ジュリアンさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

ジュリアン

ジュリアン

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スカーフェイス(1983年製作の映画)

5.0

蓮實重彦が酷評し、町山は絶賛した映画という前評判から勇足で視聴した。ショート動画に毒された世代だからなのか分からないが、ちょっと弛緩した画に思えてしまったのは残念。もしかしたら、ギャング映画が苦手なの>>続きを読む

市民ケーン(1941年製作の映画)

5.0

Z世代年長組にも多くの既視感を与えるという事実が、『市民ケーン』の影響力を雄弁に物語っていた。画が古臭くないし、時間軸を前後させた回想ってよくあるよねと納得感のあるもの。1941年公開とは…。パール・>>続きを読む

メメント(2000年製作の映画)

5.0

復讐を完遂しても気が晴れないので都合の良い記録になってしまったメモと周囲の信用できない人たちによって、無限に信用できない語り手描写が続く。

羅生門(1950年製作の映画)

5.0

サントリー学術賞を取った「姫とホモソーシャル」で黒澤明について論じられていたことが、自分に羅生門を視聴する決心を固めさせてくれた。

チャイナタウン(1974年製作の映画)

5.0

えらくムーディーな映画だった。
内容にはそこまで琴線に触れなかったので雰囲気を楽しむのに集中したが、終盤の怒涛の回収には驚いた。

虚偽の浮気調査は、ダム建設の利権をめぐる殺人事件にたどり着き、そして
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レディ・バード(2017年製作の映画)

5.0

アメリカに住んでいた頃、どこの区に住んでるかで育ちの良さが測られてしまうのでホームパーティで不用意な発言はしないと言っていた母の言葉を思い出した。

あいにく彼女ほど地元から抜け出したいという感情を持
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ジャッキー・ブラウン(1997年製作の映画)

5.0

パムグリアがいい女の映画。
トランクのシーンは、グッドフェローズを思い出す。
不死性との戯れ

キル・ビル Vol.2(2004年製作の映画)

5.0

後編を見たことで本作がピュグマリオンからの解放の話でもあり、男が自身に破滅をもたらす女性を生み出してしまう話でもあったのかと気づく。とくに、後者の方は『イングロリアス・バスターズ』や『デス・プルーフ』>>続きを読む

キル・ビル Vol.1(2003年製作の映画)

5.0

幼少期に見たせいか、『オースティンパワーズ 』と『チャーリーエンジェルズ』、『キルビル』が今の今までごっちゃになっていたことに気づく。おかしいな、親が『キルビル』のDVDを買っていたはずなのにどうやら>>続きを読む

ロブスター(2015年製作の映画)

5.0

生殖や番が義務化され、そこから逸脱すれば動物に姿を変えられる管理社会。そこでは、自慰は禁止行為であり、パートナーを探すあらゆる行為や社会性が学校化空間で規律化されている。しかも、登場人物たちは独身者を>>続きを読む

The Strange Thing About the Johnsons(原題)(2011年製作の映画)

5.0

アリ・アスターの初監督作。
家庭内の性加害・虐待(そして、その黙認)というテーマを同性間且つ息子から父を襲うという転倒の仕方で描いている。

フォモフォビアにも近接するだろうが、男性鑑賞者への異化作用
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女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)

5.0

穿った先入観を持って見たことで純粋に楽しめなかったかもれしない。
ホモソーシャルとホモセクシャルとの連続性が切断された時代において、男性間の欲望を満たすために女性は象徴交換される図式があるが、その性別
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ヘレディタリー/継承(2018年製作の映画)

5.0

普段、ホラー映画を見ないので終盤は終始おろおろテレビの前に手をかざしたり、独り言喋っちゃってた。怖さを軽減するために父はオイル漏れで死に、その他は精神疾患の多い家系ゆえのホラー演出だと納得させようとし>>続きを読む

燃えよドラゴン ディレクターズ・カット版(1973年製作の映画)

5.0

ブルースリーに影響を受けた作品をもはやクラシックなものとして接種してるZ世代にとって、果たして面白いのか不安になったが変わらず良かった。

格闘トーナメント、回想の入り方、濃いキャラづけと、ジャンプ漫
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サイコ(1960年製作の映画)

5.0

1960年代のスラッシャー映画に刺激のなさを多少感じつつも、それでもヘイズコードの時代にあって前衛的な描写が幾つかあることは十二分に伝わる。

前編と後編とで追う側から追われる側へと立場を転換する構成
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イングロリアス・バスターズ(2009年製作の映画)

5.0

ヘイトフル・エイト8を先日見た。一つの密室劇として純粋に楽しんで見たが、後にかの作品は白人至上主義と題してアメリカの実情を酒場の殺人劇に仮託しているとした確かな根拠のある批評を読んだ。
その直後に、ユ
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バニシング・ポイント(1971年製作の映画)

5.0

デスプルーフ、テルマ&ルイーズなどアメリカを舞台にしたカーチェイス作品を今まで見てきて、ついに満を辞して本作を見た。

面白い。
先日、トムクルーズ映画を見て楽しめなかったので、スクリーンが良ければそ
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デスプルーフ in グラインドハウス(2007年製作の映画)

5.0

物語の進行に寄与しないガールズトークが続けば続くほど、悲劇に到るカーチェイスの前振りとして緊張感を絶えず与えてきて面白かった。

終盤、ホラー映画における「見られる性」として深く印象を刻み込みんできた
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十二人の怒れる男(1957年製作の映画)

5.0

ヘイトスピーチに背を向ける集団、構図としてカッコ良すぎる。場所や名前を捨象しても気にならない面白さ。

トップガン マーヴェリック(2022年製作の映画)

3.3

トムクルーズ映画がなぜ苦手なのか?
スクリーンに、運動に興味がないからではないかという現実に直面して狼狽えた。とはいえ、トムクルーズというスーパーマンが高齢者に夢を与える映画に良さや微笑ましさを感じる
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DUNE/デューン 砂の惑星(2020年製作の映画)

3.0

オールタイムベストでよく名前を聞くSF作品とは思えないほど、没入できなかった。

月は無慈悲な夜の女王が僕は好きなんだけど、映像化するとこうなってしまうのか。長さに耐えられない。スターウォーズは偉大だ
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万引き家族(2018年製作の映画)

5.0

ネオリアズモや自転車泥棒ぽい?
子供や会話劇がそう思わせたのかも。
ただ血縁共同体を解体するのではなく、家族も疑似家族も手放しに神聖化させないという描写に胸を打った。

ヘイトフル・エイト(2015年製作の映画)

5.0

アメリカの縮図とするコンテクストを理解できなかったのでその意味の過剰さやマッシュアップ性は面白くはないが、それはそれとして死にかけが死にかけを追い詰める室内劇のラストは最高だった。

ボーはおそれている(2023年製作の映画)

5.0

悪い意味でA24が配給していそうな映画を久々に映画館で見れて良かったが、他方でミッドサマーが面白かっただけに内容の長さは残念だった。

特性や精神疾患、ちんこモンスターを体現したオディプス・コンプレッ
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グランド・ブダペスト・ホテル(2014年製作の映画)

5.0

室内劇でもないし差異の方が多いのにも関わらず、正面から捉えたり、固定カメラ、そして擬似家族の温かみに小津安二郎ぽさを感じてしまう。

異化してるように感じる画面に対する経験がなさすぎるのかも。

パルプ・フィクション(1994年製作の映画)

5.0

キッチュで有害な半グレども、時系列の切り貼りにこれがそうなのかと教科書的なリアクションをしてしまうくらいには語られすぎてしまっている。何もしらずに見たかった。

82年生まれ、キム・ジヨン(2019年製作の映画)

5.0

棚上げしながら見た。
妹が発する「兄ばっかりずるい」は、彼女が最終的に医学部に進んでくれたから救われた気持ちになったし、会社同期の女の子が同期の飲み会で昇給額に差があることを受けて、「360fbのグル
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花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)

5.0

面白かった。

過去に親しくした人たちがライフステージの変化によって同質性を担保できなくなる事に自分は恐れと喪失感を抱いているんだなと気づいた。

並びに、何者でもない人間が文化的にゆとりを持つには資
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

5.0

哀れなるものたち、良い。
フランケンシュタインのシュリーで、未来派の影響もありそうなソーラー?スチーム?パンクSFで、家父長的な枠組み等あまりに紋切り型な読解をしてしまいたくなるほどコンテクストが出来
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ミッドサマー(2019年製作の映画)

5.0

ミッドサマーって脳天気な文化人類学者がある村に行ったらみたいな入りだと思ったら、めちゃくちゃウェットでこんなホラー映画もあるんやと驚いた。
スピリチュアル批判、相対主義批判(相関的に見よう?参与観察の
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