しおんさんの映画レビュー・感想・評価

しおん

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ロスト・チルドレン(1995年製作の映画)

3.5

『デリカテッセン』が『サイコ』なら本作は『鳥』。サスペンス、二並び、地下など一作目のモチーフを継承しつつも、スポットライトは子供に当て直される。ベースは言わずもがなフランケンシュタインで、ジュディット>>続きを読む

デリカテッセン(1991年製作の映画)

4.5

おもしろ!!!

『サイコ』をオマージュした冒頭に始まり終始サスペンスが繰り返される。ヒッチコックと異なるのはリズムとの絡み。退廃的かつ単調に重なる不安の軋みービクトルエリセのショートフィルムが思い出
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バッファロー’66(1998年製作の映画)

4.0

構図は「パラダイスの夕暮れ」に似ており、女性の立ち位置やショットの差し込みかたはゴダールらしいが、マッチョさを家族や半生に還元しているという点で両者とは徹底的に異なる。そこに「優しい」という価値づけの>>続きを読む

お嬢さん スペシャル・エクステンデッド版(2016年製作の映画)

4.5

良すぎて評価保留中→4.5

美とユーモア。マゾ。それでいて性描写が美しくかつえげつない。多くのマゾヒズム芸術は性描写を拒み幻想化するが、本作はむしろ二重に雄弁。セックスシーンを撮る監督が春画を朗読さ
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ソク・ソク(2019年製作の映画)

4.5

不在と贈与。沈黙の痕跡を連続して映し出すラストシーンがあまりにも美しい。☆4.0なのは英語字幕で見たせいで所々キャッチアップが追いつかなかったから(これ以上評価のしようがない)。

*冷静に美しすぎた
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彼らが本気で編むときは、(2017年製作の映画)

4.5

静寂と色の使い方が良い。孤独と愛とが赤色に重ね合わさって自傷の重心となる一方で、桃色と青色は格子状に編みこまれてモノとして吐き出される。ペニスはやがて燃やし尽くされ、おっぱいはトモに静かに届けられる。>>続きを読む

バーニング 劇場版(2018年製作の映画)

4.5

おもしろーい! 春樹原作な割にえらく家族的だなと思ったらイチャンドンのアダプタシオンなのね 音楽すき


こういう見方してる人が意外にもあまり見当たらなかったので書いておくと、僕はこの映画を暖かさ/熱
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ベルリン・天使の詩(1987年製作の映画)

4.0

Wi-Fiのせいでぶつぶつきれて全然集中できなかった それでも後半感動できたし相当いい映画なんだろうな

オールド・ジョイ(2006年製作の映画)

5.0

ライカート三作目。ウェンディ&ルーシーもリバーオブグラスも好みではなかったが本作はとても素晴らしかった。悲しすぎる。評価保留

▶︎いくら思い返しても場面の記憶が透き通っていて、こんな鑑賞体験を与えて
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ルージュ(1987年製作の映画)

3.0

ヒロインを美しく撮れていればその映画は成功、という言説には頷けるところもある。それでもこの作品が琴線に触れなかったのはなぜか。ヒロイン自身は色気があり美しいものの、その演出がくどくて色気に欠けていたか>>続きを読む

マッチ工場の少女(1990年製作の映画)

4.5

「労働者三部作」三作目。ジャンヌ・ディエルマンも見習えよと思いながら見てたが結局社会的には変わらないか。
淡い青色の中に紛れ込む暖色。飲み残されたオレンジジュースは二回目には量が増え、その後オレンジそ
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満月の夜(1984年製作の映画)

4.5

「喜劇と格言劇」六部作ラスト。とってもいいね! ロメール大好き。
パスカル・オジェの月みたいに冷ややかな眼と彼女に纏わせられた濃紺、そして作品全体の静けさが総じて満月の夜を思わせ、終盤の展開を加速させ
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友だちの恋人(1987年製作の映画)

4.0

え、なんか変。カットと情報量がやたらと多い。ロメール風が異端とされている島の検閲に通るように撮影されたかのような仕上がり。筋もまさしく凡庸banalで他作より面白くない。とはいえロメール厨の僕としては>>続きを読む

リバー・オブ・グラス(1994年製作の映画)

3.5

ウェンディ&ルーシーに続いてライカート二作目。こっちのほうが好き。恋愛、性愛、生死とかそういう気分じゃなかったからあえて選んだけどちょうど良かった。
ジャズ好きだから音楽だけで無条件に盛り上がっちゃう
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野性の葦(1994年製作の映画)

4.5

これがこんなに観られていなくてかつ評価もそこまでなの信じられないな。精神状態が悪いせいで過剰に繊細に感じ取ったのかもしれないが、各々の傷の痛ましさが切実に感じられたし、あまりに痛切すぎてこの映画のこと>>続きを読む

レネットとミラベル/四つの冒険(1986年製作の映画)

5.0

色使いの美しさは当然として聴覚にも重きが置かれている。無音はビクトルエリセの神秘的な静寂にもなれば、カウリスマキや「はなればなれに」のユーモラスな沈黙としての顔も見せる。静寂と喧騒を行き来する中で問題>>続きを読む

真夜中の虹(1988年製作の映画)

3.5

終盤の家から一人で出る子供の背中が主人公の後ろ姿に重なって見える

世界(2004年製作の映画)

3.5

執拗なまでの赤と緑。けばけばしい衣装は都市の人工林と重ね合わせられているのだろう。
長回しで撮られた「歩く」様は小さな世界を股にかけた「旅」のようにも見える。歩くとき道はいつも無機質な白色で、念願のそ
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小さな兵隊(1960年製作の映画)

4.0

宇井と。ジュネーブに住んでいるうちに見たかったジュネーブが舞台の作品。フランスとアルジェリアとの、力と知性との間で、男はどっちつかずの臆病さから脱せない。
場面を横断するもの悲しいピアノ、そしてアンナ
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東京ゴッドファーザーズ(2003年製作の映画)

3.5

今作品四作目。捨てられた者たちが母=家を求めていくうちに、代わりの母と新しい家族とを見つけていく。
一番普通で、普通に一番良かった。平沢進との幻想的な演出、やりたいことも良さもわかるけど、本筋との絡め
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千年女優(2001年製作の映画)

3.5

パーフェクトブルー、パプリカに続き今作品三作目。他二作と比べてまとまりは良いが、裏を返せば簡素すぎて味気ない。主題が手法と一致しているパプリカのほうが良い

仕立て屋の恋(1989年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

不器用なマゾと翻弄される素質のない女。髪結いの亭主のほうが遥かに洗練されている。死に値するほどのattendreか? とすら思ったが、一糸乱れぬ直立不動でのキスにはさすがに息を呑んだ。

パプリカ(2006年製作の映画)

4.0

アソシエーションの上映会にて。
アニメならではの演出に惹かれた。パーフェクトブルーと比べると林原めぐみの凄さも際立つ。
女性が一人しか出てこないのでパプリカにものすごい重さがかかっている。それが本作の
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パーフェクトブルー(1998年製作の映画)

4.0

アソシエーションの上映会にて
ラストいいね 他者への干渉って幻想の本質、というか本領よね

*今敏本人の解説を見て評価を4にあげました よくわかってなかった

飛行士の妻(1980年製作の映画)

4.0

久しぶりのロメール、女性が魅力的すぎてにやけが止まらない。今この歳のうちに見なくては!
ラストのキオスクの店員が「パラダイスの夕暮れ」のカティ・オウティネンにあまりに似ていたが調べたところ別人っぽい。
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(1963年製作の映画)

4.0

サイコの方が好きだがサイコよりも洗練されているように感じる。鳥をもって宙吊ることで音楽と画面とが重ね合わさっている。
一番怖かったのは鳥よりむしろたくさんの主婦に同時に睨まれるシーンだった。母の嫉妬と
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パラダイスの夕暮れ(1986年製作の映画)

4.0

音楽良い…
『ウェンディ&ルーシー』とかよりこっちのほうが全然すき

日曜日が待ち遠しい!(1982年製作の映画)

4.0

ラストで持ってかれた! やっぱトリュフォー好きだ。これでザ・シネマに上がっていた五作は全て視聴したことになる。
途中さすがにヒッチコックすぎない? と思ったが、振り返ってみれば十分トリュフォーテイスト
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街をぶっ飛ばせ(1968年製作の映画)

3.5

監督本人なんかい!!!

ザ・シネマをスイスからでも見れるようにしたので試しに短編を視聴。アケルマンは別に好きではないし本作にも思うところなし。でも嫌いでもないのよな。ジャンヌ・ディエルマン…み。存在
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サイコ(1960年製作の映画)

4.5

生活環境が整ってきたのでようやく自力で視聴。初ヒッチコック。久しぶりに良い映画観た!
画の重心とまなざしが画面の真ん中で重ね合わさってるな…と思い始めた矢先でどデカい目がアップで出てきて、寮を貫くくら
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活きる(1994年製作の映画)

3.0

スイスの東アジアアソシエーション上映会にて。英語字幕を理解しきれなかったのも否めないが、可もなく不可もなくといった印象。画面は見やすかったがアフロ田中のほうがto liveしてる。

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