きよ坊さんの映画レビュー・感想・評価

きよ坊

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ミセス・クルナス vs. ジョージ・W・ブッシュ(2022年製作の映画)

3.2

ドイツに暮らすトルコ人移民一家の長男がグアンタナモに収監されてしまった。アメリカ同時多発テロの一カ月後、ムスリムへの憎悪が蔓延していた頃の実話だ。
一家の母親がフワちゃんみたいだった。
陽キャで、遅刻
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青春18×2 君へと続く道(2024年製作の映画)

4.0

なぜ、青春を見せられると、気恥ずかしくなるのだろう。
ジミーが自分を見つめ直す後半から、じわじわ沁みてくる。
大人の再会を描いた「パストライブ」を頭に思い浮かべた。選べなかった人生を受け入れることの意
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プリシラ(2023年製作の映画)

3.2

プリシラ・プレスリーさんはご健在であり、本人の回想録を本人が監修しているわけだから、刺激的な表現はないし、ガーリー映画として記憶に残る「ヴァージン・スーサイド」の再来にはならないでしょう、ソフィア・コ>>続きを読む

猿の惑星/キングダム(2024年製作の映画)

3.2

人間界以上に濃密な猿社会の葛藤や裏切りの「猿の惑星」シリーズだが、カリスマリーダーであったシーザー亡き後、どう物語が展開していくのか楽しみにしていた。
若きリーダーの誕生が中心になるわけだが、「ヒト」
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水平線(2023年製作の映画)

4.0

福島県にゆかりの無いキャストやスタッフで、土地特有の住民の事情を細やかに撮ったと思う。
方言のさじ加減もちょうどいいし、大方斐紗子さんのネイティブな福島弁が、一気に映画に真実味をもたらした。
あの日の
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悪は存在しない(2023年製作の映画)

4.1

「悪は存在しない」と言い切るほど「悪」の存在を意識させるテーマに理解が追いつかない。
見終わってしばらく、映画で描かれたところの状況に疑問がわいてきている。
例えば、地権者は誰なのか、限界集落ではなく
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エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命(2023年製作の映画)

4.0

ユダヤ教徒の家庭に雇われていたカトリックの使用人が、一家の子息に勝手にカトリックの洗礼を授けてしまう。
教皇ピウス9世の承認を受けたというお墨付きでユダヤ教の家族から引き離されたという実話。
んなバカ
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異人たち(2023年製作の映画)

4.2

忘れられない映画になりそうな予感。人は皆、なんらかの「孤独」という苦しみに耐えて生きていることを感じさせる。
山田太一の原作をリスペクトした上で、アンドリュー・ヘイ監督のパーソナルな部分を通って排出さ
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パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

4.1

夫役がケリー・ライカート監督「ファースト・カウ」の料理人ということに、あとで気がつく。
演じるジョン・マガロがいつも不安な面持ちで、ささやかな夫婦の機微に触れる演技で、いいな〜と思った。
いわゆる国際
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ブルックリンでオペラを(2023年製作の映画)

4.0

珍品 笑 途中、ホラー味もあって。
アン・ハサウェイがプロデューサー側に名を連ねているところから、出演の時間はそれほどでもないが、自分を見て!というシーンがあって、アッパレあげたい。
このために体をか
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RHEINGOLD ラインゴールド(2022年製作の映画)

3.5

「太陽に恋して」からファティ・アキン監督好きになったので、新作はいつも楽しみ。
実在の人物をモチーフにしており、クルド人の苦難の道のりが冒頭に描かれている。
あの辺の国の事情が、勉強不足でピンとこない
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美と殺戮のすべて(2022年製作の映画)

4.0

Netflix「ペインキラー」で鎮痛剤を意図的に乱用に導いていく汚い手口は予備知識としてあった。写真家ナン・ゴールディンが被害者のひとりでもあったという、社会活動と写真家としての半生の実録。
美術館で
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リトル・エッラ(2022年製作の映画)

3.8

子供の頃の自分を中心に動いている世界観を振り返る。
自分だけの大好きな叔父さんがいるから、同じ年頃の友達も必要としていない。 
排他的。
邪魔だと決めたら、徹底的に排除していく。「いじめ」のひとつの形
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オーメン:ザ・ファースト(2024年製作の映画)

2.5

「オーメン」(1976)の前日譚、シリーズは全く観てこなかった。
驚かせる演出をところどころ入れてくるけど、お決まりな感じで怖くない。
内容も起伏がなくて、怖さにハマっていかない。
ビル・ナイがいい人
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アイアンクロー(2023年製作の映画)

4.0

フリッツ・フォン・エリック…かすかに記憶にある、たぶん小さい頃、テレビで見てるはず。
保守的な家風に疑問も持たず、父親の成し遂げられなかった夢を息子たちは宿命のように追い求める。
本当の自分らしい人生
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青春ジャック止められるか、俺たちを2(2024年製作の映画)

4.0

東出アレルギーがなかなか抜けないでいたが、井浦新がそれを凌駕していた。
形態模写に尽きる。
監督ご自身の逸話は実話であるだろうし、若松監督の人柄が魅力的だ。
名古屋に行く機会があれば「シネマスコーレ」
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12日の殺人(2022年製作の映画)

3.8

未解決事件のラベリングとして「12日の〜」と簡単にネーミングされて葬られそうな事件に、ひとすじの光を当てる。
どんな理由があろうとも殺人に正義はない、殺された人の無念に囚われた刑事の裏側に迫って見応え
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デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章(2024年製作の映画)

3.0

あのちゃんの一発目の滑舌、悪い。
あのちゃん、すべってる。
もっと面白い子なのに。
後半も、観るよ。

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

「原爆の父」と称されたオッペンハイマー、その名を冠した映画が話題となり、バーベンハイマーの浮かれた宣伝なども経てやっと公開された。
アカデミー賞各賞受賞も納得だが、特に編集賞・撮影賞は当然と思えた。お
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コットンテール(2022年製作の映画)

2.0

コットンテールやウィンドミアは妻だけの思い出の中にあり、家族が共有するエピソードではないところに、大切な人との別れという重いテーマなのに感情が深まらなかった。

瞳をとじて(2023年製作の映画)

4.3

映画にはどんな力があるのだろうかと、問いかける監督の真摯な姿勢を感じる。これが意図していたことなのかなど正解はわからない。
ニューシネマパラダイスのような映画の悦びを感じた、それだけは確かな実感。
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ゴールド・ボーイ(2023年製作の映画)

2.8

主導権を握っているつもりで中学生に翻弄される悪役岡田将生が、イケメン枠からの脱却、演技の幅を広げている。
スリリングな展開は韓国ドラマの得意技で、そちらで製作したほうがハマりそう。
死にまつわるシーン
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デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

4.0

原作は読み辛く離脱してしまったが、この壮大なSF叙事詩を映画化するというのは並大抵のことではない。
part1よりはるかに物語は面白くなっている。
ゼンデイヤ〜〜
かわいそ過ぎる〜

武器重機の巨大な
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違う惑星の変な恋人(2023年製作の映画)

3.8

のらりくらりともっともらしい屁理屈で難局を乗り越えていく中島歩が令和の太宰治に転生していた。
もつれる人間関係のコント集で、大量の手数の笑いに楽しませてもらったが、
最後はつまらないじゃないのよ。
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熱のあとに(2023年製作の映画)

2.0

新宿ホスト殺人未遂事件といえば片山慎三監督の「そこにいた男」の衝撃は忘れられない。
こちらの作品では、橋本愛が加害者のなにを演じられたのか非常に疑問。ピースがバラバラでパズルにはまっていない、そんな感
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ジャンヌ・デュ・バリー 国王最期の愛人(2023年製作の映画)

3.3

ルイ15世の愛妾デュ・バリー夫人の生涯を、マイウェンが主演と監督と脚本も手がけ、自らの魅力を存分に振りまいていた。
デュ・バリー伯爵もルイ15世もルイ16世も、この平民になぜメロメロになったのか。
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ネクスト・ゴール・ウィンズ(2023年製作の映画)

2.8

マイケル・ファスベンダーの至高の演技力の無駄遣いと監督の出演したがり(最後の最後まで)にあきれたけれど、笑ってしまったわ。
あの威嚇の口技に 笑

実話なので、今ではアウトな監督のハラスメントシーンも
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マダム・ウェブ(2024年製作の映画)

3.4

タハール・ラヒムの年齢設定がおかしいことはスルーしておく。
マダムウェブとは一体誰のことか?
家族の温かみを知らずに生きてきた者たちの出会いから運命共同体として結束するまでの女子映画。
大きな身体的犠
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ARGYLLE/アーガイル(2024年製作の映画)

4.1

ヘンリー・カビルの映画かと思うよね?
嬉しい誤算だった。
ヒーロー&ヒロインは、外見では推し量れない。
ブライアン・クランストンとサム・ロックウェルの暗躍活躍、大好きな二人が出てるし、劇場で見逃さずに
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52ヘルツのクジラたち(2024年製作の映画)

2.5

杉咲花さん、泣くお芝居が多く、表現過多になってなかったか、
居酒屋や公共の場所で叫んだり泣いたり、ハラハラする。周りの人が何もなかったようにしている。
映画でこれはヤダなというシーンが多かった。
原作
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梟ーフクロウー(2022年製作の映画)

3.9

日本の時代劇「必殺仕事人」シリーズっぽさがいい。
玉座にしがみついて手段を選ばない醜い王に対して、敵対する側にも正義の絶対者がいないのは、正義をふりかざしても統治できないということだろうか。
時代劇で
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落下の解剖学(2023年製作の映画)

3.8

母親が言い放つ言葉が一方的で、「死人に口なし」の父親のかわいそうなこと。
他のレヴューでも散見されるが、途中眠くなると、まさに同意。
ところが!犬事件と息子視点のターンから、緊張感が走る。
11歳にし
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コヴェナント/約束の救出(2023年製作の映画)

4.0

タリバンと駐留米軍との銃撃戦は目を覆うばかりに悲惨だった。
タリバンの戦闘力に対して、米軍の作戦に勝算があるとは思えない。無謀。
アフガニスタンに侵攻したアメリカという国に疑問を感じつつだが、映画はハ
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ノスタルジア 4K修復版(1983年製作の映画)

4.2

修復版で初めて観たが、ロシアの暴挙が続く現在地からみると、巨匠と呼ばれる映画監督の千里眼とはこういうものかと素人的に思った。
祖国ロシアへのノスタルジーは牧歌的なものではなく、身を切られるような悲しい
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緑の夜(2023年製作の映画)

3.2

ファン・ビンビンは中国で巨額脱税事件により多額のペナルティを精算して本作に復帰してきた。
中国から逃れて韓国へ渡ってきた女性役という思わせぶりと、女性が抑圧から解放されることを応援する映画という女性視
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悪魔のシスター デジタルリマスター版(1973年製作の映画)

3.2

デジタルリマスター劇場上映
ヒット作「キャリー」がこの数年後に公開されるわけだが、本作はどうかというと、猟奇的な事件なのにほんわかとした雰囲気と愉快なポンコツたちという、出来はよくない。
それでもデ・
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