松原慶太さんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

あしたの少女(2022年製作の映画)

3.9

映画は二部構成で、まず前半は、ダンス好きのフツーの女子高生ソヒが、学校から実習先としてとあるコールセンターを紹介され、じょじょにそのブラックな実態に気がつき始める...という話。

前半はほぼ事実に基
>>続きを読む

TOVE/トーベ(2020年製作の映画)

3.6

ムーミンの作者、トーベ・ヤンソンの伝記。作品単体としては地味なんだけど、ものすごくクリエイティブ魂が触発される映画だった。

父親が彫刻家、母親は画家という一家に育ったトーベ。画家や記者や哲学者、舞台
>>続きを読む

どこまでもいこう(1999年製作の映画)

4.2

郊外の団地で育った少年期がよく描かれている。子どものこともよく分かっているし、団地のこともよく分かっている。

是枝裕和とはまた違う個性。

これさいしょに観たとき邦画にもスゲー才能があらわれたと思っ
>>続きを読む

アイズ ワイド シャット(1999年製作の映画)

3.2

キューブリックの遺作。こんな話だったのか...。プロットそのものはある種の寓話的な意図があるのかもしれないが、ゴチャゴチャと要素が多すぎて、なんだかとりとめのないエロ話にも見えてしまう。

原作「夢小
>>続きを読む

サイダーのように言葉が湧き上がる(2020年製作の映画)

2.7

定型的なジャパニメーション調ではなくイラストふうに抽象化された映像表現とか、俳句という地味な題材をテーマに選んだことなど、意欲的な作品。

そのた、ど田舎のショッピングモールを主要な舞台に据えたこと、
>>続きを読む

私が棄てた女(1969年製作の映画)

2.7

遠藤周作「わたしが・棄てた・女」の映画化。監督は「キューポラのある街」「青春の門」などの浦山桐郎。

主人公が、かつて関係し、そして別れた女について、あれこれ考える話。これテーマとしては普遍的なもので
>>続きを読む

デイ・シフト(2022年製作の映画)

2.7

LAを舞台にしたヴァンパイア・ハンターもの。

導入の10分はC級ゾンビアクションのノリですが、ヴァンパイアハンター組合とか、バディを組まされることになる生真面目君とかのディテールが描き込まれていくと
>>続きを読む

8 1/2(1963年製作の映画)

3.8

スランプに陥った映画監督が、本妻と愛人(たち)との関係に悩んだ末に、妄想の世界に入り込んでいく、という話。

ぼくはゴダールなんかよりも、喜劇的で祝祭的なフェリーニのほうが好みなのだけれど、基本的にイ
>>続きを読む

警視庁捜査一課 ルーシー・ブラックマン事件(2022年製作の映画)

3.5

ルーシー・ブラックマンさん事件のことは、当時マスコミで報じられていた程度のことしか知らなかったが、こんな未曾有の性犯罪事件が裏側にあったとは。当時の関係者を追ったドキュメンタリー。

wikiで消され
>>続きを読む

パプリカ(2006年製作の映画)

4.1

今敏の遺作。やっぱ天才だわ。圧倒的なイマジネーション。
ノーラン「インセプション」の元ネタらしいけど、本作のほうが面白い。

母性(2022年製作の映画)

2.4

三世代に渡る母親と娘の話。原作(湊かなえ)は内容が濃そうだと感じた。

母親がすべて生まれつき母性を持っているわけではない。綺麗事ばかりでなく、愛憎入り混じる感情のもつれを描こうとしていると感じた。
>>続きを読む

ニモーナ(2023年製作の映画)

4.1

最高だった。壁に閉ざされたハイテク中世都市を舞台にした、騎士とモンスターとの友情物語。

系統で言えば「アイアン・ジャイアント」の最新進化系、といったところだろうか。

とにかく最初の1時間くらいがあ
>>続きを読む

ザリガニの鳴くところ(2022年製作の映画)

3.4

サウス・カロライナの湿地帯を舞台にした、美しい映像の法廷ミステリー。

湿地帯にひとりで住み、街の人々から仲間はずれにされてきた美しい女の子が、殺人の嫌疑をかけられる。法廷でのやりとりのなかで、しだい
>>続きを読む

決戦は日曜日(2022年製作の映画)

3.4

まず予告編がおもしろい。

政治家の跡取りバカ娘(宮沢りえ)が選挙に出て、しっちゃかめっちゃかするコメディ、と思って観始めたが、なんか違う。

意外と硬派。意外とマジメ。

政治家秘書(窪田正孝)はじ
>>続きを読む

歩いても 歩いても(2007年製作の映画)

4.0

兄の命日に実家(樹木希林、原田芳雄)に帰ってきた、姉(YOU)家族と弟(阿部寛)家族の二日間を描いた話。

とある家族の短い日常を描いた映画で、これが「リアル」なのかどうかよく分からないが、観始めると
>>続きを読む

涙くんさよなら(1966年製作の映画)

3.2

アメリカに住むジュディ・オングが生き別れの母を探しに日本にやって来る。そして浅草橋の芸者屋で若者グループと知り合い、京都までクルマで向かうことになる。母探しのロードムービー。脚本・倉本聰。

もともと
>>続きを読む

香港秘令0号(1960年製作の映画)

2.6

香港帰りの偽札職人?的なヒトが主人公の日活映画。45分とメチャクチャ短い。

タイトルは「香港秘令0号」だが、香港はまったく出てこない(笑)

「香港の指示で動いている」 「偽札の原板が見付からないと
>>続きを読む

オールド(2021年製作の映画)

3.5

高級リゾート地。30分で1歳づつ年をとるプライベートビーチに迷い込んでしまった数家族を描くパニックスリラー。

一歩間違えば、荒唐無稽な法螺話になりそうなストーリーを、さすがシャマラン。緻密な脚本と伏
>>続きを読む

海よりもまだ深く(2016年製作の映画)

3.8

売れない作家(阿部寛)が、食っていくために興信所で働いている。そして別れたカミさん(真木よう子)、小学生の息子となんとかヨリを戻せないかとストーカーっぽいことをしている。

是枝作品で探偵事務所が舞台
>>続きを読む

きさらぎ駅(2022年製作の映画)

3.0

2ちゃんねる由来の都市伝説を映画として再構成したものらしい。

ホラーとしてもサスペンスとしてもB級でチープだが「意外とアイデアは面白い」。

前半のサトエリ主演部はゲームの一人称視点で新しい(必ずし
>>続きを読む

箪笥<たんす>(2003年製作の映画)

3.4

ハリウッド版リメイク「ゲスト」を観たあとに鑑賞。

ウム。これはこれで詩情もあり、また洋物では出せないじっとりとした恐怖もあり、解釈の分かれる複雑なストーリーで、別物としてなかなかいい。

なにより主
>>続きを読む

ゲスト(2009年製作の映画)

3.5

開始してまもなく「あーあのパターンか?」と推測されるものの、物語展開や、随所のスリラーが上手で、最後まで楽しめる。

またさすがにいくつかのトリックや、どんでん返しには驚かされた。

韓国映画「箪笥」
>>続きを読む

マルコ・ポーロの冒険(1938年製作の映画)

2.8

戦前の白黒映画。ゲイリー・クーパーがマルコ・ポーロを演じている。なんとなく「東方見聞録」に興味を持っていたので鑑賞。

13世紀ヴェネツィアの貿易商人だったマルコポーロが、当時世界の最先端だった中国(
>>続きを読む

別れる決心(2022年製作の映画)

3.7

主人公の刑事(パク・ヘイル)が、とある殺人事件の鍵を握る美しい被疑者(タン・ウェイ)の魅力に引きずり込まれていく話。

いわゆるファムファタールものミステリー/サスペンス。プロットは古典的であるが、映
>>続きを読む

死体が消えた夜(2018年製作の映画)

3.3

浮気を疑われた大学教授が、妻を痕跡の残らない薬物にて殺害。しかしその夜、遺体安置所から死体が消えてしまう。誰かが盗んだのか、死体が生き返ったのか...。

スペイン映画「ロストボディ」のリメイクらしい
>>続きを読む

プロミシング・ヤング・ウーマン(2020年製作の映画)

3.5

泥酔してるところをレイプされ自殺した親友のかたきをとるために、医大卒の「約束された将来」を捨て、夜な夜なクラブに出かける主人公(キャリー・マリガン)の話。

爽快アクションの復讐劇を期待すると肩透かし
>>続きを読む

ヤング≒アダルト(2011年製作の映画)

4.0

映画的といえば、かなり映画的な映画。ジェイソン・ライトマンってこんなヴェンダースみたいな映画(という言いかたで何を意味しているのか自分でも分からないが)も撮るんだ?

主人公のシャーリーズ・セロンは、
>>続きを読む

レジェンド&バタフライ(2023年製作の映画)

2.4

いまが旬の脚本家と、TVと映画で実績のある監督、一流どころの俳優陣(綾瀬はるか生き生きしてたよ)。それなりにお金かけてる感のある絵面。

しかし、なぜひとつも面白くないんだろう。皆んなで会議して映画作
>>続きを読む

ゲット・アウト(2017年製作の映画)

3.9

こないだの「NOPE」があまりにおもしろかったので、ジョーダン・ピール監督の過去作を鑑賞。

恋人の実家に招かれた黒人青年が、白人だらけの環境で、微妙に居心地がわるくなり、その違和感がしだいに恐怖に変
>>続きを読む

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

LA郊外の牧場にえたいの知れないアレが出現する話。手に汗握って鑑賞。

基本的には、前半ゾワゾワする不穏な雰囲気がつづく感じが、シャマランやアリ・アスター「ミッドサマー」なんかと作風が似ている。モダン
>>続きを読む

マン・オブ・スティール(2013年製作の映画)

2.0

公開時に観たはずだが忘れていた。その理由がわかった。とんでもねー駄作だわ。詰まらなすぎて記憶から消去していた。

「スーパーマン」(1978)を4.5点、「スーパーマン・リターンズ」(2006)を3.
>>続きを読む

花とアリス(2004年製作の映画)

4.5

これの続編(というか前日譚)である「花とアリス殺人事件」が僕は大好きで、本作も観たことあるはずなんだけど、こんなに大傑作だったっけ?

邦画のよさが全部詰め込まれてるし、女子の友情とか、可笑しな脇役た
>>続きを読む

密航者(2021年製作の映画)

3.2

密室空間での息詰まるようなサスペンス。

しかし最後のミッション、デイビッドが行くべきだったのでは…。まぁしかし安易なカタルシスに走らない真面目な作品だと思う。

ハンナ(2011年製作の映画)

2.8

微妙作。北欧の森の中で、元東側の諜報員だった父親に育てられた主人公ハンナがCIAに追われる話。

元スパイ(抜け忍)が組織から追われるよくあるパターンではなく、キャンピングカーで旅をする一家との出会い
>>続きを読む

ギャラクシー・クエスト(1999年製作の映画)

3.2

スタートレック的なB級SFTVシリーズの役者たちが、危機に陥った異星人から本物のヒーローと勘違いされ、銀河系の命運を託される話。

ダメ役者とオタクなファンたちが協力して、悪の帝国に立ち向かう後半はけ
>>続きを読む

シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)

3.8

ん…?なにこれ…意外と面白い…。

題材的にはウルトラマンのほうが好みだし、どうせまた「キューティーハニー」の二の舞でしょとタカを括っていたせいか、はたまた同世代の弱みなのか、けっこう楽しめてしまった
>>続きを読む