kamokanoさんの映画レビュー・感想・評価

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バートン・フィンク(1991年製作の映画)

3.8

一つのきっかけからどんどん悪いほうへ転がり落ちていくコーエン三部作(勝手にブラッド・シンプル、ファーゴとこちら)。なかでもバートン・フィンクは残念を通り越して可哀想なほどあまりに人生うまくいかない不条>>続きを読む

海がきこえる(1993年製作の映画)

3.7

「ぼくはこの学校を卒業してから十年後二十年後にこのことを思い出して、やっぱり先生たちのやり方は不当だったと思うと思います」

「すごいなあ……松野は十年後二十年後のことを考えてるのか」

杜崎くんと松
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パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

4.4

冒頭シーンから、ノラ(ナヨン)ことグレタ・リーに恋に落ちてしまった。作品において重要になる移民、性差別問題を孕んだこのシーンはセリーヌ・ソン監督の実体験だという。
事実に根ざした、祖国というルーツ(と
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ファーゴ(1996年製作の映画)

3.8

ブラッド・シンプル/ザ・スリラーの後に、久々見たらますます面白かったファーゴ。軽率に思いついたひとつの悪事を引き金に、取り返しのつかないところまで事態が悪化するというどうしようもない展開。人の愚かさを>>続きを読む

イノセンツ(2021年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

オマージュされた下敷きの作品を知っていたり、サイキックスリラーというジャンルものとして観られれば面白いのかな。バトルシーンでシャマランのアンブレイカブルやミスター・ガラスを思い出したりもして、楽しかっ>>続きを読む

死の棘(1990年製作の映画)

3.6

松坂慶子と岸辺一徳の狂気合戦。ミホの「帰ってきーちゃった」って台詞にも震えたけど、常に死んだ魚の目をしながら敬語、棒読み台詞の岸辺一徳のじめじめした存在がずっと気味悪い。出てくる食べものがこんなにも無>>続きを読む

夜明けのすべて(2024年製作の映画)

3.8

心に余裕がなかったりで何も観たり読んだりする気が起きないなかでも読めてしまえた小説『夜明けのすべて』と同じく、映画もどんなメンタルにも寄り添ってくれるのではないかと思える、おおらかで、悪役不在の、治癒>>続きを読む

ドリー・ベルを覚えているかい?(1981年製作の映画)

3.2

父親が入院するまでの道中と、入院後の院内でのシーンだけグッときたけど、あとの前後は驚くほど気持ちが入らなかった。「アンダーグラウンド」同様の通底する歴史に翻弄された人々の悲哀のうえでのブラックユーモア>>続きを読む

エル・スール(1982年製作の映画)

4.2

一人一人に固有の人生があり、過去と未来があり、喜びと悲しみ、出会いと別れがある。父や母だとしても、真意なんて分かるわけはないのよね。全てを分かろうとする必要はない、必ずしも分かり合えなくても良い、そう>>続きを読む

籠の中の乙女(2009年製作の映画)

3.9

何度見ても面白い。でもやはりこれって原題「DOGTOOTH」あってこそ成り立つ物語だよね。「哀れなるものたち」も素晴らしく、面白かったけれど、ランティモス作品の醍醐味であるこの通底する強烈な悪趣味さを>>続きを読む

ストップ・メイキング・センス 4Kレストア(1984年製作の映画)

5.0

手放しで楽しめる作品ってそうそうないけれどそう言い切れる。そんな劇場鑑賞を超え試写は自分にとってはO-EAST史上最高のライブでもあった。映像がライブになり得るなんて。

彼方のうた(2023年製作の映画)

3.5

台詞の少なさ、ショットの長さが眠気を誘発し居眠り不可避の杉田監督作品。でも断片的にシーンの所々が脳裏に焼きついていて、あれってどういうシーンだったっけ、と後々考えさせられる。だけどその前後を思い出そう>>続きを読む

ショーイング・アップ(2023年製作の映画)

4.1

ケリー・ライカートの幾つか観た作品はどれも好きだけど日常生活のなかでふと思い出すのは「ショーイング・アップ」。観て以来ずっとうまく言葉にできなかったけど、(不機嫌な)ミシェル・ウィリアムズを見ながら、>>続きを読む

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