仮想空間さんの映画レビュー・感想・評価

仮想空間

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水の中のつぼみ(2007年製作の映画)

4.8

デビュー作らしからぬ貫禄。
包丁で何度も心臓をグサグサしてくるかのような痛み。ハラハラしてヒリヒリしての繰り返し。やり過ぎ。

絞死刑(1968年製作の映画)

3.6

コント「絞死刑」すぎる
執行官のひとりが足立正生なんだけど演技上手い

福田村事件(2023年製作の映画)

3.4

荒井晴彦に対してモラルを要求すること自体無理ゲーの極みなのだが、始終リベラル万才のトーンで語りが進んでいたのでどうも腑に落ちない。
全体的に教条主義を抑え込めていない。
井浦新の人生リセットしました感
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(2023年製作の映画)

3.1

釈然としない。
命の選別や排除を語る上で「プロ=チョイス」と「プロ=ライフ」の対立の歴史をすっ飛ばして排除の論理の不条理を延々と語っていたのでうーん?という感じに。
人間の露悪さばかりに気を取られてケ
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月の砂漠(2001年製作の映画)

-

映画監督・青山真治という地図をたどると延々と同じ道を走っている気持ちになるけども、結果的に全然違う場所にたどりついているなと改めて思う。
元夫が目の前で銃口を向けられている時に意表を突いてしまうとよだ
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その男、凶暴につき(1989年製作の映画)

4.2

1989年でこの空気感だったのか……バブル崩壊と阪神・淡路大震災、オウム真理教事件などのシンボルを経た屈折と混沌の世相が背後にあるかと思っていたら違った(黒沢清がまさにそうだったが)
終盤の岸部一徳射
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宝くじの不時着 1等当選くじが飛んでいきました(2022年製作の映画)

3.8

南北問題をライトに取り上げるこの手の作品群において一番コメディにしてはいけない(であろう)部分がめちゃくちゃスラップスティックに描かれていてバランス感覚が狂っていた。

All the Songs We Never Sang(2023年製作の映画)

3.2

監督は日本在住の外国人の方とのこと。だからかもしれないが(という言い方も変だが)「外国人の視点による日本映画」感が強かった。『ムーンライト・シャドウ』と似た感触がする。
話は散らかっているが『あまちゃ
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枯れ葉(2023年製作の映画)

3.9

『希望のかなた』以来のカウリスマキ。ベッタリしたショットで癖が強い。反復とズレを意識的に取り入れた構成でしびれる。

審判(1975年製作の映画)

-

まさか国立映画アーカイブでも釘トントンがあるとは
男性器のメタファー表現が露骨

ミスター・ミセス・ミス・ロンリー(1980年製作の映画)

3.5

オフビートでグイグイ引き込んでくる神代節。原田美枝子も天本英世も宇崎竜童も三國連太郎もみんなしょうもない。面白いというより「しゃあねぇな付き合ってやるよ」と謎にソウルに火をつけられるタイプの作品。お悔>>続きを読む

二十歳の原点(1973年製作の映画)

3.3

高野悦子の原作は未読。
主人公のフラフラとした様子と死への結末の間の物語が弱い。ヒロインが綺麗。大門正明のアジテーションかっこよかった。

緑の夜(2023年製作の映画)

3.3

滑り込みで鑑賞。
雰囲気以外何も良くなかったというか、雰囲気があらゆるマイナス点を内包してしまう極端な力がある。ファン・ビンビンが綺麗すぎたしイ・ジュヨンがやかまし過ぎた。

オオカミの家(2018年製作の映画)

3.7

明らかに手を抜いたなという瞬間が一つもなかった。ストップもモーションアニメーションなのに手持ちカメラのようにグルグルしていて寒気がした(いい意味で)。
これ観る側も体力要るなぁ

銀座化粧(1951年製作の映画)

3.6

しなやかでしたたかな田中絹代
人間の情と情が交錯し合うユーモラスでありながらシニカルな味わい
相米慎二とか成瀬好きだったんだろうなーって思う

遠い一本の道(1977年製作の映画)

3.5

地味で堅苦しく、昭和の頑固親父がちゃぶ台返しをキメている独立系プロダクション作品。国鉄労働者たちの生き様と組合での闘争をクローズアップした男の映画かと思いきや、労働者を支える家族の人間模様にもウェイト>>続きを読む

窓ぎわのトットちゃん(2023年製作の映画)

4.0

日々を漫然と過ごしていたところでこの映画を観て、自分がこれまでに失ってきた日常や繊細さ、感動が一気に降りかかってきた気分になった。強く切実な反戦のメッセージが強く胸を打った

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

3.9

先入観とは裏腹にガッツリエンタメ映画としての風格をかましてきた。良くも悪くも観やすい。
神木隆之介とともに水橋研二と吉岡秀隆をキャスティングしていたので山崎貴は絶対に新海誠シンパ。安藤サクラがめっちゃ
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風花 kaza-hana(2000年製作の映画)

4.0

4,5年前に一回観たきりの相米慎二の遺作。こんなにも鋭利に内面に入り込んでいくのにどこか牧歌的な味わいを出してしまうのは奇跡。子どもたちのモブ演出や口笛、歌などの挿入はティーンズ映画を世に出しまくった>>続きを読む

生れてはみたけれど(1932年製作の映画)

3.8

ブラックでニヒルでコミカルな小津安二郎。支配者-被支配者の入れ子構造をかましてくる。酒屋のお兄ちゃんが大人気ない。

呪いの血(1946年製作の映画)

3.3

うーん、つまんないわけでは無いがそっち行っちゃうかという感じ。テーマはわかるけどそれぞれの点が綺麗に一本の物語の線で繋がれていない。主人公の節操のなさは笑う。雰囲気は確かにノワールだけど拳銃をチラ見せ>>続きを読む

AKIRA 4Kリマスター版(1988年製作の映画)

4.2

サイバーパンクの代表格という扱いの本作をようやく観たが、ディストピアSFというよりも家族の話をたっぷりとしていた印象。個人的には終盤のある人物の死がかなり示唆的で批評を呼び起こしそうな気がする(ここで>>続きを読む

屋根裏のラジャー(2023年製作の映画)

3.8

想像以上にこじんまりとして終わるファンタジー。スタジオポノックといえば大愚作『二の国』だが、それとは比類できないほど欧米3DCG映画としての完成度は抜群に高い。悪役の声に聞き覚えがあると思ったら「ルビ>>続きを読む

むかしの歌(1939年製作の映画)

3.5

杉田協士も影響を受けた(?)に違いない「うた」映画
人物のパストアップを極力排した群像劇だったがストーリーが単調すぎて退屈になる。
風車を買って捨てるシークエンスが良い。進藤英太郎もとても良い。

簪(かんざし)(1941年製作の映画)

4.0

新年2回目の田中絹代。
子供達の声援の中足が不自由な笠智衆が駆けずり回り、最後には田中絹代におぶられながら川を渡るという白昼夢にも似たシーンが大変蠱惑的。
クレーム親父、基い学者先生のキャラが立ってい
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⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)

4.2

本当にわかりやすいくらいの反国粋主義・反国体思想・反家父長制。アニメ映画でここまでイデオロギー的検証に迫れるのが凄い。ヒロインにも容赦ない。
『少女革命ウテナ』『新世紀エヴァンゲリオン』から思いっきり
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夜ごとの夢(1933年製作の映画)

3.7

久々の成瀬
忙しないトラッキング撮影が家庭不和をより鮮明に見せる
バスのミニカーの落下する演出はベタだけど好きです

恋の花咲く 伊豆の踊子(1933年製作の映画)

4.0

新年一本目
文芸作品とは思えない軽妙さと人物動線の豊富さに魅了される
クライマックスのモンタージュで泣かせにくる。てかヒロイン田中絹代だったのか。

TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー(2022年製作の映画)

2.9

結局何一つ回収せずに終わってしまったのには失笑してしまう。
怖がらせるポイントがいちいち凡庸で品が無い。A24作品なのにそんなにのめり込めるような設定の尖りもパンチラインも無い(あったとて薄い)。

アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

3.6

久々に映画らしい映画を観れた気がする。全てが虚構で作りもの。作り手も観る側もメタで繋がっている。
テクノクラシーとヒューマニズムは相性が悪い。

荒馬と女(1961年製作の映画)

3.7

ロマンス劇から不条理劇への転換。
男らしさと現代倫理の対立を経て、男性側が最終的には無条件に賃労働を肯定せざるを得なくなり、自らを資本主義の側に明け渡す様をやや美化して描く。ラストの男たちの狼狽のセリ
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スクールガール・コンプレックス 放送部篇(2013年製作の映画)

-

びっくりするほど何も印象に残らなかった。多分、本当にこの作品が好きではないからだろう。さよポニのEDは好きです。

北陸代理戦争(1977年製作の映画)

4.9

東映実録路線最後の光芒。
観る側の予想を次々と裏切る松方弘樹のリベンジ劇が北陸の地で繰り広げられる。
野川由美子、地井武男、遠藤太津夫、成田三樹夫、千葉真一、ハナ肇、西村晃といった贅を尽くしたキャスト
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