Mayさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

May

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市子(2023年製作の映画)

4.5

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暑さの激しい季節、夕飯を一緒に食べていた時にプロポーズを受ける。そんなとても感動的で美しいシーンで本作は始まる。しかし、市子は出された婚姻届に自分の名前は書かずに失踪。その理由を市子を囲む関係性を通し>>続きを読む

理想郷(2022年製作の映画)

4.2

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閉鎖的な田舎の不気味さを、酒場でうるさく絡まれるくらいの些細なことから徐々にエスカレートしていく流れの持っていき方がすごくよかった。2回目は冗談じゃすまないと言われてからの3回目もやる感じでグッと怖く>>続きを読む

ナポレオン(2023年製作の映画)

4.2

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スクリーンに映る一つ一つの画の厚みと壮大さに唸ってしまう(特に奥行きの充実さが素晴らしかった)。ナポレオンという男を描くにあたって重要である戦いのシーンの豊富さだけで“映画”を観にきたと思える満足感が>>続きを読む

ゴーストワールド(2001年製作の映画)

4.5

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コミカルな会話を魅力的なキャラクターたちが軽快に繰り広げ、今にも爆発しそうな思春期の起伏を包み込む街の空気感がスクリーンに充満していた。鑑賞後のこの幸福感の高さはなんだろうか。

ソーラ・バーチ演じる
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(2023年製作の映画)

4.5

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強烈で極度な狂気と笑いをここまで共存させる力量に感嘆した。開始1秒から目まぐるしく展開される映像に終始釘付けであり、北野映画によく描かれる“唐突な暴力”というのが戦国時代という死と隣り合わせだった乱世>>続きを読む

私がやりました(2023年製作の映画)

4.3

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殺人事件が起きてからノンストップで、まさに階段を駆け上がっていくように、軽快に進んでいくストーリーの手際の良さが見事だった。
作中でもあった“善悪の判断を失ってしまう”というセリフのように、観ていた私
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愛にイナズマ(2023年製作の映画)

4.2

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石井裕也作品らしい、一筋縄では決して事を済ませない感じ。残酷な描写が突発的に入り込んで物語が進んでいく。着地としては恋愛というよりは、家族愛で、とても感動的だった。窪田正孝がすごくよかった

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

4.3

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まず“ゴジラ”の出来が素晴らしかった。
これはどうしようないという無力感や絶望。これを見事に迫力がつくり出していて、ちゃんと映画館で観るべきだ、と強く思える作品だった。特に熱線を出す身体の機微や、大腿
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正欲(2023年製作の映画)

4.4

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原作である朝井リョウ著の『正欲』が素晴らしかったために、映画という尺で収まるものなのか不安があったが、とてもよかった。淡々とした編集による物語運びの手際の良さ、終盤に佐々木たちの逮捕をあの尺で持ってい>>続きを読む

聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア(2017年製作の映画)

4.4

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完璧な規律の乱れからの確実な破滅。その過程を独特なカメラワーク、端的な会話、不穏な音楽が見事なバランスのまま描いていて、とてもおもしろかった。
とても好みなスリラーでした。

なんと言っても、バリー・
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ザ・キラー(2023年製作の映画)

4.5

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感情移入はしない。
全ては予定通りに、即興はしない。
未来は予測できないことを自覚する。

自らの信条に徹底的に従い、寡黙な完璧主義者。まさに理想的な殺し屋で素晴らしかった。
最愛の人を傷つけられたか
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シック・オブ・マイセルフ(2022年製作の映画)

3.9

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怪我をする人を助けた時に浴びた注目。もうそれを“注目”と感じてしまった時点で、この人間の恐ろしさがわかる。陳腐な想像力をもった、自分のためにしか生きれなかった人間の姿。
冒頭の浴びた血をあえて落とさず
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キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(2023年製作の映画)

4.5

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206分という長尺を全く感じさせないスコセッシの演出、ディカプリオやデニーロをはじめとした俳優陣の迫力、ささやくような不穏な音楽…さまざまなティティールが炸裂してつくられた見事な全体で、まさに至高な時>>続きを読む

ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)

4.5

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まさに王道。
ストーリー、役者、美術、音響…全てが完璧に近いクオリティで、本当に素晴らしかった。

人間対AIという明快な対立構造を軸にしながらも、AI側には人間もいて、人間側はテクノロジーとしてAI
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宇宙探索編集部(2021年製作の映画)

4.1

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丁寧なフリとオチでつくられたコメディで、登場人物のキャラもよくおもしろかった。

一世を風靡した雑誌「宇宙探索」の編集部はすっかり落ちぶれている。そんな中、大切にしていた宇宙服を着て、脱げなくなって死
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オオカミの家(2018年製作の映画)

4.4

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まさに唯一無二というか、こんな映画観たことがない。
動く壁画から立体的な造形まで、二次元と三次元がかなり流動的、即興的に関わってとてつもない表現となっている。
そして、そんな強烈な視覚情報に伴うささや
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コカイン・ベア(2023年製作の映画)

4.0

まさにB級感満載で、内容はかなりくだらないけど、全体的に丁寧に作り込まれていて、おもしろく観ていられる。
あと、ちゃんとグロい。
でも、クマがたまに可愛い。

そして、亡くなってしまったレイ・リオッタ
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ジョン・ウィック:コンセクエンス(2023年製作の映画)

4.7

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2時間半ただただかっこよく、ずっとおもしろい。
とんでもないアクション映画だった。
あらゆる映画オマージュを絡めながらも、完全に進化を遂げた最高峰であり、最先端。
特に凱旋門での車を絡めたアクション、
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ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語(2023年製作の映画)

4.2

紙芝居を見ているような感覚。
上下を奥行きを使って表現するなど、水平を一切崩さないカメラワークがおもしろかった。
この尺だとやはり濃い。

パーフェクトブルー(1998年製作の映画)

4.5

いつ見ても色褪せないおもしろさと美しさ。
配信でしか観れていなかったので、映画館で観れたことが嬉しかった。

何が本物かわからなくなっていくストーリー運びからの、その幻想が実体化する恐ろしさ、醜さの応
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福田村事件(2023年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

これは必要な映画だと思う。
「あの人たちは朝鮮人なのか、日本人なのか」「朝鮮人だから殺そう」……そもそもの前提が間違っているこの事態に、なんともやりきれない絶望に押しつぶされそうになる。終盤にあった数
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ほつれる(2023年製作の映画)

4.3

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点と点で繋がっていた一つの関係性が、一つの点の消失によりバランスが崩れて、まさに“ほつれ”始める。その塩梅の上手さと手際の良さは前作の『わたし達はおとな』でも同様に感じた。綿子と文則のうまくいっていな>>続きを読む

クライムズ・オブ・ザ・フューチャー(2022年製作の映画)

4.2

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痛覚を克服した人類、タトゥーのついた臓器、手術は新しいセックス…次から次へと見たことのないものが出てくるからずっとおもしろい。さすがのクローネンバーグ作品。
今作で印象的だったのは、出てくる人間が人体
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マイ・エレメント(2023年製作の映画)

4.4

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それぞれのエレメントに対するアイデアがストーリー中に炸裂していて、もうそれだけでおもしろい。もちろん自然現象的遊びだけでなく、人格や言葉遊びまでに影響されている設定のつくりこみはさすがでした。
そして
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アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

4.2

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今までの作品に比べて、“かわいさ”が増している印象。でも、そのかわいいアステロイド・シティで起きていることは、超秀才が集まって変な発明品を披露したり、核実験が平気で行われていたり、妻の亡くしたばかりな>>続きを読む

SAND LAND(2023年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

最高!の一言。
もう自分の原風景になってしまっている鳥山明先生の世界に終始ワクワクが止まらなかった。

偏見、私欲、復讐などの人間の業を上手く絡ませた真っ当なストーリーに、鑑賞後の余韻がめちゃくちゃに
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あしたの少女(2022年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます

レッスン場で黙々とダンスをしている一人の女性は、同じところでつまずくが何度も立ち上がる。
そんな冒頭で始まる本作は、その一人の女性が社会に足を踏み込み、壮絶な状況に翻弄され、自殺をするまでの前編と、そ
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バービー(2023年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

キューブリックの『2001年宇宙の旅』のパロディから始まる本作は、“バービーあるある”をふんだんに盛り込んでコミカルに描きながら、そのあるあるに潜む大きな問題へと直面していく。
多様性、押し付けた女性
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658km、陽子の旅(2023年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

製品の取り扱いについてのチャットサービスの仕事をしている陽子は、決まった定型文でただ返すだけだ。しかも部屋も暗く、閉鎖的な生活をしている。
そんな最中、飛び込んだのは父の訃報。従兄に渋々乗せられた青森
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イノセンツ(2021年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

ずっと気味が悪く、怖い。

影響を強く受けている大友克洋の『童夢』は、子供じみた老人と大人びた少女という対立構造の下にあるアクションで爽快感があった。でも本作は、純朴な殺意を抱く少年という狂気的な存在
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ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE(2023年製作の映画)

4.2

ストーリーや展開に真新しさは正直ない…というか説明の長さに眠くなる。でもその後にやってくるアクションがもうめちゃくちゃに派手で、最高な時間。もうアクションだけを観に行ったと言っても過言じゃないくらいに>>続きを読む

ダークナイト(2008年製作の映画)

4.5

ふと観たくなった
たぶん10回くらいは観てるけど、何度観てもトラックのシーンが最高で、あそこからのストーリーの加速度が凄まじい

ヴァチカンのエクソシスト(2023年製作の映画)

4.2

強いやつが強い敵と戦うというまさに誰しもがワクワクせざるを得ない対立構造でずっとおもしろかった。舞台である修道院のロケーション、背景の作り込みや乗り移られた人間もいい程度の気持ち悪さで、ちゃんと高質な>>続きを読む