気の毒だけど、強盗を嫌がる友人に対し、妹を口実に同情を引いて巻き込んだり、てんとう虫のタトゥーを説明するくだり
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真昼の決闘(1952年製作の映画)

4.0

おもしろかった。西部劇は邦題が似ているものが多いので記憶が混在していて、もしかしたら観たことがあるかもしれない。そうだとしても、若い頃にはこの渋さが分からなかったと思う。本作がこれまでの西部劇とは一線>>続きを読む

シャッター アイランド(2009年製作の映画)

2.5

題材は良いし気持ちは分かるけど、シンプルに言うと、おもしろくなかった。

ディカプリオの渾身の演技は認めるが、渾身であればあるほど気恥ずかしいという。ラストの表情はとても良いのに。音楽も私は少し大袈裟
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裏窓(1954年製作の映画)

4.5

久々に観たいと思ったのは、グレース・ケリーを見たくなったから。

大好きな「刑事コロンボ」に少しだけ登場する偉大な衣裳デザイナーのイーディス・ヘッドを見て(#14:偶像のレクイエムに本人役で出演)、彼
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アイデンティティー(2003年製作の映画)

3.6

ジョン・キューザックが良かった。あれをワンシチュエーションで描いたのも、おもしろい。でもラストが不完全燃焼。せっかくここに辿り着いたのに、最後にそっちに行っちゃうの!?って、かなり勿体なかった。

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赤い闇 スターリンの冷たい大地で(2019年製作の映画)

3.9

もっと前に観たのだけど、レビューは書けずにいた。でも言語化しないと忘れそうなので投稿することにした。

いま起きていることを知るために、過去に起きたことを学びたいと思って観たのだけど、知らないことばか
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弁護人(2013年製作の映画)

3.6

韓国映画はやはりレベルが高い。ソン・ウソク個人の生き方や信条と、釜林事件の顛末や歴史的な意味が、分かりやすく関連付けて纏められていた。

それを、ひとりの弁護士の「苦学の末に司法試験に合格するところ〜
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みかんの丘(2013年製作の映画)

4.0

全くもってあらすじ欄に書いてある通りなのだが、ここに色んな真理が凝縮されていた。

みかんを作る人と、それを入れる木箱を作る人、と言う設定からして、ハッとさせられた。そんな爺様より、自分の方が生産的で
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Fukushima 50(2019年製作の映画)

1.0

映画として何を伝えたいのか、何を問題提起しているのか(そもそも何も問題提起していないのか)分からなかった。

本作の中でチェルノブイリに言及しているから、ドラマ"チェルノブイリ"と少しだけ比較すると、
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それだけが、僕の世界(2018年製作の映画)

1.5

イ・ビョンホンが、とってつけたような妙なヘアスタイルでもカッコいいという事が、よく分かった。お母さん役のユン・ヨジョンの佇まいも、ピアノの奥深さも素敵。でも、特に終盤の展開は腑に落ちなかった。

◇今
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死霊のはらわた(1981年製作の映画)

3.9

すっごく面白かった。
はじめはスコットが鼻について仕方なかったけれど、途中からアッシュの中途半端さのほうが嫌いになった。あんなに応援したくない主人公は珍しい。だからスッキリした。

シェリルが、地下室
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A.I.(2001年製作の映画)

1.0

私は、もっと倫理の核心を衝くようなドラマを期待してた。だから、これは、どのポイントを楽しむ想定なのか分からなかった。勿論デイビッドは可哀想で仕方ない。ハーレイ・ジョエル・オスメントくんは顔を見ているだ>>続きを読む

マローボーン家の掟(2017年製作の映画)

3.5

もう映画というより、とにかく気の毒で仕方ない。
そしてホラーにジャンル分けしない方がいいと思う(広義ではそうかもだけど)。所謂ホラー映画とは全く違うので、このジャンルに苦手意識がある人には観てもらえな
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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(2019年製作の映画)

5.0

タランティーノはキル・ビル以降、遠ざかり気味で、本作も観るタイミングを逃してしまっていた。今更なのも恥ずかしいので、もうこのまま一生縁が無いかもしれないとまで思ってた。思い詰めてた。でも本当に良いなら>>続きを読む

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

2.5

最初の40分間の夫婦のシークエンスは苦痛だが、その後、車で広島に移動し、演劇祭スタッフのユンス(ジン・デヨン)が登場してから、更に、みさきが動き出してから見れた。

◇ここから本編に触れます◇

北海
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パニック・ルーム(2002年製作の映画)

1.0

偶然途中から見たテレビの2時間ドラマなら許せる。デヴィッド・フィンチャー監督で、ファイトクラブの次作(三年後)だから期待したが、面白くなかった。少しだけ面白いところもあったけど、ほとんどが面白くなかっ>>続きを読む

コリーニ事件(2019年製作の映画)

4.5

良かった。真夜中に見始めたから、途中で寝てしまうかもと思ったら、一瞬も目が離せず、二回観てしまった(二回目の方が泣いた)。

ロジカルとエモーショナル、個人と社会、時代と普遍性、過ちと贖罪などのバラン
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羊たちの沈黙(1990年製作の映画)

5.0

いま観たら、どんな風に感じるかと思ったら、全く色褪せていなかった。やはり一つの完成形だと実感した。

改めてジョディ・フォスターとアンソニー・ホプキンスの初登場シーンで「これは間違いない!」と期待でき
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マリグナント 狂暴な悪夢(2021年製作の映画)

3.0

発想はおもしろいと思う。もし続編があるなら、これは一作目として楽しめるかもしれない。で、お母さんの妊娠、出産が序章か。そういう構想があるのかどうかは知らないけれど、物足りなかった。

◇ここから本編に
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工作 黒金星と呼ばれた男(2018年製作の映画)

4.7

ずっと観たいと思っていたら、Netflixで視聴できるようになったと知り早速。二回観てしまった。

"スパイ映画"で想像するような、アクションなどの派手なシーンが無いことに驚きつつ納得し、全編を貫く重
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ベテラン(2015年製作の映画)

4.0

最初から最後まで緩急のつけ方が見事でおもしろかった。冒頭10分の展開の早さで、あっという間に違う場所(世界)へ飛躍するのが気持ち良い。

複雑なストーリーではないし、脚本も特別緻密というわけではないけ
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