Mayさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

May

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CLOSE/クロース(2022年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

広大な花畑を二人の少年が全速力で走りぬける。そんなとても気持ちのいいシーンから始まる。決して追い抜いたりせずに、しっかりと並走していた二人の距離は、進学をきっかけに変化していくのだ。

同級生の女子に
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君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

何か強烈な新しさというより、今までの作品の選りすぐりの表現という印象。『不思議の国のアリス』『白雪姫』『ソウルフル・ワールド』ぽさも強く感じた。

一回観ただけでは拾いきれていない不完全燃焼感も強くあ
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⻘いカフタンの仕立て屋(2022年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます

表情や所作など、作中のあらゆることがとても繊細に紡がれていて、まさにカフタンを仕立てるように精密に、丁寧に、形つくられている素晴らしい作品だった。

職人のハリムは、女性のミナと結婚をしている。けれど
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Pearl パール(2022年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます

前作『X』で若さへの異常なまでの執着を見せた殺人鬼おばあちゃんのパールが今作『Pearl』では自分が持っている“若さ”を無駄にしてしまう、と焦燥に葛藤している。

ダンサーを夢見るパールは農場の生活に
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X エックス(2022年製作の映画)

4.2

『Pearl』を観る前に。

老夫婦の殺意は若さに対する羨望か、それとも自らの老いに対する絶望か。
二人の死因が、老いによる事故であることに何か悲しさが残るラストだ。

パールについて語られる『Pea
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アシスタント(2019年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます

本作は制作会社で働く女性の出社から退社までのある1日を描く。ほんとにそれだけの映画なのに、何かずっと見てしまう凄さがあった。

主人公ジェーンは一番下っぱで、”会長”のアシスタント(おそらくハーヴィン
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スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース(2023年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

2018年の前作『イントゥ・ザ・スパイダーバース』の時点で正直、一つの到達点を示したように感じていたが、今作『アクロス・ザ・スパイダーバース』はそれを超えてきた。キレキレのカメラワーク、多様すぎる色味>>続きを読む

スパイダーマン:スパイダーバース(2018年製作の映画)

4.5

次回作のための復習。
2018年の作品だが、今見ても明らかにひとつ表現の到達点を示している。
アクロスザスパイダーバースが楽しみだ。

M3GAN/ミーガン(2023年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

現代ではもうSFとはいえないこの設定を上手くホラーとして落とし込んでいておもしろかった。冒頭はミーガンが人間に近すぎることへのちょっとした不気味さから、どんどん人間的ではなくなっていく怖さに変わってい>>続きを読む

ザ・フラッシュ(2023年製作の映画)

4.6

このレビューはネタバレを含みます

開始1秒から全速力で駆け抜けていく最高のエンターテイメント。ヒーロー映画を観てるな、というてんこ盛りな冒頭の救出シーンからタイムトラベル、マルチバースを上手く入れ込んだ見事な展開。“早い”というだけで>>続きを読む

鉄男 TETSUO(1989年製作の映画)

4.0

造形、音楽、編集などの構成する部分それぞれが即興的でおもしろかった。音が大きくて、迫力が全く衰えずに維持し続ける凄さ。
出演している俳優も現代の映画シーンを支える名優ばかりでかなり豪華。

コミック雑誌なんかいらない!(1986年製作の映画)

4.0

くだらない感じだけど、ずっと観ていられる不思議な魅力がある。80年代の東京を感じられたのもおもしろかった。
ラストのビートたけしの怪演が観れただけでもよかった。

ソナチネ(1993年製作の映画)

4.5

暗闇の銃連射、エレベーターという密室での惨劇。
浜辺で銃を使って楽しく遊びすぎてるおかしさがいい。
音楽も素晴らしい。
(北野武バイオレント・サタデーナイト2023)

3-4x10月(1990年製作の映画)

4.3

突発性の怖さ、不気味さ。
花束のライフルがめちゃくちゃかっこいい。

(北野武バイオレント・サタデーナイト2023)

その男、凶暴につき(1989年製作の映画)

5.0

無言の凄まじさ、それを平気で持たせる画の力。暴力はただそこに付随するだけという感じの恐ろしさがある。

ラストの陰と陽の使い方には痺れた。

現場に早く駆けつけたことに、「俺がやったからだよ」って言う
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ウーマン・トーキング 私たちの選択(2022年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

彼女たちが強いられている状況の全貌が冒頭で既に語られる。それがあまりにも悲惨すぎたのか、最初は正直よくわからず、あまり飲み込めなかった。しかし、ある一つの決断のための対話を聞くにつれて、事の異常さが際>>続きを読む

怪物(2023年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます

そこに至った経緯にはある過程が必ずあって、それをどの視点で捉えるかで意味合いが大きく変わる。そこにある勘違いや偶然によって生じたズレを、今作は巧みに利用していた。それはそこにいる人物たちだけでなく、ス>>続きを読む

帰れない山(2022年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます

豊かな山の風景を背景に、過去を探ったり、未来について思い悩む現在を誠実に映し出していて、それらを緻密に積み重ねて出来上がった重厚な時間に、私は圧倒された。

山嶺の小さな村で二人が初めて出会った少年時
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少年と犬(1975年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

映画に犬が出てくると人との友情や絆にほっこりしたり、感動があったりするのだが、『少年と犬』のブラッドは一味、いや二味も違う。テレパシーで歴史を説いたり、レーダー機能を使って女を探したり、銃を持った人や>>続きを読む

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます

父親と娘の一夏のバカンス。歌ったり踊ったり、初めてのキスをしたり、少し歳上の大人と会話をしたり、そんなとても優雅で淡い時間が流れている。
そして、共に過ごす父親の肖像を終始娘からの視点で語られるのだか
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セールス・ガールの考現学/セールス・ガール(2021年製作の映画)

4.0

なにかぼんやりとしている一人の少女がアダルトショップを経営する奔放な女性と出会い、垢抜けていく。しかもそれが、劇的にというわけではなく、服やメイク、ヘアスタイルが徐々に変わっていき、彼女のぼんやりとし>>続きを読む

TAR/ター(2022年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます

栄光からの転落、そして再起。
この一連の流れをリディア・ターという一人の人間の一つ一つの細かい所作を通して語っているのが凄まじい。そしてそれが異常なまでに繊細であるから、物語が進んでいくに従って、観て
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高速道路家族(2022年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

サービスエリアで金を(割と荒い方法で)騙し取っていたり、テントの中で踊ったりしていた冒頭はまだコミカルで笑えたものの、物語が進んでいくにつれて、決して笑えない事態になっていった。
あんなにもひょうきん
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EO イーオー(2022年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

ロバの“EO(イーオー)”の数奇な旅物語はどこかおかしくもあり切なさもある。とても豊かなものだった。
ひたすらに歩くEOを取り巻くのは人間たちの言葉や感情。そこにある関係性に、時に反応したりすることが
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ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー(2023年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

ずっと楽しい映画。
とてもシンプルなストーリーに散りばめられたアイテム、キャラクター、音楽、そしてマリオシリーズ作品の絡ませ方(「ルイージマンション」的なホラー演出や、ドンキーコングと戦った舞台の鉄骨
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テトリス(2023年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

名作“テトリス”の制作秘話みたいな話かと勝手に思っていたが、ひとつの発想と権利をめぐるドラマでとても見応えがあった。終盤のゲーム的なドット絵の表現になるカーチェイスが特によかった。
テトリスを開発した
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せかいのおきく(2023年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます

便所の汲み取りで飯を食うおわいやの糞にまみれたまさにクソみてえな世界にあるかすかな希望が淡い恋愛、というのがとてもよかった。
「せかいでいちばんおまえがすき」という言葉は聞き馴染みのある文句だが、彼ら
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レッド・ロケット(2021年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます

急に嫁のところに戻ってきて、ヤクを売りまくって、ドーナツ屋の女の子を好きになって、そこかしこでヤリまくって、最後はその子と一緒に町を出る。そんな元ポルノ男優のマイキーの行動は今自分の中にあった感情や気>>続きを読む

トリとロキタ(2022年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

なぜ弟だとわかったのかと問い詰められるシーンから始まる本作は、共に難民であるトリとロキタ、二人の”偽兄弟”の壮絶な運命をとてもシンプルに描いている。監督・脚本は移民問題を扱ってきたダルデンヌ兄弟。>>続きを読む

AIR/エア(2023年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます

終始、心地のいい緊張感と目まぐるしく無駄のない疾走感があってすごくよかった。一つの才能に全てを賭けるという揺るぎない信念の純粋さにアツくなるし、めちゃくちゃ感動する。個人的に『ウルフ・オブ・ウォールス>>続きを読む

囚われの女(2000年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

終始リズムが淡々としているが、二人の間で起きている事態はダイナミックに動いている。
男は女を何度何度も質問したり、友達に会ったりして理解するために奔走する。けれど女は知らないままでいることを肯定する。
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ザ・ホエール(2022年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

巨体の一挙手一投足を観ているだけでぐっと力が入る。それは漂う死の予感にずっと圧倒されて、目を離すわけにいかないという気持ちにさせるからだろう。4:3スタンダートというタイトな画角のためにその窮屈さがよ>>続きを読む

ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り(2023年製作の映画)

4.4

『ストレンジャーシングス』シリーズに出てきたことで記憶に新しい「ダンジョンズ&ドラゴンズ」。本作はそんなテーブルトークRPGを原作としているからか、まさにそのホビー的な豊かさに溢れたアイデアが至る所に>>続きを読む

一晩中(1982年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

散発的に現れるさまざまな出会いと別れ。しかも具体的には特に語らずに、急に抱きしめたり、好きだと告白をしたり、手を取っては走り出したり、互いに踊ったりする。彼らは付き合っているのか、さっき出会ったばかり>>続きを読む

ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー(2023年製作の映画)

4.2

今作もベタの良さがふんだんに詰まっていて、最高。
普遍的な日常に差し込まれる銃、殺気、高速なアクション。前作同様のこの世界がほんとにいい。兄弟とのツーマンセルのバトルからのアツい展開に終始、大満足だっ
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生きる LIVING(2022年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

元となった黒澤明『生きる』を観たことがあるかないかでこの作品の感じ方がだいぶ違う印象。それくらいに本作の『生きる LIVING』はオリジナルにかなり忠実で(ストーリーの流れはもちろん、作品全体のパッケ>>続きを読む