きよ坊さんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

きよ坊

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君は行く先を知らない(2021年製作の映画)

3.7

なぜ旅立とうとしているのか真相がわからないし、言及する場面もない、ただ連想するだけ。
仲良し家族の珍道中のような体裁を取らなければ、上映禁止となってしまう。
イランの国内事情を冷徹に俯瞰しながら、家族
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春に散る(2023年製作の映画)

3.4

原作沢木耕太郎と重厚な人間模様が特色の瀬々敬久監督、演技派の俳優という安定の布陣、期待はしていたが…
過去のボクシング映画に、もっと良作がある、個人的な感想ですけど。
倒した直後にガッツポーズするとか
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星くずの片隅で(2022年製作の映画)

3.8

コロナ禍の香港は日本も同様、シングルマザーの経済的困窮や自営業者の経営破綻は身につまされる。
みんな星くずのように生きているのに、弱い立場の人に優しくしてきたのかと、映画は問うている。
香港の夜景が美
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マルセル 靴をはいた小さな貝(2021年製作の映画)

4.0

珍妙なフォルムの小さな貝のマルセルが愛おしい。家や庭や人間は実写で、アニメとうまく融合、窓辺に佇み外の景色を眺めるマルセルに同化してしまいそうなぐらいたそがれた気持ちになった。
おばあちゃん役のイザベ
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インスペクション ここで生きる(2022年製作の映画)

3.8

ゲイである監督自身の体験をさらけ出した意欲作。2020年に亡くなった母に捧げるとクレジット

励ましの気持ちでボディタッチをされたとしても、別の意味に感じることなど、「手」の動きに注目。体験者だからこ
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裸足になって(2022年製作の映画)

3.5

アルジェリアの苦境にある女性達を描くことで、自由に生きることへの強い願いを映画から感じる。
理不尽で不自由な社会の制限から、心を解放するのが「踊る」ということ。
映画の意図は充分伝わったが、コンテンポ
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バービー(2023年製作の映画)

3.7

リカちゃん人形で遊んだ日本人にとって、バービーランドの大人のギラギラした世界観にカルチャーショック。
ハッピーでポップな日常が果たして理想郷なのか、バービー的な生き方、ケン的な生き方に疑問を感じて、ラ
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ジェーンとシャルロット(2021年製作の映画)

3.7

シャルロットが母ジェーンのドキュメンタリーの監督をするということは、家族の秘密をさらけ出さなくてはならない。
興味津々。冒頭は日本パートから。ピントもボケボケでどうなることかと。
母親の余命も残り少な
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イノセンツ(2021年製作の映画)

4.0

無垢だけど「怪物」となり得る子供の世界は北欧のうっすら明るい夜のように、大人からは見えない秘密のベールに包まれている。
家庭の機能不全が関係した社会的なテーマをひそませて、暴力の対決に意味を持たせてい
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君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

3.5

予告や情報解禁なしという異例の公開ということは、ネタバレ厳禁ということでもあるでしょう。なので感想も言いづらい。

宮崎駿監督のラストメッセージが込められている自伝的なフィクションなのかもしれない。
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658km、陽子の旅(2023年製作の映画)

4.1

福島県民、見ましょう。激推しデス!ここではないどこか、私は何者かと、追っかけて自爆中の42歳の陽子を、シティ派?の菊地凛子さんが青森っぽさを漂わせ、その芸達者ぶりに見入りました。
こんな陰気なヒッチハ
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キャロル・オブ・ザ・ベル 家族の絆を奏でる詩(2021年製作の映画)

3.7

ドイツ、ウクライナ、ポーランド、ロシアと、隣国で地続きであることの利害関係を、家族の悲劇を通して我々は知る。
ウクライナ出身の監督なので、大戦の頃のロシアの非道を端的に批難しているようだが、
そして、
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ヴァチカンのエクソシスト(2023年製作の映画)

3.8

ラッセル・クロウの神父、それも悪魔祓いって、ハマり役。黒い法衣も似合う。
ビクビク鑑賞だったけど、
ラッセル・クロウのとぼけた味わいにクスッと笑い、
相棒のトーマス神父の懸命さを応援し、
告解し合うと
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ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE(2023年製作の映画)

3.5

タイトルの「デッドレコニング」に関わるある部隊の話から始まるのだが、長い上映時間のラストには、なんのことだったか忘れてしまうぐらい。

part twoには、もっと壮大な結末が待っているのも期待できる
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CLOSE/クロース(2022年製作の映画)

4.0

友情かそれ以上の感情なのか、仲の良さをクラスの子からからかわれたことで関係性が壊れていく。
絶望的な孤独を感じる少年も、罪悪感に苦しむ少年も痛ましい。誰が悪かったのかどうすればよかったのか考え込んでし
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To Leslie トゥ・レスリー(2022年製作の映画)

3.8

アカデミー賞主演女優賞を獲ったアンドレア・ライズボローの演技ありきの映画。
「後悔」を抱えて生きている人が自暴自棄になりがちなとき、なにキッカケで前を向けるようになるのか、興味深かった。
最後、キーマ
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⻘いカフタンの仕立て屋(2022年製作の映画)

4.0

命の限り夫を愛することとは、夫の尊厳を守ってあげることではないか。
生きづらさのなかで、生きてていいんだよと。
保守的なイスラム教国のモロッコで、妻の突飛な行動や言動に、いつも気難しい夫の顔がほころん
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ザ・フラッシュ(2023年製作の映画)

4.0

劇中で「ジャスティス・リーグはメンタルケアが苦手」って…
メンタルケアが一番必要なエズラ・ミラーが心配。
「ザ・フラッシュ」の続編も熱望する。
エズラ・ミラーが出ずっぱりで、ヒーローならではのカッコ良
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EO イーオー(2022年製作の映画)

3.8

「EO」という名のかわいいロバが、期せずして人間界を凝視しながら放浪するロードムービーという変わったストーリー。
EOが人間をあわれんでいるような表情のアップは、監督の思惑が感じられる。
ロバを通して
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オレンジ・ランプ(2023年製作の映画)

3.2

山田雅人がラジオで語ってたので、観なければということで。

共生社会のお手本のような美談だが、品よくまとめて嫌味がなかった。
ネッツトヨタ仙台の企業イメージもアップ。
数年前に◯首相が、高齢者の自助努
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探偵マーロウ(2022年製作の映画)

3.0

リーアム・ニーソンがフィリップ・マーロウを演じ、原作はレイモンド・チャンドラーではない作家なのに「ロング・グッドバイ」の続編とか、いろいろ疑義のある設定。
続編というよりは、ちょっとずつパクっている感
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アシスタント(2019年製作の映画)

3.0

取材を重ねて事実を詳らかにしているものの、彼女の告発に共感できるものはなかった。
生産性のない雑用の日々だが、活路を見出していくとか、別の捉え方をするとか、何かあるではないか。
業界のパワハラ・セクハ
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カード・カウンター(2021年製作の映画)

3.8

オープニングから製作側のクレジット、スコセッシ監督へのリスペクトでしょうか。
カジノを転々として生計を立てるギャンブラーの物語と、もうひとつ別の物語が同時に始まる。
オスカー・アイザックが訳ありげなギ
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セールス・ガールの考現学/セールス・ガール(2021年製作の映画)

3.5

初めてみるモンゴル映画は、日本人と同じ顔、朝青龍顔のおじさんも出てくるし、ウランバートルはちょっと前の日本の風景、親近感ある。
自分の進路に疑問を持ち始めた大学生と、厭世的な生き方をしているバイト先の
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ザ・ホエール(2022年製作の映画)

4.0

死にそうな肥満症の男に、よってたかって怒りをぶちまけたり、
生きる気力を失くしているのに、お金のために仕事したり、過食したり、
なんていびつなのか、人の生き様とは。

娘への最後の償いのときを、ブレン
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ウーマン・トーキング 私たちの選択(2022年製作の映画)

3.7

2010年の事件を基にした原作を映画化。女性が虐待・暴行から逃れるには「逃げる」一択なはずが、信仰が邪魔して難しい状況におけるウーマン・トーキングが延々と。
ルーニー・マーラーは聖母マリア、ベン・ウィ
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aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

4.2

非説明的な映画は、思わせぶりな雰囲気を味わうのか、見えない心を想像させるのか、これは後者だった。
ホームビデオを撮る側も撮られる側も、親密で強烈な眼差しが交差するのを感じる。
その時はわからなかったこ
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テノール! 人生はハーモニー(2022年製作の映画)

3.0

でき過ぎた話でも、歌が上手けりゃ感動するときはするものだ。
才能と努力で切り開く未来に、夢をみた、ちょっとだけ、一瞬。

逃げきれた夢(2023年製作の映画)

4.0

製作が木下グループ、キノシネマで映画を観る。退職一年前というとまもなく還暦、還暦というのは60年を一巡して生まれ変わる歳なんだとか。
コンプラゆるゆるの時代の名残りを、各方面で発揮して、疎まれている中
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苦い涙(2022年製作の映画)

2.5

多作なオゾン監督だが、これは好きじゃないほうの映画だった。
パワハラ映画監督の恋愛には興味をそそられない。

M3GAN/ミーガン(2023年製作の映画)

3.2

子供向けお友達ロボット「ミーガン」、
一見、可愛いけど、冷静に見たら最初から悪い顔してる。

少女を保護する使命はどこへやら、闘争本能むき出しになってからは、「ミーガン」に愛着わかなくなった。

ダークグラス(2021年製作の映画)

4.0

犯人から狙われて逃げ回るという単純なストーリーなのだが、以外と怖い。
次から次と流血ブッシャーと、
全盲コールガール&アジア系少年のバディものとしても、
アルジェント監督82歳の作品は一周回って新鮮だ
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聖地には蜘蛛が巣を張る(2022年製作の映画)

3.6

イランの事件でありながら、主演女優はイランからフランスに亡命しており、制作国もイランではない。
宗教の大義を果たすための殺人が、いつしか宗教から逸脱し、醜悪な人間性が見え隠れしてくる。
誰も信用できな
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アダマン号に乗って(2022年製作の映画)

3.5

誰が施設の運営側の人か、アーティストにしかみえない人も通所者だったり、アダマン号の日々は静かに流れている。
社会への提言も示唆も意図も感じられず、その存在をカメラが映す。
それでいて、精神疾患を抱える
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水は海に向かって流れる(2023年製作の映画)

2.8

軽妙な会話とソフトな絵と変則的な人間関係が特徴的な田島列島先生の原作とは、あたたかさが乏しくて温度差を感じた。

ひたすら広瀬すずを美しく撮った。それが物語と呼応することはないように思われ、不機嫌な表
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波紋(2023年製作の映画)

3.9

ある宗教の「聖水」と、水が流れていないのに水を感じる「枯山水」が重要アイテム。
苦難の日常から逃れるため「安らぎ」を強く求めているだけのことだけど、それが大問題。
主観でしか物事を考えられなくなってし
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