彼女の犯した罪と、
彼女が生きてきた意味。
彼女が奪った命と、
彼女から奪った命、
彼女がいなくなった家。
人を殺した背景と、
人を殺していい理由。
生きたかった人と、
殺してもいい人。
許される>>続きを読む
「事件」は目には見えない。「その後」から突然映画は始まる。何が起こって、どういう状況なのか。
足元のおぼつかない、崩れてしまいそうな砂の上。その上で静かに息を殺してバランスをとろうと試みている感覚。>>続きを読む
ラジオから聞こえてくる理不尽な攻撃と、死。遠く離れたものではなくて、想いを寄せるあの人にも、目の前のワンちゃんにも、その影は忍び寄る。
2020年代の時代設定に漂うレトロ感。
遠くて近い。新しくて古い>>続きを読む
映画を観に来る人、
映画をつくる人、
映画館を運営する人、
そして、映画館自体の物語。
傷つき、痛んでも。
食べて、癒して、触れ合って。
再び立ち上がって、歩み出す。
現代アルジェリアの不条理を暴き出す意欲作。90年代の内戦の傷、恩赦で繋がれた、目を閉じざるを得ない世界。声がない、上げられない、奪われた。運命を変えようとした友は海へ。
ラストの舞。声なく、それでい>>続きを読む
Une belle course。美しき旅路。
寄り道の連続。
フェミニシッドの一生に終わらない。
次の世代に受け継いでいく慈しみ。
岸井ゆきのと、下町の寂れた零細ボクシングジム、会長を演じる三浦友和の謙虚さ、それらを包む僅かな色彩の霞んだ世界。
ミットの音が、余計に甲高く響く。
理不尽で虐げられた労働者の社会で絶望の中で傷を負い、それでも一縷の希望を見出し生きていく、というKaurismäki作品の特徴が分かりやすい。
「労働者階級に祖国はない。」
フィンランドの監督がフラ>>続きを読む
誤報が生む葛藤。物語の主軸はそれがどう解けてまとまっていくのか。
しかし、夢に足を踏み入れた父の、無邪気な笑顔とパートナーへの素直な愛情が、実に微笑ましい。解けてほしくない魔法の時間。
スカラ座に行こ>>続きを読む
現代から過去への逆襲。下剋上、クーデターと言ってもいい。しかし「歴史」は簡単に屈しない。プライドを引き裂かれながらも、自ら、中から破壊し、生まれ変わっていく。次の50年に向けて。
最新技術を駆使した頭>>続きを読む
一人の希望溢れる少女を失った世界。
口を噤む先に真実がある、はず。
酒向芳と村上淳の異常さにぞくっとする。
飛び交う言説。
あいつは裏切った、殺すしかない。
真実は影の中。
ラストシーン、Simone Signoretの瞳の揺めきもまた、如何様にも見える。
影が美しい。何もかも包み隠しているようでそれ自体が>>続きを読む
ピアノの音色。
新幹線の中の光と声と。
生まれてきてくれてありがとう。
大きな傘。
機械に乗せられ、次々と生産されていく無数のマッチ箱。大量生産と消費。使い捨てられ、顧みられない。この過程の記録が、ひとりの女性の境遇と痛いほど重なる。
正義とは。Frontier Justice。
偏見のない処刑なんて可能なのか。
動物が溢れ出る街の描写に、この世の混沌がよく表れている。サルが乗り込む戦車の画は、痛快なほど皮肉。
既存の価値観を問い直す時代。
神父の職を捨て出戻ってきた自慢の長男。
中絶に悩む友人。
宗教的、家父長的な威厳が揺らぐ。
その上をいくプエルトリコ。ウエストサイドストーリーからの時代の流れ。
オープニングソング。
最後ではなく冒頭にこの熱唱を持ってきた意味は大きい。
開く窓。差し込む光が優しい。
サツ、ナチ、レイシズム、セレブリティに消費社会、夫への不満まで。
充満した鬱憤が快活なエネルギーとなって、突き上げるサウンドとともに、解き放たれていく。
「夜の乗客」に耳を傾ける。重くのしかかりそうな、静かな旅路。
夜の街を遠く眺めるあの娘。
1981年のミッテラン社会党政権誕生。かつての新時代に活躍した、イザベル・アジャーニの再来と見紛うようなNoé>>続きを読む
哲学者だった父、書物は彼の魂。それを自宅に残して施設へ移る姿と対照的に、娘は成長痛を抱えながら、学びを重ねる。
その狭間にいる主人公サンドラ。
父の背中に生きることへの絶望を感じ、娘の眼差しに生きるこ>>続きを読む
優しくなれる、頭を少し上げようと思わせてくれる。とにかくまずは、陶器のカップを用意してコーヒーを入れてみよう。
やられた。昭和の香り漂うアニメーションも前振りだったのではと思うほど、強烈なライブシーン。期待されている音をいかに届けるか。鮮烈だった。
10代であの舞台に立てるわけがない、所詮は漫画、そんな冷めた観>>続きを読む
なんと美しい無音。描画が動き出す。まさにMotion picture。
鍵盤の優しく切ない音色が過去を語り、
軽快なドラムが今この挑戦を熱くする。
度重なる試練に背を向けずに。
一つの競技の枠に留まら>>続きを読む
ローソンで宣伝されていた、パンダが出てくる冒険漫画。それ以上の知識も関心もなく、機内で限られた選択肢の中から観始めた結果、はまり込む。本編を観て、さらにもう一度、という有様。
夢想家の頭の中なのか、これが現実なのか。混乱した思考。これが自分。受け入れてほしい。そんな欲と自省と懺悔。口にするのも難しい、ましてや映像化するなんて。クラウディアの登場で一変する空気の新鮮さが鋭すぎ>>続きを読む