蘭豆さんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

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勝手にふるえてろ(2017年製作の映画)

4.0

理想と現実の狭間でもがき苦しむ松岡茉優演じる江藤ヨシカ。その青臭さと独特の思考回路に笑って涙する『勝手にふるえてろ』。

中盤からの怒涛の魂の叫び、平凡な日常を自己都合に演出する脳内ミュージカルが何と
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ひまわり(1970年製作の映画)

3.5

ヘンリー・マンシーニの名曲とひまわり畑の映像に心揺さぶられる『ひまわり』

愛おしい想いが、
かかえきれない哀しみに
姿を変えて押し寄せる。

1970年ヴィットリオ・デ・シーカ監督作品。戦争に奪われ
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はじまりの街(2016年製作の映画)

4.0

美しい秋のトリノを舞台に描かれる人間ドラマ。
DVから逃れて故郷を後にするアンナと息子のヴァレリオ。娼婦との間に生まれる切ない想い。親友カルラの孤独。
小さな出来事に翻弄される心の機微を丁寧に描く作風
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ラストレシピ 麒麟の舌の記憶(2017年製作の映画)

4.0

絶対味覚「麒麟の舌」をもつ2人の料理人、佐々木充と山形直太朗をめぐる物語。
推理小説の謎解きのようなストーリー展開。ひとつ謎が解けるたびに泣かされました。

妥協を許さないストイックな料理への姿勢。
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ミックス。(2017年製作の映画)

3.5

「人生に奇跡は起こらない。ふさわしい人にふさわしい結果が訪れるだけ。」

泣いて笑える卓球映画『ミックス』。ストーリーは定番ながら豪華キャストとキャラクターの魅力で楽しめます。

激辛麻婆豆腐店の中国
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笑う故郷(2016年製作の映画)

4.0

ヴェネチア映画祭主演男優賞作品『笑う故郷』。これは思いがけず面白かったです!

オスカル・マルティネス演じる権威や風習に迎合しない小説家ダニエル。
ノーベル賞受賞式の会場を凍りつかせる無礼なスピーチ。
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ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ(2016年製作の映画)

4.0

マクドナルドを世界最大のファーストフードチェーンへと導いたレイ・クロックの実話。

郊外のドライブインを究極の合理化で人気店に押し上げるマクドナルド兄弟の情熱。
フランチャイズ展開で急成長へ導くマイケ
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人生フルーツ(2016年製作の映画)

3.0

90歳と87歳──。
夫婦2人だけの静かなくらし。
50年かけて育てた雑木林。
風のとおり道。

2016年韓国映画の名作『あなた、その川を渡らないで』を彷彿させる、お手本のような熟年夫婦の暮らし。共
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君の膵臓をたべたい(2017年製作の映画)

4.0

明るく日々生きることの尊さを教えてくれる『君の膵臓をたべたい』。

「真実か挑戦」ゲームによって急速に近づく2人の距離。浜辺美波が主役を射止めた理由とされる「水滴が落ちるように」心に染みる美声、そして
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心が叫びたがってるんだ。(2015年製作の映画)

3.0

『あの花』で一世風靡した長井龍雪監督作品『心が叫びたがってるんだ。』。

幼少時の辛い記憶から場面緘黙症になり、人前で話すことができない成瀬順。あるイベントを通じて歌う事で心の交流が出来ることを知る成
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タレンタイム〜優しい歌(2009年製作の映画)

2.5

人が持つ心の清らかさをそのまま描いた青春映画『タレンタイム』。異文化、多言語、障がい…。幸せと隣り合わせにある人生の苦悩。

物語の後半、ギターと二胡が奏でる美しい旋律に酔いしれる。本来あり得ない共演
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家族はつらいよ2(2017年製作の映画)

4.5

今年一番笑った映画。
「熟年離婚」がテーマだった1作目に続いて今作は「高齢者ドライバー」「下流老人」がテーマ。現代日本の社会問題を軸に展開する狙いすました笑いは、完全にツボで中盤以降は笑いっぱなしでし
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ピアノ・レッスン(1993年製作の映画)

3.5

ホリー・ハンター演じるエイダが作り出す無表情で張りつめた空気が支配する名作『ピアノ・レッスン』

6歳で喋ることをやめ、心を閉ざして生きるエイダ。ただ1人手話を通じてエイダとコミュニケーションを交わす
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ティファニーで朝食を(1961年製作の映画)

4.0

「ネコと同じでわたしは誰のものでもないわ」

キュートでスタイリッシュなオードリー・ヘプバーン! 華麗なジバンシィの黒いドレス! 60年代前半のニューヨーク五番街のシックな街並み。そしてヘンリー・マン
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美女と野獣(2017年製作の映画)

3.0

うーん、普通でした。
音楽も映像もよかったし、全てが丸くおさまるハッピーエンドも心地いい。だけど何か光るものがないというか、面白みに欠ける作品。

ベルを演じるエマ・ワトソンにも期待ほどの魅力は感じら
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ちょっと今から仕事やめてくる(2017年製作の映画)

3.0

「会社を辞めることよりも簡単なことって何なん…? 自殺することか?」

ブラック企業でパワハラのスケープゴートにされて心身共に疲弊する青山(工藤阿須加)。そんな青山を救い、人生の本当に気付かせる元同級
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メッセージ(2016年製作の映画)

3.5

これはすごい脚本! 宇宙人との表義文字による対話から浮かび上がる大きなテーマに思わず引き込まれた。

時間とは何か?
人生とは何か?
アカデミー賞受賞の音響編集も緊張感を巧みに作り出していて見事です!
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3月のライオン 後編(2017年製作の映画)

4.0

将棋を通じて人生の厳しさと美しさを描き切る『3月のライオン 後編』。決して諦めないことのメッセージが鮮明に伝わる秀作でした。

川本家3姉妹との心の葛藤を中心に描く青春群像劇の後編は、神木隆之介演じる
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3月のライオン 前編(2017年製作の映画)

4.0

将棋を通じて人生の孤独と挫折を描く大友啓史監督作品『3月のライオン前編』。人物造形、感情描写が深くてかなり楽しめました。

神木隆之介演じる桐山零が精神的に追い詰められて感情を吐露する場面──。「オレ
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LION ライオン 25年目のただいま(2015年製作の映画)

4.0

雷に打たれるような感動!

5歳で迷子になってしまうサルー。
貧困の国インドをひとり生き抜く過酷な日々。養母との出会いとオーストラリアでの幸福な日々。友人たちとの会話から浮かび上がる自分のルーツへの抑
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パッセンジャー(2016年製作の映画)

4.0

字幕版の3Dで鑑賞。評価が今ひとつで迷ったけど観て正解でした!

果てしなく広がる宇宙空間。
目的地までの90年。
極限状態での選択──。

人間の本質を問う大好きなシチュエーション! ハイテク機器に
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モアナと伝説の海(2016年製作の映画)

4.0

ディズニー歌と冒険のファンタジー。海風になびくモアナのカーリーな長い髪、知的生命体を思わせる海の表現などCG映像が本当にすごい!

5年におよぶ現地取材で研究したという2000年前のポリネシアの文化と
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わたしは、ダニエル・ブレイク(2016年製作の映画)

4.5

「前に私たちを助けてくれたでしょう? お願い、今度は私たちに助けさせて!」抱擁シーンに涙がこぼれた。…社会的弱者を救えるのは冷淡な国家ではない。親身な隣人なのだ。

心臓病を患うダニエル。医者から仕事
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SING/シング(2016年製作の映画)

4.5

吹替え版を鑑賞。好みの分かれる作品のようですが、この映画凄くよかったです!

劇場復興のための歌唱コンテスト。宣伝チラシの誤りから始まるスピード感溢れる展開が痛快! ビートルズからきゃりーぱみゅぱみゅ
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ロッキー・ザ・ファイナル(2006年製作の映画)

3.0

ロッキーシリーズ最終章。
伝説のチャンプとして引退後も愛されるロッキーが向き合う「老い」。父の名声と「他人の目」に押し潰されるロバート。亡き妻エイドリアンとの墓前の会話に浮かび上がる「喪失感」。

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言の葉の庭(2013年製作の映画)

3.5

ストーリーや人物造形は凡庸ながら、絵が上手いというだけで画面に釘付けになる不思議な作品。

新宿御苑東屋のベンチ。
靴のデッサンをする15歳のタカオ、
缶ビールを飲む27歳のユキノ。
雨の日の出会いを
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愛と哀しみの果て(1985年製作の映画)

3.5

モーツァルトのクラリネット協奏曲をBGMに始まる大人の恋愛物語。天上の美しさをもつこの第2楽章はオープニングを含めて4度登場する♪

メリル・ストリープ演じるカレンとロバート・レッドフォード演じるデニ
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めまい(1958年製作の映画)

2.5

う〜ん、この名作はちょっとガッカリ。

サスペンスとラブロマンスの入り混じったヒッチコック監督1958年の作品。
キム・ノヴァク演じるマデリンの美貌と神秘性に焦点をあてた前半は物語がゆっくり優雅に展開
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ラ・ラ・ランド(2016年製作の映画)

4.5

リズミカルでドラマチックな会話とストーリー展開。カラフルな映像美と哀愁を帯びたジャズナンバー!

エマ・ストーン演じるミアとライアン・ゴズリング演じるセブ。全てのシーンが彼ら2人のためにあるようなシン
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サバイバルファミリー(2017年製作の映画)

3.5

順境で何不自由ない生活がいかに人の成長を妨げるかを教えてくれる良作。

ある朝突然訪れる電気のない世界。
名車マセラティと米の交換を懇願する客を「そんな役に立たないもの要らないよ!」と追い払う渡辺えり
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僕と世界の方程式(2014年製作の映画)

3.5

「ママは頭悪いから話してもムダだよ」
唯一の理解者だった父親を目の前で亡くし、心の傷に苦しむ自閉症のネイサン。息子の心に手が届かず孤独に苦しむ母親ジュリー。障害に向き合えずクスリに逃避する数学教師ハン
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奇跡の人(1962年製作の映画)

4.5

世界はこんなにも素晴らしい!
人生は喜びに満ちている──。

「モノには名前がある」それを知ったヘレン役パティ・デューク歓喜の演技は圧巻‼︎ 人生はシンプルで幸せは既にそこにあると教えてくれる。
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沈黙ーサイレンスー(2015年製作の映画)

3.5

信仰心と人間の弱さを描くマーティン・スコセッシ監督作品『沈黙』。

執拗に繰り返される人間心理を巧みについた拷問と踏み絵…。信仰心が強いほどに苛烈を極めるそれは理不尽で観ていて辛い。窪塚洋介演じるキチ
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ザ・ビートルズ EIGHT DAYS A WEEK‐The Touring Years(2016年製作の映画)

3.5

ビートルズ熱狂の時代を描く2016年ロン・ハワード監督作品。

『She Loves You』『Can't Buy Me Love』『Help !』…ビートルズ最盛期を彩る数々のスーパーヒットナンバー
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幸せなひとりぼっち(2015年製作の映画)

4.0

スウェーデンで5人に1人が観たという『幸せなひとりぼっち』。愛妻に先立たれ、リストラされ人生に絶望した老人が自殺未遂の末に辿り着いた居場所とは…。

「今日1日を精一杯生きること、最後まで諦めないこと
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晩春(1949年製作の映画)

4.5

原節子の魅力全開の『晩春』! 6作ある原節子出演の小津映画の中で一番好きな作品。

あまりに有名な能のシーン、壺のシーン。それぞれ心の機微を捉えた演出は、どこまでも繊細で芸術的だ。杉村春子演じる叔母の
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