アウシュビッツ強制収容所と壁1枚隔てて暮らす幸せな家族。ユダヤ人からの搾取で成り立つ幸せ、その歪さはおぞましいものがあるが、果たして本当に否定できるのか。この家族は、貧しい国からの搾取によって成り立つ>>続きを読む
美しい映画だと感じた。プロットはシンプルだし、テーマは自然と人間の対立、と古典的。だがこの視点だけで抽象化して語るべきではない。完璧に配置された、映像と台詞と音楽によって描いていることを味わってこそ。>>続きを読む
世界を滅ぼす兵器を作った男の罪を問う映画。アカデミー賞作品賞を取った意味を考えると、アメリカ自身の罪を問う点がアメリカ人にとって批評性を帯びているということなんだろう。
役者陣の魅力が、本作の魅力の大>>続きを読む
中2のあるクラスの、何でもない日常を撮ったドキュメンタリー。なのに、大人になった僕たちから見ると全てが特別な日々。エンドロールで河原沿いの桜並木を歩く生徒たち、上空からの超ロングショット。BGMはクリ>>続きを読む
エマ・ストーン演じるベラは、目に映る世界や人、自分自身への好奇心で突き進んでいき、目まぐるしく舞台が変わっていく。
ベラが初めて目にする世界への衝撃を、美しすぎる舞台美術で表現していて素晴らしい。物語>>続きを読む
食卓で向かい合って会話するショット、それをカットを割らずに長回しで撮り切る。違和感のある奇妙な会話。これがホン・サンスの作家性なのかもしれない。リアリズムと虚構の境界を描く感じが絶妙。
鮮やかなテキサスの街並み、ブランドヘアとピンクニットの美しい元妻。画面から放たれる美に圧倒される。マジックミラー越しで男と元妻が会話をし、損なわれた愛を回復していくシーンの美しさには思わず息を呑んだ。>>続きを読む
映画や演劇やアート界隈での権力者への性加害告発、それによるキャンセルカルチャーを描いた同時代性の強い作品。主人公を男にした方が権力のグロテスクさはもっと伝わったと思うが、男なら観るに耐えなかっただろう>>続きを読む
淡々とした役者の演技、普通だと省略されるような間を描いたシーン。ああ、カウリスマキってこんな感じだったなあと思った。場末のカラオケバー、薄暗い通り、工事現場。フィンランドなのに、全然行きたくならない。>>続きを読む
日常を大切にしたくなる映画。仕事と日常、そこに挟まるドラマ、どれも愛おしい。自分はこの映画の役所広司のように孤独に生きるのは無理だから理想とは言えないけど、変わらない日常と少しのドラマがあれば人生って>>続きを読む
岩井俊二は20年前と変わらず岩井俊二だった。現代のお伽話をこれほど丁寧に描けるのはやはりすごい。
少年少女を主人公にした現代のお伽話は既に彼だけの特権ではなくなっているとはいえ。
この作品について言>>続きを読む
実際の事件については何も言えないしどうすれば良かったのかということも言及することはできない。
自分の子供が障害者と診断されたらどうするのか、それに対してもあの夫婦のような決断を下せるだろうか疑問だ。>>続きを読む
本当に1901年に制作されたストップモーションアニメが発掘されたのかと思いきや、まさかのそういう設定。
人体錬成を行う少女の話、と思いきや実ははじめから逆再生だとしたら…というコメントを見てゾッとした>>続きを読む
狂気のストップモーションアニメ。キャラクターの形態が次々と変化していく様子はAIによる自動生成映像のような気持ち悪さを感じさせ、常に不気味。
本当に全部ストップモーションだとしたら信じられない労力だと>>続きを読む
恋愛リアリティショー的な舞台設定にSF設定を加えて、登場人物を全員イカれた人間にした奇妙なファンタジー。
【再見】
「男はなぜ殺すのか?」
殺人鬼が逃亡しながら各地で人を殺していくある種のロードムービー。
なぜ殺すのか?金のため?違う。
「お前は憎いやつを殺せない」と老婆は言う。キリスト教徒の父に何か関係>>続きを読む
井浦新演じる元教師。彼が抱える絶望感が堪らない。暴力の前では知性や理性など無力であるということ。その暴力が素朴な正義感に基づいているということもきつい。